6月21日。第119回の「さんか・さろん」は、シン・エナジー株式会社代表取締役社長・乾正博さんより『再生可能エネルギーで持続可能なコミュニティを』のテーマでお話いただきました。
自らを”地球防衛軍”と名乗る乾さん。社内で再生エネルギーをキャラクター化したデザインを背景に、神戸大での講演内容にスローライフの視点を加えたスピーチでした。
現在、地球が抱えている問題、人類の未来、世界で起きていること、海外で湧き起っているイノベーション、産業の変化、科学技術の進歩など考えされされることは多い。その中で日本の課題は大きく、例えば地方は少子化が進み、儲からないからと農業離れがおきている。老齢化社会の今、大人は次の世代のために活躍する必要がある。それには、人類学・歴史観・世界観をもって俯瞰することが大切だ。2000年の人口動態とエネルギ―の図では過去200年の変化が見て取れる。縄文時代と江戸時代は、あらゆる資源を循環して社会が成り立っていた。明治維新から150年。その間、戦争により国は変わり、特に敗戦によって日本は経済優先を選び、”アメリカの工場化”したとは考えられないだろうか。これから人が人らしく、環境にも優しい持続可能なコミュニティーを取り戻すためにはどのよう活動が必要なのか。
エネルギーに関しては、海外へ20兆円もの金額を払って購入している。円高と原油高の高騰で26兆円にもなっていく。それは私たちの税金だ。日本はまず地域ごとに基礎的機能(生存可能機能)を取り戻し、経済を循環させる必要がある。
地域資源は日本各地それぞれ違う。森林を多く保有していたり、産業の残渣物があったり、工業団地や温泉地熱のある地帯もある。そこには人材も雇用もあり、金融機関も当然あるだろう。不足しているのは技術やサポートではないだろうか。
シン・エナジーは、地域に入り技術者と共に地域の特性を学び、地域が抱えている課題や問題を適切な再生可能エネルギーの組み合わせや、様々な方法で解決するソリューションで地域資源を価値化している。
例えば宮崎県串間市の”串間モデル”、神戸市ゴルフ倶楽部の木質チップ、西宮市のバイオガスプラントなど。秋田県大潟村や兵庫県淡路市の例は、 環境省より『脱酸素先行地域地域』の選定を受けた。
これからも成功モデルを作って、語りべを増やし波及していきたい。そのためには、「挑戦」「変化」「創造」を続けていきたい。企業理念は『未来の子どもたちからの"ありがとう”のため、生きとしいける生けるものと自然が共生できる社会を創造する』だ。
スピーチが終わり参加者との意見交換では、自治体として抱えている問題点や、里山再生のシステム、行政主導後の市民を巻き込む策、一人暮らしの再生可能エネルギーミックス、原発の賛否などの質問があり、その一つ一つに丁寧に回答して下さいました。
また、縦割り行政の現場でこれだけの成果をあげるには、認可を得るコツと忍耐が必要だったのでは?の質問には、信念をもって臨んでいるので、相手がそこまでの理解に達するまでひたすら”駄々をこねる”とのことでした。
経済評論家の故・内橋克人さんは、Food・Energy・Cara(食・エネルギー・医療介護)を合わせた『FEC 自給圏』の考え方を示され、人間の尊厳になる働き方を提唱されました。冒頭、乾さんの仰った「大人として次世代のための活躍を」と重なります。
37名の方に参加でした。
講演部分のみYouTubeでご覧いただけます。