瓦版2025.11.25第747号川島英樹さんほか、多数コラム掲載。

 原発の再稼働をめぐって「信を問う」と公約していた新潟県知事が、再稼働容認について「県議会で信任、不信任の判断」を仰ぐそうです。県議会が民意を代弁しているという論法です。思い出すのは昨年の兵庫県議会です。全会一致で知事の不信任を決議したのに知事は再選され、県議会が民意とかけ離れていた実態をさらしました。みなさんの地元の都道府県議会は、どんな存在ですか。議長の名前をご存じですか。*写真は京都市の東福寺
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『緑と絆の木陰』
ブラック・フライデー
  川島英樹 (せたがや文化財団)
 AIによれば、「ブラック・フライデー」は米国で感謝祭(11月第4木曜)翌日、クリスマス商戦が本格スタートする日。買い物客で街が黒山の人だかりになる日で、“黒字になる日”という意味もあるそう。「ブラック〇〇〇〇」というと、何かとよからぬイメージがある中、悪くないなと思っていたら、流通業の人たちにとっては、需要増、それに伴うクレームが殺到する、それこそブラックな時期が始まる日らしい。お疲れさまである。
 先日、クレーム対応講座という研修を受けた。顧客などからの暴行やひどい暴言、不当な要求などの「カスタマー・ハラスメント」(通称カスハラ)は、今や社会問題。企業に対応措置を講じることが、義務化されている。
 商売柄、私も日常的に接客があり、怒鳴られたり、ネームプレートの写真を撮られたり、2時間半電話を切らせてもらえなかったり……。楽しくない思い出も少なくない。
 研修は「自分と仲間を守る!」という副題がついていて、専門家の講師と1対2で、6時間みっちり。「謝罪はし過ぎず、部分的に」とか「話し相手が欲しい“寂しいクレーマー”には事務的に接する、“知識あります系のクレーマー”にはバカと思われるように」とか、様々な事例に基づく実践的な技術を授かった。つまり、理解し合おうなどと考えず、その場を凌ぐ知恵である。やむなきこととはいえ、いささか悲しい気分になった。
 晴天の秋の日、昭和記念公園を訪れた。色づく木々の間をのんびり歩いて、豊かな一日になった。場所の選択には、AIのアドバイスを得た。AI氏は、せっせと場所の提案をしてくれるが、自分では紅葉を楽しめない。お気の毒だが、理解し合おうなどと考えず、詰まっている情報をお借りした。こんどは、いささか得意な気分になった。
<あっちこっちで多事争論>
一人称で訳した「老人と海」
  太田民夫 (神奈川県 スローライフの会会員)
 大学時代の友人がアーネスト・ヘミングウェイ作の「老人と海」を翻訳し、自費出版した。自然と人間を描いた「老人と海」はヘミングウェイの代表作で多くの翻訳書が出版されているが、縁のあった石原慎太郎さんから「原書でじっくり読み込んで、自由に意訳し給え。あらたな衝撃を受けますよ」といわれたのがきっかけだという。
 友人は10年前、ヘミングウェイが22年間住み、同書の老人のモデルともなった漁師がいたキューバに1カ月滞在。この間、ヘミングウェイが俺を自由に料理していい、との夢も見たそうだ。大きな魚と戦い、帰港中に鮫などに獲得した魚を食い尽くされた老人。「老人の生きざまは私そのものの人生だ」(友人)と、老人の一人称で翻訳した。原作者の意図を尊重しつつ、一層ヘミングウェイの心情をくみ取り抽出するため、という。夏目漱石の一人称で書かれた「こころ」なども考察した。
 構想30年、200冊以上の書籍・文献を読み込み、米文学の関係者への面接取材など「怠りなく続けてきた」と言い切る友人。古代インドで考えられた「75歳からは自分は何者かということを見極める時期である遊行期」にあるいま、この翻訳書でひとつの回答を出した。表紙の絵も自ら描き、装丁もきれいだ。団塊の世代から購入希望が多数あるという。

「クマ狂騒曲」が止まない
  古川伝 (福島県郡山市 スローライフの会会員)
 あるーひ もりのなか くまさんに であった--。童謡「森のくまさん」は陽気で呑気な歌ですが、今年の東北は冗談にも歌うのが憚られる状況です。各地で人身被害が相次ぎ、テレビも連日、クマのニュースで持ち切りです。やや食傷気味の方もいるでしょうし、あまり身近でない西日本の方はなかなか実感できないかもしれません。
 でも、現実は深刻というほかありません。環境省によると、4月から10月までの全国の人身被害は196件、死者12人。死者のうち11人は北海道・東北で、岩手5人、秋田3人です。昨年度は年間で85件、3人だったので、激増ぶりが分かります。
 私が住む福島では死亡事案はないものの、人身被害は20件にのぼります。県のホームページの「クマの目撃情報」を10月末時点で比べると、2022年が373件、23年が576件、昨年が572件だったのに対し、今年は1404件もあります。皆が敏感になり、通報そのものが増えた可能性もありますが、それにしても異常です。冬眠しない「穴もたず」のクマも増えているといい、気を抜けない日が続きそうです。
 なぜ、こんな状態になっているのでしょうか。ドングリの凶作、緩衝地帯の消失、ハンターの減少、保護政策による個体数の増加などなど、複合的な原因が指摘されています。ただ、夏の酷暑といい、クマの異常出没といい、もとをただせば、私たち人間どもの仕業のように思えてなりません。

「クマに注意!!」
  栗林ゆか (仙台市 スローライフの会会員)
 今年は仙台市でも異常なほど熊が頻繁に出没しています。
 熊の写真が目を惹く、真っ赤な大文字で書かれた熊出没への注意喚起の仙台市からのチラシが、自宅マンションの掲示板に貼られています。
 朝の散歩に出かけ、徒歩1分の広瀬川の岸辺で深呼吸しつつ野鳥を眺めたり、時にはビーチサンダルを履いて川の水に浸かったりして自然を満喫するのが私の日々の楽しみでした。
 この季節、岸辺はクルミや栗、柿など秋の実りがいっぱいで、こぼれ種で毎年開花する川岸の石の割れ目のコスモスや、たまに遡上してくる鮭に遭遇しては大感激していました。でも、現在は控えなくてはいけない状況です。
 チラシを見る数日前、熊が出没しやすい時間帯を避けて広瀬川の岸辺に近づいた際、熊の毛の束?と思われる物体が、芋煮会の後と思われる石竈の周りに散乱しており、恐怖を感じて猛ダッシュで引き返してきました。
 近隣では庭の柿の木や栗の木の実の伐採が推奨されており、もぎたての柿をたくさんご近所の方からいただき、複雑な心境です。
 本日も仙台市のマンションの敷地内で朝7時にクマ3頭が木登りしていたとの報道があり、戦々恐々としています。
 「熊と人間の距離感」がどうあるべきか。どうなっていくのか。今後もじっくりと考えていきたいと思っています。

菜園で作る自家製野菜に不思議な喜び
  中野修 (大阪府豊中市 スローライフの会会員)
 5年ほど前からはじめた菜園の栽培で気づいたのですが、自分で育てた野菜を食べるとき、何とも不思議な喜びを感じるのです。
 私たちのまわりには値段がついた様々な「商品」が満ちあふれ、私たちは日々お金を払って「商品」を買っています。
 しかし、私の野菜は誰にも売らないので値段がありません。でもタダではありません。種苗や肥料の購入には多少、お金が必要です。それより何より、野菜を作るためには、土を耕し、畝を整え、種を撒き、苗を植え、水をやり、草を引き……、いろいろな栽培の知恵と労力が必要です。
 そうして収穫した自家製野菜。決して市場に流通しないこの野菜を手にしたとき、何だか「市場社会」から解放されたような、安堵感にも似た喜びに包まれるのです。
 市場社会は、私たちに絶えず消費を迫り、ある時は私たちの暮らしを助け、またある時は私たちを理不尽に切り捨てることもあります。
 日々揺れ動き、不安な社会のなかで息が詰まりそうになったとき、この社会に自分で小さな「空気穴」をあけて「息継ぎ」ができれば、不思議と肩の力が抜けるのかもしれません。

『スローライフ曼荼羅』
協力隊はタマゴかけご飯
  野口智子 (ゆとり研究所 スローライフの会共同代表)
 北海道池田町で「地域おこし協力隊」の活動報告会がありました。ワインの町らしくブドウジュースが配られ、ステージでは、7人の協力隊、一人一人の活動報告が、テンポよく濃い内容と少しの笑いで続きました。聞いていると「この人たち、楽しんで地域おこしをやっているなあ」とうらやましくなります。報告会の企画・運営・集客一式も協力隊がやっているからでしょうか。壇上で緊張しているようですが、どんなもんだい!という自信も伝わってきます。
 安井美裕町長のスピーチには「地域おこし協力隊とかけて、タマゴかけご飯と解く。そのこころは、よく混ぜて地域を元気にします」と。なるほど、寒い夜でしたが、集まった観客は協力隊の情熱に心が攪拌されて、すっかり温まったようです。https://noguchi-tomoko.com/post-10958/

■■つべ小部屋■■
映画「国宝」を観ましたか
  つぼいゆづる (スローライフ瓦版編集長)
 大ヒット映画「国宝」は口コミで人気が広がったと言われている。筆者もこれまでに5人から「観たか」と問われた。うち4人は「観る価値があるぞ」と言い、残る一人は「みんながすすめるので、感想を聞きたくて」だった。
 こんな周囲の雰囲気に押されて映画館に足を運んだ。上映3時間は長かったが、面白かった。喜久雄(吉沢亮)と俊介(横浜流星)の「二人道成寺」も見ごたえがあった、などとありきたりな評価をしていたら、「とんでもない映画だ」と憤る人に出会って、面食らった。
 その人は日舞も上手な歌舞伎通の女性だ。彼女は3点、批判した。
 その1。冒頭の長崎の宴席のシーン、女形の渡辺謙が胡坐で座ったのが許せない。高名な女形が人前で胡坐をかくなんて、ありえない。
 その2。喜久雄が実娘と参詣した神社で「悪魔に魂を売り渡した」という場面。悪魔に魂を売るなどというのはキリスト教的な発想であって、神社でそんなセリフを吐くのは、ちゃんちゃらおかしい。
 その3。歌舞伎界で血筋が重んじられているのは常識だが、その点がクローズアップされ過ぎている。まったく血縁とは無縁に一流になっている人が多くいる。国立劇場養成所では歌舞伎俳優研修をやっていて、そこ出身の素敵な役者もたくさんいるのだ。
 多少のニュアンスの相違はあるかもしれないが、ざっとこんな感じの批判だった。どれも、なるほどと思えた。これに対する反論もあるだろうが、「国宝」の一つの見方として、ご紹介しておく。
 まったく別角度で、もうひとつ。「国宝」はもともと朝日新聞の朝刊に連載された小説で、朝日文庫から出版されている。なのに、映画に朝日新聞は関与せず、儲け損ねている。本当に商売の下手な会社だ、と先輩記者が憤慨していた。
<編集室便り>
▽瀧榮治郎さんを偲ぶ
 スローライフの会を応援していただいていた瀧榮治郎さんが創業した日本テレネット株式会社の創業40周年式典が11月20日、ホテルオークラ京都で催されました。瀧さんは一昨年の京都府綾部市でのスローライフ・フォーラムの立役者でしたが、開催前に急逝されました。式典では来賓の西脇隆俊・京都府知事が自身も登壇した綾部市でのフォーラムも紹介しつつ、瀧さんの遺徳を偲びました。
*写真は式典会場入り口で。瀧静子夫人とつぼい編集長。

▽さんか・さろん「緩急自在な暮らしのススメ@ほんだ的シニア活動」好評。
 11月18日の「さんか・さろん」、静岡の会員ほんだゆかりさんのお話が実におもしろく、皆さんから「華麗なる転職ぶり」「アッパレなシニア活動」などのご感想をいただきました。事務局がゆっくりYouTubeにあげますので、皆様しばらくお待ちください。
 なお、ほんださんのタクシードライバーとしての日々、5坪の家の暮らしなどが分かるホームページはこちらです。ほんださんの日常を覗き見させていただきましょう。 https://dooq.com/salon/
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【たまな商店】身体蘇る熊野の玄米・那智のめぐみの定期購入サービスを再開します。初回は最短でお届けし、二回目以降はお好みのペースに調整可能。続けるほど甘みと旨みを実感でき、ポイント特典も充実。https://x.gd/nachisub
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