4月の「さろん」は綾部市の予習でした。

第128回「さんか・さろん」は4月18日、『スローライフ・フォーラム㏌綾部』に向けての予習勉強会。「綾部市を深く知ろう!」をテーマに、市長自らスピーカーとなり、綾部市の紹介をして下さいました。

山崎善也市長は、昭和33年生まれ。綾部高等学校を卒業後、九州大学経済学部で学び、日本開発銀行(現・日本政策投資銀行)に入行され、企業戦略部長や国際部長を歴任され、地方再生事業、途上国の開発支援、企業戦略に携わり、在職中に経営学修士(MBA)を取得され、世界銀行へも出向されました。2009年4月より綾部市理事となり、会計管理等をされ、2010年2月に第16代綾部市長に就任されました。現在4期目です。

 

市長のお話は、34ページの資料をご用意いただき、画像でも綾部市を知ることができました。

・・・お話の要約です。・・・

 

綾部市は、京都府のほぼ中央に位置し京都府北部へのゲートウェイ。京都縦貫自動車道と舞鶴若狭道の結節点で交通の要衝。鉄道では、京都駅から特急で一時間。市街地を清流由良川が流れ日本海に注ぐ盆地。人口は約3万2千人。
市の歴史は、昭和25年、1つの町と25の村が合併して綾部市となった。戦争の反省が残るなか、国連に変わる新しい組織を目指そうと、『世界連邦都市宣言』を自治体として初めて行い、市民の大きな誇りとなっている。また、明治中期には繊維業の『グンゼ』が創業。『斑鳩郡』(いかるがぐん)の進むべき道『是』を社名にしている。今の地方創生の考え方がここにはあった。
農産物の中でも、綾部茶は宇治茶の原料になっていて、かぶせ茶の分野で2年連続産地賞を受賞している。黒谷和紙は伝統産業で、綾部市の小学生は在学中に自ら漉いた和紙を卒業証書にして、授与されている。

綾部市の人口推移は、出生者数と死亡者数の関係でみる「自然動態」ではマイナス300人。転入者数と転出者数の関係で見る「社会動態」ではマイナス50人。毎年300~400人、綾部市が始まってから73年でおよそ2万人が減少した。
この様な実態から、将来の課題と対応を綾部市総合計画として立てた。『移住立国あやべ』のスローガンのもと、移住者を積極的に受け入れている。市は、定住人口を増やすため、定住促進を最優先施策とした。市民も一緒になって”オール綾部”で、移住者を受け入れる条件を制定し、行政はワンストップの相談窓口となる。
次に地域全体の底上げだ。人口・機能・現状に合わせた地域振興のやり方を分ける考え方をした。特に限界集落はその対策として、『水源の里』と命名し住んでいる人たちに光を当てる政策を考え、実施している。なぜなら”空洞化”は恐ろしい・・・(画像参照)。

 

小さな集落を守ろう!もう一度頑張って、自分たちの集落を消滅させてたまるか‼の思いを運動にしている。

・・・具体的な動き・イベント・交流会・支援制度は、下のURLから、市長のスピーチ動画でご覧ください。・・・

これらの結果で、合計350世帯805人が定住した。平均年齢は37歳。その内、水源の里への移住者は35世帯69人だ。
今後の新たな定住促進施策は、京都府北部の広域連携で取り組む。また、『半農半X』の提唱や、こんな方に来てもらいたいなど、エッジの利いた(差別化)施策も、地方発信ならできるのは?と、ポジティブに考える人が多くなっている。

 

・・・さろんの後半は、フォーラムでのパネリストや、分科会のアドバイザーの方々から、ご感想をいただき、市長との意見交換の時間になりました。・・・

「総合的に地域を創りあげてる。政策が絡み合い、繋がり、相乗効果を感じる。」
~綾部市には、『コミュニティ放送局エフエムいかる』があり、市民は”76.3”を固定化して流している。毎週月曜日の昼には『こんにちは市長です』の番組もある。また市民新聞があり、市民のおよそ8割が購読している。こうしたことから行政と市民のコミュニケーションが密な事も大きな特徴だ。

「とがった移住者はいないのか?移住を断る人はいないのか?」
とがっている移住者もいれば、ユニークで個性的な市民が多い。入ってきた子供たちへの愛情は、おのずと地域全体に広がる。
移住施策では、移住者の数を評価基準にするのは間違っていた。移住する方には、お一人お一人の事情や考えや発信があり、それに向き合うべきだったと、あらためた。

「ふるさと教育の徹底、多様性の享受の話に感銘した。」
20~30年前の価値観は「東京を目指せ!」だった。今の祖父母にはまだその価値観が残っている。宮沢賢治は、学年で一番優秀な子は地元に残そうとした。
『半農半X』や多様化したライフスタイルの実践者が、綾部市には多く居る。私自身、「井の中の蛙大海を知らず・・・されど、空の青さを知る」で、日々、綾部で新たな魅力を発見している。

更に、「スローライフ」と綾部がどう結びつくのか?の話題になり、パネリストでアドバイザーの小田切徳美さんは、以前から市長に、「人はいずれ死ぬ。結果がどうであれ、プロセスが大事なんだ。時間がかかることをコストだと考えていた時代もあった。しかし、途中経過の”ゴネゴネ”を楽しむ。未来を切り開く時間を大切に、そこに時間をかける。時間をかけることは将来への投資なんだ。」と話してきたことが披露されました。

綾部市を知ろう!と市長にお話しいただいた「さんか・さろん」でしたが、パネルディスカッションの前半を聞いたような、とても面白い対話の時間でした。

最後に、京都府綾部市役所 定住交流部の朝子直樹部長、定住・地域政策課の潮見正敏課長と、井上香課長補佐にも「ぜひ綾部へ、お待ちしています!」とご挨拶をいただきました。参加者は43名でした。

講演部分のみこちらのYouTubeでご覧いただけます。

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