4月に手が届き、春本番。待ちかねたように東京は桜満開です。早野透さんの
<鐘>は「いのちの連鎖」を、久しぶりで懐かしい北海道・村山恵美子さんの
<畦道から>は「米寿を祝う」。みなさんからも「春の便り」をどうぞ・・。
コラム<火曜日の鐘> 早野透(桜美林大学教授)
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いのちの連鎖
山形県小国町の旧知の農家T子さんから、今年もブタ肉が届いた。その包み
に、T子さんの手紙が添えられていた。
「冬を越し、じっくり太ってくれました。毎日、まきストーブで炊いたコメ、
大豆に、じゃがいもやリンゴ、かぼちゃを食べさせました」
さっそく生姜焼きで食べて、そのおいしいことったらなかった。
T子さんは、この2月、近くで自主上映されたドキュメンタリー映画『ある
精肉店のはなし』を見たそうである。大阪の北出さん一家は、牛を育て、自ら
解体する作業を代々続けてきた。「いのちを育て、いのちを食べて、いのちは
生きる」。スクリーンから、そんないのちのつながりを感じた。T子さんは、
近くの小学校で「学習支援員」の仕事もしていたから、2、3年生の児童たち
に『ある精肉店のはなし』の写真集を読んで聞かせた。
わたしたちのいのち。太古から未来へ、いのちの無限の連鎖のなかで、一瞬
せき止められて、持ち時間をもらっているのが、「生きる」ということかもし
れない。
学会コラム<緑と絆の木陰> 神野直彦(東京大学名誉教授)
オリンピックと人権
潮谷義子前熊本県知事の強い推薦もあって、私は「人権教育啓発センター」
の理事を務めさせていただいている。先日の理事会では、東京でのオリンピッ
ク・パラリンピックの開催を受けて、センターの作成した『オリンピック・パ
ラリンピックと人権』という冊子が配布され、無知蒙昧な自分に改めて気付か
されることになる。
この「瓦版」で暫く前に、日本がオリンピックに初めて参加したのは、1912
年に開催された第5回ストックホルム大会で、三島弥彦とともに参加した金栗
四三が、「消えた日本人」というエピソードを残していると紹介したことがあ
る。しかし、「人権教育啓発推進センター」の冊子によると、そもそもオリン
ピックには、白人にしか参加が許されなかったのだ。1904年の第3回のセント
ルイス大会では、「人類学の日(Anthropology Days)」という競技会が設け
られた。これは公式競技ではなく、非白人の運動能力を研究する機会として開
催され、「日本からはアイヌの人々が参加しました」と記されている。しかも、
こうした競技会に対して、「白人以外の参加が認められると、オリンピックの
魅力が失われる」として、「クーベルタン男爵は不快感をあらわにしました」
とのことである。
私は心悲しい気分で、芝大門にあるセンターを後にした。帰路の歩道に細長
い一本の桜が植えられ、寂しげに花を咲かせていた。その脇に石碑があり、そ
こにはそこが浅野内匠頭の切腹の場であることが刻まれていた。
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【逸村逸品】ひとこと紹介 ? http://www.facebook.com/slowlifej
群馬県桐生市「撥水風呂敷『ながれ』」。日本文化の象徴「風呂敷」に超撥水
加工が施され、繊維産業のまち・桐生で<濡れない風呂敷>が誕生しました。
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■街角から畦道から
村山恵美子 (北海道名寄市風連町 農業) 米寿を祝う
両親が隣町に暮らしています。今年めでたく父親は米寿です。祝いをやるぞ、
盛大にやるぞ、と張り切っている兄と、米寿の宴について相談したのは、この
正月のことでした。日程を決め、場所は自宅でのんびりささやかにと話し合い
ました。ところが、「なんでそんなもの、やらなきゃならんのだ」「いやだ、
やめてくれ」と日が経つにつれ、両親は言い出し、いったい何が気に入らない
のか、すったもんだの末、結局米寿祝は取りやめとなりました。
まったく、こんなわがままな話は聞いたことがない。猛然と腹が立っていたの
ですが、多分二人は、二人で紡いできた時間の流れの中で、自分たちの好きな
ようにゆったり自由に暮らしていることが一番幸せなのだろう。と、このごろ
思っています。
竹内義昭(東京都杉並区) カズコさん――老々介護の現実(18)
春の陽射しが、心地よくなった。カズコさんを連れて墓参りに出かけた。墓地
まで車で約30分だから、そんなに遠くはない。17年前に亡くなったカズコさん
の夫、義夫さんとその両親らが眠っている。2年ほど前まで月命日に欠かさず
お参りしていたのだが、認知症が進んだこともあって半年に1回程度になって
しまった。
花を手向け、線香をたく。数珠を手にカズコさんは手を合わせている。以前は
「元気でいられますように。守って下さい」などと声をかけていたが、最近は
無言が多い。
誰にお祈りしたのかを聞くと、墓石を確かめるように眺めて「ご先祖さん」。
残念なことに義夫さんの名前は出て来なかった。
■まち・むらニュース
・奈良県吉野町 金峯山寺の花供会式
桜の名所吉野山。この地の山桜は金峯山寺の本尊、蔵王権現に捧げる信仰の花
として守り伝えられてきた。もっとも見ごろの時期にその桜を権現様にお供え
する。奴行列を先頭に僧侶、稚児、山伏、信徒が練り歩いて、前日につかれた
「千本づき」の餅もまかれる。
日時:4月11日(土)12日(日)午前10:00?
場所:金峯山寺(竹林院?蔵王堂境内)(奈良県吉野郡吉野町吉野山)
問合せ:吉野町役場文化観光交流課TEL0746-32-3081
http://www.town.yoshino.nara.jp/kanko-event/welcome/year-event/eshiki.html
・徳島県三好市 塩塚高原で野焼き
植生保護のためにおこなわれるダイナミックな野焼きは、徳島と愛媛の県境に
広がる20ヘクタールの高原を焼き尽くす。春を迎える恒例イベントで、観光客
も多い。オレンジ色に燃え盛る炎は、まるで暴れまわる竜や大蛇のようである。
日時:4月4日(土)18時着火(雨天時は順延)
場所:塩塚高原(山城町塩塚高原展望台付近)(JR阿波川駅から車で30分)
問合せ:三好市観光課TEL0883-72-7620
http://www.pref.tokushima.jp/green/docs/2014031900756/
コラム<象さんの散歩> 中山弘子さん、ご苦労さんでした
先週は、昨年11月に新宿区長を退任された中山弘子さんと一献の機会を得た。
私には区長に就く前から地方政治の取材先。また朝日新聞の政治部仲間の二人
が新宿区民として区政を支援してきた。それで「ご苦労さん会」となった。
NPOスローライフ・ジャパンが、正式に旗揚げして活動を開始した時期は
「歌舞伎町ルネッサンス」を掲げた中山区長の登場と重なった。わがNPOも
企画の一つに「新宿にスローライフ」を採りあげた。活気にあふれ、また騒然、
猥雑でもある新宿をこそ、ゆっくり、ゆったり、ゆたかな街に・・と唱えた。
中山区長と区内を巡り、区民と語り合い、セミナーやワークショップを。新宿
フォーラムを開き、中山区長と増田寛也さんとの対談もお願いした。
中山区政12年。「ルネッサンス」のほか、教育、文化、女性など注目される
行政はいくつもあった。とくに外国人との共生社会。新宿区の特色の一つは、
外国籍住民の多いこと。外国人登録者は、区民の10%を超え、全国の市町村で
もっとも高い。言葉、住まい、交流、教育など多文化共生社会づくりを、まだ
根強い反発をも織り込みながら進めていく大変な課題に頑張り通した。
折りしも、統一地方選挙の真っ只中である。全国各地に、中山弘子さん型の
優れた地域政治家が登場してほしい、と祈るような気持ち・・∨ 川島正英 ∧
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「奈良県十津川村」から・・
5月25日(月)?28日(木)、十津川温泉郷で温泉入浴効果の実証調査に参加
していただける方を募集中。3泊8食分のプチ湯治モニター代金8000円です。
http://www.vill.totsukawa.lg.jp/www/contents/1427366956383/index.html
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コラム 野口智子<スローライフ曼荼羅> 那須塩原のカフェへ
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那須塩原市ができて10周年の、記念シンポジウムに参加しました。定住人口を
増やすことが話題に。終了後、会場近くの黒磯の商店街に新しくできたカフェ
で友達と語り合いました。古い商店街が若者にリメイクされ、個性的で独特な
雰囲気のカフェストリートになりつつあります。東京から近いこの町に、観光
というより「カフェに行く」交流もありうるなあ、と思いました。
http://noguchi-tomoko.com/modules/yutoriaruki/details.php?blog_id=306
■編集室便り
□4月21日(火)の「さんか・さろん」
話題の元気いっぱいの町、島根県海士町のお話
田嶋義介さん(島根県立大学名誉教授)から
まち・むらの人口減少時代に入って、国も、地方創生を新年度予算の最大課題
として取り組んでいます。スローライフ学会でも増田寛也会長が、だれよりも
早く「増田警告」を発し、以来、まち・むらへの呼びかけを強めてきました。
我がNPO理事の田嶋レポートもその一つです。
今回のさろんのタイトルは、「人口増に手が届く離島、隠岐・海士町の内側」。
田嶋さんのレポートは、《町村合併に失敗、2004年に「最後尾から最先端へ」を
掲げて、自立へのスタートを切った小さな町のサクセスストーリー》を探るもの
と話しています。
○日 時:平成27年4月21日(火)19:00?21:00
○会 場:クオリティKK・会議室マーキュリールーム
(千代田区麹町3―3KDX麹町ヒ゛ル6F・最寄り駅―地下鉄麹町駅)
http://www.quality.co.jp/company/map/map_tokyo.html
○講 師:田嶋義介さん(島根県立大学名誉教授)
○タイトル:「人口増に手が届く離島、隠岐・海士町の内側」
○主 催:スローライフ学会・スローライフ・ジャパン
○参加費:会員1000円、一般2000円(学生500円)
どなたでも参加できます。
○申込み:4月20日までに下記へ。(定員になり次第締切)
メール
TEL 03-5312-4141 FAX 03-5312-4554
□奈良県での・・吊り橋、水車の
「ゆっくり体験」・・のおすすめ
「瓦版」ではもうおなじみの奈良県十津川村谷瀬。私たちNPOが集落再生
のお手伝いをしていますが、その活動の中から登場した企画です。
4月12日(日)。集落の普段の暮らしに密着した「ゆっくり体験」の催し。
山里の春は、桜をはじめ花々が美しく、「ゆっくり散歩道」を展望台まで歩
くのを楽しみ、さらに地元の高菜漬でつくる名物「めはり寿司」を作り、味
わったり、里ではお祭りにつきものの餅まきにも参加しましょう。日本一の
「谷瀬の吊り橋」と、村民手作りの水車も思い出になるはずです。
詳しくはこちらから↓
http://www.slowlife-japan.jp/modules/katsudou/index.php?page=detail&bid=263&req_uid=4
□スローライフ学会の「自治体会員」へどうぞ・・
道府県、市町村職員の諸兄姉へ
スローライフ学会・NPOは、これまで個人会員の活動に重きを置いてきまし
たが、昨年から自治体会員の募集に力を入れています。わが学会の会長でも
ある増田寛也さんの“増田警告”によって注目を集めつつある人口減少問題に
立ち向かう。それには、地域にスローライフのこころを広めていくことが大切
だと考えるからです。「まち・むらをちびっ子の遊ぶ里へ」をスローガンに、
連携を深めたい。人口問題の具体策をたてるお手伝いをさせてください。
私たちは、人口減少に直面して、将来に向けた対策を考え、また行動していく
「まち・むら」を全力で応援します。ぜひとも、地域ごとにご検討ください。
この考えに賛同いただく自治体からのご一報をお待ちします。
◇年会費:50000円。
◇自治体会員になると
(1) 参加費割引があります。
(2) ホームページにバナーをつけられます。
(3) メルマガ「スローライフ瓦版」に記事を掲載できます。
(4) 記録を見られます。
(5) 特別セミナーに参加できます。
(6) 年に1回、事務局が講師としてがうかがいます。
(7) さらなる展開のご相談に応じます。
詳しくはこちらから
http://www.slowlife-japan.jp/modules/contents/index.php?content_id=3
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クオリティライフから・・・
4月6日と7日に、フランス仕込みのナチュラルスイーツ講座。野菜をたっぷ
り使った「ちょっぴりスパイシーな大人のオレンジ&キャロットケーキ」など。
お申込はこちら >>> http://qwebm.quality.co.jp/mail/u/l?p=V1gRfwtzDEkZ
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■私たちはいつもスローライフの動きを応援しています。
鹿児島県
http://www.pref.kagoshima.jp/pr/koryu/index.html
岩手県遠野市
http://www.city.tono.iwate.jp/
日本テレネット 株式会社
http://www.nippon-tele.net/
クオリティ株式会社
http://www.quality.co.jp/
アース・デザイン・インターナショナル(edi)株式会社
http://www.edi.ne.jp/
株式会社サンクス・ツー
http://www.thanks2.jp/
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最後までお読みくださって、ありがとうございました。
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