瓦版2015.12.15 第290号

きょう15日は、ことし最後の「さんか・さろん」です。野口智子・事務局長が、

和歌山県紀の川市で市民とともに取り組んでいる「フルーツ・ツーリズム」に

ついて、蜜柑を食しつつ語り合いませんか。(詳細は「編集室便り」に)



コラム<火曜日の鐘> 斉藤 睦(地域総合研究所所長)

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   「あかつき」に乾杯


金星探査機「あかつき」は5年前の12月7日、主エンジンの逆噴射で金星の

軌道に乗る予定がうまく行かず軌道に乗りそこねた。普通なら、プロジェクト

は大失敗でそこで終わり。それをちょうど五年後の12月7日に姿勢制御が目的

の小型エンジンを逆噴射させる裏技で、見事金星軌道に乗せることができた。

その間太陽のそばを回り続けた機械の劣化・損傷不安。小型エンジンの目的

外操作への懸念。逆噴射に適した衛星位置の割り出し計算は数万回にも及んだ。

数々の困難を乗り越え、可能性を探し出し再挑戦したJAXAスタッフの努力。

4年の寿命で作ったはずの機械の想定外の強さで、日本の技術への信頼をも

回復させてくれた。予定通りの成功よりも、失敗を時間をかけてスローに逆転

させた姿が、かえって人を魅了する。



学会コラム<緑と絆の木陰> 増田寛也(野村総合研究所顧問)


年の終わりに



師走に入ったというのに東京は温かい日が続く。銀杏の色付きも遅く、かな

りの葉がまだ残っている。今年も、落葉しないまま越年するものも多そうだ。

街中の花屋に目を移すと、真っ赤なポインセチアや色とりどりのシクラメンが

きれいに並んでいる。クリスマスや正月の準備が確実に進んでいる。自然界は

1ヶ月遅れでも一年の締めの時期がきた。

テロの脅威と憎しみの連鎖、経済の停滞と不況続き。こんな時に「ゆっくり、

ゆったり」などとんでもない。こんな批判もあるかもしれない。

しかし、「スローか、ファストか」の二者択一ではないだろう。故筑紫哲也

さんの言葉を借りれば「緩急自在」。「これからますます“ファスト”になり

そうな世の中で、“スロー”の効用がかえってあるのではないか」(『スロー

ライフ』(岩波新書))。

この理念に共鳴する人々との出会いに心が洗われる一年であった。特に雲仙

でのシンポ実行に当たって数々のご協力をいただいた皆さんに厚く御礼を申し

上げたい。

宇宙探査機「あかつき」が幾多の困難を経て、無事、金星軌道に入ったとい

う。はるかな宇宙から見れば、地球上の出来事など本当にちっぽけな事柄に過

ぎないだろう。人間はどのようにしてお互いの憎しみを乗り越えていくか。

そんなときに前号のコラムで早野透さんが「スローライフは、つきつめれば

反戦思想だ」と指摘されていた。私もそんな事を思わずにはいられない一年だ

った。

今年一年のお付き合いに心から感謝申し上げます。

皆様、どうぞ良い年をお迎えください。



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【逸村逸品】ひとこと紹介 ? http://www.facebook.com/slowlifej

 宮城県塩釜市「塩釜おでん缶」。牡蠣の旨みだしが人気のおでんが缶詰に。

 震災を経験した従業員の声から開発されました。非常食にもおすすめです。

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■街角から畦道から


竹内 義昭 カズコさん(41)


これまで一緒に生活していた母親が特養という施設に移ったことで、我々老

夫婦の生活はかなり変わった。何年ぶりかの2人だけの日常が始まったのだ。

24時間の見守りや排泄の世話、食事の介助など、介護の仕事がすっぽりなく

なったのだから、当然のことではある。

それまでの緊張感が消えたのはありがたいが、「これで良かったのか」と自

問自答する日々が続いている。食事はしっかり食べているのか、トイレはどう

しているのか、気にかかる。

暇を持て余してインターネットであれこれ遊んだりしていると、なんとなく

罪悪感にとらわれて、食事の介助に出向いてしまう。施設が至近距離にあるこ

との功罪、半ばだ。



渡辺 均(八ヶ岳山麓の体験農園「八峰村」村長 長野県小海町)


瓦版先週号で、神野直彦先生の「隠遁生活」の玉稿で、思いついたことがあり

ます。隠遁を陽遁と言い替えよう、という話・・河合隼雄先生の著書『出会い

の不思議』の中で取り上げられた言葉で、言い出しっぺは、免疫学者の多田富

雄先生だそうです。退職とか辞職とか、という身の処し方を隠遁と称するのは

何か暗いから、という理由で、煩わしい俗事を離れ、自分の好きな世界に陽気

に入って行く、を指すらしいです。尊敬する大先生の隠遁に異議など申し上げ

られる立場ではありませんが・・。



■まち・むらニュース


・静岡県下田市 「下田水仙まつり」


灯台からの景色が素晴らしく、ジオスポットとしても有名な爪木崎。遊歩道も

楽しめる自然公園に群生する早咲きの自生水仙は300万本といわれ、2月上旬

まで咲き続ける。白い清楚な水仙のお花畑一面に、ほのかな甘い香りが漂う。

開催日:12月20日(日)?2月10日(水)

場所:爪木崎(静岡県下田市須崎、伊豆急下田駅からバス)

問合せ:下田市観光協会 TEL0558-22-1531

http://www.shimoda-city.info/eve02.html



・東京都新宿区 穴八幡宮「冬至祭」


一年で昼の時間がもっとも短い「冬至」。この日に頒布される「一陽来復」の

御守りに、キンカンとギンナン(金と銀)が包まれており、財宝に融通がつき、

お金に不自由しないといわれている。参道には柚子売りの市が立ち、御守りは

節分の日まで売られる。

開催日:12月22日(火) 場所:穴八幡宮(新宿区西早稲田2-1-11)

問合せ:穴八幡宮 TEL03-3203-7212

http://members2.jcom.home.ne.jp/ichikondo/12%20toujisai”anahachiman.html



コラム<象さんの散歩> 戦後70年・・「沖縄」をあらためて


ことしの象さんの散歩は、「戦後70年」をたびたび巡った。6月30日号は、

「戦後70年・・沖縄をどう考えるのか」を書いた。太平洋戦争の沖縄戦犠牲者

を悼む日、翁長雄志知事があらためて米軍普天間飛行場の辺野古移設中止を求

めた。それを採りあげた。半年、戦後70年への思いもこもる動きもいくつか。

でも、安倍政権は聞く耳を持たず、むしろ最悪の事情となっている。

普天間基地の移設問題は、橋本政権から約20年、さまざまな経過を辿った。

県知事や国会議員の政治姿勢も変化を見せ、とくに、ことしは大きく動いた。

翁長知事の「辺野古埋め立て承認」の取り消し、国がそれの撤回を求めて翁長

知事を訴えた「代執行訴訟」、翁長知事が国の決定を取り消すように求めての

「抗告訴訟」。法廷で国と知事が争う異常な進行となった。

だが、ほかの都道府県知事は、明らかな反応を見せていない。国会も国民も。

沖縄は、日本国土の1%という小さな県土なのに、在日米軍基地の74%を受け

持っている。米軍基地が県面積の18%を占める。その立場をどう理解するのか。

県行政、県民感情をどう受け止めていくのか。地方自治をどう守るのか。

国民それぞれ、あらためて考えるべきはずの戦後70年だった。沖縄をいかに。

ときに、琉球独立論が出てくるのも、むべなるかな・・ ∨ 川島正英 ∧



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「奈良県十津川村」から・・

十津川村の温泉で老化や病気の原因を取り除く力“還元力”が証明されました。

温泉療養効果実証調査結果報告会の開催です。12月17日(木)・18日(金)

http://www.vill.totsukawa.lg.jp/www/contents/1448867462026/index.html

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コラム 野口智子<スローライフ曼荼羅> 農引退

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あるお宅を訪ねたとき、立派な衝立にこの言葉がありました。そこのおばあち

ゃんは今年米寿、衝立の引退宣言は81歳の時ご主人と記したものです。瓢箪や

銘木に書や絵を描くのが趣味。沢山の作品に囲まれて「楽しいよ」とおっしゃ

いますが、この引退宣言は重い言葉です。「耕して耕して六十年・・・・。

いつか農の時代が巡りまわって来ることを祈願します」と。青森県田子町で。

http://noguchi-tomoko.com/modules/yutoriaruki/details.php?blog_id=342



■編集室便り


◇きょうの「さんか・さろん」は



野口智子事務局長の登場です。


話は『和歌山県紀の川市のまちづくり

「フルーツ・ツーリズム」に学ぶ

? 市民力の新しい形』です



紀の川市「フルーツ・ツーリズム」は、100人の市民ワークショップから出発。

世界初めての「ふる?つ茶会」、果物を素材にした料理開発「果物和菓子」

「桃パスタ」「フルーツ寿司」など、公募の「フ ルーツカレンダー」、

さらに「フルーツウォーク」や「フルーツトレイン」も試みました。


アイディアいっぱいに動き出した果物産地の市民の様子と、そこに至るまで

のお話ですが、 果物をテーマにした「フルーツ・ツーリズム」は、楽しい

スローライフのまちおこしの一つの形でもあります。



●日 時:12月15日(火)19時?21時

●会 場:クオリティKK・会議室マーキュリールーム

(千代田区麹町3―3 KDX麹町ビル6F・地下鉄麹町駅からすぐ)

  http://www.quality.co.jp/company/map/map_tokyo.html


●講 師:野口智子さん(ゆとり研究所所長)

1992年にゆとり研究所を開設。独自のワークショップが得意。2000年から

スローライフ運動を始めNPOスローライフ・ジャパン事務局長・副理事長。

商品開発、人材育成、都市と田舎の交流、また“食”をテーマのまち おこし

に力を入れ、紀の川市にも2013年から関わる。

 

●テーマ:「紀の川市フルーツ・ツーリズムに学ぶ 市民力の新しい形」

●参加費:会員1000円、一般2000円(学生500円)どなたでも参加できます。

●申込み:きょう15日は TEL 03-5312-4141 または 090-7433-1741 まで。



◇“八峰村”の凍み餅づくりの季節です


八ヶ岳山麓の体験農園「八峰村」の村長さん・渡辺均氏から便りを頂き、「街

角から畦道から」に掲載させてもらったが、そこに八峰村では年中行事となっ

ている凍み餅づくりについてもお知らせが添えられていたので、以下に・・


今年も凍み餅の季節になりました。

5年目。その最初は12月20日です。飯舘一行15名ほどの参加を得て、

一生懸命作りますので、ぜひ、ご購入をお願いいたします。

凍み餅を作りつつの座談会を予定しています。今年のテーマは、仮設生活

について。さて、どうするか、です。

仮設の“仮”は5年も指すのでしょうかね・・・

無性にに腹が立ちます。

地元の小学生との交流会も実施します。



◇スローライフ・ジャパンへのメールを送るときのお願い。



このスローライフ瓦版は、メールマガジン専用のアドレスからお送りしてい

ますので、このメールに返信していただいても事務局には届きません。

スローライフ・ジャパン、スローライフ学会、この瓦版への投稿などは

こちらまでお願いします。↓



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クオリティライフから・・・

蒸しパンでクリスマスリースを。赤(トマトパウダー)と緑(モロヘイヤ)のクリ

スマスカラーの編み込み成形も楽しく色鮮やかに。12月20日(木)11時?1時半。

お申込はこちら >>> http://qwebm.quality.co.jp/mail/u/l?p=u-lw2srbcn0Z

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■私たちはいつもスローライフの動きを応援しています。


鹿児島県

http://www.pref.kagoshima.jp/pr/koryu/index.html

岩手県遠野市

http://www.city.tono.iwate.jp/

和歌山県紀の川市

http://www.city.kinokawa.lg.jp/

奈良県吉野郡十津川村

http://www.vill.totsukawa.lg.jp/www/toppage/0000000000000/APM03000.html

日本テレネット 株式会社

http://www.nippon-tele.net/

クオリティ株式会社

http://www.quality.co.jp/

アース・デザイン・インターナショナル(edi)株式会社

http://www.edi.ne.jp/

株式会社サンクス・ツー

http://www.thanks2.jp/



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最後までお読みくださって、ありがとうございました。

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ご縁を頼りにお送りしています。初めて受信される方も含めて、

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