瓦版2025.6.10 第736号斉藤睦さんほかコラム多数。

 この瓦版が届くころ、みなさんの地域は梅雨入りしているでしょうか。一方、もはや梅雨明けした地域もあります。梅雨、入梅とこの時期は、「梅」の字が使われるだけあって、各地で『梅仕事』が盛んですね。じめじめした季節、梅の香りでせめて気分だけでもさわやかに。(写真は京都府綾部市あやべグンゼスクエア「綾部バラ園」)

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『緑と絆の木陰』

散歩のひとりごと

  斉藤 睦 (地域総合研究所顧問)

 ほぼ毎日、散歩をしている。すると、一応、季節の変化が肌で感じられる。

 一応とつけたのは、以前であれば、四季の変化をもっとゆっくりと感じられたのに、なぜかあわただしい。春寒の翌日には夏日だといい、日替わり天気に振りまわされる。

 日本は春と秋がなくなって、二季になるのだという専門家もいる。日本のもっとも美しく風情豊かな春と秋がなくなるとは。

 一方、散歩で見かける花や木々は、この無茶苦茶な気候にも関わらず、少しでも隙間があれば根を張り、花を咲かせ、種をはこばせる。地球上に5億年前から登場したといわれる植物たちの生存戦略は、なかなかにしたたかだと、いつも感嘆する。

 他方、植物の生態を利用して人間が作り出した農業はこの気候変動には、まったくついていけてない。のんきな私でも、食糧はどうなってしまうのだろうと考えざるを得ない。

 先ごろ亡くなった世界でもっとも貧しい大統領といわれたムヒカ氏は「われわれは発展のためにここの星にきたのではない。幸せになるために生まれてきたのだ」といった。

 人類が誕生して500万年。発展を追求した結果、変えてしまった地球環境。

 では、発展とは異なる幸せとは……。考えだすと散歩ものどかではなくなる。うーむ。

 

 

<あっちこっちで多事争論>

「愛し、愛されたあなたへ」短歌が映す愛のかたち

  朝路千景 (東京都 スローライフの会会員) 

 このたび私の短歌を一冊の歌集『愛が言うには』にまとめました。自分でデザインした表紙と温めてきた作品をようやく紙のかたちにできたことを嬉しく思います。

 歌集のテーマは「愛」。渇愛、性愛、純愛、慈愛、四つの愛を軸に全200首の短歌を収めています。100首は2024年から約一年間インスタグラムに掲載したもの。あとの100首はこの本のためだけに書き下ろしました。渇いた唇に触れたのは初夏の海辺で揺れる肌、砂漠の祈りの幻、花びらの片想い、そしてあなたを呼ぶ声。海、花園、砂漠、星空、さまざまな風景に感情を重ねながら、一つ一つの歌を紡いでいます。

 表題歌は「奪いたい触れたい寝たい殺したい慈しみたい 愛が言うには」

 人を想うことは時に祝福であり、時に呪いでもあると考えています。それでも愛の存在を願わずにはいられないのが私たち人間なのかもしれません。短歌を詠むと誰かを思い出す瞬間、手に残った温度や言葉にできなかった想い、そんな「ひととき」の記憶が短歌の中に宿ることがあります。歌集をめくるたび誰かを想ったあの瞬間の気持ちがふと蘇るきっかけになれば、こんな嬉しいことはありません。愛し、愛されたすべてのあなたへ。心をこめてお届けします。(写真左、右は同時発売の歌集)

 書店ではなく、ネットでお買い求めいただけます。

ショップURL https://chikagetanka.base.shop/items/107949414

Instagram URL https://www.instagram.com/chikage_tanka/

カラスを食べる怪物

  高橋征吾 (東京都 スローライフの会会員)

 少し前、テレビのバラエティ番組が中国人女性の「中国ではあまりカラスが飛んでいない」「なぜならみんな食べてしまうから」といった趣旨の発言を捏造したことが問題になりました。この不祥事は、いちスタッフの不始末では片付けられない問題があると思いました。

 会沢勲編著『アジアの交差点 在日外国人と地域社会』(社会評論社)では、人間に潜む他者への偏見を「怪物」と評しています。この怪物はただ恐ろしいだけのモンスターではなく、飼い慣らすことで宿主に快楽をもたらし、その思考を支配するという厄介な性質を持っています。

 私たちはテレビ、新聞、SNS、インターネット、噂話など、日々さまざまな手段でこの怪物に餌を与えています。これは時代・場所を問わないようで、「移民がペットを食べる」などと主張した人物が大統領になってしまった国すらあるほどです。

 日本における「移民」の数は、移民政策を表面上は否定した第二次安倍政権下で拡大の一途を辿ってきたわけですが、そこには経済界の強い思惑があったと言われています。そして「自分たちのやりたくないキツイ仕事を安い賃金で文句も言わずやってほしい」という私たちの社会の本音も否定できません。

 では今後、我々は移民をどう受け入れるか、もう受け入れたくないのか、オーバーツーリズムをどうするのか、労働力として、隣人として外国人とどう共存していけるのか? これらの問題を避けては通れない時代です。とりわけ冷静な議論が求められるからこそ、この偏見という肥え太った怪物がいつの間にか色眼鏡として自分の意識の中に居座っていないか、改めて自戒したいものだと思いました。

清水港ならでは

  坂野真帆 (静岡市 そふと研究室)

 近年、清水港へのクルーズ船の寄港が急増しています。コロナ禍が過ぎたあと、2023年度は57隻、24年度には87隻が寄港し、今年度は109隻が入港予定です。

 「船が駿河湾に入っていくときに迫りくる富士山の姿」は清水港ならでは。下船する乗客も多くが三保松原、日本平など、富士山の眺望ポイントをめざします。日本平と国宝社殿を有する久能山東照宮を結ぶロープウェイが1時間以上の待ち時間となり、オーバーツーリズムか、との声まで聞かれるようになりました。

 今こそ定番以外の見どころ、静岡市ならではの景色や食、体験などを紹介し、出港までの限られた時間内に静岡を十分楽しんでいただきたい。あわせて地元への経済効果も創出したい。遅ればせながら静岡市では、4月から港に観光案内所を設置して、乗客に向けて地元民お勧めの情報を発信し始めました。

 マルシェの出店やタクシー手配等の民間事業者や通訳ボランティアなど、静岡市民も多く港に関わるようになりました。また、一般市民も足を運び、海に浮かぶマンションのごとき客船を眺めたり、夕闇に汽笛を鳴らし出港していく船を見送ったり。

 ボン・ヴォヤージュ! 静岡市の海の玄関口、清水港に市内外から注目が集まっています。

「自然」で結集した文様のドキュメンタリー

  太田民夫 (神奈川県 スローライフの会会員)

 京都に「唐長(からちょう)」という手摺りの唐紙をつくる工房がある。当会でもなじみの綾部の黒谷和紙、文様を彫った板木、塗料が材料のすべて。前当主の千田堅吉さんは「これらはすべて自然からいただいたもの。板木に彫ってある文様が主役です」と伝統技術を守ってきた。

 唐紙づくりを中心に文様の世界を描くドキュメンタリー映画「フィシスの波文」が2024年に公開。題名のフィシスは古代ギリシャ語で「あるがままの自然」。いまも巡回上映中で、5月のある日、御茶ノ水の音楽スタジオで見た。

 映画の冒頭、彫りこまれ文様に絵の具をつけた版木を作業台に置く。その上に和紙を静かに当て、両手で優しく摺る。シュシュ。板木の文様が和紙に写し取られていく。

 こうした作業は400年変わらない。唐長は江戸時代のものを含め板木を650枚所有する。和紙に写し取られた文様の多くは襖に張り付けていく。最近では京都・二条城の雲鶴の間などの襖にも使われた。

 映画の企画・制作は河合早苗さん。イタリアでデザイナーとして働いているときからケルトの文様などを研究してきた。「1万年前から現在まで、先人が残されたお仕事(文様)を世界中でご紹介するのが、私の使命です」。すでに海外で4か所、7月にはアイルランドの映画祭でも上映される。監督は茂木綾子さん。「自然」をテーマに最近では北海道の「森」にこだわり、「人間目線をなくすように撮りました」。音楽はギタリストで即興音楽を得意とするフレッド・フリス。当日はフリスのレコーディング風景も併映された。

 

お茶どころでウォーキング

  小牟田弘子 (長崎県雲仙市 スローライフの会会員)

 5月17日にJR九州ウォーキングに参加しました。今回は長崎県東彼杵町で、千綿(ちわた)駅から彼杵(そのぎ)駅までを歩くコースでした。

 通常のコースの場合は距離が約6.0㎞、所要時間は約2時間が目安となっていましたが、東彼杵町は長崎県内のお茶どころとして知られており、その茶畑を一望できる「チャレンジコース」(約9.0㎞、約3時間)があるということで、そちらを歩いてみました。

 途中までは通常のコースと同じでしたが、チャレンジコースに入ると突然坂道になり、思っていた以上に体力が必要でした。

 しばらく坂道を歩くと、一面の茶畑が見えてきました。空と海と茶畑を一望できる素敵な景色で、頑張って歩いて良かったです。

 ゴールの彼杵駅付近では「そのぎ茶市」が催されていました。お茶だけでなく、海産物やテイクアウトできる料理など、色々なお店が出店され、多くの人で賑わうなかで一休みして帰宅しました。

 今回、歩いた距離は22,630歩。翌日は筋肉痛で苦しみましたが、とても良い1日を過ごすことができました。

第17回全国水源の里フォトコンテスト

  全国水源の里連絡協議会 (京都府綾部市)

 全国水源の里連絡協議会では、令和7年6月1日よりフォトコンテストの作品募集を開始いたしました。私たちの組織は、過疎高齢化が進み、集落の維持が困難な地域を「水源の里」と位置づけ、「上流は下流を思い、下流は上流に感謝する」との理念のもと、集落再生に向け取り組みを続けております。

 毎年開催しております「全国水源の里フォトコンテスト」も今年で17回を数えます。四季折々の様々な表情、息をのむような刹那の瞬間、景色・祭事・人・こと。水源の里の魅力が表現された写真作品を広く募集します。

 フォトコンテスト作品募集の詳細につきましては、当協議会公式ホームページよりご確認ください。また、ホームページでは過去の入賞作品もご覧になれます。この機会に日本各地にある水源の里の魅力に触れてみてはいかがでしょうか? たくさんのご応募をお待ちしております。

※募集期間は令和7年6月1日~8月31日(最終日消印有効)となります。

全国水源の里連絡協議会 https://suigennosato.jp/

【公式】全国水源の里 フォトコンテストInstagram

https://www.instagram.com/suigennosato.photocontest/

全国水源の里連絡協議会 フォトコンテスト事務局

TEL:0773-54-0095 E-mail:ayabesuigen@city.ayabe.lg.jp

『スローライフ曼荼羅』

82歳で訴えること

  野口智子 (ゆとり研究所   スローライフの会共同代表)

 「もう歳だから」と人生そこで、緩めてしまう方が多いものです。でも、社会に訴えることを諦めない方もいる。八重樫信之さん、ハンセン病の問題を長年追ってきた高名な写真家。82歳。有名でも、高齢でも、皆と同じく名前を伏せて、公募写真展に出し、入選。病床から応募した、その2週間後に亡くなられたそうです。最後の発表作でしょうか。人間は最後まで訴えることができる、そうすべきだ、と学びました。作品はいま都立美術館「視点」展に飾られています。https://noguchi-tomoko.com/post-10805/

■■つべ小部屋■■

そして、どうなるの

  つぼいゆづる (スローライフ瓦版編集長)

 国会は6月22日に閉じる。いよいよ最終盤にさしかかり、内閣不信任案が政局の焦点になってくるのを見ながら、ため息をつく。結局、こうなるのか、と。

 1月28日付の小欄に「通常国会、3つのヤマ場」を載せた(HP参照)。①「新年度予算案の衆院通過」②「予算成立」③「国会の会期末」。①は日本維新の会が賛成に回って通過。②は企業・団体献金の結論を得る期限だったので「与野党とも譲れない一線をめぐる攻防」と書いたが、国民民主党が与党に加担する形で温存が図られた。

 ③は「野党が選択的夫婦別姓問題の採決を迫り、賛成の公明党に揺さぶりをかけるだろうが、最大の関心事は衆参ダブル選挙をするかどうか」としたが、案の定、選択的夫婦別姓の導入は維新と国民民主が同調せず、またまた先送りだ。

 少数与党の石破政権は、野党がバラバラに功を競う構図が生んだ「奇妙な安定」のもとで、なんだかんだと会期末まで持ちこたえてきた。

 で、どうなるのか。あの裏金問題を解明することなく企業献金の維持を図る一点だけでも内閣不信任に値すると思うので、立憲民主党に不信任案を出さないという選択肢はないと考える。提出されれば、それに反対する理屈を他の野党が唱えるのも、参院選前だけに容易ではないだろう。かくなる上は衆参ダブル選挙か、となりそうだが、ことはそう単純ではない。まあ、結論は次号(6/24付)では出ている。

 こんな話題がメディアにあふれるなか、「学問の自由」を根幹から揺るがす日本学術会議の特殊法人化法案が成立しそうなことが、いま一番怖い。

<編集室便り>

▽本のご紹介

 編集長のつぼいゆづるが、ちょっと執筆にかかわった本が刊行されました。勤めていた朝日新聞の現役記者とOBたちが書き分けた『今さら聞けない 日本政治の超基本』(朝日新聞出版、1540円)です。「政治への苦手意識を打破する入門書」という触れ込みで、つぼいは地方自治に関するページを担当しました。

▽6月の「さんか・さろん」はスローライフの会会員、石井みな子さんのお話です。

 女性視点の企業として日本の草分け的存在パーティ・フーを率いる、石井さんのお話を詳しくうかがいましょう。

詳しくはこちらから→  https://www.slowlife-japan.jp/2025/06/08/%ef%bd%93-348/

 

日時:6月17日(火)19時から、Zoomで

タイトル:「女性活躍でもっとわくわく創出事業を!」

講師:石井みな子さん/スローライフの会 会員、株式会社パーティ・フー代表取締役社長 http://www.party-fu.com/

参加費:会員1000円、一般2000円。年間参加費3000円をお納めの会員はそれで結構です。

申込:6月14日(土)までメールで→     slowlifej@nifty.com

 

▽5月の「さんか・さろん」をYouTubeに載せました。

 

タイトル:「地震予知の絶望と希望ー亡国の南海トラフ・首都直下地震が来るー」

講師:佐藤義孝さん/スローライフの会 会員、株式会社ワイズ・ナビ 代表取締役社長 https://wise-navi.co.jp/

こちらをご覧ください。

https://www.youtube.com/watch?v=fxY3D6iAOOo

 

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