瓦版2015.12.8 第289号

蜜柑の季節。産地の和歌山県紀の川市で、野口智子・事務局長は、この一週間、

ことし最後のワークショップに奮闘中です。15日の「さんか・さろん」では、

蜜柑を食しつつ「フルーツ・ツーリズム」談義を。(詳細は「編集室便り」に)

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コラム<火曜日の鐘> 早野 透 (桜美林大学教授)

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    水木漫画はスローライフの極致


妖怪漫画家の水木しげるさんが亡くなった。93歳、自宅で転んで頭を打った

のがきっかけというのだから、大往生というべきだろう。

わたしはつねづね、水木さんの世界こそスローライフの極致だと思っていた。

ゲゲゲの鬼太郎は、ちょっとあわてものだけど、その他の妖怪は、くらやみの

なかで何をしているんだか、おおむねゆっくりペースである。

いや、そういえば「いそがし」という妖怪もいたな、これに取り付かれると

やたらに仕事に追いまわされることになる。

水木さんに赤紙がきて、ラバウルの最前線に送られた。爆撃を避けてジャン

グルに入ると、そこにも妖怪がいた。空襲がきて、水木さんは左腕を失った。

あの妖怪漫画を右腕だけで書いたのだから、ほんとにすごい。ほんとは、のん

びり生きたい、好きなことをして生きたい、戦争なんていやだ、それなのに、

「総員玉砕せよ!」だって? 水木さんの戦記漫画は、兵士のつらさをとこと

ん描いている。

スローライフは、つきつめれば反戦思想なのである。



学会コラム<緑と絆の木陰> 神野直彦(東京大学名誉教授)


和顔愛語



新しき年を迎えるとともに、地方財政審議会会長の職が解かれ、私は晴れて

隠遁生活に入る。隠遁したら、「生」を共にしてきた人々に感謝を捧げながら、

晴耕雨読のスローライフに耽ることを楽しみにしている。

しかし、隠遁生活もスローライフどころか、多忙を極めることになりそうで

ある。隣家には老いたる父母が生活をしているため、その世話をしなければな

らない。その反対側の隣家には子供夫婦が住んでいるため、孫達の面倒をもみ

なければならない。しかも、その合間を縫って、妻と二人で小旅行をするとい

う離れ技を演じなければならないからである。

とはいえ、それも至福の時になることには間違いない。ところが、想定外の

誤算が生じてしまった。老いるという生まれて初めての経験を忘れていたから

である。

老衰が著しいにもかかわらず、私は毎日、「TUMI」というブランドの重いリ

ュックを背負い、「重い罪」を背負って生きていくのだと気取っていた。とこ

ろが、風邪を患ったまま、重いリュックを背負って、激しく咳き込んだ瞬間に、

腰に激痛が走った。整形外科に行くと、全治三ヶ月の背骨の圧迫骨折という大

仰な診断が下されてしまった。晴耕雨読するにも、筋肉トレーニングが必要な

ほどに老いたる自分に気づかされたのである。

「和顔愛語」という教えがある。身動きができない程の病に侵されていても、

感謝の気持さえあれば、他者を幸福にすることができるという教えである。こ

の教えを信じ、愛する者に感謝を捧げながら、スローに生きていくこうと悟っ

た次第である。



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【逸村逸品】ひとこと紹介 ? http://www.facebook.com/slowlifej

佐賀県鹿島市「稲荷ようかん」。祐徳稲荷神社の門前町の名物品。紙筒に入っ

ている羊羹を押出し、筒についている糸で切って食べるのも人気の秘密です。

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■街角から畦道から


竹内 義昭 カズコさん(40)



カズコさんが特養に入って1か月。心配された環境の変化による体調の悪化

もなく、無事な日々が続いている。今のところ2日に1回の割合で、妻と交代

で食事の介助に出向いている。特養での生活ぶりが心身にどんな影響をもたら

すのか、まだ見極めきれていないからだ。

カズコさんは食べるのが遅い。食堂にいる20人近くの同輩が皆終わっている

のに、ごはんを一口しか運んでいないことも多い。ごく最近では、食事には手

をつけておらず、お手拭きのタオルを一心にしゃぶっていたのに驚かされた。

職員は流動食の人たちにつきっきり、カズコさんのような普通食の人にまで

目が行き届かないというのが実情のようだ。



■まち・むらニュース


・長野県飯田市 遠山の霜月まつり


遠山郷に伝わる重要無形文化財の霜月まつりは、南信濃、上村の各神社で伝承

される湯立神楽(湯を煮えたぎらせ神様に捧げるまつり)。使われる「面」の

構成から4つの様式があり、合計9つの神社で、約2週間も行われる。映画

「千と千尋の神隠し」の原点の一つにもなった。

日程:12月1日?15日 場所:南信州中・稲荷神社、上村上町・正八幡宮など

問合せ:遠山郷観光協会 TEL0260-34-1071

http://www.tohyamago.com/simotuki/index.php



・奈良県 「奈良マラソン2015」


冬の大和路を駆け抜ける「奈良マラソン」は、平成22年に平城遷都1300年を記

念して始められた。世界遺産登録の興福寺、東大寺など奈良公園を走る。沿道

では三輪そうめんやぜんざいの振る舞い。奈良ならではの魅力あふれる大会に

多くのランナーが参加する。

開催日:12月12日(土)・13日(日)

場所:奈良市鴻ノ池陸上競技場?天理市内折り返しコース

主催・問合せ:奈良マラソン実行委員会 TEL0742-81-8752

http://www.nara-marathon.jp/index.html



コラム<象さんの散歩> イチョウを楽しむ


週末は、東京・青山の明治神宮外苑へ。イチョウ並木を訪ねた。高く伸びた

背筋がいい。黄葉は、散って歩道を埋めつつ、並木をもまだまだ美しく飾って

くれていた。車道には色とりどりのクラシックカーが並ぶ。東京は日本晴れで、

雲ひとつなく、広告の白い飛行船が往き、絵のような眺めだった。

だが、歩道はあふれる人だかり。観光バスの団体やらレストランの待ち時間

が1時間半という長蛇の列やら。たまたま、神宮いちょう祭りをやっていた。

イチョウ並木に続く広場にご当地グルメの屋台がひしめき、机と椅子、テント

も用意されて、飲んだり食べたりの大変な騒ぎ。妻・宏子は「イチョウがかわ

いそう。桜のときと同じね」と。おまつり抜きのお花見は少ないお国柄だ。

ことしのイチョウは、新宿御苑、六義園なども楽しませてもらった。さらに、

ときどき出かける東京・八王子の国立昭和記念公園、秩父市のミューズパーク

へも行きたい思いなのだが。一ヶ月前にぎっくり腰をやって、杖を離さず歩く

状態で、なかなか手が届かない、いや足が届かない・・ ∨ 川島正英 ∧



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「奈良県十津川村」から・・

身体の痛みを自分で治す方法を学ぶ、「からだ会議十津川」を開催します。

12月12日(土)・13日(日)十津川温泉 ホテル昴で。無料。

http://www.vill.totsukawa.lg.jp/www/contents/1448874414635/files/siryou1.pdf

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コラム 野口智子<スローライフ曼荼羅> おおむら夢ファームシュシュ

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長崎県大村市「おおむら夢ファームシュシュ」に行きました。この11月、全国

の農産物直売所が競う「直売所甲子園」で優勝したと聞くと、野菜などの売り

場を思いますが、パン工房や行列のできるアイスクリーム屋さん、バイキング

レストラン、農体験、農業塾やらの「農」をテーマとしたワンダーランドです。

数年前と変わらぬ賑わいは世の中のニーズの高まりでしょうか?

http://noguchi-tomoko.com/modules/yutoriaruki/details.php?blog_id=341



■編集室便り


◇わがNPO理事の浦さん肝いりの

 

映画『海難1890』がついに公開。


トルコの船「エルトゥ―ルル号」が、紀伊半島沖で遭難、その乗組員を漁村

の村民が必死に助けた、という話は知られてます。

その後、トルコは日本に恩を感じて、イラン・イラク戦争の渦中、テヘラン

からの空輸で日本人を救出してくれました。


二つの史実に基づいて、国と国との友好を描く映画『海難1890』が完成して

12月5日から、全国で公開されています。


船の遭難で乗組員を救ったのは、現在の串本町にあたる漁村。当NPO理事で

和歌山県出身の浦聖治さん(特定非営利活動法人エルトゥールルが世界を

救う 理事長)が早くから企画し、お金集めなどで推進してきたものです。


その熱い想いは、昨年7月の「さんか・さろん」で語っていただきました。↓

http://www.slowlife-japan.jp/modules/katsudou/index.php?page=detail&bid=213&req_uid=4


迫力ある、すばらしい映画が完成。ぜひお近くの映画館でご覧ください。


『海難1890』配給:東映

http://qwebm.quality.co.jp/mail/u/l?p=bgIUvjv5WDEZ



◇今月の「さんか・さろん」のご案内


12月の「さんか・さろん」は『?和歌山県紀の川市「フルーツ・ツーリズム」

に学ぶ? 市民力の新しい形』です。

当NPO事務局長・野口智子の登場です。


紀の川市「フルーツ・ツーリズム」は、100人の市民ワークショップから出発

した、フルーツをテーマにしたまちおこし。

 世界初めての「ふる?つ茶会」、果物を素材にした料理開発「果物和菓子」

「桃パスタ」「いちじくカレー」「フルーツ寿司」などなど。

果物の絵を公募した「フルーツカレンダー」、さらに「フルーツウォーク」

や「フルーツトレイン」も試みました。


アイディアいっぱいに動き出した果物産地の市民の様子と、そこに至るまで

のお話。 果物をテーマにした笑顔と健康の「フルーツ・ツーリズム」は、

楽しいスローライフのまちおこしの一つの形でもあります。


●日 時:12月15日(火)19時?21時

●会 場:クオリティKK・会議室マーキュリールーム

(千代田区麹町3―3 KDX麹町ビル6F・地下鉄麹町駅からすぐ)

  http://www.quality.co.jp/company/map/map_tokyo.html


●講 師:野口智子さん(ゆとり研究所所長)

千葉市生まれ。1992年にゆとり研究所を開設。独自のワークショップが得意。

2000年からスローライフ運動を始めた。スローライフ・ジャパン事務局長・

副理事長。スローツーリズムを提案しながら、商品開発、人材育成、都市と

田舎の交流、“食”をテーマのまち おこしに力を入れ、紀の川市にも2013年

から関わる。

 

●テーマ:「紀の川市フルーツ・ツーリズムに学ぶ 市民力の新しい形」

●参加費:会員1000円、一般2000円(学生500円)どなたでも参加できます。

●申込み:12月14日までに下記へ。

  メールTEL 03-5312-4141 FAX 03-5312-4554

●詳しくは:こちらから↓

http://www.slowlife-japan.jp/modules/katsudou/index.php?page=detail&bid=292



◇スローライフ・ジャパンへのメールを送るときのお願い。



このスローライフ瓦版は、メールマガジン専用のアドレスからお送りしてい

ますので、このメールに返信していただいても事務局には届きません。

スローライフ・ジャパン、スローライフ学会、この瓦版への投稿などは

こちらまでお願いします。↓



□スローライフ版・IT塾 ——————————————–


Q:エクセルで1つのセルに文字を2行で入れたいとき、書式設定で「折り返

す」を選択して、改行するまでスペースキーを押していますが、セルの幅を変

えるとズレてしまいます。いい方法はありませんか? <編集室:野口智子>



A:Altキーを押しながらEnterキーを押すと、そこで改行されます。こちらは、

余分なスペースキーが入らないのでズレることもなく、後から編集するのも楽

ですので、ぜひやってみてください。



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クオリティライフから・・・

辰巳出版11月20日に発売されたムック本『東京ノスタルジック大衆食堂』の記

者スペシャルコラム「高級デート食堂」の中で、「たまな食堂」が紹介されま

した。http://qwebm.quality.co.jp/mail/u/l?p=TBc_TYP_H20Z

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■私たちはいつもスローライフの動きを応援しています。


鹿児島県

http://www.pref.kagoshima.jp/pr/koryu/index.html

岩手県遠野市

http://www.city.tono.iwate.jp/

和歌山県紀の川市

http://www.city.kinokawa.lg.jp/

奈良県吉野郡十津川村

http://www.vill.totsukawa.lg.jp/www/toppage/0000000000000/APM03000.html

日本テレネット 株式会社

http://www.nippon-tele.net/

クオリティ株式会社

http://www.quality.co.jp/

アース・デザイン・インターナショナル(edi)株式会社

http://www.edi.ne.jp/

株式会社サンクス・ツー

http://www.thanks2.jp/



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