週刊スローライフ瓦版 (2013.2.12 第145号)発行:NPOスローライフ・ジャパンスローライフ学会=======★★★★★ NPOスローライフ・ジャパンは、今年の10月に満10歳を迎えます。 早稲田大学の大隈講堂での旗上げも懐かしい思い出ですが、どんな10周年の お祝いがふさわしいのか、楽しい企画を考え、提案していただければ・・。★★★★★コラム<火曜日の鐘> 早野透(桜美林大学教授)~~~ 小百合ちゃんと角栄 吉永小百合は私と同年、だから私は必然的にサユリストと人に言うと、「小百合は、『キューポラのある街』だけじゃない、いい映画は」という悪口をいっぱい聞かされてきた。だが、この間、「泥だらけの純情」(昭和38年2月公開)をDVDで見て、これぞ名作と思った。小百合ちゃんは外交官の令嬢、相手役の浜田光夫はチンピラやくざ、二人の純愛を描いている。「吹けば飛ぶよな、将棋の駒に~」。安アパートで浜田が村田英雄の「王将」をとつとつと歌って小百合ちゃんに聞かせる場面がいい。 田中角栄は蔵相になって初訪米、慣れぬ英語の演説をすませて安堵して、ニューヨークでのパーティーで「王将」を歌った。「明日は東京へ出ていくからにゃ~」という歌のせりふに、越後から上京して出世した身をなぞらえたのだろう。 「王将」がはやった昭和のあのころ、にっぽんの青春だった。スローライフなど、まだ考えないでよかった時代だった。学会コラム<緑と絆の木陰> ~~~~~ 神野直彦(東京大学名誉教授)「想い出」を買うスローライフ 最近の心理学は、貨幣で物を買うよりも経験を買ったほうが、幸福感を高めることができると教えている。これは物を買うことはファストライフで、経験を買うことこそスローライフだと言い換えることもできる。 経験とは自己を変革する活動である。経験を買うとは、旅行をしたり、美術館を訪れたり、演劇を観賞したりすることのために、貨幣を支払うことである。したがって、経験を買うとは、「想い出」を買うことだといってもよい。それも「生」を「共」にする「想い出」を買ったほうが、幸福感を高めることができる。 私は生きる時間が、あとわずかだと覚悟してから、妻とともに毎月、「想い出創り」の旅に出ることにしている。旅の宿には贅沢でも必ず、部屋付きの露天風呂があり、エステのある宿を選ぶ。旅行の目的が妻の苦しむ、足の静脈瘤の痛みを和らげることにあるからである。 今月は熱海の「ふふ」という旅館を宿とした。熱海には若き日からの「想い出」が詰まっている「讃」という喫茶店がある。熱海も様変わりしているので、まだ営業しているかと案じながら訪れると、変わることのない香り高いブルーマウンテンを入れてくれた。私の気に入っているケーキを口にしながら、ふと書棚に目をやると、私が皇太子殿下に捧げた『あなた自身の社会』が今も飾ってあった。 帰りの電車で妻の横顔を眺めると、静脈瘤の痛みが消えた晴れやかな表情となっている。妻の表情に癒されていると、この旅をあと何度つきあえるかという不安が私の脳裡を掠める。しかし、「来月は小涌谷の翠松園ね」と楽しそうに語る妻の言葉に、その不安も車窓から見える青き海の引き潮のように消えていった。■街角から畦道から小さなまちだから 松本由利(長崎県雲仙市千々石<ちぢわ>町 TEAM GEAR主宰) 「妹が二人いるから学童(保育)で宿題を全部やって家に帰るの」「そう、優しいおねえちゃんなのね お母さんのお手伝いもしているの?」「はい 手伝います」「偉いわね 気をつけて帰るのよ」「はい さようなら」「さようなら またあした」。 小学1年生だという健気な女の子の言葉に目頭が熱くなりました。通学路を通る子どもたちと挨拶を交わしているうちに、自分の話を聞かせてくれたり、私の飼い猫をめあてに友達と誘い合って訪ねてくれたり。「おばさん久しぶりですね」と中学生になった途端に大人びた口調で話しかけてきたり‥。 里山に囲まれた小さな湾に面した小さなまちだからこそ、顔見知りという安心感が、子どもと大人の距離を縮めてくれるのでしょう。女の子は体育が好きで、跳び箱を三段跳べるそうです。四段跳べる子がいることもそっと教えてくれました。この子らの将来に責任を持てる大人でありたいと思った午後でした。映画『物置のピアノ』の賛同第1号 武重邦夫(映画プロデューサー)2月2日、「父をめぐる旅」の名古屋上映で舞台挨拶をしてきました。名古屋は僕の故郷、驚いたのは、小学校6年の担任だった福島信子先生が劇場に来て下さったこと。先生は84歳ですがお元気で、現在は書家でいらっしゃいます。先生からすれば、73歳の僕も12歳のガキ大将なのでしょうね。60年前のガキ大将は、恥ずかしいやら懐かしいやらでしたが、なんと、先生は入場前に御祝いの金一封を差し出されたのです。「ええっ?」芝居ならともかく、映画では初めて。固辞したのですが・・結局、「スタッフでご馳走になります」と有難く受け取り、一同で飲まして頂こうか・・そんなことを考えていた時です。ハッと気づきました。福島先生の御志を飲み食いするのはとんでもない、と。今、僕のゼミの福島県出身OBたちが、「福島を元気にしよう!」と『物置のピアノ』という劇映画を自主制作すべく準備しています。全国から賛同会員やサポーターを集め、みんなで映画制作をしようとのプロジェクト。福島先生と福島の映画作り・・まさに神の啓示。僕は賛同会員の第1号に先生の名を書き込みました。小さな石を丹念に積み上げていく長い道ですが、その端緒に60年前の恩師が居てくれるだけで勇気が湧く。『物置のピアノ』の主体は、日本映画学校を卒業した20代の若者たちです。福島先生はいつも若者に力を貸してくれる・・僕の永遠の恩師なのです。■まち・むらニュース・北海道 ゆうばり国際ファンタスティック映画祭を開催日本で初のリゾート型映画祭として1990年から開いてきた。ハリウッドの大作から邦画、インディーズ作品まで幅広い作品が上映され、映画関連の著名人もゲストとして多数招かれる。招待作品部門(未公開作)、オフシアター(一般公募)、ショート(短編若手監督)などに大きく分かれ、115本の作品を上映する予定。俳優の大地康雄さんが、剣淵(けんぶち)町を舞台に、“絵本が結ぶ親子の絆をテーマに製作した映画「じんじん」も上映。 ・開催日時:2月21日(木)~25日(月) ・会場:アディーレ会館ゆうばり(旧夕張市民会館、夕張市本町4丁目)、 ゆうばりホテルシューパロ(夕張市本町2丁目19)、夕張市内会場 詳しくはこちらを http://yubarifanta.com/ゆうばり国際ファンタスティック映画祭実行委員会(0123)53-2637━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━PR━━米粉のまち・胎内市から・・・胎内市本郷にある米粉を使ったクリームコロッケを突撃取材してきました。さっそく店内に入るとお惣菜のいい香りにつつまれました~。http://tainai-komeko.blogto.jp/archives/23988478.html━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━PR━━「日光『食』の研究所」から・・・宇都宮市で「とちぎ食の回廊」創作料理フェアが。栃木県内10の「食の街道」が集結し、それぞれの特産品を用いた料理コンテストが行われました。http://nikkokekko.blog121.fc2.com/blog-entry-217.html━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━PR━━クオリティライフから・・・季節のワインに「クロ・シギエー・カオール」が仲間入り。ブラックベリーやプルーンのような濃厚な味。シンプルな料理やチョコレート系のデザートにも。「たまな食堂」、ご予約はこちらで↓https://qweb.quality.co.jp/mm.cfm?mm=1059&url=5472━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━コラム<象さんの散歩> すてきな本をありがとう・・~~~ 「カウントダウン・メルトダウン」 先週は、文芸春秋社刊「カウントダウン・メルトダウン」を読む。上下二巻、合わせて950頁。著者・船橋洋一さんから贈られた。最高水準のジャーナリストが、福島原発という世界危機を描きつくして圧巻である。自身で見聞した事実と談話の積み重ねで息もつかせぬ。日米双方の政権中枢の動向と亀裂、また官と民、軍と文、中央と現場の、この期に及んでの相克も読み応えがある。 船橋さんは、朝日新聞の経済・外報記者で活躍、主筆をつとめた。3・11後に財団法人「日本再建イニシアティブ」を設立、理事長に。福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)のプロデューサーとして報告書刊行に加わった。 初めて会ったのは40年以上も昔、私が朝日の西部本社で社会部デスクのとき、彼は熊本支局の記者。いい記事に注目、博多や小倉の居酒屋で語り合ったが、すでに世界の未来に目を向ける気鋭を感じさせた。帰京後、私は地方に分け入り、彼は世界を飛び回った。顔を合わせる機会には恵まれなかったが、著作を次々贈ってきてくれたのだ。「通貨烈烈」「同盟漂流」「青い海をもとめて」「日本孤立」・・。すてきな本ばかり。恐縮のほかない。 ∨ 川島正英 ∧コラム 野口智子<スローライフ曼荼羅> 十津川村 谷瀬~~~そのむらは、長いつり橋を渡ったその先にありました。奈良県南部の深い山中、十津川村の一集落、谷瀬(たにぜ)住民約70人。空き家が多く、むらを支えるのは高齢者ばかり。それでも特産の柚餅子をつくり、盆踊りも守ってきました。むらを歩くと、自然と共に暮らす人々の知恵と、強さのようなものを感じます。清らかな時間に包まれた集落、橋はファストライフとの結界かもしれません。http://noguchi-tomoko.com/modules/yutoriaruki/details.php?blog_id=196■私たちはいつもスローライフの動きを応援しています。鹿児島県 http://www.pref.kagoshima.jp/pr/koryu/index.html岩手県遠野市 http://www.city.tono.iwate.jp/日本テレネット株式会社 http://www.nippon-tele.net/クオリティ株式会社 http://www.quality.co.jp/アース・デザイン・インターナショナル(edi)株式会社 http://www.edi.ne.jp/株式会社サンクス・ツー http://www.thanks2.jp/=======最後までお読みくださって、ありがとうございました。このメールマガジン、あるいは当団体へのご意見、ご質問はこちらへこのメールは毎週火曜日の発行です。NPOスローライフ・ジャパンとのご縁を頼りにお送りしています。初めて受信される方も含めて、お気軽にお付き合いください。今後、このメールマガジンの送信が不要という場合、あるいはメールアドレスの変更をご希望される場合もこちらへご連絡ください。この「週刊スローライフ瓦版」、バックナンバーをアップしています。まだご覧になっていない方、こちらからご覧ください。http://www.slowlife-japan.jp/modules/mailmagazine/details.php?blog_id=2=======Copyright(C) NPO法人スローライフ・ジャパン スローライフ学会〒160-0002東京都新宿区坂町21 リカビル301TEL 03-5312-4141 FAX 03-5312-4554 http://www.slowlife-japan.jp/