瓦版 2026.4.28 第757号 川島英樹さんら、コラム多数。
瓦版 2026.4.14 第756号中村桂子さんら、コラム多数。


スローライフの会も遅まきながらというか、ようやくやっと、インスタグラムを始めました。できるだけ多くの方々に、この会を知っていただく「きっかけ」にしたいと思います。面白くて、人目を惹きそうな写真を中心に掲載してゆきます。みなさまからの「投稿」も大歓迎です。これは、というものを、ぜひ事務局にお送りください。よろしくお願いします。
*写真は米国サンタクララ市のFamar’s marketのベリー。=つぼいゆづる写す
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●感想を下記までお寄せください。
slowlifej@nifty.com
●会員の方からの投稿をお待ちします。次回は6月4日(木)が締め切りで、6月9日(火)に配信します。
『緑と絆の木陰』
中国の知恵に学ぶ
神野直彦(東京大学名誉教授 スローライフの会顧問)
まもなく、私は東大附属病院の眼科で右眼の手術の日取りを決めることになる。東大の研究者の多くが既に、中国の人たちによって担われている。私の診察も郭先生という中国の方が担当している。郭先生は片言ではあるけれども、中国らしい律儀さで、私にどうして手術をする必要があるのかを、長時間をかけ、丁寧に説明してくれ、5月25日の診察の状態で手術の時期を判断することにされたのである。
日本人の生活のリズムは、多くが中国の五行思想にもとづいている。五行思想によれば、冬は黒である。秋は白で白秋となり、夏は赤で朱夏となり、春は青で青春となる。私の人生は、巡り来る青き春が再び訪れることのない、黒き冬の中にある。私は眼の手術を、繰り返しながら生きてきた。初めて眼にメスを入れた時には恐怖を覚えたけれども、黒き冬を生きていると、暗黒になることへの不安すら感じなくなってしまう。
秦の時代から、皇帝が封禅の儀式を行う泰山の山頂には、道教の寺院がある。その寺院を初めて訪れた時、寺院の導師が私に近づいてきて、「あなたは眼の病を患っているので、ここで祈りを捧げるように」と告げられる、不思議な体験をした。泰山の周りでは、孔子、孟子、墨子など諸子百家が誕生している。
習近平は「和を以て貴しと為す」という自らの外交方針を、道教の教えにもとづくとしているようである。この言葉は、十七条憲法にあるので、私は仏教の教えと理解していたけれども、既に『戦国策』にでていて、泰山を訪れると、そもそも諸子百家の思想は影響しあっているので、どちらとも言えないのかもしれない。
もっとも、和を「ワ」と発音するのは、呉音である。遣隋使の時には「ワ」で通じたのに、遣唐使を派遣したら、それでは通じない。どう聴いても「カ」と発音している。呉音から漢音に変わり、「カ」と発音されるようになっていたからである。
したがって、「和尚」を真言宗では「ワジョウ」といいい、天台宗では「カショウ」と呼ぶ。ところが、和の発音はまた変化する。唐音では「オ」と発音する。そのため禅宗以降では、「和尚」を「オショウ」と呼ぶのである。
「和」の発音は変われども、「和をもって貴しと為す」という中国の思想は、普遍的原理として貫きたい。というよりも、この戦いの太鼓が打ち鳴らされている状況で、最も大切にしなければならない原理ではないだろうか。
<あっちこっちで多事争論>
世代を超えた遊び体験
小松崎いずみ(埼玉県越谷市 スローライフの会会員)
5月3日、埼玉県小川町の「道の駅おがわまち」でワークショップを開催しました。ゴールデンウィーク真っ只中とあって、駐車場は朝から満車。和紙漉き体験や和紙あんぱんを買うための行列など、多くの人で賑わっていました。
お正月、ひな祭りに続き、5月は端午の節句・鯉のぼりをテーマに、顔出しパネルを使ったゲーム形式のワークショップです。14名の子どもたちが参加し、輪ゴム付きの台紙に和紙シールを貼って、オリジナルの道具を制作しました。
和紙を貼った丸い発泡スチロールにストローを差し込み、鯉のぼりの餌に見立てて飛ばします。鯉のぼりが付いた顔出しパネルの穴をめがけて飛ばす遊びに、子どもたちは何度も夢中になって挑戦。おじいちゃんが助っ人として参加し、上手に飛ばして盛り上がる場面もありました。会場はたくさんの笑顔に包まれ、私たちスタッフも一緒に楽しませてもらいました。
ワークショップは、準備に多くの時間をかけています。子どもたちの手の大きさに合うサイズ感や色合い、アイデアを引き出す素材や形、その場で「やってみたい」と思える楽しさと安全性、そして親御さんからの信頼。そうした一つひとつを大切にしながら、約1か月かけて形にしています。
これからも、世代を超えた交流と、ものづくりの喜びを育んでいきたいと思います。


無言のホスピタリティ
舟越隆裕 (栃木県日光市 珈琲CoCom)
還暦を過ぎてから、好奇心が留まるところを知らず、またひとつ居場所を広げました。とあるラグジュアリーホテルのハウスキーピングの仕事、温泉自慢のホテルの各部屋の温泉浴室を磨きあげています。
今まで、観光の表舞台に立っていましたが、観光の陰の支えを覗いてみたかったのです。やってみると、日々、新たな発見がいっぱい。まさに、直接お客様とは関わらない「無言のホスピタリティ」の世界です。
かなりハードな仕事ですが、やりがいを感じます。お客様が心地よく過ごせるよう地道に続けてみようと思います。“Enjoy your stay”
重装備の美術鑑賞
太田民夫(神奈川県 スローライフの会会員)
東京・竹橋の東京国立近代美術館で、「下村観山展」を見る。開館早々に入ったが、ご婦人方を中心に多くの人々でにぎわう。
驚いたのは多くの人が音声ガイドのヘッドフォンと、手には単眼鏡(4倍)を持っている。音声ガイドとともに単眼鏡の貸し出しサービスもしていたのだ。「今回の美術展は超絶筆技を味わうが見どころ。単眼鏡で見てほしいところは 『ここを見て』というサインをつけています」(同展広報)。
屏風に描かれている代表作「木の間の秋」(1907)の前で、ある鑑賞者は多分、音声ガイドを聞きながら、単眼鏡で細密な部分をしきりと見ている。
道具を通して作品を見たり聞いたりするのは「なんか変だな」という筆者としてはいささか不思議な光景だ。ただ、専門家は「単眼鏡で下村観山の評価が変わった。(下村は)明治期の日本絵画の一翼を担ったが、菱田春草や横山大観に比べれば3番手だった。(単眼鏡で見る)『木の間の秋』は驚くほど細密だった。単眼鏡はこれまでの常識を変えるかもしれない」(小川敦生多摩美術大学教授、メディアプラットフォーム「note」から引用)という。
筆者が生身で見た屏風絵「唐茄子畑」(写真、作品によって写真撮影OK)は木が前面に押し出されるように立体的に見えた。屏風絵の折れ曲がり効果を初めて感じた、という素朴な感想を持った。

AIとスローライフ
松井悠夏(東京都国分寺市 スローライフの会会員)
最近「AIを受け入れるべきか、それとも拒むべきか」という議論をよく目にする。しかし個人的には、その問い自体が少し古くなり始めているように感じる。
すでにAIは私たちの生活の中へ静かに入り込んでいる。SNSのアルゴリズムも、翻訳機能も、ネットショッピングのサイトでもAIが選んだ商品がおすすめ欄に表示される。もはやAIと共生するというより、気づかないうちに日常の一部になっている。
「AIより人の温かみが大切」という論調も理解できる。デザインやアート、音楽、文芸にもじわじわとAIが侵食している現状で、「なんか綺麗すぎて気持ち悪い」「なんか面白くない」の言葉にできない「なんか」の部分、いわゆる人間らしい違和感や余白をまだAIは理解していないように思える。
だからこそ、人間は「何を自分でやり、何をAIに任せるのか」を考える時代になったのではないか。AIを敵として遠ざけるのではなく、電卓やインターネットのように「道具」として使う。(かつては電卓でさえ人間の仕事が奪われるとしてデモが起こった。人間のやってることって変わってない)心のいらない仕事はAIに任せ、空いた時間は人間らしく、自分らしくいるために使う、スローライフ的な生活ができるのではないかと思う。在庫管理や情報整理、スケジュール管理など心を使わない仕事をAIに任せ、創作やコミュニケーション、趣味など活動の時間にもっと心を使えるようになる。
自分が自分らしくいるためにAIを使う。効率化のためだけでなく、生活の余白を取り戻すために技術を使う。そんな生き方は案外令和のスローライフ的生活ではないだろうか。
「午後」
金井紀光(東京都新宿区 写真家)
何気ないものも、光の加減でドラマチックになります。

『スローライフ曼荼羅』
手描きポップ
野口智子(ゆとり研究所 スローライフの会共同代表)
町で見かける、手描きの貼り紙やサインなどが好きです。人に会わなくとも、人のぬくもりを感じます。どんな人が描いたのか、想像して楽しい。四つ角に「とび出し注意」と描かれ、地元の灯台を真似た作り物があったり。物干しざおをリサイクルして造った手すりの上に、「受付」と書かれたり。「エアコン90分100円」も可愛くて笑える。こういうことにたくさん出会うと、なんだかいい町に思えてきます。https://noguchi-tomoko.com/?p=11203&preview=true

■■つべ小部屋■■
皇室典範改正と選択的夫婦別姓の深い深い関係
つぼいゆづる(スローライフ瓦版編集長)
皇室典範「改正」という名の「改悪」が迫りくる。「戦後に皇室を離れた旧11宮家の男系男子の子孫を養子として迎える」という案を、小欄は批判し続けてきた。
1年前の734号(2025/5/13)をはじめ、751号(2026/1/27)、753号(同2/24)、そして2月23日の「さんか・さろん」でも取り上げた。
主な理由は「新たな皇族をつくるのは憲法14条の『法の下の平等』に反し、戦後民主主義の否定にほかならないから」。そして、小泉純一郎政権が設けた有識者会議が2005年に「女性・女系天皇」への道を開く報告書を出した事実を忘れていないからだ。
20年前にも「養子論」は根深くあった。だが、有識者会議はきっぱりと切り捨て、「憲法で定められた皇位の世襲を守るのが、女子、女系への拡大」という結論に至った。
約600年前に天皇家と枝分かれした旧宮家からの「養子論」など、神武天皇と同様の神話の類ではないか。筆者には「居酒屋談義のレベル」としか思えないから、有識者会議の考え方は至極まっとうに思えた。それが、悠仁(ひさひと)親王の誕生で「女性・女系」論議にブレーキがかかり、改憲の旗を振った安倍晋三政権が「養子論」の息を吹き返らせた。そして、高市政権が維新との連立合意でいきなり「養子論優先」を言い出した。
お気づきだろうか、「養子論」は憲法の戦後民主主義を是としない人々が推進し、その大部分は選択的夫婦別姓に反対している。その中心にいる自民党の根っこには、夫婦別姓を認めれば、男女平等の意識がさらに普遍化され、女系天皇容認論を後押しするだけでなく、人権意識の高まりが天皇制への疑義に行き着き、天皇制の存続が危ぶまれる事態への警戒心がある。だからこそ、「男系男子の維持」という一線を死守することで、「男女平等」にくさびを打ち込む、という意図がある。
これが高市首相のいう「国論を二分する」の実態というわけだ。いまや選択的夫婦別姓は容認派が多数である現状を国会は捻じ曲げようとしている。私たちはいま、憲法と戦後民主主義を生かすか殺すかのせめぎあいの中にいる。
<編集室便り>
▽インスタグラムへご投稿を
巻頭言にあるように、ようやく今になって、スローライフの会がインスタを始めました。まだ写真を上げるのが精いっぱい、コメントをお返しすることすらできませんが。
「スローライフ瓦版に投稿するのはハードル高いけれど、写真だけなら」という会員の皆さん、撮影場所と、ちょっぴりコメントをつけて「スローライフな写真」をお送りください。事務局がゆっくりあげてまいります。お待ちしております。
メール slowlifej@nifty.com
▽坪井編集長から米国の写真が
米国漫遊中のつぼいさんから、素敵な面白い写真が届いています。随時、瓦版、ホームページ、インスタでご紹介してまいります。この写真は、世界三大名花木のひとつ、ジャカランダの花。カリフォルニア州サンノゼ市。

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