瓦版 2026.4.14 第756号中村桂子さんら、コラム多数。

 悪辣非道な戦争をしている米国のTACOとイスラエルの刑事被告人、ロシアの独裁者に、ぜひ読ませたい文章があります。「われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる」。さて出典は何でしょう。(答え:日本国憲法の前文)

*写真は京都府綾部市、水源の里「水梨」集落。村おこし活動で植えた花が満開。

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●会員の方からの投稿をお待ちしております。次回は4月23日(木)が締め切り、28日(火)の配信です。

『緑と絆の木陰』

レーチェル・カーソンを読み直して

  中村桂子(JT生命誌研究館名誉館長 スローライフの会共同代表)

 古典を読み直すという企画で、「沈黙の春」を読みました。刊行から64年、もう古典なのかと思いながら。

 農薬の過剰使用による生態系の破壊を指摘した最初の本として高く評価されています。確かにそうなのですが、今回読み直してみたら、農薬問題だけでなく、私たちの生き方を考えるうえで大事なことをいくつも指摘していることに気づきました。

・地球が水と土の星であり、そこに生まれた生命体が作る生態系の複雑さを大事に

・農薬(化学物質)と同時に放射能も問題

・戦争 化学兵器の効果を調べる際に昆虫を用いたので、殺虫剤が次々開発された。

・安価に大量生産できることが大量消費を招いた

 そして、今突っ走っている高速道路の先に、明るい未来は見えないので、「べつの道」を探そうと提案しているのです。まさにその通り。21世紀になっても相変わらずです。スローライフは、「べつの道」という意識を持って活動し、発信していきたいと思いました(生命誌では、「べつの道」を「生きもの本来の道」としています)。

 『すごい古典入門 レーチェル・カーソン 「沈黙の春」』(中央公論新社)としてまとめ、上梓しました。

<あっちこっちで多事争論>

検察審査会の委員を務めて 

  増田満喜 (東京都 スローライフの会会員)

 8年ほど前、突然、東京第4検察審査会の委員に選ばれてしまった。

 検察審査会とは、警察や検察が取り調べ、不起訴にした案件に被害者が不服を申し立てた場合、審査をする所。任期は半年間で、月2回、10時から16時まで、様々な案件について、不起訴相当、不起訴不当、起訴相当かを審査した。その間の身分は裁判所の非常勤職員で、日当も支給された。

 11人の審査員は1人欠けても議決できないので、数名の補充員も常時出席。議決は多数決だが、起訴相当だけは8人の賛同者が必要となる。守秘義務があり、事案の内容や審査の経過は話せない。

 部屋には各自に六法全書、筆記用具、メモ用紙までが準備されていて、身が引き締まった。そこでのメモは持ち出し禁止。3カ月ごとに半数が交代するので、3カ月先輩の方にアドバイスを頂けるのは心強く有り難かった。

 審査は事案の概要説明のあと、分厚い資料を読み込み(摘録の黙読)、全員が意見を述べて、最後に議決となる。同じ資料を読んでも、見る角度により全く違った意見なども出てきたが、討議していると大体は同じ方向でまとまった。年代も職種も違う審査員が真剣に向き合っている姿が強く印象に残っている。

 選ばれた時は嫌だと思ったが、半年間はあっという間に過ぎ、たいへん良い勉強になった。人の人生に関わる判断は本当に重い。法律の知識がない私にとっての唯一の拠り所は「自分の良心に従い判断する」というものだった。周りで委員を経験した人は、今も聞いたことがない。本当に貴重な経験をした。

被災地に花を贈り続けて

  栗林ゆか (仙台市 フラワースタイリスト) 

 3月11日、東日本大震災から15年を迎えました。今年も北海道の花市場関係者や農協、花栽培農家の方々から、追悼と応援を願う生花を、約300本、ご寄贈いただきました。一人で下処理を行い、花束やアレンジメントなどの形態と、その送り先を熟考し、メッセージを添えて東北の寺院や社会福祉協議会、震災遺構、福祉施設や音楽会などへお届けしました。

 鵡川(むかわ)町のアルストロメリア「夢」、当別町産チューリップ、「月」をイメージして開発された伊達市産ラナンキュラス、苫小牧中央花きの社長が調達して下さった大輪のアネモネ。故郷・北海道の春の花々が、被災地に笑顔と希望を届けてくれました。当初は一人で始めた活動でしたが、「花で被災地を応援できるならご協力します」と2021年以降は様々な方から数百本単位の花を私に託していただいています。

 北海道で花に携わる方々と、東北の被災地の方々。花を通したこの「気持ちの交換」をライフワークとしてこれからも続け、少しずつでもその輪を広げていきたいと思っています。

 

ご縁

  南條青志 (和歌山県紀の川市 スローライフの会会員)

 7年前の3月、小学校を卒業した娘と小3の息子、妻と義母の4人が広島に卒業旅行に出かけ時の話です。

 たまたま通りがかった建物の中にポツンと古そうなピアノが置かれていたそうです。誰もいないし、ボロそうなピアノだし、卒業式の時に弾いた曲をちょっとだけ、と娘が弾きはじめました。すると、慌てて係の方がやってきたそうです。でも、子どもが弾いているのを見ると、せっかくだからと、そのまま弾かせてくれたとのことでした。

 古そうなピアノなのに、何でそんなに慌てるんだろう?

 実は原子爆弾の爆心地近くで被爆した貴重なピアノで、その建物で被爆ピアノコンサートをするための準備中だったとのことでした。

 その後、娘はピアノを弾かなくなり、演劇に夢中、勉強はそっちのけでした。当然、大学受験は思うようにいかず、1年間浪人。アルバイトをしながら少しは勉強したようですが、そう世の中は甘くなく、自信のあった関西圏の大学は不合格。むしろ望みの少なかった後期試験に合格し、広島に行くことになりました。

 まさか。今考えると、娘は広島とご縁があったのかも知れません。これからは待望のひとり暮らし。損得ばかり考えるのではなく、いろんなご縁を大切に生きてほしい。たくさんの出会いや成長の機会に恵まれますように願っています。

尾崎咢堂 当選25回の謎

  太田民夫 (神奈川県 スローライフの会会員)

 「咢堂はストレートしか投げられなかった」

 尾崎行雄(咢堂)の一本気な性格を、こう説明するのは尾崎咢堂記念館(三重県伊勢市)の奥本謙造館長。同館は咢堂の父親が住んでいた市内を流れる宮川に面して建つ。

 咢堂は報知新聞など経て、明治23年(1890年)の第1回衆議院選挙の三重5区で当選する。以来、昭和27年(1952年)の総選挙まで25回の当選を、すべて三重県下で重ねた。生まれは安政5年(1858年)、生地は相模国津久井郡(現相模原市)。伊勢市に住んだのは13歳から慶應義塾へ入学するまでの約2年間だけのようだ。

 それで、なぜ憲政史上初の60年以上衆議院議員を務められたのか。

 当初は父親の地元への貢献による基礎票があったのではという。養蚕業を興し、製糸会社の設立に導き、地元にビジネス感覚を植え付けた人物だった。

 もちろん、政治姿勢がぶれない咢堂自身への信頼と地元に先取の精神があったことも大きい。大正年間、欧米への視察後、護憲運動、普通選挙運動の先頭に立ち、昭和17年には東条英機に翼賛選挙批判の公開状を送るなど一貫して民主主義、憲政の常道を訴えた。

 強い意志をもった実践的政治家のイメージだが、幼少のころは弱虫で臆病だったらしい。父親がそんな息子に罪人の切腹や拷問を見せ、肝の強さを植え付けようとした、という。

 こんな話を伊勢で聞いたので、永田町の憲政会館を訪ねてみた。だが、16分の咢堂関連映像では伊勢のことは全く触れられていなかった。

*写真左は、尾崎咢堂記念館(伊勢市)の前の胸像。後ろは宮川、伊勢神宮外宮も近い。右は第1回衆議院議員総選挙一覧の尾崎行雄(憲政会館)

熊野古道のDVDを差し上げます

  大原興太郎 (三重県松阪市 松阪農業公園ベルファーム)

 書庫に熊野古道のDVD「祈り天空に満ちて」がまだかなり残っている。久しぶりに再生してみると、熊野古道や七里御浜を写した森武史さんの写真と矢吹紫帆さんの音楽がマッチして上質な環境音楽のように聞こえてくる。

 NPO法人・三重スローライフ協会が発足したのは2004年春。その年の7月に熊野古道が「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部としてユネスコの世界遺産に登録されたので、協会の初事業としてDVDを作った。当時は三重大学の定年前数年で、多くの留学生も抱えて、てんてこ舞いだったが、協会の理事長の仕事として機会あるごとに「なぜ今スローライフなのか」を講演してまわっていた。

 その際には「自然に戻り、地域に立ち返り、生物としての人間を振り返ってみる」とスローライフの3つの方向性を強調した。スローライフは大自然と共生し、持続可能な意味を持つもう一つの生き方(オールタナティブライフ)であり、先人の生き方に学び、地産地消を核にした衣食住生活の実現、地域の伝統を継承する世代を超えたコミュニケーションの再構築、便利さ快適性にとらわれない新しい生き方などを提案していた。18年間の三重スローライフ協会と今のベルファームの活動で定着できた部分も少なくないが、今後も取り組むべき課題・内容だと思う。

 協会の借金肩代わりに受け継いだDVD(売価2400円)をスローライフの会の会員に限り無料でお届けできます。

 お申し込みは大原のメアド kohara@xf6.so-net.ne.jp へ。

 

あぁ、親指シフト (下)

  ほんだゆかり (静岡市 タクシードライバー)

 高速・快適な「かな入力」を実現する特殊な「親指シフトキーボード」は、頭で考えたことが、するすると指先からディスプレイの上に表示されていきます。「考えるだけでストレスなく書ける」のです。

 この利点を、40年活用できたことは、わたしの人生に多大な影響を与えています。PCの普及が進むにつれガラパゴス化して、新聞制作の現場からも消え去った「親指」は、現在でも、一部の作家、ライター、速記者など、文字入力を生業とする一部のプロ層に支持されています。

 2021年、富士通は「親指」の販売やサポートを終了しました。あれから5年。この原稿も「親指」で書いていますが、わたしの持っているPCはいま使っているこの1台だけ。販売終了後、「親指」の入手は、東京のパソコンショップで7万円、オークションで中古価格が2~3万円。このキーボードが故障しないか、ひやひやして使っています。

 そんなにお金がかかるのに、ローマ字に変えるつもりは一切ありません。カセットテープやレコードだって、細々と続いているじゃあないですか? 「親指」だって、きっと続けていけるはず……。いや、あまりにマイナーすぎて駄目かも? 悲しいかな、もうすぐ、原稿の書けない人間になってしまうかも(泣)。

『スローライフ曼荼羅』

ミツマタ交流会

  野口智子 (ゆとり研究所 スローライフの会共同代表)

 ミツマタは名前の通り、枝が三つに分かれている。先日この花を飾りながら、京都府綾部市で交流会を行いました。移住者と旧住民と、私のような外の者が、過疎集落維持のために話しあう場です。三者が違う意見を持つかのようですが、「この土地が好き」という根っこの気持ちは一緒。三つの立場は、きちんと元で繋がっていました。ミツマタの花言葉は「強靭」だとか。違う三者がいることで、地域はより強くなると思います。

https://noguchi-tomoko.com/post-11133/

■■つべ小部屋■■

あっと驚く、高市動画

  つぼいゆづる (スローライフ瓦版編集長)

 日本記者クラブが「高市現象と日本の政治」というシリーズの記者会見を開いている。第3回(4月9日)に登場した成蹊大学文学部の伊藤昌亮教授の解説が面白かった。YouTubeで無料公開されているので、ぜひ視聴してみていただきたい。

https://www.jnpc.or.jp/archive/conferences/37130/report

 伊藤教授は、衆院選の最中にネット上で多く見られた高市氏のショート動画を紹介しつつ、その内容について以下のように指摘した。

 動画は政策を語るのではなく、高市氏の思考方法や行動様式を賛美する内容が圧倒的に多かった。それは「ポジティブ思考」「自己肯定感」「がんばってる感」「元気」「可愛い」「果断さ」「勇猛さ」「打たれ強さ」を示していた。

 さながら、自己啓発ビデオであって、見る側は一つのロールモデルとして見ており、「彼女のように私も生きたい⇒応援してくれるから応援してあげる」という感覚を抱いた。

 これまで、政治家は選挙で「社会をいかによくするか」という政策を語ってきたが、高市氏の動画は「自らがいかによく生きるか⇒自己啓発的な呼びかけ」だった。

 そして、こうした動画の内容は東京都知事選で世間を驚かせた石丸伸二氏や、兵庫県知事選で再選を果たした斎藤元彦氏のショート動画にも共通した傾向なのだという。

 伊藤教授は驚くべきことも二つ指摘した。

 その1。高市氏 の動画の中には、本人が本当に語ったものかどうかが疑わしいものがある。AIがつくったものもありそうだ。

 その2。最も多くの視聴数を稼いだショート動画をつくったのは、芸能人による自己啓発的な動画を多く手掛けてきた人である。

ほかにも、なるほど、なるほど、という解説が盛りだくさん。ぜひ、ご覧ください。

<編集室便り>

▽4月21日の「さんか・さろん」はクマがなぜ増えたかの話

 クマと聞くと、怖い、すぐ駆除、となりがちですが、その前に私たちは知ることがあるのではないでしょうか。今回はクマの専門家から学びます。ご予定ください。

日時:4月21日(火)19時から20時30分 Zoomで

講師:岸元良輔さん(NPO法人信州ツキノワグマ研究会理事長)

タイトル:「なぜ、こんなにクマが増えたのか?~正しい知識と適切な対策~」

参加費:会員1000円、一般2000円(年間参加費3000円をお支払いの方はそれで結構です)

申込:4月18日(土)までにメールで  slowlifej@nifty.com

詳しくはこちら↓

https://www.slowlife-japan.jp/2026/04/03/%ef%bd%93-382/

新年度の会費をお願いします

 スローライフの会の年度は、4月~3月です。年会費は5000円、毎月の「さんか・さろん」に年間参加の方はプラス3000円、合計8000円となります。たまにしか「さろん」に出ない会員の方は、1回1000円。一般の方は2000円となります。

 会費と皆さんのボランティアで運営している会です、会費と合わせてご寄付も大歓迎です。

【振込先】

ゆうちょ銀行 振替口座 00190-4-595293 スローライフの会

※他金融機関からのお振込みの場合は

店名:〇一九(ゼロイチキュウ)店

預金種目:当座、

口座番号:0595293、スローライフの会 まで。

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〒160-0022 東京都新宿区新宿2丁目12番13号

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