瓦版2016.10.25 第334号

東京でも秋風が感じられる季節がやってきました。旧古河庭園はじめ東京近郊
もバラが満開です。信州・飯山では、美しい紅葉へ向かいつつある、との便り。
11月23日の飯山フォーラムが待ちどおしい編集室このごろです。

 

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コラム<火曜日の鐘> 丸岡 一直(社会福祉法人二ツ井ふくし会理事長)
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未来都市に迷い込んで

思わぬことに、東京・有明で2日間を過ごすことになりました。先週の水、
木曜日。羽田空港を往復しただけで、そこから一歩も出ることなく。
右を見ても左を見ても、新しい大きな建物が建ち並ぶ。外から中へ、大勢の
人々が長いエスカレーターで飲み込まれていく様は、映画で見る未来都市その
ものですね。こちらは迷い込んだ小鳥のようなもの(小鳥に悪いけど)。
夕方、多くは家路について、暗くなると行き交う人もまばら。飲み屋の提灯
も焼き鳥屋の煙も、八百屋や魚屋の騒がしさもない。そこだけをみていると、
あれ、まるで田舎の町と変わらない。新しい街をつくるというよりは、個々の
建物をつくるだけに終わったのでしょう。どこか寒々しい。街としての一体性
はどこのだれが担ったか。というよりは、だれも担わなかったのでしょうね。
帰り着いた田舎は気温10度を割って寒いけれど、むしろあたたかく感じられ
たのが不思議です。

 

学会コラム<緑と絆の木陰> 増田寛也(スローライフ学会会長)

 

スリランカ随想

今月スリランカで泊まったホテルがとても居心地が良かった。地元出身でト
ロピカル建築の分野で世界の第一人者と言われているジェフリー・バワが手が
けたホテルには2ヶ所で泊まったが、いずれもロビーに岩肌がむき出しになっ
ていたり、海風が吹き抜けていたりと、地形や自然の特性を最大限に生かした
設計になっている。ジャングルの中に建てられたホテルは、まるで緑の中に埋
もれるかのような外観だった。蒸し暑いスリランカだが、日本でエアコンに慣
らされた身体に当たる自然の風や野鳥たちの鳴き声、そして視界に入る空の抜
けるような青さが余りに新鮮で心地よく、暑さを完全に忘れさせてくれた。そ
の他、セイロンティーの本場、茶畑の続く山並みに建つ、かつての紅茶精製工
場を改装したホテルにも泊まったが、古い建物や機械を大切に受け継いできた
跡が随所に見られ、食後のオーガニック紅茶が一層美味しかった。
最近は日本の若い女性に美容の一種としてアーユルヴェーダが人気を集めて
いるようだ。これは美容というよりはスリランカの伝統医療で、食事やヨガと
組み合わせて最低でも何日間か滞在して心身ともリフレッシュする。これから
も解るように、スリランカ全体にどこかスローライフに通ずる一面も感じ取る
ことができる。
スリランカは数年前までシンハラ人とタミール人の内戦が続き、政情が不安
であったが、今はその影は全くない。私は家内と8日間の滞在だったが、世界
遺産の仏教遺跡をゆっくり辿りながら、もう一度スリランカを楽しみたいと思
った。

 

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【逸村逸品】ひとこと紹介 ? http://www.facebook.com/slowlifej
奈良県吉野町「折敷(おしき)」。吉野の製材所から生まれました。長年、多く
の建材や板を扱ってきたからこそのシンプルな美しさ。サイズも豊富です。
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■街角から畦道から

 

竹内義昭 カズコさん(84)

 

両親が残した持ち物は、我々子供世代を上回る膨大なものだ。思い切って全部
捨てれば簡単なのだが、一つ一つ吟味していると、どうしても残しておきたい
ものが出てくる。カズコさんが小学校1年の時にドイツ留学中の父親から届い
た絵葉書もその一つ。

 

「カズコサン ガッコウ、オモシロイデスカ ムツカシイデスカ マイニチ
オカアサント イッショニ ベンキョウナサイ カズコサンハ カラダガ
小サイカラ ウンドウモシテ 大キクナラネバ ナリマセン
ベルリン・トウサン」

 

桐タンスの引き出しの奥から出てきた。85年以上前のものだが、インクの文字
はくっきりしている。朝鮮から引き揚げた際に肌身離さず持っていたのだろう。

 

■まち・むらニュース

 

・奈良市 奈良県大芸術祭

 

「文化の力で奈良を元気に!」をテーマに、9月から開催されている芸術祭。
700を超える個人・団体の主催する様々な芸術イベントが県内各地で行なわれる。
「行ってわかる、参加して感じる」芸術の活力を若い世代に伝えている。
会期:?11月30日(水) 場所:県内各地
主催・問合せ:奈良県大芸術祭実行委員会 TEL0742-27-8488
https://nara-arts.com/

 

・岩手県遠野市 山口の水車小屋

 

今ではほとんど見られなくなった情緒ある水車が健在で、改修工事が終わり新
しい小屋が完成した。水田の中に建つ小屋には搗き臼の構造がみられる。現在
も利用される田園地帯に建つ茅葺き小屋は、ふるさとの原風景でしょう。
公開期間:?11月27日(日) 10:00?17:00
場所:遠野市土淵町山口(JR遠野駅からバス)
問合せ:遠野市産業振興部商工観光課 TEL0198-62-2111