瓦版2026.1.27 第751号 川島英樹さんほか、多数コラム掲載。

   日本海側を大雪が覆っている。読者のみなさんの中に「雪かき」を経験したことのある方は、どのくらいいらっしゃるのだろう。あの雪の重さ、肌を刺す寒さと汗の混在、繰り返しの辛さ、そして手足、腰の凝り、痛み。雪の少ない地域にはない力仕事だけに、負担の偏在への不満がどうしても募る。まだ1月末、冬将軍を追い出す策はないものか。

*写真は大内宿。茅葺き屋根にこんもりと雪が積もる=1月24日、福島県下郷町。

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『緑と絆の木陰』

ドライ・ジャニュアリー

  川島英樹 (せたがや文化財団)

 Dry January。雨や雪が降らない「乾燥した1月」ではない。クリスマス時期の飲み過ぎを清算しようと、「1月1カ月間、禁酒する」ことだという。アルコール依存症などの問題に取り組む英国のNPOが始めた活動で、健康志向の高まりから、欧州や米国などで広がっているらしい。わが瓦版編集長などには無縁と存じるが、日本でも、イオンはタイミングを合わせて、ノンアル・ビールのキャンペーンをやったりしている。さすがである。

 新年早々、少々酔っ払い、電車で乗り過ごした。コロナ以来、終電も呑み屋の閉店も早くなり、遅くまで飲むことも少なくなったので、ずいぶん久しぶりの出来事。一瞬ちょっと懐かしくも楽しくなったが、むろん現在は反省と自制飲みの日々である。1カ月は無理でも2週間くらいならと、「ドライ・ハーフ・ジャニュアリー」を考えなくもなかった。

 そこへ、いきなり、よく分からない理屈の衆議院解散が起こる。対する方も人心を集める気があるとは思えないネーミングの新党。やれやれである。加えて、傍若無人な大統領による、人騒がせな数々の話題。日常生活のあれこれの後、夜のニュースをみるにつけ、飲まずにはやってられなくなる……。

 さて、今日はモーツァルト270歳の誕生日。大のビール党だったと伝わる。彼の音楽を聴かせ、熟成させる日本酒があるという。なんでもクリアで、なめらかな味わいになる由。左党の味方モーツァルトを聴きながら一杯やって、衆院選公示日のニュースを見届けましょうか。

〈あっちこっちで多事争論〉

厳冬期の選挙に思う

  小室浩幸 (朝日新聞ゼネラルエディター補佐) 

 衆院解散で、職場の新聞社は一気に慌ただしくなった。衆院議員の在職日数も、解散から投開票日までの日数も戦後最短。異例の選挙戦となる。

 この選挙に大義はあるのか。限られた時間の中で何を優先して伝えるべきなのか。編集局では、議論が熱を帯びている。そうした空気の中で、1年4カ月前の記憶がよみがえった。

 前回の総選挙は一昨年秋、信州で迎えた。都市部とは空気が違う。候補者が訪れるだけで話題になる集落もある。

 ある無人駅の小さなロータリーで開かれた演説会では、演説を聞く人よりも陣営スタッフの方が多かった。そこで交わされる候補者とお年寄りの静かなやりとりは、政治とくらしが地続きであることを感じさせてくれた。

 今度は厳冬期の選挙である。かつて集会が開かれていた場所には雪が積もり、準備期間の短さに翻弄される自治体職員の声が聞こえてくる。候補者の選挙ポスターを貼る掲示板を大きく減らさざるを得ないまちもある。有権者が考える時間の少なさにもつながりそうだ。

 政策を比べ、言葉を吟味する前に、投票日が迫ってくる。

 立ち止まり、寒空を見上げる時間を失わずにいたい。

*写真は首相が衆院解散を表明した1月23日未明の国会議事堂=小室さん写す。

 

ガバメントハンターの現在

  岩澤正明 (新潟県妙高市 スローライフの会会員)

 6年前、有害鳥獣対策業務のある市の課長になったとき、現場把握や熊出没対応のため、狩猟免許と銃所持許可を取り、猟友会にも加入した。昨今、鳥獣被害の深刻化から、自治体職員が対策の専門的な知識とハンター技術を備えることで、猟師不足を補い、地域全体の鳥獣管理を行うガバメントハンターの育成が話題だが、私はその先駆けと言えなくもない。

 さて、退職2年目の今冬、本物のハンターになる決意をし、1月10日に駆除に参加した。雪山を川に沿って1時間ほど進み、崖を登るイノシシ6頭を発見。ベテランハンターの発射するライフル弾は150m先のイノシシに次々と命中した。(私の散弾銃の有効射程は100mと短く、役にたたない)。なお、撃って、終わりでなく、肉を取るため、また、報奨金請求の写真を撮るため、崖を這い上がっていかなければならない。ハンターは体力が必要だ。私も日々鍛錬をする覚悟をした。

*写真は狩猟の現場。黄〇が現場確認の猟友会員。岩澤さん写す。

 

温泉文化ユネスコ無形文化遺産申請へ

  熊倉浩靖 (高崎商科大学特任教授・日本温泉協会学術部委員会顧問)

 昨年11月、文化庁の文化審議会は、「温泉文化」のユネスコ無形文化遺産申請を決定しました。従来、文化財保護法による保護措置が明確な無形文化財・民俗文化財だけをユネスコに申請していた我が国としては画期的でした。「温泉文化」の遺産登録を当初から叫んでいた一人としても、予想外の慶事でした。

 皆さんは「温泉大好き」が大半でしょうが、それでも、それが文化かと言われると、胸を張って肯定してくださるでしょうか。実際の審査は2030年です。次回オリンピック候補地が決まったのと同じ程度の話です。

 そこで文化庁の選定理由をお知らせして、今後のアンテナを高くしていただきたい、温泉に一層かよっていただきたいと願います。

 【文化庁選定理由】 日本人は、温泉を訪れて入浴することを通じ、四季を感じ、自然と交わり、神を感じることで、心の癒やしを得てきた。……「温泉文化」は、「自然の恵みである温泉に浸かり、心と体を癒やす」という、日本人に根付いている社会的慣習である。……温泉は信仰の対象として祀られ、その恵みに感謝する祭・神事は今も各地で信仰の対象として祀られ、……各地で続いている。……伝統的な入浴方法が編み出され、湯治慣習を含め、人々は温泉の効能を享受してきた。医療的効果の研究や温泉分析等を続けている。(以下略)

文化庁報道発表 https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/pdf/94306301_01.pdf

集まる場所が必要だ!

  岩崎久美子 (東京都 スローライフの会会員)

 新婚の長女夫婦の呼びかけで、両家の親族で年末ハワイに行くことになり、クリスマスツリーが美しいワイキキのホテルに滞在した。それはそれで非日常と思い、ブランド品店が立ち並ぶメインストリートを歩いてみたものの、何か落ちつかない。元来、人々の息遣いがある場所に行きたく思うたちで、思い切って現地の中華街に潜入しようと公共バスに乗った。

 中華街は治安が良くないらしく夜は絶対行ってはいけない、とものの本には書かれている。しかし、昼間である。バスの運転手に中華街の中心地を教えてもらい降りてみると、アジア的喧騒はここハワイでも健在で、道路に人が溢れていた。

 アメリカの社会学者クリネンバーグが書いた「集まる場所が必要だ」(原題Palacesfor the People)という本がある。この本では人と人の信頼関係を育て、社会全体のつながりを強くするには、みんなが集まれる公共の場所、つまり社会的インフラが重要だと説く。しかし、東アジアには社会的インフラ以外にインフォーマルな集まる場所がたくさん存在する。

 路上や公園で麻雀などのゲームに集う人々、家族で飲茶をする人々……、人が集うところには活気があり、そこから未来への活力が生まれるのではないか。ふと思う。日本では人はどこで集っているのであろうか、と。

 

気になる熊本

  太田民夫 (神奈川県 スローライフの会会員)

 短い間だったが、熊本の東海大学で働いていたので、いつまでも同県の動きが気になる。2015年に神奈川県に戻ってからこの10年の熊本の変貌は驚きの連続だ。

 2016年には熊本地震があった。2日に渡る地震では阿蘇にある農学部が大きな被害を受け、学生も犠牲になった。農学部の教室から見えるキャンパスは牧舎や多様な植物、食物が広がる畑や緩やかな丘が見え、気持ちがよかった。学生たちは気持ちよく挨拶してくれたのが印象的だった。いま農学部の校舎は熊本空港近くに移った。熊本在住中、当時の知事、蒲島郁夫さんは「熊本は地震がないところ」とはっきり言ったのに。

 八代から出発する肥薩線の列車は球磨川沿いに走る。渓谷が続くきれいな景色は人吉に近づくと一変して広い田園風景が見えてくる。米焼酎の蔵が27ある豊かな穀倉地帯。2020年に襲った大雨で球磨川が氾濫し、人吉も大きな被害を受けた。

 熊本時代、地元に立地する企業を積極的に取材した。それを講義で紹介した。就職はまずは福岡という目線なので地元熊本のことは存外知らない学生たちだった。

 そして、2021年には半導体世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)の熊本進出発表である。いまやシリコンアイランド九州の中核として期待されている。一方、半導体工場は大量の水を使うので、水道を地下水に頼る熊本としては地下水保全・排水問題への対応や立地周辺の交通渋滞などの課題も多い。熊本の動きに目が離せない。

中村桂子さんの「さんか・さろん」に学ぶ (下)  「探求心」

  中野修 (大阪府豊中市 スローライフの会会員)

 昨年12月の中村桂子さんによる「さんか・さろん」のなかで、中村さんが科学者の役割についてお話しされました。科学の世界ではわかっていないことが多く、科学者は「わかっている人」ではなく、「わかっていないことが何であるかをわかっている人」であり、その「わからないこと」を示して語る人でもあると……。

 私の勝手な理解ですが、おそらく、すべてをわかることはあり得ないし、わからないことが無限にあるから科学は発展するのでしょう。もしも、すべてがわかってしまえば科学は不要になるかもしれません。

 この話は、昨年鑑賞した映画「教皇選挙」のあるシーンと少し重なりました。映画の中で、主席枢機卿が「何よりも恐れるべき罪は確信である」と話しかけます。それは、確信によって何も疑うことがなくなるならばその先に進展はなく、むしろ逆行の誤りを犯しかねないことへの警鐘ではないかと、私は受けとめました。

 中村さんの「科学者とは」のお話から、私のような凡人であっても、それなりにわからないことが表出したときに、探求心を湧き立たせ、何かをわかろうとして種々調べてみたり、未完成であっても何かしら記述してみたりすること、そのことに自分の楽しみがあることを再認識しました。これからも「スローな学び」を心がけたいと思います。

15年目のフクシマ 「TOGETHER」

  金井紀光(東京都新宿区 写真家)

 ここ数年、福島に通っている。今年の正月も、人気のないJR双葉駅前でこの看板が笑っていた。(2026年1月、双葉町)

 

『スローライフ曼荼羅』

「水源の里」三つの会合

  野口智子(ゆとり研究所 スローライフの会共同代表)

 京都府綾部市は高齢化の進む集落を「水源の里」と呼んで、援助をしています。私はアドバイザーとして通っています。少人数の集落から、毎回、寄合に出てきてくださる数人は、貴重な存在です。私だったら、地域づくりの会合に仕事を休んで出席するかしら、といつも頭が下がります。昨年末の3カ所の会合、それぞれに課題は重く、参加者の笑顔が頼り。こんな現場の様子を選挙で騒ぐ霞が関の方々にこそ、知ってほしいものです。https://noguchi-tomoko.com/?p=11043&preview=true

■■つべ小部屋■■

「高市早苗が総理大臣でよいのかどうか」

  つぼいゆづる (スローライフ瓦版編集長)

 高い内閣支持率を保つ首相が「今なら勝てる」と踏んで仕掛けた総選挙が、きょう公示された。「高市早苗が総理大臣でよいのかどうか」を決めるのだという。「よい」と思う有権者は以下の問題を積極的か消極的かを問わず、結果的に容認することになる。

●非核三原則が葬り去られる。

(政権内に見直し論が広がっている。核兵器を持つべきだと語った官邸幹部もいる)

●差別発言を軽んじる風潮が広がり、ネトウヨが喜ぶ。

(自民党は杉田水脈氏を大阪5区の公認候補に据えた。高市氏は昨年の参院選でも杉田氏と二人で並んだ選挙ポスターを掲示していた)

●侵略戦争を否定する歴史観が拡散され、戦前回帰が進む。

(首相は「自存自衛の戦争だった」が持論。戦争責任は「少なくとも私自身は、当事者とは言えない世代ですから、反省なんかしておりませんし、反省を求められるいわれもないと思っております」と述べてきた。「私は教育勅語大好き人間」と語ったこともある)

●殺傷能力のある武器輸出が本格的に始まる。

(自民と維新は政権合意で既存の武器輸出の類型をなくす)

●女系天皇、女性天皇への道が閉ざされる。

(男系男子の皇位継承を前提に旧宮家から養子をとる皇室典範改正をめざしている)

●選択的夫婦別姓がさらに遠のく。

(首相は「夫婦同姓」が前提の旧姓の通称使用の法制化論者)

●自民党と旧統一教会との関係はうやむやになる。

(「高市氏が自民党総裁になることが天の最大の願い」などとした教会の内部文書もあり、予算委員会で首相本人が追及されることが必至だったのに)

●企業献金はこのまま存続される。

(自民党は献金先を絞る野党の妥協案にすら背を向けている)

●裏金問題は解明されぬまま放置される。

(前回選挙でみそぎは済んだと、今回は公認し比例重複立候補も認めている)

●霞が関に「忖度」がますます蔓延(はびこ)る。

(首相就任直後、夫に通例よりランクが上の勲章を与えた。官僚の「忖度」をそのまま受け入れた格好だった事実を他の官僚も見ていたのだから)

●公文書がいま以上にないがしろにされる。

(放送法をめぐる総務省の行政文書を、当時の総務相だったのに「怪文書の類い」「捏造」などと否定し、公文書や行政への信頼を失墜させていた)

●スパイ防止法制定の動きが加速する。

(自民党の調査会がすでに提言をまとめている)

<編集室便り>

増田寛也さんの「さんか・さろん」への感想

 1月20日(火)開催した増田寛也さん(野村総合研究所顧問 スローライフの会共同代表)の「さんか・さろん」、テーマ「熊出没のニュースから知る地域の変化」では皆さんからのご意見が山ほど出ました。その後に感想も寄せられましたので、その中から抜粋でご紹介します。

・藤本和巖(奈良県 スローライフの会会員)

 人の活動領域とクマの活動領域の棲み分けを考え、器をつくるだけでなく人が活動を活発にすることが必要ということでした。クマ熊のハザードマップを作って、それは駆除や警戒のためではなく、ヒトのエリアは活動を活発にして見えない柵を作りたいものです。その計画を作る際には、ヒトが手出しできる範囲を慎ましくして、縮充を図る必要がありますね。限界集落は、ヒトの活動・交流で支えられなければ、撤退して自然に還すこともあり得ると思いました。

 公的資金の投入は、よく吟味して、ハード整備を無理するのではなく、連携し協力し合う活動のために投じる方向に舵を切る必要があるということですね。行政職員として、中村先生と坪井さんの鋭い(耳の痛い)ご指摘にとても共感いたしました。中村先生が「バイオエシックス」などで説かれたことも思い出し、グッときました。

・栗生尚子(兵庫県宝塚市 スローライフの会会員)

 増田寛也さんの熊出没のお話から人の問題へと広がりとても楽しい時間でした。どうもありがとうございます。宝塚市も昨年は熊注意報が出て、熊の目撃も多数ありましたが幸い襲われたニュースはなかったと思います。

 熊のイメージでは「熊のプーサン」、Teddy bearという優しい感じですが襲われ方々にとっては本当に恐怖だったでしょう。また亡くなられ方には深い悲しみと思います。 今後、熊とどう共存していくかが最重要ですね。

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