仙台の七夕まつりには比ぶべくもありませんが、東京・阿佐ヶ谷の吹き流しもなかなかです。写真のような賑わいで、700mのアーケード街がさまざまな飾り付けで埋め尽くされていました。そぞろ歩くカップルや、かき氷に大喜びの子どもたち。みんな大汗をかきながら、都会の夏祭りを堪能している夕暮れは、なんとものどかで平和な光景でした。
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「緑と絆の木陰」
災害からの恩恵
室崎千重 (奈良女子大学准教授)
今年の6月、1888年の磐梯山噴火の被災から135年が経過した裏磐梯(福島県)を初めて訪れました。現在の裏磐梯エリアは、美しい湖沼と自然が魅力的な観光地ですが、この風景は磐梯山の噴火による山体崩壊、岩なだれによって生まれたものです。磐梯山の上部は今もえぐられた地表が緑に覆われることなく残り、135年前とは思えない生々しさと力強さとがありました。
北塩原村磐梯山噴火記念館の館長さんに、噴火被害から現地再建した集落、岩なだれによる河道閉塞による湖の形成により移転決断した集落の今をご案内いただきました。印象に残ったのは、水が溜まりはじめたことで2地域に分かれて移転をした村のお祭りです。現在、かつての村は湖の下に沈んでいますが、高台にあった神社だけが水没せずに今も湖のほとりに建っています。この神社のお祭りは今も二つの移転集落で行われています。神社の御神体を舟に乗せて湖(かつての街道が通っていたルート)を移動して、一つの移転集落でお祭りを行い、翌日に再び湖を移動してもう一つの集落へ行きお祭りを行うことが続いてきたそうです。この地で生きようとした人たちの暮らし続ける意志と、現在もその暮らしが続いていることに感銘を受けました。
館長さんが説明の中で何度も「噴火のめぐみ」という言葉を使われたことも印象に残りました。奈良女子大学の地理学の先生から聞いた「自然災害は人の暮らしを壊しもするけれど、自然災害は人の暮らす豊かな地もつくる」という言葉と重なり、どうしても被災による損失ばかりを悲観してしまうけれど、何十年という時間単位の中では災害によってつくられる大地のめぐみが存在することを再認識しました。
能登半島地震の復興では移転も選択肢になってくるように思いますが、暴力的な移転ではなく、移転してもその地域らしい暮らしを継続する方法を見つけなくては、と思います。
<あっちこっちで多事争論>
スローな手仕事
土屋正子 (東京都練馬区 スローライフの会会員)
スローな趣味、ハーダンガー刺繡を始めて40年。ノルウェー生まれの刺繍で、私はアメリカ・シアトル在住時に出会い、目を奪われて、すぐにサロンに入会しました。
ハーダンガー刺繍は、スローワーク。刺繍したあと、糸と糸の間の布をカットして、レースのように仕上げます。細かい作業が多く、30センチ角ほどの小さな作品でも1カ月、両手を広げるほどの大きさのテーブルクロスや、タペストリーなどは1年がかりになります。
実際に針と糸を持つ時間以外にも、旅先で街の壁画や教会のステンドグラス、車窓からの風景、近くの公園の四季の移り変わり……、すべてデザインに生かせないかと常に考えています。刺している間は、頭の中が無になるほど夢中になってしまう私にとって、スローで穏やかな時間です。
今は、朝日カルチャーセンターでこの楽しさを伝える仕事をしていますが、お教室でも、心豊かな、ゆったりとした時が流れています。老若みんな和気あいあいと楽しく過ごす2時間は至福の時です。
この夏も酷暑。ご縁があり、「通販生活」で私がデザインした日傘が役立っているようで、素敵なご褒美をいただいた気持ちです。
暑い夏も、針と糸を持つ手を止めず、気持ち涼やかに乗り越えたいと思います。
(編集部注、下の写真は土屋さんの作品です)
8-6ヒロシマ
遠北剛(広島市 スローライフの会会員)
あの日から79年を迎える。全く罪のない市民の命が一瞬にして奪われた、非人道的な原子力爆弾によるアメリカの核破壊行為から、である。
ボクの町に建てられた原爆犠牲者慰霊碑(写真)に、この町で亡くなった多くの犠牲者に哀悼の誠を持って黙祷する。
90歳の私が今もって、どうしても忘れることの出来ない悲しいことの一つ。
当時の国民学校6年生が傷一つなく、背中に弟を背負って16kmの道を避難してきた。「弟をお願いします」と、渡された弟はすでに死んでいた。翌日から弟の様子をひつこく聞く兄に、私たちは死んでいる現実を伝えることができなかった。
子どもながら悩みの日々が続いた。4,5日後、元気だった兄が急死した。放射能が原因だろうか。兄の遺体を川原にて荼毘にした日、これで良かったと安堵した。人の死を、悲しむことなく送ったのは、この日だけである。
楽しくも悲劇なる納涼会
柴山恵美子 (東京都 スローライフの会会員)
「納涼会」。つぶやけば、涼しさが感じられそうだが、私の納涼会はかなりアツかった。
沖縄の三線を習っている。その教室のメンバーによる年に一度の発表会が行われた。先生のお弟子さんが数十人集まって、ベテランからペーペーまで、沖縄音階に酔いまくる。私も登川誠仁先生の「島の花」をご披露。全員が弾いて歌って、こんな楽しみがいつまでも……、続かなかった。
帰宅しての玄関先、楽器ケースを立て掛け、ほっとして目を離したら、ガツン! 足元で奏でたことがない音が!
カラクイ(糸巻)を壊してしまった。深く嵌って回らなくなり、完全にお手上げ。
翌日の稽古で、先生曰く、これ相当の重症だよ。最後は工具用のドリルで穴を開ける荒療治をして、元に戻したのでした。最悪でしたが、……納涼会が終わった後でよ~かった。
大槌祭りポスター完成
服部真理 (岩手県大槌町 大槌町観光交流協会)
ものすごい情熱と迫力に満ちた大槌町の熱い熱いお祭り。たっくさんの方が来て、見て、体感していただきたいです! 今年の「大槌まつり」は、9月20〜22日(金夜、土、日)。渡御ルートなど詳細は、徐々に観光交流協会のHPやSNSでアップします。お楽しみに。https://otsuchi-ta.com/event-info/?p=797
新しいニッポンの五輪話
新澤公康 (奈良県高取町 スローライフの会会員)
奈良も京都も暑い。でもなんとなく、お寺の境内や御堂の中の冷んやり感は不思議でさえもある。パリ五輪真っ只中ではあるが、いつからだろう、オリンピックに血湧き肉踊らなくなった自分がいる。
昨今、スポーツや芸能、芸術の世界で活躍する若者たちの中に、肌の色や佇まいから、おそらくご両親の、どちらかが外国出身である、かつては「ハーフ」、最近は「ダブル」と呼ばれる人たちの存在を目にすることがある。中でも肌の色が黒く縮毛の彼ら彼女が、大きなスポーツ大会で、日本人の期待を一身に背負い活躍をしている姿を見ると、彼ら彼女らの人生の歩みは、その親子共々決して平坦ではなかったろうと、思う。
大会で日本人が狂喜乱舞する結果が導かれると、その活躍への讃辞や拍手喝采は差別を踏み越え、華々しいものになるものの、そうでない場合、彼ら彼女らの人生はどうなるのだろうという素朴な疑問が脳裏を過る。出来るから素晴らしい、出来ないからよくない。それが我が国の風景でもある。みんなで彼ら彼女らの人生や生き様を見守りたい。
金メダル、いやメダルもとれず、入賞も出来なかった選手を、紹介し讃えるメディアが増えることを望んでいる。
「君」
松井悠夏 (東京都新宿区 スローライフの会会員)
短歌の「君」ほど優しくて大らかな表現なんて他の文学、いや、他の国の言葉にあるのだろうか。
歌詠みなら何にも考えずに「君」を使うが、よく考えてみるとすごい言葉である。男でも女でも、年上でも年下でも、どんな国の生まれでも、どんな人でも愛している人なら「君」でいい。恋人との恋愛だけでなく、親子の家族愛、友人との友愛、生き物や道端の花への慈愛にも使える。とにかく愛していたら「君」でいいのだ。悪く言えばテキトー、良く言えば懐の深い言葉である。
では、Youは? なんかロマンがないよな~と個人的には思ってしまう。だって、Youは自分以外の目の前の「あなた」全員に使えてしまうから。愛する人の目を見ながら「愛してるよハニー」みたいな付き合いたてのカップルのようなことをしないと相手には伝わらない。
その点「君」なら、あくまでも「愛している人」限定なので伝わるかどうかヤキモキしながら、あるいは秘めた恋心を相手だけに伝わってほしいと願いながら五七五七七にそっと入れる慎み深さがイイ! 大好き(この際、変態と言われてもイイ!)
では、ここで一首。
木漏れ日も麦茶もラムネも君とならフォトジェニックがあふれてしまう
あなたも、あなたにとっての「君」も楽しい夏になりますように。
「79年目の広島原爆の日」
金井紀光 (東京都新宿区 写真家)
スローライフ曼荼羅
蔟屋の時間
野口智子(ゆとり研究所)
蔟(まぶし)とは、蚕が繭になるときに足場にする、井桁状のもの。まちなかの空き家を「蔟」に例え、次々再生したいという願いで「蔟屋」というまちの宿が出来たそうです。あいにくの大雨の日、近くの洋品店で受付し、イタリア料理店で夕飯、バケツに落ちる雨漏りをの音を聞きながら眠り、朝は縁側で地元の人に挨拶、豆からひいたコーヒーをたっぷり飲んで。ビジネスホテルに泊まるのとは、全く違う時間を過ごしたのでした。群馬県富岡市で。
https://noguchi-tomoko.com/post-10471/
つべ小部屋
原爆忌に
つぼいゆづる(スローライフ瓦版編集長)
はなから岸田首相に期待はしていなかった。けれど、一つだけ、ひょっとしたら、と思わなくもない案件があった。選挙区が原爆の爆心地のある広島1区だからである。
その案件とは「核兵器禁止条約」への日本政府の対応だ。2017年に国連で採択された条約は「核兵器の開発、実験、製造、取得、保有、貯蔵、移譲、使用、使用の威嚇などの活動を、いかなる場合にも禁止」する。実現に向けてヒバクシャも奔走したし、推進したICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)はノーベル平和賞も受けた。
だが、米国の核の傘に入る日本は条約に背を向ける。同じ核の傘に依存するドイツやオーストラリアが締約国会議にオブザーバー参加しているのだから、唯一の戦争被爆国もそれくらいはできるはずなのに。
しかし、首相にその気概はなく、ことしも8月6日と9日、被爆地で型通りの挨拶をしただけだった。この現実を見るにつけ、わずかなりとも変化を望んだおのれの不明を恥じるばかりだ。
G7で昨年、広島平和記念資料館を訪れた欧米主要国が長崎市の平和祈念式典への大使出席を見合わせた件について、首相は何を思うのか。図らずも各国が示した「人殺しの二重基準(ダブルスタンダード)」をどう見るのか。
悲しく、釈然としない気持ちで著名人が残した「ヒロシマからの言葉」を読み返す。
「核兵器がつくられている以上、同じ惨禍が起きることが心配です」(マザー・テレサ)
「ヒロシマを知るのはアメリカ人の義務」(ジェーン・フォンダ)
「人類は、このヒロシマの苦しんだ経験を繰り返してはならない」(フィデル・カストロ)
「ヒロシマは世界に光る平和の街になってください」(ヘレン・ケラー)
「この街に来ると、政治と道義が分裂することが、いかに恐ろしいことかを意識する」(ミハイル・ゴルバチョフ)
<編集室便り>
▽8月20日はアドレスフリーのお話。
早くから、本社を東京から、紀州白浜に移し、どこにいても自分のやりたい仕事ができる、という視点で事業を展開されてきた、浦聖治(うら・きよはる)さん(株式会社クオリティソフトCEO)のご登壇です。
事業展開は多岐にわたっておいでですが、今年、『アドレスフリーな生き方』(光文社)という本を出版、居場所に固執しがちな私たちに、新たな暮らし方・仕事の仕方を示されました。今回の「さろん」では、ご自身が南米ペルーに旅をしながら、仕事もするという、ワーケーションの実践体験を通じて得た手ごたえ、お考えをお話しいただきます。
日時:8月20日(火)19時からzoomで
タイトル:「社長自らアドレスフリーを実践 ペルーでワーケーション!」
スピーカー:浦 聖治 株式会社クオリティソフトCEO
申込:8月17日(土)までにメールでslowlifej@nifty.com
参加費:スローライフの会会員は1000円(年間参加費3000円をお納めの方はそれで結構です)、一般の方は2000円
※振込先は ゆうちょ銀行 振替口座 00190-4-595293 スローライフの会
※他金融機関からのお振込みの場合は 店名:〇一九(ゼロイチキュウ)店、預金種目:当座 口座番号:0595293、スローライフの会 まで。
詳しくはこちらから
https://www.slowlife-japan.jp/2024/08/03/%ef%bd%93-312/
▽本日8月13日夜、川竹大輔さんがテレビ出演。
2021年12月の「さんか・さろん」で「“よさこい”は、全国にどう広がり、どんな役目を果たしたか」のタイトルでお話しいただいた高知大学の川竹大輔先生が「よさこい」について話されます。ご本人からの紹介文です。「13日夜放送予定の『マツコの知らない世界』にゲスト出演します。番組予告に出ました。高知大学の卒業生も一緒です。TBS系列です。よさこいに詳しいおじさん枠での登場です。収録は7月でスタジオにおじゃましました」。ぜひぜひ皆さんご覧ください。
▽7月の「雲仙人奮闘記」さろんのYouTubeご覧ください。
先月の「さんか・さろん」、長崎県雲仙市の活動「雲仙人(くもせんにん)奮闘記」を、ホームページとYouTubeにあげました。何とも楽しい、のどかな活動です。ご覧ください。
https://www.slowlife-japan.jp/2024/07/29/%ef%bd%93-311/
https://www.youtube.com/watch?v=yFAFouGBjlE
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