瓦版2011.12.06第85号

週刊スローライフ瓦版 (2011.12.6 第85号)
発行:NPOスローライフ・ジャパン
スローライフ学会
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12月20日(火)19時~の「さんか・さろん」は、初めてのコンサート開催です。
「スローライフの調べ 黒坂黒太郎コカリナコンサート」と題し、木製のオカ
リナのような楽器“コカリナ“の第一人者・黒坂さんの演奏と、矢口周美さん
の歌で。清らかなひと時をどうぞ。終了後、希望者で忘年会も。
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コラム<火曜日の鐘> 早野 透(桜美林大学教授)
~~~ 「原発学生投票」
私の勤めている桜美林大学の学生たちが「原発学生投票」という催しをした。
これからの日本は原発を維持すべきか、それとも脱原発に向かうべきか、自分
たちで考えて投票してみようという試みである。1ヶ月の投票期間を締め切っ
て、千人以上が投票したらしい。イタリアでは国民投票で原発の是非を問うた
けれど、福島原発事故を起こした日本ではたぶん初めてのことである。
その催しの一環として福島大学の学生が来て桜美林の学生と交流集会をした。
「3月11日、私は地震で壊れた街を自転車で走り回った。私は何だかワクワク
したよ。この街を私が救ってあげると思って力が湧いてきたの」と福島大学の
女子学生が語っていた。
どうやらがれきは片付いたけれど、街の復興も原発事故の収拾もなかなか進
まない。しかし若者のなかに新しい時代への挑戦が確実に芽生えている。
学会コラム<緑と絆の木陰>
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神野直彦(東京大学名誉教授) 「消え去りし友」
桜吹雪が舞う窓から射し込んでくる暖かな春の陽光を浴びながら、穏やかに
座っていた中島君の隣に、私は吸い寄せられるように席を取った。それが東大
に入学し、同じクラスに配属された中島君との出会いだった。夢を食べて生き
ていくといわれる獏のような生活をしていた私は、ヨハン・セバスチャン・バ
ッハのフーガの流れる喫茶店で、サルトルの『アルトナの幽閉者』にみる「歴
史的責任」などというくだらない議論を、彼に吹き掛けていた。穏やかな中島
君は、いつも微笑みを浮かべて聞き役に回ってくれていた。
昨年の秋冬の頃、私は彼に招かれて北海道で講演をした。中島君が社長を務
めるJR北海道が経営するホテルを宿として用意してくれたので、久し振りに
ゆっくりとした時を共に過すことができた。
国鉄に入社した中島君は、最後の人生のステージを生れ故郷の北海道で過す
ことができる幸せを、穏やかに私に語ってくれた。自分の親だけではなく、奥
様の親をも引き取り、多くの家族が生活できる我が家を札幌につくったので、
仕事を退き、ゆっくりと生活をすることを楽しみにしていると、心から幸せそ
うに微笑んでいた。
私は調子に乗り、それこそスローライフだと得意げに話した。「スローライ
フとは愛情を降り注いでくれる多くの人々に囲まれて、生活することなんだ。
幼き頃、祖父や祖母など愛情を与えてくれる本当に多くの人々に囲まれていた
だろう。あの懐かしい生活こそスローライフなんだ」と、私は力説した。彼は
静かに頷いていた。
しかし、彼はまるで私自身の命のように、忽然と姿を消してしまった。心悲
しい小樽の海岸で彼の死が確認されたとの連絡が届いたのは、被災した三陸の
海岸を心を痛めながら歩いている時のことであった。状況への「歴史的責任」
を彼は潔く取ったのだと、私は吹きつける海風を頬に受けながら、自分自身に
言い聞かせた。さようなら友よ。
■街角から畦道から ————————————————
宮口としみち(早稲田大学教授、総務省過疎問題懇談会座長 富山市五艘)
ヨーロッパ鉄道の旅から

10月後半から11月上旬にかけて、フランス各地とベネルクス三国を、鉄道で
スローな旅をしてきました。今年の後期はサバティカルで自由がきくのです。
ユーレイルパスという乗り放題のパスを20年ぶりに使いました。午前中に鉄道
で次の街に移動し、午後、街の中を見て回ります。夜7時半ぐらいからは2時
間近くかけてワインをちびちび飲みながらの食事です。一人ぼっちですが、周
りの人々を眺めていると飽きるところがありません。
今回改めて感じたのは、ヨーロッパがいかに農業大国か、ということです。
どこまでも続く農地は、決して荒れていません。農業がいい形に変わっていく
には、EUでやられてきたような、まさにスローでぶれない保護政策が必要なの
です。
■まち・むらニュース ————————————————
・北海道 「ほっかいどう・省エネ3Sキャンペーン(冬)」を展開
「エコアイランド北海道」の実現を目指し、“地球にも、お財布にも優しい
省エネに チャレンジする省エネキャンペーン。冬期間にエネルギー消費量が
増加するので、より一層の省エネ行動を促進し、温暖化対策につなげるために
これからの季節に合わせた日々の暮らしを改めて見つめ直す展開。3つのS・
Save(節約)、Select(選択)、Shift(転換)の省エネ、さらには
新しいライフスタイルへ。キャンペーン期間:24年3月末まで。省エネ行動例
などはHPに。http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/tot/3s_campaign.htm
問い合わせは北海道環境生活部地球温暖化対策室(011)204-5189、経済部環境・
エネルギー室(011)204-5319
・熊本県水俣市 「石積み教室」の参加者募集
石と土という自然素材に、頭と身体で取り組む石垣積みの季節に。石積みは
数日の作業で作り出したものが100年間使われる。ものづくりでは特筆すべき
特徴をもつ。今回は水俣市の海岸部、袋地区のみかん山の石垣積みだが、この
事業は中山間ふるさと・水と土保全対策事業の助成を受けている。
日時 12/9(金)~13(火)12/16(金)~20(火)8時半から17時半まで。
作業場所 水俣市神川(鹿児島県境に近い海辺)のみかん山
参加費:一人当たり1000円 宿泊費:無料(愛林館大広間に)
食事代:宿泊の場合は一人1000円(夕食・朝食)昼食は別に一人600円。
お問い合わせ・お申し込みは、水俣市久木野ふるさとセンター・愛林館まで。
電話FAX:0966-69-0485 http://airinkan.org airinkan@giga.ocn.ne.jp
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いスローフードな発酵食品です。これからの季節、熱燗のお供にぜひ!
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コラム<象さんの散歩> 中村桂子さん宅のお庭を拝見
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先月末の日曜日に「成城3丁目小さな森」を訪問。ここは、財団「せたがや
トラストまちづくり」がお手伝いして、公開している。わが瓦版「学会コラム」
の執筆陣の一人・中村桂子さん宅のお庭であり、この日も、庭掃除スタイルの
中村さん、熊ん蜂退治で防護服姿のご主人にもお目にかかった。
庭は、白い館の中村さん宅の裏側に。とてつもなく急傾斜の林を眺めおろす
形である。できるだけ手を加えずに活かす発想の林と見える。下の方の草地に
ある小さな池も藤棚も、荒れ放題といおうか。が、林の全景はレンガの階段を
うまくデザインしつつゆったりと。おおらかさ、暖かさも伝わってくる。
亡き佐藤達夫人事院総裁の東京・高円寺のお住まいへ、取材でうかがうたび、
庭が鬱蒼、やはり手加えず、だったのを思い出す。法制局長官も務め憲法改正
にも関わったが、昭和天皇の植物学の学友で「植物誌」の名著があった。
中村桂子さんは「生命誌」が天職の人。自然への深い思いとゆとりは同じで、
しかも造園意識も美意識もあり、と感じながら帰途に・・。 ∧ 川島正英 ∧
コラム やまさかのぼる <暦と季節と暮らしと>その80
~~~ 歴史の教育者たちよ、猛省を!
浜口先生論の続き。南海の大津波は、耶蘇教暦では、なんと12月24日。米国
から始まり次々と耶蘇教の国々に屈服した「嘉永7年」は踏んだりけったりだ。
それで旧暦11月27日に「安政」に改元。だのに、今の歴史教育では、条約も
大地震も「安政」の出来事とされる。おかしい!せっかく、不幸な出来事の連
続から脱却して、世の安泰を祈念したのに、後世の歴史家が無視しているのだ。
翌・安政2年10月には、江戸で大地震が起きる。安泰を実現できなかったの
は事実だが、なぜ改元されたのかをキチンと記録することは必要だと思う。
小生手持ちの学校教育用の日本史事典では、梧陵先生のことが取り上げられ
ていない。なんということか! そんな歴史教育では、先人の智恵に学ぶこと
などできないではないか。今年だからこそ、教育者たちに猛省を促したい!

コラム 野口智子<スローライフ曼荼羅> 目黒めぐろう
~~~
今年の冬に、東京・目黒区で「地域デビュー講座」をやりました。そのときの
メンバーと、3月から6回、目黒のあちこちを歩いてきました。毎回幹事さん
を決めてブラリ。巡ったおすすめポイントを各人が手書きメモに、15ヶ所を紹
介する「スローライフ情報」ペーパーにしました。同じ中高年に伝えたい、と。
目黒を知って、仲間をつくって、もう、この動きはやめられませんね・・。
http://noguchi-tomoko.com/modules/yutoriaruki/details.php?blog_id=135
■編集室だより
<橋下徹新大阪市長の「ケンカ民主主義」・・余聞>
わが瓦版の先週号「学会コラム」は、坪井ゆづるさん(朝日新聞論説副主幹)
の「ケンカ民主主義がゆく」であった。「ケンカ民主主義」は、氏の造語だが、
なかなか雰囲気を伝えている。2010年新語大賞に、とも思ったり・・。
この戦渦について、「学会コラム」でたびたび採り上げてくれている。前回
84号では、朝日新聞の翌水曜日夕刊のコラム「窓」より先駆けた。
「窓」は、論説委員が署名をつけて書く欄であるが、坪井さんは「橋下流、
記者会見」という題で、瓦版コラムに紹介してくれた内容を、さらにくわしく
書き、そして文章の最後を、次のように坪井流で締めくくっている。
・・会見は3時間を超え、10分間の中休みをはさんで、日付けをまたいだ。
その休み時間に、誰もいないトイレで橋下氏とバッタリ。立ち話の最後は、
「まだまだエンドレスでやりますよぉ」。 ほな、これからも、おつきあい
しまっせー。
この橋下徹イズムに「賛成です」「応援します」という意見も、当然ながら
たくさんあるに違いない。その一つが、「街角から畦道から」の常連ライター
の中村友子さん(千葉市在住)から。了解を得て、その核心部分を・・
「怒りの圧勝 」
橋下徹市長誕生に拍手。メディアの橋下叩きの効果が、市民の気持ちを応援力
に変えた結果だろうか。日本に漂う閉塞感、脱却に橋下流の怒りのエネルギー
がノンストップで活動しそうだ。
<師走の「さんか・さろん」はコカリナのコンサートです>
コカリナとは、木製のオカリナのような楽器。この演奏で第一人者である、
黒坂黒太郎さんをお招きし、気ぜわしい年末に清らかなひと時をという趣向
です。奥様の矢口周美さんの歌も。お誘いあわせどうぞ。
http://www.slowlife-japan.jp/modules/katudou/details.php?blog_id=132
この企画は、黒坂さんと秋田県能代市二ツ井在住の当NPO理事・丸岡一直さん
(社会福祉法人二ツ井ふくし会理事長)のご縁で実現しました。二ツ井の職
人の技が、コカリナ作りに貢献しています。
◆さんか・さろん「~スローライフの調べ~黒坂黒太郎コカリナコンサート」
◆12月20日(火)19時~20時30分 終了後有志で忘年会も
◆参加費一般2000円、スローライフ学会会員1000円
◆申込みは NPOスローライフ・ジャパン へ 12月19日までに。
TEL 03-5312-4141 FAX 03-5312-4554
メール
◇黒坂黒太郎さんとは・・1995年ハンガリーから持ち帰った笛をもとに日本の
木工家たちと楽器コカリナを開発。広島で被爆した木からコカリナを誕生させ、
2001年国際平和シンポジウムで特別演奏。など、メッセージ性の高い音楽活動
を展開。今回の震災で、被災した石巻市内の小学校の松でコカリナを作り、子
供達に贈り、コンサートも。
http://pub.ne.jp/kocarina96/?entry_id=3926108
現在、東日本大震災被災地支援コンサートを全国100ヶ所を目標に展開している。
http://www.kocarina.net/profile.html
◇矢口周美さんとは・・黒坂さんのコンサートにボーカルとオートハープ奏者
として参加。その甘い歌声はコカリナによくマッチし、多くのファンを生んで
いる。2004年12月11日(日)東京「紀尾井ホール」で「矢口周美うたのコンサ
ート」を予定。
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■私たちはいつもスローライフの動きを応援しています。
鹿児島県
http://www.pref.kagoshima.jp/pr/koryu/index.html
岩手県遠野市
http://www.city.tono.iwate.jp/
鳥取市
http://www.city.tottori.lg.jp/www/contents/1196922905996/index.html
佐賀県小城市
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クオリティ株式会社
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アース・デザイン・インターナショナル(edi)株式会社
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