2010
11月 22
(月)
14:38
「スラーライフ・フォーラムinとなみ野」分科会報告
本文
11月12?14日開催した「スラーライフ・フォーラムinとなみ野」の報告、先ずは分科会からです。3つの分科会の3人のコーディネーターそれぞれ報告してくれました。

【利賀分科会】テーマ「地域の魅力と活力が交流をつくりだす」

●日 時 11月12日(金)16時?18時
●会 場 「瞑想の郷」
●登壇者
コーディネーター
丸岡一直さん(社会福祉法人二ツ井ふくし会理事長)
パネリスト 
中谷信一さん(財・利賀ふるさと財団理事長)
畠山芳子さん(武蔵野市からの移住者)
大和田順子さん(一般社団法人ロハス・ビジネス・アライアンス(LBA)共同代表)
渋谷和久さん(国交省総合政策局政策課長)

●分科会参加者約40人(うち市外からの参加者16人)
●夜なべ談義 19時?22時 



 富山県利賀村といえば数々のむらづくりで知られ、その歩みは全国の農山漁村、とりわけ限界集落などと意に反するいわれ方をする地域、自治体にとって、ある種の憧憬もまじって、目標とする存在であるに違いない。
 利賀分科会は壮大な演劇空間を形づくる富山県利賀芸術公園、蕎麦とネパールとの交流が発展した瞑想の郷、五箇山の相倉合掌づくり集落などその現場をめぐり、実践の経過をたどった。





 だが、これらのまちづくりを主導し、夜なべ談義の会場も提供してくれた地元の中谷さんには、憂いの表情も見え隠れした。ここまでしても人口減少は止まらず、「年寄りがもっと頑張って、何とかしないと」。事態は、よそ者が感じるよりはるかに深刻とみえる。








 しかし、その利賀村へ東京・武蔵野市から移り住んで10年の畠山さんは、「夢とロマンは、村の中にこそあった」とたたえる。地元の人が気づかない、多くの宝を「発見」した立場から発せられたことばは、人を勇気づける自信と明るさに満ちていた。
 健康と環境に配慮した持続可能な社会?「ロハス」の考えを提唱する大和田さんは、都会の若い女性たちの目が、「農山村の無口な男性」に向き始めていることを紹介した。浮ついた華やかさにひそむ不安の先に、根っこのある暮らしが見え始めたということだろうか。
 国土交通省で全国のまちづくりを担う渋谷さんは、「2地域居住」という生き方を提唱した。多様なライフスタイルとの組み合わせによる新しい地域社会を展望する。過疎と過密を結ぶ、従来にはなかった発想には、さまざまな可能性が開けそうだ。



 地元に十分なエネルギーがあり、それを包み込んで外の目が注がれる。それも利賀村の偉大な財産であると感じられた。境遇を同じくする多くの地域にとっては、このうえなくうらやましく思えることだろう。(丸岡一直:記)

















【井波分科会】
テーマ「美しく楽しく過ごす技と祭りと味と」

●日 時 11月13日(土)16時?18時
●会 場 「あずまだち高瀬」
●登壇者
コーディネーター 
坪井ゆづるさん(朝日新聞論説委員・編集委員)
パネリスト
岩倉雅美さん(井波彫刻協同組合理事長)
杉森桂子さん(NPO心泉いなみ理事)
藤田穣さん (総務省自治行政局過疎対策室長)
田嶋義介さん(島根県立大名誉教授)   

●分科会参加者約40人(うち市外からの参加者12人)
●夜なべ談義 18時30分?21時 


(写真1:提供坪井)

  (写真2:提供坪井)
      


 井波分科会では、砺波地方の豊かさをとことん実感できた。県外からの参加者は、まずは南砺市井波の町並みを歩き、家々の軒先に鎮座する井波彫刻の「表札」に圧倒された。バス停も電話ボックスも彫刻で飾られている。
 パネリストの岩倉雅美さんの店舗前の坂道をのぼると、瑞泉寺の山門が現れた。本堂も北陸きっての大伽藍という評にたがわぬ豪壮さだ。そして華麗な彫刻の数々。「唐狭間迦陵頻伽」、「波に龍」(写真1)、「牡丹に唐獅子」、「獅子の子落とし」(写真2)・・・。動きだしそうな造りに、息をのんだ。


 続いて、散居村に住むパネリストの杉森桂子さんのお宅にうかがう。まず、樹齢100年、高さ20m余の「カイニョ」と呼ばれる屋敷林を、一同、口をあけて見上げた。木々を抜けて、「あずまだち」という構えの大きな母屋に入ると、もっと驚いた。「部屋の数は12か13」「300人は入れる」という説明に、みんな唖然、呆然だった。



 分科会でも、地元勢の元気さが際立った。長屋暮らしの司会者が意地悪く、「居宅が大きすぎませんか」と問うと「いえいえ、空間が人間を育てると思う」「天井が高いほど、賢い子が育つと聞く」などと一蹴された。
 農業を通じた交流の楽しさや、彫刻を学びに全国各地から集まった人が住み着いていること、地域の祭りを外部の人々が担い、それを地元の人々が楽しんでいる事例なども報告された。






 総務省の藤田さんは「都会では断絶しがちな世代間の絆が当地は深い」と指摘。「味」で頑張る各地の事例(埼玉県秩父市のメイプルシロップ、長野県木曽地方の保存食ヒダミ)を紹介した。
 田嶋さんは「家屋、車、家電、衣(ころも)」の在来型重要の4Kから、「観光、環境、健康、介護」の新需要の4Kに移り変わりつつある現状をもとに、「田舎の価値が上がっている」と述べた。 
 議論では、彫刻の新たな売れ筋商品の開拓に苦戦している現実や、かつては4世代が当たり前だった散居村でも少子高齢化がすすむ現状も報告され、課題も浮かび上がった。会場の後ろの方では、「あの2人だから地元が元気よく見えるけど、現実はねぇ」という感想も漏れていたと聞く。



 それでも、県外からの参加者は夜なべ談義に並んだ里芋料理や、小豆と野菜を煮込んだ遺徳煮(いとこ煮)、どじょう、黒カキ、それに地酒のおいしさに舌を巻き、地域の豊穣さ、底力に感激した。「となみ野には見習うことばかり」。会場のあちこちで、よそ者のそんな意見に、地元の人々がうれしそうに頷いていた。(坪井ゆづる:記)























【砺波分科会】
テーマ「散居村の景観と暮らしを守ろう」

●日 時 11月13日(土)16時?18時
●会 場 「となみ散居村ミュージアム」
●登壇者
コーディネーター 
斉藤 睦さん(地域総合研究所長)
パネリスト
長谷川八重さん(NPO法人スローライフ掛川理事)
早野 透さん(桜美林大学教授)
尾田武雄さん(NPO砺波土蔵の会理事長)
砂田龍次さん(となみ散居村ミュージアム館長)

●分科会参加者約45人(うち市外からの参加者14人)
●夜なべ談義 18時30分?21時 



      
 散居村がある地域は日本に5ヵ所ほど数える。中でも砺波平野の散居村は一番大きい。川と川の間の扇状地220平方キロメートルに屋敷林に囲まれた大きな屋敷約7,000戸が点在する姿を一望すると、景観の見事さに圧倒される。
 散居村の景観と暮らしを守ろうがテーマの砺波分科会。最初に外部から来たパネリスト2名が問題提起。



NPO法人スローライフ掛川で、地域の自然と文化を再発見・再構築するライフカレッジ活動をしている長谷川さんは、「散居村の景観はすばらしい。誰もが残すべきだと思うだろう。でも、一過性イベントではなく、通年型の暮らし再発見活動をしないと、文化は残らない」。
 大学教授の早野さんは「これだけの散居村の個性的で貴重な姿を知らない人はたくさんいる。僕もその一人。もっと情報発信したほうが良い」と発言。
 一方、地元で散居村の暮らしと文化継承活動をするNPO土蔵の会理事長の尾田さんは、「散居村で活性化というが、心の教育が先。これが当たり前と思っている暮らしの再評価を住民自身がすることが大事」。
 散居村ミュージアム館長の砂田さんは「散居村は先人の知恵、努力の結晶。ただ、珍しいでは残らない。失ってから大事さがわかるのでは遅いので、価値の再発見勉強会を年40回やっている」と語る。




 会場参加者で散居村に住まいする十数人のうち、次世代に散居の暮らしが継続するかという問いに、3分の2の手が挙がらなかった。小世帯化する家族が大きな家と屋敷林をどう管理するか、2地域居住や民宿への活用など保全手法の課題を残しつつ、議論の継続が大事という確認のもと分科会は幕を閉じた。(斉藤 睦:記)




写真は夜なべ談義に出た報恩講料理。この土地ではあたり前のものでも、都会の参加者は感激。地元の方々がお膳・器・料理すべてを用意くださいました。



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