瓦版2026.3.10 第754号 室崎千重さんら、コラム多数。

 

    あすで東日本大震災から15年が経ちます。あの日、あの時、みなさんは、どこで何をされていましたか。危険な目には遭いませんでしたか。押し寄せる黒い津波と、その先で逃げ惑う人々、翌日から続いた原発爆発の不気味な映像を覚えていますか。来週17日の「さんか・さろん」は、「『もう15年』か『まだ15年』か~ふくしまの今~」です。

*写真は岩手県陸前高田市の高田松原復興祈念公園

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次回は3月19日締め切り、24日配信です。

『緑と絆の木陰』

気づけない平和

  室﨑千重 (奈良女子大学准教授)

 2026年2月28日のアメリカ・イスラエルのイラン攻撃により中東情勢は激変した。イランの反撃が拡大するなか多くの周辺国が当事者となり戦火が広がっている。日々暮らしていた街が破壊され、尊い一般市民の命が失われている映像に言葉を失う。

 日本で日々、きっと同じような明日が来ることを疑わずに暮らしている時、日常の中で平和だな、幸せだなと実感することは少ない。当たり前の明日を突然奪われて初めて、気づく平和がある。

 SNSを見ると、卒業旅行シーズンでもあり、中東旅行や中東経由便での旅行への反応が綴られている。それらの書き込みからは日本の平和を信じて疑っていないように感じられるけれど、日本の現状は国民がしっかり意志を持って守らなければ、実は平和だった日々を継続できない局面にあるように思う。

 戦争とは何か、命・暮らし・生きる希望以上に守るべきものがあるのか。一人ひとりが自分で考え、他者と話し合うことで、戦争に進まない道をつくっていけると思う。私の一歩は、大学のゼミで絵本「戦争のつくりかた」をみんなで読んで考える時間を持つところから、です。

 

<あっちこっちで多事争論>

15年目のフクシマ「消防団詰め所」

  金井紀光 (東京都新宿区 写真家)

 あすは3月11日。あの日のままの詰め所、時計も止まったままだ。(2026年1月、福島県双葉町)

福島から、未来に乾杯

  塚本英樹 (福島市 スローライフの会会員) 

 「デジタルクラフトビールって、なに?」

 そう聞かれると、少しだけ誰かに話したくなる。

 福島市役所。クラフトビールを醸す農業法人カトウファーム、AR技術等を活用し未来を「設計」する「タイムポケットアプリ」、地方創生Vtuber「せんのいのり」、そして地元スーパー「いちいオンラインショップ」。

 文化祭前夜みたいな顔ぶれがワクワクしながら、本気でつくった。

 ビール缶にスマホをかざすと、音楽と映像が流れる。歌って踊るのは福島を拠点に活動する「せんのいのり」。楽曲はビールに合わせて、つくった。

 プシュッと開けた瞬間、泡と一緒に物語が立ち上がる。味と音楽が同時にやってくるって、ちょっと楽しい。

 でも本当は、それだけじゃない。この仕掛けを生んだのは、震災を経験した世代。「未来に何を残せるか」を、ずっと考えてきた仲間達。だからこのビールは、飲んで終わりじゃない。未来にメッセージを託せる、小さなタイムカプセルでもある。

 1本350ml、658円。中身は、麦芽ではなく福島産の「米芽」でできたクラフトビール。販売開始からわずか30分で完売した。早すぎるよ、と笑いながらも、うれしい。

 オンラインショップで全国へ。楽しみながら、福島の魅力を伝えるきっかけをつくりたい。消費で終わらせない体験としての一杯。

 そんな気分の日に福島から届く1本。

 未来に乾杯。

https://news.yahoo.co.jp/articles/b8e2a3bfbd71fe2592608d88bf09d99de24476b8

 

小川町の和紙で雛飾りワークショップ 

  小松崎いずみ (埼玉県越谷市 スローライフの会会員)

 3月1日、道の駅「おがわまち」の伝統工芸施設で『つくって!あそぼう!和紙シールで雛飾り』のワークショップを催しました。丸い台紙を半分に折り、埼玉県小川町の特産品の和紙で作ったシールを貼って、ゆらゆら揺れる雛飾りを作るのです。お正月の「紙コップで作る獅子舞づくり」に続く第二弾で、今回も21名が参加しました。

 和紙シールにひと工夫するだけで、世界にひとつだけの雛飾りに。チラシを手に、オープンと同時に走って来た女の子。自信満々にサクサクと器用に仕上げる男の子。和紙ちぎりは指先の力も必要ですが、だんだんと「アート」になっていく過程が本当に楽しい。

 そして、女性3人組の最高の笑顔。

 「なぜ、目がこんなに大きくなったの?」

 「あなたの着物は、なぜ、くちゃくちゃになったの!」

 「何だかお内裏様に寄り添ってるわね!」

 誰もが少女に戻ったようで、こちらまで嬉しくなりました。

 子どもたちに、ものづくりの楽しさを知ってもらいたい。そんな思いで始めたワークショップ。「次回はいつ?」と、あたたかい言葉もいただき大きな励みになりました。次回は5月3日の予定です。

 

クマについての正しい知識と対策 (上)

  岸元良輔 (NPO法人信州ツキノワグマ研究会)

 4月21日の「さんか・さろん」で、「なぜ、こんなにクマが増えたのか?~正しい知識と適切な対策~」という、お話をさせていただきます。

 昨年はクマが人里に多く出没し、全国の被害者数やクマの捕獲数がこれまでで最多になってしまいました。このため、報道が過熱気味になり、クマについて多くの誤った情報が世間一般に広がってしまっています。そこで、長野県が行ってきた30年間にわたるクマ対策の経験をふまえ、適切で効果的なクマ対策をご紹介できればと考えています。

 大きな誤解の一つに「山の環境が悪くなったからクマが人里に下りてくる」というのがあります。実際には、クマの生息環境が悪くなって人里に下りるのではなく、昔は利用されていた里山に人の手が入らなくなって、クマの良好な生息地が低標高に広がっていることが原因です。つまり、集落や農地を含む中山間地ではクマと人の生活圏が重なってしまい、盆地に集中する都市部では山裾までクマの生息地が迫っているのです。クマの生息域が広がった分、クマの個体数も増えています。

 では、増えた個体数を減らせば被害が減るのか? 実は、そんな単純な話ではないのです。まず、このような現状を知っていただき、どんな対策を打つべきなのかをお話ししたいと思います。(つづく)

日本列島は発酵百貨店

  太田民夫 (神奈川県 スローライフの会会員)

 「発酵」が日本各地の食文化を語る上で、重要なキーワードになっている。

 発酵県を標榜するのは、醤油やみりんの生産が日本一の千葉県。県独自のロゴを県内産の発酵製品の包装などに用いて情報を発信している。

 愛知県は2024年に「愛知『発酵食文化』振興協議会」(会長は県知事)をつくり、翌25年には県内の飲食店を対象に「あいち発酵食の館」登録店制度を創設した。

 全国各地で微生物がかもし出す食品の話題に事欠かない。「飲むみりん」カクテル(東京・丸の内)、発酵文化を体感(新潟・新発田市)、青のり醤油(高知・安芸市)、酒かすベーグル(福井市)、味噌蔵の再建(岩手・陸前高田市)、甕仕込み泡盛(沖縄)、発酵ツーリズム(秋田県)などなど。

 東京・下北沢の「発酵デパートメント」(下の写真)を訪ねると、全国の発酵食品が並ぶ店内には、「人生を発酵させよ――発酵を通して、暮らしに嬉しいうま味とおどろきを」のメッセージ。オーナーで「発酵文化人類学」の著者の小倉ヒラクさんは、こう話している。「気候変動で原料が採れなくなり、発酵のプロセスそのものを変えてしまう。後継者不足で(発酵)職人がいなくなる。さらに深刻なのは設備の老朽化」(サステナブル・ブランド メールマガジン2026.2.26付)。

 全国各地、東南アジアの発酵文化を探索する小倉さんは、発酵文化の危機を訴えている。

 

この日だけは安中市が日本の中心

  片岡凌 (群馬県安中市役所政策・デジタル推進課)

 3月28日に「DOMANNAKA2026(ドマンナカ2026)」が安中市で開催されます。名前が特徴的でありますが、「ANNAKA(あんなか)」が含まれています。「DO(やろう)ANNAKA(安中)」。タイトルは、若者が離れていく田舎町の精一杯の意地でもあります。

 催しの大きな特徴の1つは、実行委員会が「安中市に住む有志」で構成され、彼らは「自治体からの補助金は一切受け取らない」ことです。事実として、安中市の人口は間違いなく減っていく。その中で補助金頼りのイベントは続かない。そんな思いがあったそうです。

 ここまでの原稿で「DOMANNAKA2026」の内容は明らになっていませんが、気になっていただいた方は、ぜひ公式HPをご覧ください。(https://dom-annaka.jp

 現在までに2000人を超える来場者を予定しています。市外からお越しいただく方には、安中市の良い部分も悪い部分も知っていただきたい。また、何よりも市民の皆さんに、「安中市、結構いいじゃん」と言っていただきたい。

 開催まであと少し。この日だけは、安中市が日本の中心です。

それでも美しいものを

  松井悠夏 (東京都 スローライフの会会員)

 私は美しいものを売り、美しい言葉を紡ぐのが好きで、美しい服を纏うことを愛している。それは贅沢でも虚飾でもなく、世界に対する抵抗だと思う。

 現実はそんなに美しくはない。どこか遠い地で黒い炎が白いモスクの青いアラベスクを焼いているかもしれない。幼い命が砂っぽい教科書とともに消えているかもしれない。「かもしれない」と書くのは、豊かで便利な世の中でいまだに争いがあるという現実が信じられないのと、本当はそうであってほしくないから。

 平穏な地に住む私たちだって、かつて確かにあったはずの気高さや美しさを感じる余裕を、これからの不安や「なんとなく悪くなってる感じ」によって置き去りにされている。

 でも私は美しいものを手放したくない。美しくない現実と対峙して、美を選び続けるのは、「それでも私は私であり続ける」と自分に言い聞かせること。美しさを選び取ると言うのは意思を手放さないこと。つまるところ世界に対する小さな抵抗だと考えているから。

 その静かな決意は、誰かを救う旗にはならないかもしれない。けれど思いがけないところで誰かの胸に灯される小さな明かりになるかもしれない。古本屋の何かの写真集で、天井いっぱいに描かれたアラベスクをうっとりして眺めた私のように。

<スローライフ曼荼羅>

こぶ高菜の絵本

  野口智子(ゆとり研究所 スローライフの会共同代表)

 長崎県雲仙市から「雲仙こぶ高菜」の絵本が届きました。雲仙市の伝統野菜、こぶのある高菜のことが絵本になったのです。タイトルは「おもいをつなぐたね」。描いたのは昨年、フォーラムでお世話になった「雲仙人(くもせんにん)の会」事務局の堀口はるかさん。長崎大学の学生さんとコラボして出来上がったようです。「種」の話や、調理法など内容も豊富。うれしくて、楽しくて、見終わると、新鮮な高菜を食べたように元気になりました。https://noguchi-tomoko.com/post-11117/

■■つべ小部屋■■

15年後の未来、見たくないものは見ない社会 

  つぼいゆづる (スローライフ瓦版編集長)

 あすの午後2時46分、私たちはあの日から15年後の未来に立つ。

 それに合わせて、1000年に一度の規模と言われた東日本大震災に思いをめぐらそう。流れきた歳月を、それぞれ振り返ってみよう。

 筆者はいま改めて思う。「3.11」はどんな時代を切り開いたのか。過去の巨大災害はそれぞれに時代を画してきた。関東大震災は「都市計画」に先鞭をつけた。阪神・淡路大震災は「NPO元年」と言われたし、被災者に金銭を渡せる被災者生活再建支援法を生んだ。では、東日本大震災は・・・・。

 発災直後から、ずっと願ってきた。最もわかりやすい時代の画し方は、「原発ゼロ」に舵を切ることだ、と。レベル7の事故で「安全神話」が崩れ、多くの人々が原発への疑念と不安を膨らませた。その機運は盛り上がったかに見えた。

 それが、どうしたことか。いまや「原発回帰」が大手を振っている。東電福島第1原発の後始末もできず、「核のごみ」の処分場も造れない。なのに、政府は「AI時代だ、電力需要が増すぞ、増すぞ」という掛け声とともに「最大限活用」を声高に唱える。

 だが、待ってほしい。たとえば、法律には福島県内に積まれている放射能汚染土を2045年3月までに県外へ運び出す、と書いてある。では、どこが引き受けるのか。溶け落ちた推計880tの燃料デブリは、どうやって取り出し、どこへ持ってゆくのか。

 見たくないものは見ない。みんなが、そう言い募っているような社会に慄然とする。

<編集室便り>

▽3月の「さんか・さろん」は「ふくしまの今」です。

 この時期になると思い出す「3.11」。メディアも私たちも、何となくそんな感じになっています。「スローライフの会」では、しっかり思い出し、話し合いたいと、毎年この時期に「3.11」関連の「さんか・さろん」を開いてきました。ことしは会員・古川伝さんのお話です。ご予定ください。

・日時:3月17日(火)19時からzoomで

・タイトル:「『もう15年』か『まだ15年』か~ふくしまの今~」

・スピーカー:古川伝さん(ふるかわ・つたえ=郡山市在住、スローライフの会会員 )

・ご本人から届いた略歴は以下の通りです。

:福島市出身。福島の地元紙で8年間記者をした後、1989年に朝日新聞社へ。つ

くば、柏崎、浦和を経て東京・社会部、名古屋・社会部などで主に地方自治や選挙を

担当。2019年に大阪本社編集局長で朝日を退社し、現在は郡山市に本社のあるテレビ

朝日系列ローカル局の代表取締役社長。67歳。

・参加費:会員1000円(年間分3000円お支払いの方はそれで結構です)、一般2000円

・申込:3月14日までにメールで  slowlifej@nifty.com

詳しくは

https://www.slowlife-japan.jp/2026/03/02/%ef%bd%93-376/

 

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