2026年10月1日

2010年4月20日の「週刊スローライフ瓦版」創刊号には、「観客文化から参加文化へ」という下記の文章が残ります。 2026年10月20日の「さんか・さろん」ではどんなお話になるでしょうか。お楽しみに。
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『緑と絆の木陰』
観客文化から参加文化へ
神野直彦(東京大学名誉教授)
スローライフとは地域が創り出してきた生活様式としての文化を、愛するが故に大切に守り育てていくことだといってよい。スローフードも地域の食の文化を、守り育てる運動にほかならない。 生活様式としての文化は、地域に固有の自然が長い年月をかけ、地域の人々の内面に浸透して形成された賜物である。つまり、生活様式としての文化は、地域の人々の一人ひとりの内面で創造したものを、地域のひとびとが共同作業として創造したものである。
ところが、文化はお金で買い、消費するものだという「代理人文化」が、現在では支配している。音楽を楽しむといえば、音楽家を代理人として、自らは観客として楽しむだけである。 人間は誰もが、文化を創造する労働者であることを忘れ、文化を観客として消費することに熱中する「観客文化」に浸っている。挙げ句の果てに、政治も「見せ物スポーツとしての政治」に堕している。つまり、スポーツの観客のように、政治も観客として勝敗を楽しむだけとなっている。
スローライフとは、こうした「代理人文化」への異議申し立てである。つまり、人間の生活様式の形成を観客として楽しむ「観客文化」ではなく、地域に根差した生活様式を一人ひとりが創造していく「参加文化」を創造することが、スローライフだといってよい。