あすはクリスマスイブで、その一週間後はもう大晦日です。みなさまにとって、ことしの10大ニュースは何だったでしょう。一年を振り返る報道を見聞きしながら、家族や友人と楽しかったこと、心残りなことなどを語り合われるのでしょうか。月並みなご挨拶ではありますが、「よいお年を、お迎えください。来年もご投稿を、お待ち申し上げます」
※写真は、静岡市の久能海岸、駿河湾の夕陽。会員・ほんだゆかりさん写す。
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●会員の方からの投稿をお待ちしています。次回の締め切りは1月8日(木)です。
『緑と絆の木陰』
異分野の知が混じり合う空間
増田寛也 (野村総合研究所顧問 スローライフの会共同代表)
かれこれ7〜8年、東京大学先端科学技術研究センター(通称、先端研)のボードメンバーを勤めている。先端研は駒場キャンパスの奥に立地し、周辺の木立ちに囲まれたいくつかの研究棟が静かに佇む誠に雰囲気が良い空間である。「異端を先端に」をめざして、社会と異端をつむぎ合わせる実験場として、日々活動している。教員は生物医科学から情報、環境エネルギー、社会科学さらには先端アートデザインなど、通常であれば、およそ混じり合うことのない様々な分野から集まっている。
それ故、異分野連携ラボでは、著名な交響楽団の現役コンサートマスターを兼ねる教授が、TVにも度々登場する軍事専門家の准教授と一緒になって、「大学の知が平和の希求のため何ができるか」といった議論の場を提供している。その他、科学、芸術、哲学などが交差するここならではの企画が多く展開されている。
さらにこの一年は、議論の場を開創より1200年の歴史をもつ高野山金剛峯寺に移して、「ひとはなぜ戦争をするのか」をテーマに芸術家、脳科学者、国際法学者などが意見を交わしている。簡単に答えが見つかるはずもないし、答えがあるかもわからない。終わりも見えない。でも、こんな議論をする場があること自体、今の日本でとても貴重だと思う。
その際のルールはただ1つ。相手を論破しないこと。相手を論破するためにやるのではなく、異なる意見にもじっくり耳を傾ける。説得しようとはするが、一方通行的に言い放つのではない。このルールを守って議論するのは、とても疲れる。所長は「異種格闘技」と称している。しかし、これって最近の言論空間で一番欠けていることのように思う。反射神経だけで反応するのではなく、じっくり考える。もちろん進行はスロー。わがスローライフの集まりも、この精神で行きたい。
このコラムも今年は、これで最後のようです。皆様、どうぞ良いお年をお迎え下さい。
<あっちこっちで多事争論>
「スルシィ」よ、永遠なれ
石井みな子 (NPO品川女性起業家交流会理事長)
「好きな仕事で起業したい」という人々によるNPO品川女性起業家交流会(しなジョブ)を主催しています。自営業、芸術家、弁護士、行政書士から都議会議員、衆議院議員、区長まで多種多様で全国でも珍しい会といわれています。
会員の中でひときわ輝き頑張りぬいた女性起業家が「スルシィ」の関谷里美さんです。フィリピンのセブ島のお土産「ラフィアバッグ」のあまりの可愛いさと低価格に驚き、これは指導次第で島の産業活性化につながる!と直感。編み物が得意だった彼女は一人でセブ島へ渡り、島の女性たちに編み物の指導を数百回重ね、10年かけて素晴らしい50人のプロの編み子集団を作りあげました。
原料のラフィアの生産拡大や物流事業でも大いに貢献し、その業績は個人で初のSDGs事業として国連にも認証されました。そして「エシカル・フェアトレード」の商品として高島屋、松屋、三越やテレビ販売でも完売。少しずつスタッフも増え、念願の新ブランドも完成させました。
その矢先の9月、何の前ぶれもなく彼女はこの世を去りました。編み子さん達はその死を知らされ、2時間も号泣し続けたそうです。彼女でしかできない執念の事業は今、事業の継承など難しい現実問題に直面しています。私をはじめ、しなジョブ会員はこれからも関谷さんを忘れることなく、「スルシィ」を応援し続けたいと思います。
憧れのマチュピチュへ、5泊10日の八十路旅
佐藤義孝 (東京都 スローライフの会会員)
10月、家内との50年来の約束をようやく果たせました。NTT時代に2泊4日みたいな海外出張は経験しましたが、さすがに今回は異次元で、スローライフとは真逆の強行軍でした。
参加人数14名のシニアツアーで、男女とも我々が最高齢。ロス、リマ、クスコを経由し、アンデス山中に夜9時に辿り着いたのは出発から40時間後。翌朝6時にホテルを出発し、世界一(?)危険と思われる山岳バスで、いよいよ憧れのマチュピチュへ。
眼下にお馴染みの光景が広がるや、2人とも感動に声もありませんでした!(写真)。
この「天空の都市」は15世紀半ばにインカ帝国によって造られ、1533年スペインに征服されるや100年足らずで放棄。1911年に米国人探検家に発見されるまで密林に埋もれていた、と言う未だにミステリアスな遺跡です。
カミソリの刃1枚入らないと言うインカ時代の高度な石組み技術には圧倒されました。日本と同様の地震国で、各地で耐震構造の説明を受けました。
一方で、標高3400mの古都クスコ近郊では住宅の建築ラッシュ。急斜面にレンガを積み重ねただけで、大地震にはひとたまりもないことは素人目にも明らかでした。
この後もブラジル、アルゼンチンと過酷な世界遺産の旅でしたが無事に帰りつき、2人の健康に感謝感謝です。蛇足ながら、JAL機内のトイレがウォッシュレットになっていてビックリ。日本に生まれた事にも大感謝の旅となりました。

「イタリア・アグリツーリズモ・ワークショップ」の参加者募集
工藤裕子 (中央大学法学部教授)
イタリアではなぜ、田舎が元気なのか? イタリアの小都市はなぜ、(人口は少なくても)限界集落にならないのか? なぜ若者が中山間地域で事業を興したり政治に携わったりするのか? 地中海式ダイエットの代表格である伝統的なイタリア料理はいつ、どのように確立したのか? スローフードとは何か? 持続可能な産業、持続可能な観光は可能か? アグリツーリズモとは? ポスト・コロナ時代の観光業とは?
これらへの答えを、政治・行政・企業関係者への取材、また体験を通して考えていただきます。
2026年2月24日~3月8日。ファッジョーリ農場(ボルゴ・バジーノ)に6泊6日滞在、ボローニャ大学での懇談のほか、ローマ、ミラノなども回ります。日程詳細はこちらから。https://www.slowlife-japan.jp/?p=15130&preview=true
費用は概算で総額70万円程度の見込み。連絡をお待ちしています。
※写真は2020年の様子。
 
瀬戸内・鞆と京都・大覚寺
太田民夫 (神奈川県 スローライフの会会員)
鞆(広島県福山市)は瀬戸内海のほぼ真ん中にあるという地政学上、重要な港で当然、人々の交流が盛んだった。いまは人口減で移住が叫ばれているが、昔から多くの移住者に支えられてきたところだ。
冬の朝、山陰本線のJR嵯峨嵐山駅(京都市)で降り、真言宗大覚寺派の本山、大覚寺を訪れた。一昨年5月に鞆・福禅寺の住職から、この寺の門跡(住職)になった山川龍舟さんにお会いするためだ。明治初期まで皇室からの人物が務めていた重要な地位だという。
山川門跡に、当方が感じた「鞆の小さな胎動」(2月「さんか・さろん」で発表)を説明すると、同氏は「鞆はもっと重要伝統的建造物地域を拡大し、広く町並みを保存すべき。福禅寺は国の史跡である朝鮮通信使遺跡があり、寺にある重要な収蔵物の展示などを充実させるための建造物を建築中」と語った。団塊の世代の同氏は31歳の時、鞆へ。群馬・桐生出身で大学は工学部、仏教に関心を持ち高野山大学に進み、僧侶の道へ。
今回の訪問は、この秋に鞆で山川さんの女婿である福禅寺の副住職、山川龍仁さんから、ご自身の修行は大覚寺で行ったと聞いたのがきっかけだった。龍仁さんは広島市出身の元ブロック紙の新聞記者。いまは鞆のさまざまな行事に参加、「鞆」を吸収中だ。
※写真は、変わる鞆 古い民家を宿泊施設に。(左)山川龍舟さん「舟の名は鞆であり、大沢池での観月に乗る舟に通ずる」(右)
 
久しぶりの「さんか・さろん」
新澤公康 (奈良県高取町 スローライフの会会員)
中村桂子先生が戦時中に使われていた柳行李(やなぎこうり)や、夏の日中に金盥(たらい)に水をはり行水の湯を得られたことが、そもそもの太陽熱利用の原点だったかもというお話は、昭和30年代生まれの僕には頷けた。
しかし、その金盥からプラスチックへの変化に、今日の日本人が道を踏み外した分岐点があったのかも知れない。プラスチック、ナイロン、ビニールに始まる使い捨て文化が膨大なゴミを増やしてきた。先生がおっしゃたように、「自然界にはゴミがない」。考えてみれば、日本人は先人か築き上げた文化に背を向けることで大量のゴミを排出してきたとも言えないか?
日本人は米作りをあっさり放棄して来た、そうせざるを得なかった時代を押しつけてきた政治。手仕事、物作りの文化の継承を許してこなかった社会や環境に繋がる政策。日本人があの「プラスチック街道」を歩み始めた時代。それを嬉々として受け入れたことが今にして思えば口惜しく、残念で仕方がない。
36万本の木を切り倒すメガソーラーパネル。作り出した電力は都会へ、都心へ。中村先生曰く、ソーラーで得た電力は小さく、そして地元で使うことをめざすことこそが大切との説も分かり易かった。ここにも我々が踏み外してしまいそうな環境問題の分岐点がありそうだ。
「いろんなファミリーヒストリー」in高山市
濱手英之 (岡山県鏡野町 岡山歴史研究会)
”ものまねの女王” 清水ミチコ さんのNHK「ファミリーヒストリー」を見た。 2番目のお母さんが優しい人で、愛情に恵まれて育ったことがわかった。最初のお母さんも、ミチコさんの中学時代にお父さんに言われて、こっそりピアノをプレゼントしたという話もいろんな意味で驚きだった。
が、気になったのは場所が岐阜県高山市だということ。私には高山市出身で漫才師になった親戚がいるのだ。名前は「水口輝彦」。コロンビアトップ・ライトに弟子入りし、『青空星生・月夫』を名乗っていた。
その入門エピソードが、すごい。通っていた都立目黒高校の校長が直接コロンビアトップ・ライトに 弟子入りを交渉したというのだ。 そんな校長先生がいたなんて、現在ではちょっと考えられないのではないだろうか。6代続く漢方医の家系に生まれた彼がどんな情熱で校長を動かしたのだろう。
彼は立教大学では長嶋茂雄監督の一年先輩。途中から大物歌手船村徹さんの事務所に所属し、司会や経理などをしていたらしい。妹さんから、高山の実家に船村さんがいきなり一人でやって来て驚いた話を何度か聞いた。
彼は50代で亡くなったが、生きていれば、きっと面白い話が聞けただろう。今も大活躍する清水ミチコさんの番組を見ながら、高山の人たちの優しさや頼もしさ?を感じ、同じく高山出身でそこまで有名になることなく、そして私と会うこともなく逝った親戚のことをいとおしく感じた。

「光る山」
金井紀光 (東京都 写真家)
神奈川県横須賀市のメガソーラー。住宅地近くの山の頂に、乱雑に設置されたようなソーラーパネル。強風、大雨で大丈夫なのか?と思わず撮った。2025年11月撮影。

『スローライフ曼荼羅』
80歳の寿司桶
野口智子(ゆとり研究所 スローライフの会共同代表)
京都府綾部市広瀬で、地域活動で定期的に作られる「炊き込みご飯」の作業を見学しました。早朝からかっぽう着姿の女性たちが、手慣れた様子で動いていらっしゃいます。公民館にはいい匂いと湯気が満ちて、唾が出ます。ご飯を冷ます桶には、なんと「昭和二十年十月新調」の文字。戦争が終わりほっとして、五目寿司や混ぜご飯などを多量に作るために新調したのでしょうか。「邪魔でほかろうかと思ったけど、こうして役立ってます」とのこと。80歳で現役、地域づくりに貢献している桶に頭が下がりました。https://noguchi-tomoko.com/post-11004/

■■つべ小部屋■■
「おこめ券」と「アベノマスク」
つぼいゆづる (スローライフ瓦版編集長)
「おこめ券」で「アベノマスク」を思い出した。手元に届いたら嬉しいだろうかと疑問に思う余地さえない。明らかに「ありえない愚策」だ。
米価が高いから券をもらえば喜ぶだろう、と考えた農水相の発想の貧しさが悲しすぎる。彼の眼中には、配布の実務を担う自治体の都合など入っていなかったに違いない。さらに、農水省と関係の深い2団体しか発行していないのだから、「見え見えの利益誘導だ」と非難されることすら考慮していなかった。これが政府・自民党のお粗末な現実なのだ。
政府は補正予算で自治体が自由に使える「重点支援地方交付金」のうち4千億円を食料品価格高騰への対応枠に設定。その推奨メニューに「おこめ券」の配布を入れ、国民1人あたり3千円相当を利用できると宣伝した。
だが、自治体側からは「物価対策なのだから米にこだわる必要はない」「現金給付なら経費を5%程度に抑えられるのに、おこめ券だと経費が2~3割になる」「物価対策には即効性が求められるのに時間がかかってしまう」というブーイングの嵐が起きた。どれも当然の批判であり、なかには「うちは米どころ。農家がおこめ券をもらってどうするんだ」といった笑える反応もあった。
そもそも3千円相当では、平均4千円を超える現状には足りないし、かえって高止まりを下支えしかねない。そのうえ発券する全農などに利益が流れ込む仕組みにも疑念の目が向けられている。
政府は地方対策として、予算に推奨メニューを付けて自治体に選ばせる手法を多用している。今回もその一環だったが、あまりにタマが悪すぎた。このメニュー付きバラマキの手法を根本的に改め、自治体が自由に使える財源を渡してゆかないと、同じような愚策を繰り返すに違いない。
<編集室便り>
▽中村桂子さんの「さんか・さろん」好評でした。
写真は、Zoom画面から。

12月16日の「さんか・さろん」は、中村さんファンが愛読書など片手にご参加されておおいに賑わいました。
中村先生は「雑談でごめんなさい」とおっしゃいながら、91歳の助産婦さん、農業高校の話、小学校農業科について、古民家再生の話題、土木の話、などなど。「生きものとして、生命誌からの広がり」について話されました。
その後の皆さんからの質疑・感想などが時間内に収まらないほど、先生との親しいやりとりがまた面白かったのです。YouTubeにあげるのは少し先になります、しばらくお待ちください。
~参加者からの感想の一部です~
・まさしく、田舎と都市との顔の見える関係が、不可欠となっていると思います。食の問題は田舎の課題となっています。農村に、活力を作っていかないと思っています。まずは、田舎の人が自ら生き生きしていかないと、と思っています。来年も、良い年になります様に(京丹後市・野木武)
・危うく遅刻仕掛けましだがギリギリ間に合い、嬉しい事でした。中村先生のご講演は、かって「京都法然院」で伺った桑原武夫先生や鶴見俊輔先生、多田道太郎先生を囲む小人数の月例の勉強会の話を想わせる本物の学者の話で、楽しい限りでした。(神戸市・渡部)
▽来年1月20日は増田寛也さんの「さんか・さろん」です。
増田さんから、「熊出没のニュースから知る地域の変化」というテーマで話されるとご連絡をいただきました。お楽しみに、ご予定ください。
▽ご投稿に関するお願い。
いつも、ご投稿をありがとうございます。出稿にあたっては、タイトルとお名前と、載せる肩書を明記してください。文字数は500字前後で、お願いします。
写真のご投稿も大歓迎です。
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