★★★★ 500号特集 ★★★★
きょうの「瓦版」は、500号特集です。創刊は2010年4月21日。10年間、がんば
ってきました。ライター、読者の皆さん、NPOと学会の諸兄姉に御礼を申し
上げます。このスローライフ瓦版は、四つのコラム、読者の投稿エッセイ「街
角から畦道から」、全国の市町村の動きや催しを伝える「まち・むらニュース」、
地域に根付く文化や風習を大切にしている「逸村逸品」の紹介、そして編集室
から二つのコラムと「便り」を加えて構成しているのは、ご承知の通りです。
ささやか、かもしれませんけれども、現代日本のまち・むらのスローライフの
空気を伝える砦と思って、懸命にがんばってきました。
この号、次の号も含めて、500号に想う、を思いっきり特集できれば・・と考え
ています。意見、感想、批判、注文、激励、・・をお寄せください。
★★★★★
コラム<火曜日の鐘> 川島英樹(せたがや文化財団)
90歳になる中国のおじいさんの物語
こどもの時に読んで、なんとなくずっと頭に残っている話がある。
おじいさんは、家の前にある大きな山を邪魔だと思った。よそへ動かそうと、
土を運びはじめた。子や孫も手伝って一年間続けたが、どこを削ったかも分か
らないくらいで、人々の笑いものになっていた。友人が心配して、忠告にくる。
「あんたは呑気だね。自分がいくつだと思ってるんだい? 削るには何百年何
千年もかかる。生きてる間には、削った所さえ見えやしないよ」
すると、おじいさんは「あんたは、ずいぶんせっかちだね。私は自分の代で
なんて考えていないよ。子孫が代々仕事を引き継いでいけば、相手の山は増え
ないから、いつか削り取れるさ」と悠然と答えた…。
後に、この話が「愚公山を移す」という故事であることを知った。どんなに
困難でも努力を続ければ、やがては成就するというのが趣旨だろうが、ぼくの
中に浮かぶのは、おじいさんの飄々とした微笑だ。
この「スローライフ瓦版」が500号だという。まだファストの山に変化は見え
ないようだけど、成果を急ぐのは流儀じゃない。ゆっくりいきましょう。いつ
かスローな地平が開けるはず!
学会コラム<緑と絆の木陰> 坪井ゆづる(朝日新聞論説委員)
カジノ誘致は「無能宣言」
祝!瓦版500号。流れてきた歳月を振り返ると、いくつもの「ふざけた政治」
があった。「カジノ解禁」もそのひとつだ。10年前は品のない冗談だと思って
いたが、さもしい輩がろくでもない法律をつくり、いまや汚職事件まで起こし
ている。社会全体が貧相になってゆきそうな現実が目の前にある。
安倍首相は、カジノは日本を観光先進国に引き上げる原動力であり、成長戦
略の中心だと力説してきた。とんでもない発想だ。落とされる金は「敗北」の
証しである。そんな人の不幸を糧として成長しようなどと考えるなんて、まる
で我利我利亡者かヤクザみたいではないか。
カジノ誘致に名乗りを上げた自治体にも、ほとほと呆れる。税収増や地域浮
揚に役立つと訴える姿勢は、地域づくりを担うべき自治体の職務放棄というし
かない。その土地ならではの価値や資源を見いだし、どう活かすかを考える。
その具体策を地元の人々とともに工夫し、実践することこそが、地域の自立や
人づくりにつながる。それが自治体のめざすべき道だ。安易に海外モデルのカ
ジノに頼るのは、自治体として無能を宣言しているに等しい。
訪日観光客は、カジノなどなくても増え続けている。各地にある自然や文化
の魅力には、ギャンブルが醸し出す下卑た雰囲気など邪魔になるだけだ。
コラム<500号に寄せて> ====
また、一歩ずつ 増田寛也(東京大学大学院客員教授)
「緑と絆の木陰」というとても洒落たネーミングのコラムを担当させてもら
っている。もっとも、その時々に思った事を書き連ねるばかりで、緑や絆と無
縁のものが多い。それでも許してくれる編集室のおおらかさ。字数もおおよそ
の目処で、融通無碍なのが書く側には嬉しい。
他の執筆者の練れた、珠玉のような文章を読むのは、本当に楽しい。それに
引き換え、我が身の文章力の無さには赤面の至りである。
正直、私も500号まで続くとは思っていなかった。私自身が執筆者として当初
から生き残っていることも含め、すべて読者と編集室の皆さんのお蔭である。
改めて感謝しつつ、600号、700号に向けて、また、一歩ずつ進んでいきたい。
ゆっくり急がなければ 中村桂子(JT生命誌研究館館長)
「人間は生きものであり、自然の一部として地球で生きていく存在である」。
このあたりまえの具体を解明し、そこから「人間とはなにか」「どう生きるか」
を考える知として生命誌を始めてから30年がたちました。じっくり、ゆっくり
と進める中で大事にしてきたのは「中から目線」です。生きものや自然を「外
から目線」や「上から目線」で見ている現代社会のありようへの疑問を原点に
しています。
「スローライフ」は、さまざまな地域の方の暮らしからの目線、つまり「中
から目線」で生れる活動と思い参加しています(お役に立てず申し訳なく思い
ながら)。これもじっくり、ゆっくりかなと考えていましたが、最近「急がな
ければ間に合わない」という気持が強くなっています。政治・経済におけるリ
ーダー達の人間としての質が劣化し、それが感染症の如く広がっているからで
す。ウイルスを閉じ込めなければ。
「思い」として勝手なことを書きましたが、これからを考えるとそんな気持
です(実は私は、じっくり、ゆっくりしかできないタイプなのですが)。
モーニングコールは続く‥ 篠原伊佐武(スローライフ瓦版・編集室)
「スローライフの情報サービスとしてメールマガジンを発信しては‥」と提
案したところ、「企画はよし。でもやるなら週刊で‥」という川島さんのこだ
わりから始めた瓦版も500号。編集と送信作業をお手伝いしてきましたが、よく
ぞここまで‥というのが率直な感想です。送信する火曜日の朝7時には、毎週、
川島さんから電話。「ここに文を追加したい」「ここは平仮名で」‥といった
校正の指示が出ます。ギリギリまで手を入れる川島さんのこだわりは、500号を
超えても変わらないんだろうなぁ。モーニングコールはまだまだ続きそうです。
広さと奥行きを感じつつ 丸山 薫(スローライフ瓦版・編集室)
瓦版が500号をむかえるのは、新しい御世「令和」の1月末・・と数えたのは、
昨年のいつ頃だったでしょう。編集室に携わらせていただき〈逸村逸品〉〈ま
ち・むらニュース〉を担当しております。週一度、毎号の編集を経るごとに日
本の広さと奥行をますます感じています。各地の皆様からの情報、感想、励ま
しが、未知のことへの扉をひとつひとつ開けてくださり、驚きや感動をもたら
してくださり、感謝ばかりです。
「継続は力なり」の言葉を今一度心に期して、毎週の編集作業に向けて、日
々アンテナをはることを忘れずにいたい。どうぞこれからもお力添えをお願い
いたします。
▽▽▽▽▽▽▽▽
【逸村逸品】ひとこと紹介 ? http://www.facebook.com/slowlifej
島根県出雲市「ふりかけめのは」。地域で「めのは」と呼ばれる板ワカメが、
昔ながらの加工技術でふりかけに。塩加減と香ばしさが白飯にぴったりです。
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■街角から畦道から
藤井頼暁(熊本市) 未知なる子どもの育て方? ?動作チェック?
まだ4ヶ月目でコミュニケーションが完全ではないので、身体のことを色々な
場面で確認しています。例えば遊んであげるとき、私が頭を遠くにしたり近く
にしたりするととても喜びます。このことから目で見ているんだと分かりまし
た。またミルクを飲んでいるとき、途中で止まったりするときに、声をかける
とまた飲み始めるので聞こえている。言葉にはなりませんが何かをしゃべって
もいる。手も色々とつかんだりしている。こうやって一つ一つ身体が機能して
いることを確認しています。
■まち・むらニュース
・奈良県吉野町 節分会・鬼火の祭典
「福は内、鬼も内」と唱える全国でも珍しい金峯山寺の節分会。天下泰平、除
災招福祈願の般若心経の読誦後、豆まきの鬼の調伏式、採灯大護摩供があり、
午後には豪華な景品も当たる福豆まきがおこなわれる。
開催日:2月3日(月) 場所:金峯山寺蔵王堂
問合せ:金峯山寺 TEL0746-32-8371
https://yamatoji.nara-kankou.or.jp/01shaji/02tera/04south_area/kimpusenji/event/32sqjiafoo/
・青森県十和田市 十和田湖冬物語2020
冬期観光の振興目的で始まった祭典。約5万個の青色LEDライトのトンネルや
ゲート、湖畔の乙女像のライトアップなどがある。地産品が味わえる「ゆきあ
かり横丁」も人気。期間中は毎日20時から冬の花火が打ち上げられる。
開催日時:?2月24日(月)平日15時?21時、土日祝11時?21時
場所:十和田湖畔休屋特設イベント会場(八戸駅からJRバス等)
主催:十和田湖冬物語実行委員会
問合せ:一般社団法人十和田奥入瀬観光機構内 TEL0176-75-1531
http://www.city.towada.lg.jp/docs/2016010800064/
コラム<象さんの散歩>
よくぞ、500号
「瓦版」500号。この欄を受け持ち、気ままにあれこれの思いを積み重ねた。
よくもここまで、と驚く。お読み頂いた学会諸兄姉に感謝のほかない。
散歩で採り上げる題材は、道すがらの身近な出来事。まち・むらの話題とか
国の政治や世界の動き。それぞれ学ぶことは多いが、とくにスローライフびと。
人と会って、ゆっくり、ゆったり、ゆたかな感性に惹かれて・・。
そもそも創刊から10号まで、象さん散歩の題材は、人のオンパレードだった。
創刊号は尾田栄章さん。建設省河川局長、第3回世界水フオーラム事務局長を
終え、天皇が皇太子時代の水問題の先生も。役人を気取らずNPO活動も。国
立能楽堂の舞台で、同好会の主役を演じたときで、格好の題材に。
長野県飯山市で「蛍の宿をまもる会」を主宰する元市長さん。静岡県稲取町
の朝市で親しくなったお百姓さん親子。民主党政権での菅直人首相の施政方針
演説に「わが恩師・松下圭一」が語られたので、菅さん、松下さんとのおつき
あいについて。ソフトバンクの創立30年の社員総会で、孫正義社長が創業時の
「七恩人」を紹介した話。「人物図鑑」がつくれそう、と思ったり。
さあ、きょう500号。わがスローライフ学会の増田寛也会長に登場願おう。
今年から問題の日本郵政を立て直す大役に。だが、先週火曜日の「さんか・さ
ろん」で年初恒例の「年頭所感」は予定どうり。淡々と、堂々と。会員も50人
の参加。増田さんの「瓦版」執筆も続く。バンザイ・・ <川島正英>
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「奈良県十津川村」から・・
谷瀬集落で11月末につくられ吊るされた「ゆうべし」は寒風にさらされて乾き、
もうじき完成です。集落の人と奈良女子大の学生さんが育てた酒米は、本格的
な仕込みに入りました。新酒は4月。村の時間が美味さを育てています。
=======
コラム 野口智子<スローライフ曼荼羅> ブログを書くということ
“瓦版”のおかげで、私は毎週ブログを書くことになりました。週刊日記のよ
うに9年9ヶ月間。独り言ではなく、読み手があるのはうれしく、緊張感があ
ります。「自分の地域が何回出たか表にしてます」「プリントしてバッグに入
れて読んでいます」「まとめて本にしてください」感想がうれしい。週1回、
自分の仕事や暮らしを鏡に映すつもりで、これからも言葉にしていきます。
http://noguchi-tomoko.com/modules/yutoriaruki/details.php?blog_id=553
■編集室便り
▽2月12日(水)は?文化と農のまち・三鷹へ?
お出かけサロンです。
東京都三鷹市とは、2005年愛知県瀬戸市で開催された「愛・地球博」の際に
当NPOとご一緒に一カ月間の展示ブースを運営、シンポジウムも行ったご縁が
あります。
都心に近い距離にありながら、緑豊かで文化の香り高く、農業も盛んです。
その様子を見学し、市長さんと懇談のお時間も。
水曜、昼間の開催です。お誘いあわせてどうぞ。
↓↓↓
■2月12日(水)お出かけサロン?文化と農のまち・三鷹へ?
<予定>
12:50 三鷹駅改札口前集合
13:00 南口にてバスに乗車・出発
・「三鷹市星と森と絵本の家」 見学
・「三鷹の森ジブリ美術館」 見学
・都市農業の見学
・河村 孝市長と懇談(三鷹市役所 市長室にて)
17:15 三鷹駅南口 解散
詳しくはこちらから
http://www.slowlife-japan.jp/modules/katsudou/index.php?page=detail&bid=404
<申し込み>
・参加費:会員1000円、一般2000円(学生500円)
・申込み:メール TEL 03-5312-4141 (2月7日までに)
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クオリティソフトから・・
500号おめでとうございます。たまな商店は「人と大地をすこやかに」のスロ
ーガンの下、食で日本を変えよう!食べ物で人を健康にしよう!人間の一番の
基本の「食」を担っている人たちをもっと元気にしたい!食べる人のことを考
えて安心・安全で美味しいものを作り続ける、そんなまじめな農家さんを応援
したい!という想いで取り組んで参りました。これからも私たちが間に立ち、
「すこやかな食」を提案していきたいと考えています。https://tamana-shop.jp
=======
■私たちはいつもスローライフの動きを応援しています。
岩手県遠野市
http://www.city.tono.iwate.jp/
奈良県吉野郡十津川村
http://www.vill.totsukawa.lg.jp/www/toppage/0000000000000/APM03000.html
奈良県
http://www.pref.nara.jp/
雲仙市
https://www.city.unzen.nagasaki.jp/
飯山市
http://www.city.iiyama.nagano.jp/
出雲市
http://www.city.izumo.shimane.jp/www/toppage/0000000000000/APM03000.html
丹波篠山市
https://www.city.sasayama.hyogo.jp/
日本テレネット株式会社
http://www.nippon-tele.net/
シン・エナジー株式会社
https://www.symenergy.co.jp/
クオリティ株式会社
http://www.quality.co.jp/
アース・デザイン・インターナショナル(edi)株式会社
http://www.edi.ne.jp/
株式会社サンクス・ツー
http://www.thanks2.jp/
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最後までお読みくださって、ありがとうございました。
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