2月「さんか・さろん」小野加瑞輝さんのスピーチ

2月のゲストは建築設計事務所を主宰するかたわら、持続可能な都市づくりに取り組むNPOの理事長小野さん。住宅地、農地、森林が分断された現代の都市を超えて、家と農地と森が融合した1000年都市づくりに挑戦しています。
◆「ミレニアムシティ・持続可能なコミュニティを求めて」
◆小野加瑞輝さん(NPO法人ミレニアムシティ理事長)
=スピーチ要約=
■2000年にNPO結成
NPO法人ミレニアムシティは異業種交流で都市づくりの夢を語っている仲間の話から2000年に誕生しました。だから、ミレニアムという名がつきまして、会員は300人ほどです。
最初のうちは議論をしながら、「地球環境の蘇生」とか「人と人のつながりを大切にした都市」とか、めざす都市のコンセプトを話し合っていたのですが、やはり形にしないと伝わらない。そこで2003年頃から都市づくりに着手し、今は3箇所で僕たちの考えを展開しています。
■くりもとミレニアムシティ
ひとつは、「くりもとミレニアムシティ」といって、香取市高萩の1500坪の農地を借り、第1期として500坪を使って、大きなガラス温室4棟、小温室1棟を建てました。
その周りを茨城県の再開発で伐採寸前だった樹齢120年のケヤキを30本植えました。大温室の中には1坪の居住ハウスが30戸あって、分譲にも別荘使用にも応じています。
ここはパッシブ・ソーラー、つまり受身のソーラーハウスで冬は温室だから暖房なし、夏も窓を開けて風通しをよくすれば、ケヤキの緑陰で冷房がいらない。
隣では「くりもと地球村」という無農薬農業を展開している人がいて、その人に習って農作物も自給しようという考えです。
ケヤキの森、周辺の農地、そして住宅が同じ空間に融合したサステナブル都市の実験空間です。
2年以内に第2期として定住住宅の建設を開始し、都市を広げていく予定です。
■あさひミレニアムシティ
「あさひミレニアムシティ」はアジアのドーバーといわれる風光明媚な千葉県旭市にあります。アクティブ・ソーラーで太陽光を活用した住宅が2軒建ち、昨年9月から2家族が住んでいます。
他にリゾート用の家が7戸。居住者のつながりを大事にしてるので、階段、トイレ、海が見えるお風呂などは共有です。
ここでも中庭で無化学肥料、無農薬、不耕起、マルチ収穫農業の実験をやってます。居住している2家族は共有スペースの関係で日々軋轢もあるようですが、定住化を楽しんでいるようです。
■吉祥寺ミレニアムシティ
実際は練馬区ですが、吉祥寺駅圏の農地2haで展開しているのが「吉祥寺ミレニアムシティ」です。
ここは江戸時代のたたずまいを残す屋敷林と農地で、農地トラスト、土地トラストなどのさまざまな手法を使いながら、保全し、体験農園、ファーマーズ・マーケット、カフェといった楽しい空間として使って行きたいと考えています。
どの拠点もお金に振り回されずに、食糧とエネルギーを自給し、自然に囲まれ、ワークライフバランスが取れた暮らしを追求しています。
お陰さまで3拠点ともたくさんのメディアに取り上げられ、賞もいただき、ホームページに世界中からアクセスがあって、海外から拠点を見に来る方もいます。
最初は叔父さんの遊びといわれた活動も、3拠点でやっているワークショップに2~30代の女性が仲間入りしてきて、会員も若返り、NPOも居住お試しから定住を定着させる期間に入ったと認識しています。
ぜひ、多くの方々に現地を見ていただきたいと思います。(2011年2月15日開催)