瓦版2016.3.1 第300号

「スローライフ瓦版」記念すべき300号です。全国3500人の読者の皆さんに支

えられ、ボランティアで執筆いただいているみなさんのおかげでここまできま

した。これからも、ゆっくりとやっていきます。感想や投稿をお待ちします。

・・



コラム<火曜日の鐘> 川島英樹(せたがや文化財団)

~~~

都心の朝、ラッシュ時間


満員電車のドアが開き、ホームに弾け出る。ふぅー。冷気が心地よい一瞬。

でも、すぐ、みんなに負けじと先を急ぐ。競うように乗換口を越すと、ああ今

日も。山手線から一斉に降りる人の波。定められた右側通行を必ず無視。逆行

して、こちらの通路を向かって来る。理由は簡単。その方が近道だから。こっ

ちもひるむものではないが、いかんせん敵は天下の山手線客。多勢に無勢で端

に追いやられ、ついには遠回りとなる逆行を強いられる。

なぜ正しい道を歩く我々が肩身の狭い思いをしなきゃいけないのか。理の通

らない数の横暴。まるでどこかの国の政治と同じだ。大きな看板を出しても、

駅員が叫んでも、変わらない。大きな流れには黙って従うしかないのか。

ある朝、ぼくの前に年配の男性がいた。じりじりしながら、やむなく後を行

く。乗換口、例によって山手線の大軍が向かって来る。なんと、彼は立ち止ま

ってしまう。エーっ。30秒くらいだったろうか。こっちには30分にも感じられ

る時間。いらいら、いらいら…。すると、軍勢は通り過ぎ、目の前にぽっかり

ガラガラの街道が広がった。老紳士は悠然と歩みを始めた。

そうか、やっぱりスローだ。手強い相手には、さらにスローに。筋は曲げな

いでいい。

祝・スローライフ瓦版300号。のんびりいきましょう。



学会コラム<緑と絆の木陰>



坪井ゆづる(朝日新聞東北復興取材センター長・仙台総局長)


    大震災5年の現場



東日本大震災から5年の復興現場を歩きながら、「なんなのだ、この巨大な

公共事業は」と思っている。防潮堤で海が見えなくなる。高速道路はがんがん

延びる。更地になった市街地には、ピラミッドを築くかのように土が高く盛ら

れている。津波の被災地には、時計が止まったままの原発被災地とはまったく

違う世界が広がっている。

こんな復興の現状を、識者はどう見ているのか。高台移転や防潮堤建設の旗

を振った人々へのインタビュー(朝日新聞宮城版)のさわりを報告する。

「これだけの大土木工事になるとは、予期していませんでした。陸前高田な

どを視察し、感銘を受けると同時に、『やりすぎかな』と……より安全なまち

をつくったのはよかったと思います」(五百旗頭真・政府の復興構想会議長)

「巨大堤防だけ残ってどうするんだという思いだ」「国さえ認めてくれたら

何でもできると思い、自分たちの街は自分たちでつくる原則が飛んでしまった」

(中央防災会議専門調査会・河田恵昭座長)

「想定したすべて、いや、想定以上が予算化された」「高台移転がこれだけ

全面的に行われるとは思わなかった」(復興構想会議・飯尾潤部会長)

これほど大きな「まち」の維持費は、住民が背負う。識者ではない。



▽▽▽▽▽▽▽















【逸村逸品】ひとこと紹介 ? http://www.facebook.com/slowlifej

和歌山県御坊市「しょうゆあめ」。醤油の香ばしく、懐かしい味わいが口中に

ひろがります。醤油づくりの老舗がつくった、ほっこりする甘みの飴です。

△△△△△△△△△△△



■街角から畦道から


高橋俊典(山形県小国町教育委員会生涯学習担当) ブナを活用する試み


小国町は県南西部に位置し、シンガポールより広い町です。95%は山林、その

約80%はブナやナラなど広葉樹の森が広がっています。「森林セラピー基地」

温身平(ぬくみだいら)でのトレッキングや木質チップの再生可能エネルギー

利用など、ブナの森を活用した資源や資金の循環、交流人口の拡大に取り組ん

でいますが、家具や建築の「材料」としての活用はなかなか進んでいません。

ブナは「木へん」に「無し」と書く。水分が多く含まれ、変形や反りが激しく、

以前から建築材としての使い道は無いと考えられていました。

ブナは200?300年かけてゆっくり成長します。間伐材とはいえ、伐採してすぐ

チップやペレットに加工することや、森林散策・鑑賞での活用に限られている

のはもったいないため、ブナを材料とした家具等の製作ができないか模索して

いました。北欧などで製作された椅子などの材料やドイツの子ども用おもちゃ

などにブナが使用されているとうかがいました。また、友人を介して山形市の

東北芸術工科大学の「地域の木材を活用した家具製作」演習で小国町産ブナ材

を取り上げていただけることになりました。テーマは、町民が初めて使う家具

「ファースト・ファニチャー」。(株)岡村製作所、町民有志と連携を図りなが

ら、学生が家具を製作しました。初めて自分で買う家具、親が子どもに初めて

プレゼントする家具、子どもが自分でカスタマイズする家具など、学生それぞ

れのコンセプト・デザインを提案してもらうことができました。

先月、発表会が小国町で。学生・企業・町民が意見交換、次のステップに向け

た検討が始まりました。自分の町の豊かな資源をどう活かすか、ブナのように

ゆっくりと楽しみながら考えたいと思います。



竹内 義昭 カズコさん(51)


先週の暖かい金曜日にカズコさんを美容院に連れ出した。車いすに乗せて歩く

こと約10分で行きつけの近所の美容院に到着、カットとパーマをお願いした。


施設でも月1回の出張美容があるが、カットだけなので皆そろってオカッパで

ちょっと見では男か女か分からないのだ。歳はとっても少しは女らしい恰好を

させたくて、入所前と同じようにパーマをかけさせることにした次第。


2時間後、終了の電話があって、妻と2人で迎えに行った。妻の顔を見るなり

「私はこれからなの」とすまし顔だった。

ともあれ、パーマのかかった頭はすっきりした。施設からの報告では、いつも

より元気なよう、とのことだった。



■まち・むらニュース


・山形県 やまがたの雛


かつて「川の道」として栄えた最上川。紅花をはじめ、多くの物資を京や江戸

へ運び、帰りは京・江戸文化をのせて戻った。そのひとつが雛人形。山形県内

各地で300年前の古代雛は今も美しさを誇る。

会期:?4月初旬(各会場によって異なる)

会場:酒田市、鶴岡市、新庄市、米沢市、山辺町、他

http://yamagatakanko.com/log/?l=272243



・岡山県倉敷市 倉敷春宵あかり2016


倉敷市内の美観地区周辺の町並みが、提灯、ぼんぼりなど様々な和の灯りで彩

られる。毎週土曜日は和傘やキャンドルが倉敷川畔を飾り、町家では数ヶ所で、

影絵などやさしくあたたかな灯りが楽しめる。

開催日時:?20日(日)18時?21時(イベントにより異なる)

会場:倉敷美観地区一帯

主催:倉敷春宵あかり実行委員会TEL086-421-0224

http://www.nihon-kankou.or.jp/okayama/detail/33202ba2212053540



コラム<象さんの散歩> 地域伝統芸能まつりを見て


全国各地の伝統芸能を選りすぐり、年に一度、お祭りを開く。一般財団法人

地域創造の催しで、ことしで16回を数える。私は、ときどき見せてもらってい

て、ことしも。「和」をテーマに7地域から踊り、舞、唄、太鼓、囃子、祈り

が登場した。青森県黒石市の「ねぷた祭り」、宮城県気仙沼市の「唐桑の大漁

唄込」、埼玉県秩父市の「秩父屋台囃子」・・。圧巻だ。すばらしい。

愛媛県今治市の「継ぎ獅子」で息をのむ。大人4段の上に4歳の子が立って

扇で舞う「五継ぎ」。小学校の運動会の組立て体操が段を多く積み上げて危険

だと取りやめていくニュースが話題となっているだけに注目の場だった。

大会は、だんだんに洗練されてきた。NHKが「まつりの響き」として放映

している影響も大きい。ことしもEテレで放送(3月19日14時)の予定だ。

NHKのお骨折りに感謝を惜しむものではない。背景、舞台装置から衣装、

小道具まで画面をつくる苦労は大変だ。演出、構成にも。成果は大きい。

それでも、テレビが祭りの性格を変えている点は見過ごせないだろう。長く

育んできたまち・むらの雰囲気や味わいが消えていった点がなきにしもあらず。

また今治市の「継ぎ獅子」、石川県輪島市の「御陣乗太鼓」は2度目の登場で

あって、小さな町村の出演の門が狭められてはいないだろうか。それもこれも、

舞台づくりの見栄えのためでなければ幸いであるが・・ ∨ 川島正英 ∧



================= PR =====

「奈良県十津川村」から・・

十津川村谷瀬で、大学生と集落の住民が酒米を育て、お酒を造るプロジェクト

を進めています。いよいよ3月終わりには、純米酒を売り出します。

詳しくは、Facebook 谷瀬の吊り橋【official】を。

=======



コラム 野口智子<スローライフ曼荼羅> ホッキに魅了され

~~~

ホッキ貝。これまで私にはあまり存在感のない貝でした。それが先日、青森県

おいらせ町の黒ホッキ貝を堪能するイベントに参加し、すっかり魅了されまし

た。白ホッキとの食べ比べ、炭火焼き、しゃぶしゃぶ、ホイル焼き、吸い物。

なかでも白いご飯にホッキ味噌、これが絶品でした。熱を加えると、紅をさし

たように赤くなるホッキ貝、やはり産地ではその本当の魅力を学べます。

http://noguchi-tomoko.com/modules/yutoriaruki/details.php?blog_id=352



■編集室便り


◇3月の「さんか・さろん」は

ユニークな現代風試みのスローライフ・・



3月15日(火)は、わがNPOの瀧 栄治郎理事に登場願う。京都市に

  本社をもつ日本テレネットの会長であり、むしろ大きく、強く、速く、

ファストな世の流れに先がけている最新鋭企業だが、スローライフな

試みもいくつか。京おとこ・瀧のこころいきでもある。




旧厚生労働省の壮大なお荷物であった「私のしごと館」。京都府

がひきとり、その活用を日本テレネットが引き受けた。

太陽光発電の高効率化をはかり、その発電を活かした植物工場に

トライ。新しい野菜を使った料理も考えていく。



<札幌市に日本パーソナルコンピューター博物館の設立>

日本のパーソナルコンピューター、マイクロコンピューターの多

くは原点を札幌に持つ。その収集、記録、調査などと取り組み、

博物館を設立することを札幌市に提言。事業化を進めている。



<京都市の古川町商店街の再興、活性化>

京都市でもっとも伝統的と謳われた古川町の老舗商店街が消えて

ゆく。その再興を頼まれたが、近くの大学、また著名料理屋さん

などにも協力を得ながら取り組んでいる。



●日 時: 2016年3月15日(火)19時?21時

●会 場: クオリティKK・会議室マーキュリールーム

(千代田区麹町3―3KDX麹町ビル6F・地下鉄麹町駅からすぐ)

http://www.quality.co.jp/company/map/map_tokyo.html

●参加費:会員1000円、一般2000円(学生500円)どなたでも参加できます。

●申込みはこちらへ。

メールTEL 03-5312-4141 FAX 03-5312-4554


●詳しくはこちらから↓

http://www.slowlife-japan.jp/modules/katsudou/index.php?page=detail&bid=298





    ◇ 大石芳野写真展「福島 土と生きる・今」

 

2011年3月東日本大震災と、福島第一原子力発電所事故から、5年の歳月が

経ちました。戦争や災害で苦しむ人々の心の内面にフォーカスしシャッター

を切り続けてきたフォトジャーナリズムの第一人者である大野芳野さんの写

真展「福島土と生きる・今」が開催されます。写真集『福島 土と生きる』

(藤原書店)より18点と未公開作品2点の展示・販売も。


☆会期 2016年3月1日?19日

(火)?(金)12時?19時。(土)12時?17時(日・月・祝 定休)

        入場無料

☆展示作品

写真集『福島 土と生きる』(藤原書店)より18点と未公開作品2点。

モノクローム、バライタ・プリント(大四つ切11×14インチ)

☆会場 コミュニケーションギャラリーふげん社

〒104-0045 東京都中央区築地1-8-4 築地ガーデンビル 2F

TEL:03-6264-3665 Mail:info@fugensha.jp

☆関連イベント

ギャラリートーク 大石芳野(写真家)×佐伯剛(風の旅人編集長)

日時:3月5日(土)14時?16時   会場:ふげん社 展覧会会場にて

参加費:2000円(ドリンク付)       (予約は電話かメールにて)


  お問い合わせ先:ふげん社 関根 info@fugensha.jp 03-6264-3665

詳しくはこちらへ http://fugensha.jp/



◇スローライフ・ジャパンへのメールを送るときのお願い。



このスローライフ瓦版は、メールマガジン専用のアドレスからお送りしてい

ますので、このメールに返信していただいても事務局には届きません。

スローライフ・ジャパン、スローライフ学会、この瓦版への投稿などは

こちらまでお願いします。↓



==== PR ====

クオリティライフから・・・

有機農法で育てた、佐賀県鹿島市の「不知火でこぽん」販売好評です。

安心安全なものにこだわる“たまな商店”から。

詳しくは http://qwebm.quality.co.jp/mail/u/l?p=kWuIcgNJdd4Z

=======



■私たちはいつもスローライフの動きを応援しています。


鹿児島県

http://www.pref.kagoshima.jp/pr/koryu/index.html

岩手県遠野市

http://www.city.tono.iwate.jp/

和歌山県紀の川市

http://www.city.kinokawa.lg.jp/

奈良県吉野郡十津川村

http://www.vill.totsukawa.lg.jp/www/toppage/0000000000000/APM03000.html

日本テレネット 株式会社

http://www.nippon-tele.net/

クオリティ株式会社

http://www.quality.co.jp/

アース・デザイン・インターナショナル(edi)株式会社

http://www.edi.ne.jp/

株式会社サンクス・ツー

http://www.thanks2.jp/



=======


最後までお読みくださって、ありがとうございました。

このメールマガジン、あるいは当団体へのご意見、ご質問はこちらへ


このメールは毎週火曜日の発行です。NPOスローライフ・ジャパンとの

ご縁を頼りにお送りしています。初めて受信される方も含めて、

お気軽にお付き合いください。


今後、このメールマガジンの送信が不要という場合、あるいはメール

アドレスの変更をご希望される場合もこちらへご連絡ください。


=======


Copyright(C) NPO法人スローライフ・ジャパン スローライフ学会



〒160-0002

東京都新宿区四谷坂町9?4 リカビル301

TEL 03-5312-4141  FAX 03-5312-4554

http://www.slowlife-japan.jp/