瓦版2017.11.7 第387号

「出雲」の余韻は覚めませんが、今月の「さんか・さろん」のお知らせ・・・
斉藤睦さんに、わが学会代表として韓国・全州市で開かれた世界チッタスロー
(slow city)フォーラムに参加していただいたので、その帰国談をうかがう。
“出雲・談義”は12月「さろん」に延期させてください。(詳細は編集室便り)
・・・

 

コラム<火曜日の鐘> 山下 茂(明治大学公共政策大学院教授)

 

麦酒(+水)についての長話・その11
?「酒」と「水」のマッチング・その2?

 

もう「立冬」だ。気候不順で異常な寒暖差があるよりも、いっそ季節がはっ
きりした方がいいと受け止めよう。昨今は室内ならエアコンが効いているから、
麦酒党は泡立つ香りを寒い時期でも楽しめる。冬が来たとなれば、コタツに入
り浸りでも自分を許すことができる。いい季節になった!よし、カンパイだ!
そこで筆者にとっての問題は、先般来の麦酒と追い水との相性探求作業だ。
前回(9月26日)お話ししたとおり、水道水+地元産麦酒のペアを原水が同じ
だから即OKとするのは思慮不足で単純過ぎる。では、どうすればよいのか?
考えてみれば、フランスだと、葡萄酒は「テロワール」=地元の「風土」を
背負う地酒として育つ。AOC=統制原産地呼称=が各銘柄の付加価値を高め
ている。葡萄酒と乾酪(仏語「フロマージユ」=英語「チーズ」)は、同じ産
地のもの同士がお勧めという認識枠組みもある。各地を旅して、そうした組み
合わせを楽しめる。
我らが地元の麦酒&水は、原水が違っている場合でも、育った「風土」は同
じだ。できたて飲・食料の「地産地消」で、大いに地麦酒と地元食をセットで
楽しめばよい。そうだ!それで相性探求の悩みから脱却できる。(つづく)

 

学会コラム<緑と絆の木陰> 中村桂子(JT生命誌研究館館長)

 

出雲に平和を思いながら

 

出雲の会に拠無い事情があったとはいえ、参加できませんでしたことお詫び
いたします。皆さまの感想を拝読し、いつものように楽しく、美味しい会だっ
たのだなと雰囲気を想像しています。
東京で生れ、そこで育ちましたので、日本海側の冬の暮らしは難かしかろう
と思っています。けれども、というよりそれ故に、北陸・山陰の文化や人々に
は惹かれるものがあります。
実は、家人が製鉄会社の研究所勤めで、今年たまたま製鉄の歴史を調べてお
り、「たたら」の話を聞かされていました。それによりますと、ヒッタイトに
始まる製鉄技術は世界に広まりますが、どこでも大量生産を求めて高炉をつく
り、その主要な用途は武器です。日本は砂鉄があったという事情もあってのこ
とですが、いわゆる「たたら方式」を続け、武器づくりよりは美術工芸品とし
ての鉄器に心を注いだという特徴があるようです。確かに日本刀には美術品の
趣きがあります。茶釜・風鈴などと一緒にその美しさを楽しんでいたのです。
黒船襲来後、ヨーロッパと同じ大量生産の必要性を感じ、釜石に木炭高炉を
作ったのが近代化の始まりだそうです。鉄という素材で武器を大量生産する道
を選ばずに、美術品として楽しんだというところが気に入っています。
その後の流れは欧米化一辺倒でしたが、これも行き詰まっている今、「たた
ら」に21世紀の日本を考えるメッセージを感じます。

 

▽▽▽▽▽▽▽▽

 

 

【逸村逸品】ひとこと紹介 ? http://www.facebook.com/slowlifej
青森市「リンゴタイム」。県産のりんご「ふじ」を丸ごとしぼり、同じく県産
のハチミツとレモン果汁をプラス。栄養価も高いりんごのジュレです。
△△△△△△△△△△△

 

■街角から畦道から

 

遠北 剛(広島市) 鋳物産業の町・可部から「たたら」へ旅して

 

たたら製鉄御三家、田部家、桜井家、絲原家、中でも秀でる田部家のたたら、
車は吉田の町から、山間谷間を縫うように走りやがて菅谷につく。田部家のた
たら(製鉄場)は、大阪夏の陣1615年から江戸期いっぱい稼働し大正後期まで
続くその間300年、歴史としては日本でも最も古い。
屋内に入ると中央にどっしりと炉がうずくまり、それをはさんで二基の天秤ふ
いご、番子が交代で風を送る、「かわりばんこ」はここから生まれたと言われ
る。送風からケラ()が取り出せるまで4昼夜、この一期間を一代と呼び、
やまをとじるまでが八千六百代大正12年まで続く。
一代に鉄4″5トンとれる、要する砂鉄は15トン、さらにそれに必要な木炭が
15トンだから、一年で一山二山丸裸になる、豊かな森を循環利用してきた「た
たら」は神話の時代からの産業、ケラからとれる玉鋼は一割、残るズクは鋳物
産業に、気になるのが玉鋼のお値段、日立金属安来工場で生産されるヤスキハ
ガネ、アメリカのジレットに買われてカミソリの刃になる。一トンで百万枚生
産されることから推測したい。

 

竹内 義昭 カズコさん(135)

 

施設からの連絡帳に、肺炎球菌ワクチンとインフルエンザ予防接種をするかど
うか、との問い合わせがあった。風邪や肺炎は命にかかわるだけに、一番気を
つけなければならない。即座に「体調のいい時に早めにお願いします」と返事
を出した。

 

認知症ではあっても、他の病気はかからぬことに越したことはない。かくいう
私だって、慢性腎不全や膀胱がんを抱える身ではあるが、これ以上病を得るの
は真っ平ごめんだ。

 

それでも今年に入って間もなく、カズコさんの“住む”杉並区から乳がん検診
の案内が届いたときは戸惑った。90代半ばの人にがんを見つけてどうするのか。
乳がんも死に至る病ではあるが、何かおかしい。

 

■まち・むらニュース

 

・奈良県吉野町 紅葉ライトアップ

 

桜の名所として名高い吉野山だが、秋のシーズンも数多くのスポットで見事な
紅葉の風景が楽しめる。11月からはモミジが見ごろとなり、周辺にある神社や
仏閣を巡りながらの散策がおすすめだ。
会期:?26日(日)17時?21時 場所:下千本周辺、金峯山寺、中千本公園
問合せ:吉野山観光協会 TEL0746-32-1007
http://www.yoshinoyama-sakura.jp/koyo2017.php

 

・福井県越前町 越前かにまつり

 

越前がに最大の水揚げを誇る町で開くカニの祭典。中でも一番の目玉は「セイ
コガニ」(ズワイガニのメス)が丸ごと一杯入ったセイコガニ汁。獲れたての
カニが購入できるほか、屋台で旬のグルメも楽しめる。
開催期間:18日(土)・19日(日)9時?16時
会場:越前町くりや 道の駅「越前」駐車場(JR武生駅からバス)
主催・問合せ:越前かにまつり実行委員会 TEL0778-37-1234
http://www.town-echizen.jp/event/detail.php?128

 

コラム<象さんの散歩>

 

司会役の泣き笑い

 

「出雲の國フォーラム」で、私は総合司会を引き受けた。コーディネーター
とかパネラーなど、わが考えを会場のみなさんに語る役割は、高齢族には無理
だから、せめて、開会の言葉、閉会の感謝の言葉でひとこと、というわけだ。
補佐役に大野和子さん(出雲市役所・政策企画課課長補佐)も。だが、私は
台本嫌い。筋を変えたりアドリブを入れたり、大野さんを泣かせたかな・・。
私が泣いたのは、「閉会の言葉」の時間。パネル討論が長引くのは毎度のこ
と、終了予定時間は過ぎ、結局「パネラーのみなさん、実のある論議でした。
市長さん、町長さん、がんばってください。会場のみなさん、ありがとう」と
大急ぎで。それでも、スローライフの意義について、何とか、ひとこと。
神野直彦先生が、基調講演で、たたら文化、ふるさと創生の現代的意義を語
って、筑紫哲也の著書を引用、「スローライフまたスローフードは、古の文化
の中から甦る」と。私は、そこをさらに強調、「スローライフは、ヨーロッパ
ではルネッサンスにたとえられる」。出雲の國への期待を込めた。
筑紫君とは、朝日新聞政治部時代、二人で仕事を、いや、お酒を楽しんだ。
この世紀をにらんで、語らって、日本でもスローライフの動きをつくりだそう、
と自治体と懇談したり、フォーラムを開いたり。年齢は、私より二つ下だ。
その筑紫君が逝って9年。命日は、きょう11月7日・・ <川島正英>

 

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コラム 野口智子<スローライフ曼荼羅> 1時間の森歩き

 

北海道阿寒湖温泉の森を散策しました。冬枯れの森は見通しがよく、積雪がま
だなので熊笹の緑も鑑賞できます。湧水の流れには水芭蕉の株、硫黄の匂いの
先には熱い温泉ガスの湧く“ボッケ”という名の泥沼があり、王様みたいにそ
びえる大木や絨毯のような枯葉も見られました。仕事に追われる日々、こんな
世界があるのを忘れていました。森の力で、1時間で、元気を取り戻しました。
http://noguchi-tomoko.com/modules/yutoriaruki/details.php?blog_id=439

 

■編集室便り

 

▽今月の「さんか・さろん」(11月21日)は
韓国で今月初めに開かれた「世界スローライフ会議」について
学会代表として登壇してもらった斉藤睦さんの帰国談です。

 

各国から集まった代表と交わしたスローライフ談義もさることながら、
ソウルから離れた地方都市・全州市などの地方都市へ旅をしての見聞など、
「むつみ節」をたっぷりと‥。

 

・日 時:11月21日(火) 19時?21時
・講 師:斉藤睦さん(地域総合研究所 所長)
・会 場:クオリティKK・会議室マーキュリールーム
(千代田区麹町3?3KDX麹町ビル6F・地下鉄「麹町駅」すぐ)
http://www.quality.co.jp/company/map/map_tokyo.html
・会 費:会員1000円、一般2000円(学生500円)
どなたも参加できます。
・申込みはメールかお電話で
メール
TEL 03-5312-4141 まで。

 

▽出雲の國フォーラムご参加の方からの感想が届きました。

 

小林詳子さん(宇和島移住コンシュルジュ、雲南市出身)

 

この度は、素晴らしいツアーに参加させて頂きまして、誠に有難うございまし
た。至れりつくせりの内容で、お世話役の皆様は、大変だったと思いますが、
美味しいご馳走を、腹一杯頂いたような、贅沢な気分にさせていただきました。
最初は迷いもありましたが、地元の新たな発見のある貴重な旅となりました。
身近過ぎて、宝を空気のように感じていたところがあったと思います。おとな
がそうだから、子どもに伝わっていなかったかもしれません。地元の友人も来
てくれて、日頃あまり参加しないようなフォーラムに、刺激を貰ったようでし
た。これからも、自分にできる役割を見定め、進化していきたいと思っており
ます。

 

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■私たちはいつもスローライフの動きを応援しています。

 

岩手県遠野市
http://www.city.tono.iwate.jp/
和歌山県紀の川市
http://www.city.kinokawa.lg.jp/
奈良県吉野郡十津川村
http://www.vill.totsukawa.lg.jp/www/toppage/0000000000000/APM03000.html
奈良県
http://www.pref.nara.jp/
雲仙市
https://www.city.unzen.nagasaki.jp/
飯山市
http://www.city.iiyama.nagano.jp/
出雲市
http://www.city.izumo.shimane.jp/www/toppage/0000000000000/APM03000.html
日本テレネット株式会社
http://www.nippon-tele.net/
クオリティ株式会社
http://www.quality.co.jp/
アース・デザイン・インターナショナル(edi)株式会社
http://www.edi.ne.jp/
株式会社サンクス・ツー
http://www.thanks2.jp/

 

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