瓦版2011.10.4第76号

週刊スローライフ瓦版 (2011.10.3 第76号)
発行:NPOスローライフ・ジャパン
スローライフ学会
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10月18日(火)19時~の「さんか・さろん」は、都市計画家であり地域プラン
ナーの原 昭夫さん(自治体まちづくり研究所所長)をお迎えします。
「その後の、まちづくり」ということで、震災後の東北のまちを見聞して感じ
られたことをお話いただきます。みんなで話し合ってみたいテーマですね。
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コラム<火曜日の鐘> 丸岡一直(社会福祉法人二ツ井ふくし会理事長)
~~~ 地方政府の気概を
大震災から半年が過ぎました。復興の足音も聞こえて、短時日によくぞここ
までの感を覚えます。日本の力もたいしたものではありませんか。長い道のり
でしょうけど、一歩一歩、着実に進んでほしいと願うばかりです。
惜しまれるのは、復旧、復興の中で地方分権、地方主権の叫びがかすんで見
えることです。必要不可欠で緊急のことは、国や県の意向を待たずとも実行し
てしまう。果断にそこへ挑戦することにより、地方主権の実体を奪い取る好機
でもあったはずです。
「国が」「政府が」という批判の合唱は、あたかも中央集権を望んでいるか
のように聞こえます。無理矢理にでも地方が先導し、国は必要な措置をとる。
そこから地方政府の第一歩が開けそうな気もします。これからでも、ぜひそう
あってほしいと願います。
スローライフは地方政府によってこそ、と思うものですから。
学会コラム<緑と絆の木陰>
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神野直彦(東京大学名誉教授) 真の「観光」への旅

話題のスウェーデン映画『幸福の経済学』を、早稲田大学の大隈講堂で観賞
した。観賞後の交流会には、スローライフ学会の会員も集い、心和む楽しき時
を刻むことができた。
この映画はグローバリゼーションが、二つの過剰つまり過剰な豊かさと貧困
の過剰をもたらし、三つの危機つまり環境危機と社会危機と経済危機を招いて
いると激しく告発する。こうしたグローバリゼーションに抵抗して、「幸福な
社会」を築く道は、緑と絆の溢れた「ふるさと」を再生するローカリゼーショ
ンだと、この映画は映像をもって見事に描いている。
9月中旬に私は、震災後の岩手に二度目の旅をした。遠野盆地を抜けると、
訪れた被災地釜石には達増拓也知事の掲げる「なりわい」の再生への熱情が溢
れていて感動した。漁業協同組合でも森林組合でも、大地と海を「コモンズ」
として再生する意欲が燃えたぎり、「生きる」とは何かを教えられた気がする。
まさに『幸福の経済学』が唱えるローカリゼーションを地で行く岩手だった。
欲に塗れた現在では忘却の彼方に追いやられてしまったけれども、「観光」
とは素晴らしい言葉だ。「観光」の「観」は物事を広く深く観察して、新たな
悟りを拓くことを意味する。もちろん、暗黒は絶望を、光は希望を表す。した
がって、「観光」の「光」は希望を意味する。つまり「観光」とは希望の光景
を見て、新たな道理に悟りを拓くことなのである。
私は岩手を訪れ、希望の光景を眼にして、「生」への悟りが拓けた気がする。
つまり私の岩手への旅は、真の意味での「観光」を体験した旅だったのである。

■街角から畔道から —————————————————
不揃いな果実たち 村山恵美子(北海道名寄市 農業)

豊穣の秋、かぼちゃの収穫です。数千個も収穫すれば珍品にも出会います。
どんなに手間隙掛けても、すべてが優れた形状にはならないのです。
とんでもなく巨大化したかぼちゃもあれば握りこぶし程度にしか育たなかっ
たもの、ツルに挟まれくぼんだもの。単色のはずなのになぜか縦縞模様の実も
あり、「お前はシマウマになりたかったのかい?」手にとって笑います。
規格に合わないのでこういったものは出荷できません。畑に捨ててきます。
個性的でむしろ面白いじゃないかと擁護してみても通用しないのです。
求められるのは均一化。野菜も人間も十人十色、多様であるのが当たり前の
はず。少しぐらいいいではありませんか。
と思うのは、生産者のわがままなのでしょうか。畑にごろごろ転がる規格外
品。収穫の喜びと捨て去る切なさを同時に味わっています。

すてきな「コカリナ」のひびき 土屋正子(東京・光が丘)
先月26日、TBSテレビの朝の番組で、黒坂黒太郎さんの演奏を聞きました。
初めて聴いたコカリナですが、美しい音に魅了されました。そのコカリナは、
被災地石巻市の小学校の松で作られたものでした。“ふるさとの曲でした。
のどかな里の風景。その旋律は、かって病床の母と一緒にうたった思い出の
曲なのです。けれども、この日のやさしいひびきのバックに映されたのは、
震災後のきびしい小学校の光景でした。校庭を駆け回る子供達の姿が、見え
ない。胸がしめつけられる思いです。“Amazing Graceの静かに深く奏でる
コカリナは、震災で亡くなられた方々へのレクイエムとして、心の奥に響き
ました。被災松で作ったコカリナは、小学校の全児童に渡されるそうです。
スローライフ学会の12月の「さんか・さろん」は、この黒坂さんのコカリナ
演奏を聴けるとか。いつも出かけている「さんか・さろん」ですが、12月は
とくに、いまから大変に楽しみにしています。
■まち・むらニュース ————————————————
・佐賀県唐津市 万葉の里で「玉島川鮎まつり」
万葉の舞台の一つになっている玉島川。古くは松浦川と呼ばれ、唐津の海に
注ぐ。太宰府の長官だった大伴旅人や筑前の国守だった山上憶良が、多くの歌
を詠んだ。下流に位置する唐津市浜玉町を散策すれば、万葉歌を刻んだ歌碑が
いくつも建ち、虹の松原入り口そばに「万葉の里公園」もある。また神功皇后
にまつわる伝説もあって、征伐の途中、この地で皇后が戦勝を“占う釣りを
して、見事なアユを釣ったことから「鮎」の字が誕生したとも伝えられる。
10月9日(日)に浜玉町の自然と歴史に触れながら玉島川で採れる鮎やヤマメ
を食す「玉島川鮎まつり」が開かれる。◆詳しくはこちらで(唐津観光協会)
http://www.karatsu-kankou.jp/event/1109/ayu2011.pdf
・三重県鈴鹿市 第1回の伊勢型紙「地域ブランド」東京展
「伊勢型紙」は、小紋はじめ、友禅、浴衣の文様を着物の生地に染めるために
用いられ、千有余年の歴史を誇る伝統工芸品。その伊勢型紙の振興に取り組む
産地協議会が 東京で初めて展示会を開く。伊勢型紙商品展示のほか彫刻実演、
LED型紙あかり製作のワークショップ(無料)などもある。
開催日時 10月5日(水)~10日(月)12:00~19:00(10日は17:00まで)
場所 表参道ヒルズ ギャラリー同潤会
主催 伊勢型紙産地協議会 電話 059-386-0026
詳しくはこちらへ http://www.isekatagami.or.jp/tokyo.pdf
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「たかおか屋」から・・・
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http://www.takaokaya.jp/news/2011/10/02-143105.php
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秋晴れの下、庭でバーベキューを楽しみました。友人がダッチオーブンを持参。
そして、次の日、庭にてミステリーサークルを発見!
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コラム<象さんの散歩> 「フェア・ゲーム」と「ツリー・オブ・ライフ」
~~~
先週、日本記者クラブでアメリカ映画の試写を観た。「フェア・ゲーム」。
9・11後のイラク戦争を背景に、思いがけず苛酷な運命に直面したCIA女性
諜報員を描く。ブッシュ政権のイラク戦略の正当性を問い、副大統領補佐官の
裁判、また女性エージェント回顧録などで全世界の耳目を集めた物語の映画化
であるが、水準の高い政治サスペンスといっていいだろう。
実は6月にも大型のアメリカ映画「ツリー・オブ・ライフ」を観た。カンヌ
国際映画祭で最高のパルムドームを受賞。宇宙と大自然を幻想的で美しい映像
で描きつつ、人間の生き方の根源をつきつめる宗教的・哲学的映画だった。
二つの作品とも並はずれたスケールの大きさ。映画の醍醐味に堪能させられ
たのは確か。それと、私には、舞台は全く違っても、ともにファストな社会で
苦悩させられる姿が見どころだった。双方の父親像も興味をひく。「ツリー‥」
では、力こそ成功を導くというアメリカの父親らしい信念を全面に押し出して
いた。「フェア・・」では、ヒロインが最後の決断に踏み切る前に遠く故郷を
訪ねて父の考えを聴く場面が印象的であった。 ∧ 川島正英 ∧
コラム やまさかのぼる <暦と季節と暮らしと>その71
~~~ 若ドブロク葡萄酒を!
さて、仏革命暦で「お正月」、葡萄酒の仕込み完了・・と言っても、新酒の
解禁日が、一番早いボジョレ地方ですらグレゴリウス暦での11月第三木曜日で
ある限り、酒飲みがどこでもかしこでも辛抱し続けられるわけではない。
世の中はよくしたもので、堪え性の無い呑み助の状況を慮った行事を設定す
る知恵者がいる。例えば、ブルゴーニュ地方のニュイ・サン・ジョルジュの町
では、10月中下旬の週末に、発酵途中の未熟な状態で樽から出した「酒」を来
客に振舞うお祭りがある。未熟な「酒」に「ブーリュ」、邦語なら「粗っぽい」
という意味の形容詞を付ける。樽から注いで貰うと、まだ赤みが少なく、少し
泡立って、濁っている。酒精度も5%ほどという。邦語なら「若ドブロク」か?
でも、そんな段階でお祭りの主役に仕立て上げれば、物好きが高速の新幹線
に乗ってパリからやって来る。酒呑みという奴は、古今東西・・・。
<お詫びと訂正>先週のこの欄(その70)本文3行目に「還暦」とありますが、
正しくは「官暦」です。このシリーズでのポイントは、現行の我国政府指定の
暦=現行官暦(=耶蘇教グレゴリオ暦)では、我国の文化や各地の季節の移り
行きに適合した暮らしをすることができないとの主張にあります。今の「暦」
を「現行官暦」と呼ぶ論調だというのに、編集室が拾いミスしました。
コラム 野口智子<スローライフ曼荼羅> 智頭で杉玉作り
~~~
杉玉、そう、新酒ができたとき酒屋にぶら下がる杉の葉でできた球形の吊るし
もの。鳥取県智頭町、旧街道の道沿いの家々には、その杉玉がぶら下がります。
智頭は杉の産地、その象徴なのでしょう。杉玉を作る道場まであります。ここ
で杉玉作りの体験をしました。緑の葉をぎっしり詰める力技。完成なった杉玉
は、今、東京・新宿の事務所で智頭の香りを放っています。
http://noguchi-tomoko.com/modules/yutoriaruki/details.php?blog_id=125
■編集室だより
「瓦版」を読んでの感想を毎週いただきます。
「火曜日の鐘」や「学会コラム」の文に、すばらしい、楽しい、などおほめの
言葉が多いが、ときに、ほかのコラムや記事についても・・。
先週74号の「街角から畦道から」の梶亨さんの寄稿文にもメールがあった。
NPO法人・湯河原げんき隊事務局長の加藤雅喜さんから。その応援文を転載
させていただいた。
梶先生の「真鶴の魚」については、私も日頃から感心していたことをご紹介
いただいてありがとうございました。漁協が小中学生や観光客に、定置網見学、
干物づくり体験を行っています。真鶴漁協の朝倉課長が、いつも「真鶴の魚は
~だから美味しいんだ! ナマが一番なんだけど・・・でも、その真鶴のアジ
で、皆さんが自分で作った干物は、もっと美味しいかもしれないよ」と言って
いるのを聞いて、海を大事に、魚を大事にしていることに頭が下がります。
私も、干物づくりを指導していますから、余計にわかります。
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