10月18日、第122回「さんか・さろん」はイレギュラーな『お出かけ・さろん』でした。
以前「さんか・さろん」に関するアンケートで、「みんなで出かけたい!」「あの町に行って、あの人に会ってみたい!」の声が多く寄せられました。特に昨年4月、栃木県日光市のスローライフ学会会員の舟越隆裕さんのスピーチから、そのイメージが具体的に。舟越さんは、「Mobile Cafe NIKKO 珈琲COCOM」の オーナー。日光市役所・日光市観光協会を経て、「行った先を交流の場にしたい!」と2019年から移動式のおしゃれなキッチンカーを運営しています。
以前の「さろん」では日光の郷土料理〝しもつかれ″をアレンジして食べやすくパニーニ(イタリア発祥のホットサンド)で提供しているというお話も。「たべた~い!」と、コロナ禍が小康状態の今、お出かけの決行となりました。
日光でのご案内は舟越さんにお任せ。それを夜、いつものオンライン「さんか・さろん」で報告という計画です。ツアータイトル『SLに乗っていく!日光のルーツを知るミニツアー』へは、奈良、静岡、都内からの5名が参加でした。
東武浅草駅から特急で下今市駅へ。ここでSL大樹(たいじゅ)『ふたら』に乗り換えて東武日光駅へ。蒸気機関車は、その雰囲気と汽笛と煙のにおいが、現代ではなかなか経験できない情緒でした。
東武日光駅へ到着後は、舟越さんの待つ「CoComBase」(行政センター前)へ移動。ここで、念願の“しもつかれパニーニ”を堪能しました。キッチンカーの中も見学、舟越さんこだわりの“野生の珈琲”も頂きました。
お腹が満たされたら、舟越さんオリジナルツアー『意外と知らない日光のルーツをたどる旅』へ出発。金谷ホテルの入り口にある星の宮・磐裂神社(いわさくじんじゃ)→深沙王堂(じんじゃおうどう)→宝田明さんの遺作になる映画『日光物語』で撮影場所になった本宮カフェ→本宮神社(ほんぐうじんじゃ)→四本竜寺(しほんりゅうじ)・紫雲石(しうんせき)→勝上人像をめぐる2時間でした。
そして、19時からオンラインの「さんか・さろん」。日光での会場は、古民家カフェ『Sotto Voce』(そっとぼーちぇ)。市民活動の拠点となり、今は民間の方が週末に営業する本格ハーブ喫茶です。オンラインでさらに7名が加わり、旅の報告と、舟越さんの“日光のルーツ”のお話を伺いました。
以下、舟越さんのお話の抜粋です。
~~~「日光イコール“世界遺産の日光東照宮”のイメージが強いですが、それは江戸時代からの歴史。実は日光は奈良時代、勝堂上人(しょうどうしょうにん)というお坊さんが開山しました。一般の観光ルートでは訪れることのない日光のルーツ旅へお連れしました。
大谷川(だいやがわ)は湯本から中禅寺湖・華厳の滝を通り東照宮に流れる川。この川に掛る橋『神橋』(しんきょう)は、世界遺産への入り口として有名ですが、その歴史は奈良時代へと遡ります。
741 年 勝道7歳の時、明星天子(みょうじょうてんし)が夢に現れ「仏教を学び、補陀落世界を開け」とお告げがありました。大谷川を渡る術がなく、難渋していたところ、対岸から2匹の大蛇が現れ橋になった。蛇には衣がなく、ツルツル滑って渡れずにいると、山菅の木が生えて、その上を渡ったと伝わっています。ですから神橋は、別名・山菅の蛇橋(やますげのじゃばし)とも言われています。
明星天子を祀った『星の宮』神社。日光の守り神・虚空蔵尊(こくぞうそん)として、分社が各町内に祀られています。また、橋の反対には蛇を遣わした深沙王(じんじゃおう)を祀った社があります。二社とも小さな神社ですが、日光の起源となる神様なのでツアーでご案内しました。
日光の世界遺産登録はエリアです。山一帯、信仰の形にも特徴があるのでご案内します。男体山はお父さん、女峰山さお母さん、太郎山はその子供。それぞれの山の頂上には神様が祀ってあり、神様には仏としての形があります。自然の山と、神様と仏様が縦並びにあり、それら一切を輪王寺三仏堂で祀られている。こうして、日光ではそれぞれを単独で拝むのではなく、自然と一体として、信仰・崇拝の歴史や文化があります」~~~
ツアー参加者からは、旅の印象的なシーンの説明や、舟越さんの郷土愛に感心する言葉が多く寄せられました。ZOOM参加者からは、次はぜひ行きたい!と。
今回、乗車したSLは、舟越さんが観光協会に在籍の頃にロコモーション協議会を立ち上げ、夜でもペンライトを振ったり、沿線に花畑を作ったり…と、地域全体で観光アテンドの仕組みを考え、積み重ねてきた象徴的なもの。日光の魅力は昔も今も、さらに更新していると感じる回でした。
Facebookでの報告もご覧ください。10月20日に投稿しています。