「またトラ」から1カ月余り、暗たんたる日々が続きます。そんななか、2月21日付の毎日新聞に「トランプ時代の生き方」という中村桂子・スローライフの会共同代表の大型インタビュー記事が載っていました。真のリーダーの不在を指摘し、国際協調の大切さの実例を引きつつ、生命40億年の歴史を踏まえた考え方を説いています。まさに、その通りと何度も膝を叩く、納得と共感のオンパレード。何とか、トランプ氏に読ませたい。(記事の写真は「編集室だより」に掲載)
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『緑と絆の木陰』
消えゆく社員食堂
増田寛也 (日本郵政社長、スローライフの会共同代表)
全国各地の郵便局に出かけることが多い。地方の小さな2人局もあれば、1000人を超える社員が24時間、365日働いている局もある。郵便局は全国で約24000局。その位置を紙にプロットすれば、それだけで日本地図になるほど多い(別添の図がそれです)。
各地の郵便局回りをしていて、気になることを一つ。郵便物の減少や書状区分機の性能が格段に向上したため社員数は減らしているが、数年前まではおおよそ500人以上の局には、だいたい食堂があった。焼き魚や唐揚げなどの定食がワンコイン、ラーメンなどは300円台が主流で、財布にとても優しい。勤務時間が不規則な社員もいるので、皆に重宝がられていた。ところが残念なことに、最近、続々と食堂が閉鎖されている。高齢化で後継ぎがいない、採算が厳しいなど理由は様々だが、そのスペースに自販機が並んでいるのを見るのは寂しい。
「会社で補助したら」という意見もあるが地方都市ではそもそも担い手が少なく、継続が難しい。私も郵便局訪問の際に時間帯が合えば、極力、食堂で食べ、併せて社員の感謝の気持ちを賄いの人に伝えるように心掛けている。
地方都市は、多くの問題を抱えている。高齢化が進み、買い物支援、足の確保、病院機能の維持が急がれる。それらに比較すれば、社員食堂の撤退などは取るに足らない問題であろうが、こんな小さな変化が積み重なって街の活力の低下になっていくのだろう。
ここまで書いたら、東京・目黒区自由が丘駅前にある「不二屋書店」閉店のニュースに接した。創業100年を超える老舗書店で、私が小学校に通っていた子供の頃からお世話になっていた本屋である。街の書店は地方都市だけでなく大都市からも姿を消しつつある。地域の文化拠点の消滅は、人の生き方や存在そのものにも大きな影響を与える。今回は紙面が尽きたので、次回この問題に触れてみたい。

<あっちこっちで多事争論>
私の新たな勉強の場
石井みな子 (東京都 株式会社パーティ・フー代表)
200年にわたって代々、品川区に住みながら、地元への貢献など少しも考えずに30年も国内外を飛び回ってきた私に突然、品川区とのご縁ができたのは8年前のこと。NPO品川女性起業家交流会理事長への就任依頼だった。
品川区は15年前から二人の女性副区長が続き、全国でいち早く女性起業家育成事業に着手した。「好きなことで起業」をキーワードに、保育施設付きの8階建て創業支援センターを設立し、昨今の女性活躍時代まで多くの多様な女性起業家デビューを支援し続けている。
しかし、いつの時代もかわらぬ厳しい事業の世界。絵に描いた餅の計画も多く、女性ならではの壁や悩みも立ちはだかり、お悩み相談、お仲間つくりの「場が欲しい」などなど、甘えも多い(と私は思う)(苦笑)。
そんなニーズの受け皿が、わが交流会である。20年前に伝説の女性実業家理事長により、多種多様な自営業12名を会員に発足。その理事長のバトンを託されたのが頼りない私(また苦笑)。
それでも今や時代が追い風となり、会員は70名を超え、その勢いが止まらない。ここ数年は、女性ならではの発想と実行力にて、起業から会社経営にステップアップする会員も多くなった。アドバイスを求められる理事長としての私の役割は、みずからの38年の経営実感から、その会員の夢と強みを共有し「あなたならきっと出来る!」と占い師のように元気に一言アドバイスを伝えることである。
しかし、このアドバイスを一言に集約するのが大変難しい。この活動は私の勉強の場であると感じ入り、お役目を与えて頂いた皆様に感謝するこの頃である。
「しぞ~かおでん」と「陸前高田漁師のおでん」(下)
ほんだゆかり (静岡市 静岡スタイル代表)
なぜ、真っ黒な「しぞ~かおでん」ではなく、岩手県の海産物おでんを売っているのか。この話は駿河湾でのみ漁獲できる「桜海老」の漁師をしているHから始まる。2011年、東日本大震災の津波で、陸前高田の漁師さんたちの船はことごとく流されてしまって、漁ができなくなっていた。このとき静岡・由比漁港の漁師たちが、何艘かの船を岩手に届けたのだ。船が手に入って喜んだ陸前高田の漁師さんたちを、次に悩ませたのが、風評被害だった。
せっかく手に入った船で獲ったタコ、震災でだめになってしまった養殖棚を再建してやっと出荷できるようになったホタテ。せっかく採れるようになったのに、風評被害で買ってくれる人がいない……。
そんな話を、Hから聞いた料理研究家のM。「それじゃぁ、自分たちが、タコやホタテを使ったレシピで、おでんを仕込み、おでん祭りで売ろう」そんなふうに始まって、その後、盛岡まで出かけて「しぞ~かおでん」の屋台をやったり、陸前高田から静岡まで屋台を手伝いにきてくれたり。いまだに交流が続いている。今年もそろそろ(2月28日)、「おでん祭り」。ぜひお出かけになって、真っ黒おでんと、陸前高田漁師のおでん(写真)をぜひ召し上がれ。
 
公民館ぽい? 洋品店の想い (上)
入山寛之 (群馬県富岡市 洋品店いりやま代表)
人口約45000人。群馬県富岡市の商店街で、中高年の肌着や洋服から学校の制服、体操着も扱う『洋品店いりやま』を営む私は、ただ服を売るだけではない地域での役割を探しています。
『出会いの場』 偶然、知り合いに会って仲間の輪や話が広がる。いりやまではよくある光景です。しっかりと約束して会う場ではなく、人がゆるやかにつながれる場をつくりたいのです。
『会話と健康』 お店の中では家族のことや地域のこと、病院の話など、洋服の話以上に話が弾む・・・。いりやまは会話の宝庫です。楽しいおしゃべりは健康のもと! そんな場になりたいのです。
『情報』 洋品店では売っているはずのないものや、地域のイベントの問い合わせを良くいただきます。自店の商売とは関係ないこともできるだけお伝えできるようにしています。いりやまに聞けばきっとわかるよ・・・。そんな場になりたいのです。
『交流』 地域のイベントに楽しくかかわっています。交流が生まれ楽しい思い出がふえる。そんなお手伝いがしたいのです。
いりやまは、お客様の笑顔があつまる楽しい職場です。だからこそ、ただ服を売るだけでなく、楽しく働けるお返しに、みんなのくらしがちょっと豊かに快適に、そして楽しくなったらいいなぁと思っています。
みなさんとニッコリお会いできる日を楽しみにお待ちしています。(つづく)


気づけば25年
坂田啓子 (佐賀市 スローライフの会会員)
私が25年続けている、ちょっとスローなことをご紹介します。
「健康とは 生理的に正常 物理的に適量 機能的に能動 体力的に旺盛 精神的に自由 であること」を理念とした『体操三井島システム』です。
鹿児島大学の体育の先生だった故三井島智子名誉教授がつくられた「体力をつける体操」を1時間、「筋力をつける体操」を30分、週に一度行っています。会場は地域の公民館です。
ずいぶんと前、夜10時頃までの残業が続いていた時、きつくてきつくてたまらなかったのですが、年に1度、県内の教室合同で開かれるこの体操の練習会(佐賀県内の実践者は約600人、東京都内も約600人)に無理して参加したところ、驚くほど心も体もスッキリとなったことがありました。疲れを取る方法は、横になるばかりではないことを体感したのです。本当に驚きました。
地道に続けているおかげで、少し前に測った体力年齢は30代!(実年齢は?)。階段や坂道などでは、知らず知らずに人を追い越してしまっています。「私たち、絶対に介護保険事業に貢献しているよね」と話しています。
北は栃木、茨城から南は鹿児島県沖永良部島まで、少人数での教室がありますので、お近くにもあるかも。継続することは力になりますね。
キッズおしごと体験
小松崎いずみ (埼玉県越谷市 スローライフの会会員)
越谷市商工会議所青年部が主催する「こしがやビジネス×キッズフェス~わくわくいっぱい!おしごと体験」が3月に開かれます。市内外26の事業者が参加し、子どもたちがさまざまな職業を体験できます。2月1日に申し込みを開始したところ、10日足らずでほぼ満席になりました。
当日は体験する子どもたちのお客様も募集しています。体験内容は、ラジオ生放送リポーターやお菓子屋さん、ヘアセット、ペットシッターなど多彩。ペットシッターの杉山知子さんは「動物とのふれあいが子どもの心の成長につながる」、婚活サロン経営のおやちあきさんは「ヘアセット体験で普段との違いを楽しんでもらいたい」と話します。
広報委員長・浅沼奨さんは「地域の魅力を感じ、具体的な夢を持ってほしい」と願い、藤森洋佑会長は「子どもたちの未来に何かを残したい。このキッズフェスが10年後、アルバイトや就職のきっかけになると嬉しい」と意気込みを語ります。青年部の仲間と共に、楽しく成功させたいとのこと、賑やかなイベントになりそうです。
写真は、会議中の青年部のみなさんと、ヘアセット練習中の様子。
https://koshigaya-cci-yg.com/news/2025/2292/


田舎の人の噂好きについて (下)
小畠 祥 (高知大学3年 地域協働学部地域協働学科)
噂好きに対する私の3つの仮説は①農家さんが多いから②親戚が多いから③独居の方を見守るため、です。
まず、自分の住んでいる集落にはニラ農家さんが多く、たくさんのハウスがあります。集落のお父様方はよく「〇〇さんのとこのニラは質がいい、きっと◇◇しているからだ」というような噂話をしています。これは、噂話を通じて他の農家さんの状況を知り、自分の畑に役立てているのだと思います。
次に、集落のみなさんはほとんどが親戚同士だというのも噂好きの理由だと考えます。集落の大半は他人ではないため、皆の近況について気になるのでしょう。
最後に、集落の方は独居の高齢者の方を見守るために噂話をしているのではないかとも考えています。「□□さんは今日も散歩していた」のように、集落に住む独居の方についての噂話も定期的に聞きます。これで、その方についての安否確認ができます。実際、行政の職員や区長さん、民生委員さんも周辺住民の噂話から独居の方の情報を得ている場面を見ます。
以上が、私が田舎に住んでみて考えた、田舎の人が噂好きになる理由です。
春になったら行きたい所
吉村るみ子 (高知県梼原町民)
補助ロープを握ってハア~ハア~と坂を登ると、そこには、赤樫の大木が点在する原生林がありました。一度立ち止まり、「すみませんお邪魔します」とご挨拶をしてから歩きださないといけないような空気感を感じます。
誰に向かって挨拶するの? と聞かれると森全体です。
風で葉の擦れる音や鳥の声は聞こえるけれど静かで、自分の足が土や落ち葉を踏む音が聞こえる。蛇が落ち葉の上をすべるように通る音が聞こえる。見えないが腐葉土の下には大木の根が伸びているのでしょう。
見上げると重なりあった葉は、どの木のどの枝から出ているのかわからない。空は青くて遠い。この匂いは何の匂いだろう。この森のマザーツリーはどこだろう。教えてもらえそうな気がして近くの木に抱きついて耳を当ててみる。ミズキなのか木の中で水が流れているような気がしました。
一緒に行った仲間も言葉なく全身が森と同化しようとしているように見えました。
こんな体験のできる原生林が梼原町松原にあります。樹齢数百年の針葉樹、広葉樹が混生している後世に残す森です。
みなさんも一度、いらっしゃいませんか。

『スローライフ曼荼羅』
心温もる農家民宿「かじか」
野口智子 (ゆとり研究所 スローライフの会共同代表)
ファンヒーターの前に象の鼻のような武骨な装置があり、熱風がコタツの中に誘導されている。夕飯は民宿ご夫婦と一緒に、地鶏の鍋を囲む。古い大きな部屋は寒いので電気毛布に頼る。朝、「寝坊したわ~」とご主人がニコニコ。こんな風に、効率的でスタイリッシュではないけれどなんだか心が温まる、そんな宿はいい宿だと私はいつも思います。京都府綾部市水源の里「市志」、農家民宿「かじか」で。https://noguchi-tomoko.com/post-10726/
■■つべ小部屋■■
危うし、日本学術会議
つぼいゆづる (スローライフ瓦版編集長)
政府は今国会に日本学術会議の特殊法人化法案の提出をめざしている。新年度予算案をめぐる与野党の綱引きほどは耳目を集めていないが、国の根っこに関わり、その在り方を方向づける大きな問題だと考えている。
もうお忘れの方も多いと思うが、発端は2020年の菅首相による学術会議会員6人の任命拒否。そして、拒んだ理由を明らかにせぬまま学術会議の組織改革を言い出し、有識者懇談会を設けて議論し、昨年末に最終報告が出た。政府はそれに基づいて法案をつくった。
どう見ても、どう考えても引っかかるのは、6人の任命拒否の理由を示さない点だ。この6人を外す理由こそ、組織を変えたい理由のはずなのに、それを伏せたまま組織いじりをゴリ押しできると考える政府の傲岸さは目に余る。
これに対して、学術会議の歴代会長は先週、「活動面での政府からの独立」や「会員選考における自主性・独立性」が確保されていないとして法案提出に反対する声明を発表した。その記者会見では、学術会議の歴史的な経緯や法的位置づけの変遷を説明しつつ、政府の強引さを強く非難した。
だが、世論の関心はずーっと低い。日々の暮らしに追われる人々にとって、学者先生の会議のことなどどうでもいい、ということなのだろうか。しかし、政府が理由を示さずに、政府の都合で、政府に都合のいいものをつくれる社会は不気味すぎる。心底、怖い。
最後に、学術会議の2代前の会長の山極壽一・京大前総長が先の記者会見に提出した一文「大いなる疑念と懸念」から引く。
「私が懸念するのは、『理由なき任命拒否』という新たな文化がアカデミア全体に広がることです。これはアカデミアの学問(研究・教育)の自由と組織の自律を根幹から揺るがす事態に発展します。民主主義を標榜する国家は、アカデミアが尊重されることなしには成り立ちません。権威主義の国家ではすでに学問を政府が統制しており、民主主義国家でもその傾向が現れ始めています。今こそ日本は民主主義国家として正当なアカデミアを抱く世界の先頭に立つべきではないでしょうか」
<編集室だより>
▽中村桂子さんが毎日新聞(2/21)朝刊に大きく
今回の巻頭でご紹介した中村桂子さん(JT生命誌研究館名誉館長、スローライフの会共同代表)の記事です。ぜひ皆さん、お目通しください。

▽2月の「さんか・さろん」は盛り上がりました。
2月18日の太田民夫さん(ジャーナリスト、スローライフの会会員)の「さろん」には、22人が申し込まれました。広島県福山市鞆(とも)町について取材され、【報告「鞆はいま」―スローライフ 本当の強さー】として、万葉集にもうたわれた鞆の歴史から、今、そしてこれからについて、詳しいお話がありました。参加者から届いた、感想の一部をご紹介します。
<感想>敬称略
〇中川佳美(株式会社パーティ・フー 広島支社)
太田様の細やかに取材された鞆の歴史観や、これからについて。また他県から移住された女性の「伸びしろのある町だから」のお言葉も心に残っております。またアカデミックな会話も、刺激になりました。素敵な皆様のサロンに参加させていただき、ありがとうございました。
〇小畠 祥 (高知大学地域協働学部3年)
大変面白かったです。鞆町の潮まちの港としての歴史や近世港町としての価値についてお話を聞き、実際に行ってみたくなりました。また、自分の住んでいる集落にはどんな歴史があったのだろうと興味が湧いてきました。大学の研究室に農民史があったためじっくり読んでみようと思いました。
〇濱手英之(岡山歴史研究会)
太田様の鞆の浦の話、今の鞆の浦が良く伝わって来ました。ありがとうございました。昨年、同じく瀬戸内沿岸で汐待の港?御手洗(みたらい)がある「とびしま海道」に初めていきました。海の美しさが際立ち、重要伝統的建造物群保存地区に指定されてますが、とても穴場の良いところと感じました。また、初詣は、兵庫県赤穂市室津の賀茂神社に初めてお参りしたのですが、こちらも古き、よき瀬戸内の湊の趣がたくさん残っていて驚きました。写真を添付いたします。古い湊は想像力を掻き立てますね。鞆の浦には数年以上行っていないので、今年は必ず行きたいです。保命酒を買ってきます!

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