「スローライフによるむらづくり事業」で奈良県南部へ

今年の3月うかがった「スローライフによるむらづくり事業」の続きとして、7月10日~12日と、奈良県の十津川村と野迫川村にうかがいました。
両村とも昨年の台風被害がまだな生々しく残り、村民の方々には仮設住宅で暮らしている方も多くあります。それでも、これからのむらづくりをどうしていくのか、前向きの意見が多く語られました。

十津川村は和歌山県・三重県に接する奈良県最南端の村。村としては日本一の面積をもち、そのほとんどは山林です。泉質の違う3つの高温天然温泉が湧き、湯量豊富なため、平成16年、全国で初めて「源泉かけ流し宣言」をしています。
「熊野参詣道 小辺路」は自然と人の暮らしが美しく調和する道。どうしても十津川村にまた来たい、と思わせてくれる風景があります。

村を縦断するように流れる十津川には約60もの吊り橋がかかり、中でも「谷瀬の吊り橋」は高さ54m・長さ297m、日本有数の吊り橋として知られます。こうした「吊り橋を活かしたむらづくり」もできるのではと意見が出ました。

村から出て数年後に戻ってきた人、村を目指してやってきた人、そういう方々も加わって、意見交換は時間が足りないくらい。この大きな村には大きな可能性がある、と感じました。

野迫川村は平均標高700m、人口約500人という天空の小さな村。しかし、そこには1260mの地に、年間6万人もの人が詣でる「荒神社」があります。弘法大師が高野山を開山する際に修行したとされるところ、鳥居の続く階段を登ると霊気に背筋が伸びます。

この村には平維盛(たいらのこれもり、平清盛の嫡孫で、平重盛の嫡男)落人伝説があります。維盛は熊野・吉野の山中を流浪の末、ここ野迫川村でその生涯を終えたとか。村には維盛にまつわる歴史資料館や維盛塚が整備され、毎年7月には維盛祭りが行われるとのこと。「平家の落人をテーマにした催し」などの案についても語られました。

参加者の中には、「工事がすまない間あと2年は仮設住まい、早く家に戻りたいよ」という方も。「それでもこの村が好き、他所の人にどんどん来てもらいたい」という言葉は力強いものでした。
十津川村、野迫川村の皆さん!復興は急いでも、目指す暮らしと心のものさしは“スローライフ”でいきましょう。”