散歩よし、ハイキングよし、山登りよし、ドライブよし、むろん朝寝も昼寝もよしの春らんまんです。黄金週間は、あっというまに過ぎてしまいましたが、まだしばらくは心地よい風が吹くでしょう。じめじめした梅雨やうだる猛暑がやって来る前の過ごしやすい季節を、みなさんはどのように堪能されていますか。(写真は聖山の山頂から臨む北アルプス=遠藤夏緒さん写す)
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『緑と絆の木陰』
ついブリのアラに手が出ました
中村桂子(JT生命誌研究館名誉館長 スローライフの会共同代表)
近所のスーパーマーケットでブリのアラを見つけ、自然に手が出ました。太めの大根も求めて、久しぶりの大根とブリのアラ煮です。
ブリのアラを見るとつい買ってしまうのには、理由があります。息子が小学三年生頃だったでしょうか。先生に「好きな食べものを書きましょう」と言われて、皆がカレーライスやハンバーグなどと書く中で、一人だけ大根とブリのアラ煮とサンマの塩焼きと書いたようなのです。先生がびっくりしてーーお若い先生でしたから、御自身もカレーライス、ハンバーグ派だったのでしょうーー話して下さいました。
結婚相手が長男であり、中村の両親の家の庭に小さな家を建てて暮らし、食事もよく一緒にしていましたので、アラ煮や塩焼きが日常でした(もちろんカレーもハンバーグもありましたし、それはそれで家庭の味でしたけれど)。しかも当時は、魚の骨はワンちゃんのご飯になりました。ご飯係だった息子は、骨入りのご飯の味を見て、よしよしと満足げでした。最近のワンちゃんのお食事は特製の缶詰になっており、これも隔世の感です(残念ながら今我が家にはワンちゃんがいません)。
スローライフの一つとして家庭の味があり、これも続けていきたいものだと、昭和人間は、久しぶりのアラ煮をいただきながら思うのでした。
<あっちこっちで多事争論>
益軒先生『楽訓』式読書を楽しむ
山下茂 (東京都 スローライフの会会員)
益軒先生の『楽訓』、下巻のテーマは“読書の楽”です。あれこれ活動せずとも喜び深く、山林に入らなくても心静かに、富貴でなくても心は豊かになり、“人間の楽”は読書が一番だと諭されます。なるほど。“聖賢のふみを見て、其こゝろを得て楽む”ことや、往時の記述を読み“其世にあへる心地”を楽しむという訓辞には、特に納得します。
すでに後期高齢者に仲間入りし、今さらながら顧みれば、我が「読書」は、宿題や試験勉強のためとか、役所や大学の仕事に必要な情報収集のためでした。いつも真偽を疑い、アテになりそうな「情報」を速く見つけて摘み食いするばかり。“聖賢”の心や昔の“世”との出会いなど考えもせず、面倒なだけで全然「楽」しくなんてなかった。
そんな「調べもの」読書の我が身と較べ、4月の「さんか・さろん」で拝見した「雲の上」での読書はとても“楽”だろなァ~……、と想像しました。あそこで、靴を脱ぎ、ゆっくりゆったり、仲間や先人と共感し合い、今や昔の“世”を共にする経験をするなら、まさに益軒先生お勧めの読書を十二分に“楽”しめることでしょう。羨まし~い……。
**お断り、文中では、『楽訓』からの引用を“・・・”、その他の強調を「・・・」としています。
「緩急自在の生き方を」 (上)
ほんだゆかり (静岡市 スローライフの会会員)
このたび、還暦を迎えたのを契機に、IT系会社社長から、タクシー乗務員に転職しました。18年間続けてきた会社を解散しての転身で、たくさんの方に驚かれましたが、自分なりの判断で、この仕事を選んでみたのです。
ホームページや、インターネットシステムの制作、保守、webマーケティングなどの業務には終わりがありません。延々と続いていくこれらの業務と、自分の年齢を考え合わせ、還暦のタイミングが身の引き時と決めました。いわゆる「自己定年」です。
ご縁があって、その後の業務を引き受けてくれる企業に、事業(会社)を、M&A、売却。1年間フリーターのような生活をしながら、「これまでの仕事人生に一区切り。さて、これからどう生きようか」と、今後の「生き方」について考えていました。
一番困るのは、日々、やること(仕事)がないことです。生活費を得るための”仕事”ではなく、社会とかかわり、活動的に生きていくための”仕事”を見つけたい。生きていて元気ならば、何歳になっても”仕事”を続けたいのが本心です。
さらにいくつか、希望もあります。まずは、①60歳・還暦でも正社員として入社できる②70代になっても働ける③社会保険が整っている・・・この条件を満たす応募先として、タクシー乗務員に挑戦することに決めました。もともと車の運転が好きというのも、理由のひとつです。(つづく)
カーボンニュートラルに貢献しないと「日本は沈没です」
太田民夫 (神奈川県 スローライフの会会員)
吉野彰さん(2019年ノーベル化学賞受賞)が久しぶりに日本記者クラブで会見した。「スローライフ」に関係する興味深い質疑を報告する。
司会者から「日本の科学技術の将来」について問われると「2050年のカーボンニュートラル実現に対し日本が全体の25%は貢献すべきだ」と強調した。質疑ではフロアから、「25%の貢献はどんな分野ですか」との質問があった。
吉野さんは「手前味噌ですがケミストリー(化学)です。それは最先端ではなく極めて古典的な技術です」。「(火力に頼らない)太陽や風力による発電は非常に変動が激しいので、それに対応した(安定した)水の電気分解を実現する技術です」。これによって期待される次世代エネルギーである水素を安定供給する。水の電気分解は200年前の技術だが、いま世界中で研究が進められている、という。「日本の得意分野です」と期待する。
吉野さんは小学校時代、先生から「化学はものが化ける研究だ」と聞き、子供心に面白いと思ったそうだ。そして、現代のモバイル社会に欠かせないリチウムイオン電池を開発し、ノーベル賞を受賞した。「カーボンニュートラル実現に日本が貢献できなければ、日本は沈没だ」と言い切った。重い一言だった。
山菜とともに進む季節
遠藤夏緒 (長野市 農楽里ファーム)
3月の雪融けから、気が付くとふた月が経ちました。
12月から3月まで、色彩の乏しいモノトーンの景色の中で過ごしているので、春を迎えて一気に華やぐ自然の眩しいこと! 長野の山の中で暮らすことが出来て幸せだな、と感じる季節の到来です。
3月のフキノトウに始まった山菜は、アサツキ、ノビル、田セリ、葉ワサビ、と順に顔を出し始め、4月末には、山ウド、コゴミ、タラノメ、と山菜の王様たちも伸びてきます。4月中はまだ気温が低い日も多く、霜が降りる寒さに遭うとコゴミも山ウドも霜焼けで葉先が枯れてしまいます。かと思うと、日中20度を超える日もあり、コゴミは一気に葉を広げシダになってしまいます。
5月に入った今は、ワラビが最盛期を迎えています。ワラビもコゴミほどのスピードはないものの、雨上がりに気温が上がると、くるくると巻かれた葉先が開き、茎は固くなり食べられません。山菜採りは、タイミングを計るのがとても大変なのです。
今日は、フランス料理のシェフさんが使いたいというので、ヤマブドウの新芽の様子を見に聖山山頂付近まで足を伸ばしてきました。残念ながら収穫にはまだ少し早く、小さな蕾の状態でした。(写真参照)
6月に入れば、今度はハチクが顔を出して来ます。こうやって山菜を追いかけているうちに、またあの酷暑に突入していくのでしょうね。

スローな綾部で「花めぐり」を
白波瀬聡美 (綾部市観光協会)
京都府北部に位置する「綾部市」をご存じですか。日常に広がる里山の原風景、穏やかな住民が紡ぐ昔ながらの丁寧な暮らし、ゆったりとした時の流れ……。とってつけたような観光地はありませんが、京都市内の喧騒とは別世界の景色が広がり、訪れるだけで癒される「まち」です。
そんな綾部の見どころの一つが「花めぐり」。梅、ミツマタ、桜、シャガ、ミツバツツジ、ストロベリーキャンドル、アジサイ、ハス、コスモス……、そして紅葉と、年中美しい花々や木々で溢れます。
これからの季節は春バラです。市内中心部にある「綾部バラ園」では、市民ボランティアが丹精込めて育てている170種類1,200本のバラが楽しめます。中央花壇には園のシンボル「アンネのバラ」。1976年にオットー・フランク氏(『アンネの日記』の著者、アンネ・フランクの父)から贈られたアンネのバラを、綾部出身の山室隆一さんが接ぎ木で増殖。このバラを通じてアンネの平和への願いを伝えたいと、亡くなるまでの10年間に5,000本の苗木を全国に送り続けて日本に普及したと言われています。
詳しいエピソードは花壇の看板でご確認を。春のバラまつりは5月17日~6月30日まで。バラまつりは秋にも開催されます。ぜひ一度ご来園ください。
写真は平和のシンボル、綾部駅北口に立つアンネ像とアンネのバラ。
春のバラまつり https://www.ayabe-kankou.net/event/baramatsuri_2025/
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いきなり拙著の案内です
熊倉浩靖 (高崎商科大学特任教授 スローライフの会会員)
群馬県安中市のワークショップで野口さんと出会い、知人・友人の重なりがあまりに多いことにびっくり。誘われるままに、皆様の仲間に入れていただきました。
いきなりで失礼とは思いますが、先刻刊行した『世界文化遺産でたどる日本の歴史』(雄山閣)の案内をさせてください。
私は世界文化遺産を持つ国内66の市区町村で構成する世界文化遺産地域連携会議の民間人理事の末席を汚しています。数年前から北は北海道から南は九州まで、15000年前の縄文時代の始まりから20世紀後半の国立西洋美術館まで、時代的にも地域的にも普(あまね)く存在する日本の世界文化遺産を俯瞰した通史を地域発で書けないだろうかと話し合って来ました。
結果、「言い出しっぺがまずは恥をかけ」というわけでの挑戦です。ガイドブックでも見栄え紹介でもありません。ある種の違和感を持たれるかもしれません。しかし、世界の人は世界文化遺産を通して日本という文化的空間を理解しようとしています。その目で日本を見直してみませんか。従来とちょっと違った日本が見えてくるかもしれません。

スローライフ曼荼羅
母の日に
野口智子(ゆとり研究所 スローライフの会共同代表)
施設にいる、101歳、寝たきりの母の言葉です。「こうやって、おしっこ・うんちを他人の世話になるようになれば、どんなに偉い人だって、東大出だろうと、美人だろうと同じだね。死ぬ時はみんな一緒、平等だよ」。頭はしっかりしているので、時々こういうことをつぶやきます。だから、動ける元気な者は、世の中をより良くしなけりゃ、と思う私。いろいろ贈り物を届けた日ですが、母から私が教えられました。
https://noguchi-tomoko.com/post-10789/
■■つべ小部屋■■
皇位継承のまさか、そんな
つぼいゆづる (スローライフ瓦版編集長)
のどかな春の日々をのんびりと過ごしていたら、新聞にぎょっとする記事が載っていた。皇位継承問題で与野党の協議が大詰めを迎えるなか、内閣法制局が与党案にお墨付きを与える説明を繰り返している、というのだ。
与党案の肝は「戦後に皇室を離れた旧11宮家の男系男子の子孫を養子として迎える」もの。要するに、旧宮家の血筋だか何だかで「皇位」を引き継ぐことを可能にして、「将来にわたって男系継承を続けていく」という考え方だ。明らかに、女性・女系天皇への道を閉ざすことに主眼がある。
今春、筑波大に入学した彼が生まれる直前の小泉政権下で、女性・女系天皇を可能にする皇室典範改正の動きがあったことを思えば、隔世の感がある。当時も「養子」論はささやかれてはいたが、本流では決してなかった。それが安倍政権下で巻き返してきて今に至る。
だけど、新たな皇族をつくるなんて、どう考えても憲法14条の「法の下の平等」に反する。過去に皇籍を離れた男系男子は旧11宮家以外にも存在しうることを考えても、「養子」論は、いかにも無理筋だ。
なぜ、「男系」でなければならないのか。過去がそうだったと主張されても、戦後民主主義の世の中で、「男系継承墨守」が世論の多数の支持を集めるとは、とても思えないし、思いたくない。
それなのに内閣法制局の担当部長は、養子とされる人の範囲は「法律で適切に定める限り憲法14条に抵触しない」「皇室典範を改正すれば、これからお生まれなる方がたも対象になる」としている。この法制局の見解は、多くの国民に支持されてこその天皇制という視点が欠落していないか。天皇の地位は「主権の存する日本国民の総意に基づく」としている憲法と、どう折り合うのか。
この国会は6月22日まで。きっと成立するだろうと思っていた選択的夫婦別姓法に暗雲がかかる一方で、まさかとは思うが、こんな与党案で皇位継承問題の決着が図られるとしたら、とんでもない話だ。
<編集室便り>
▽5月の「さんか・さろん」は地震予知のお話です。
今年は日本の気象業務が始まって150年になるとか。そして気象業務の出発は地震観測であったそうです。ずいぶん技術は進みましたが、地震の予知はどうでしょう?今回の「さろん」は、地震の前兆を捉え、あらかじめ知って被害を小さくしようとその情報サービスを始められた佐藤義孝さんにお話しいただきます。
日時:5月20日(火)19時から、Zoomで
タイトル:「地震予知の絶望と希望ー亡国の南海トラフ・首都直下地震が来るー」
講師:佐藤義孝さん/スローライフの会 会員、株式会社ワイズ・ナビ 代表取締役社長 https://wise-navi.co.jp/
どなたでも参加できます、詳しくはこちらからどうぞ。
https://www.slowlife-japan.jp/2025/05/01/%ef%bd%93-345/
▽会費の季節です。
スローライフの会会員の皆様、新年度の会費をお待ちしております。今まで会員でなかった方も、ぜひお仲間になってください。お願いします。
〇会費
年会費 5,000円(年度区切り4月~3月)途中入会でも同じ値段です。
※一口5,000円です。何口ご入金でも、ありがたいです。
※「さんか・さろん」の年会費は別途、3,000円です。
【振込先】
ゆうちょ銀行 振替口座 00190-4-595293 スローライフの会
※他金融機関からのお振込みの場合は
店名:〇一九(ゼロイチキュウ)店、預金種目:当座
口座番号:0595293 スローライフの会 まで。
〇会員になると
①参加費割引があります
勉強会「さんか・さろん」(毎月第3火曜日)の参加費が会員価格となります。
参加しほうだいの年会費は3,000円ですが、一回1,000円(会員外は2,000円)でも参加できます。
②メルマガ「スローライフ瓦版」に投稿できます。
メールマガジン(第2、第4火曜日配信)にお知らせ記事やエッセイ、写真を何度でも掲載できます。
③過去の記録を見られます。
フォーラム、勉強会などの記録を見ることができます。
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