ひな祭り 立雛と貝覆

お雛様と貝覆(かいおおい)

陶器の立ち雛と一緒に設えたのは貝覆。貝合わせともいわれる、お姫様のお嫁入り道具のひとつです。貝覆の蛤は一対の貝殻以外はけっして合わないことから、貞操の象徴とされます。それぞれの貝殻の内側に同じ絵(花鳥風月や源氏物語絵巻など)を極彩色で描き、一対の片方と一致するものを探す、という雅な遊びは、後に百人一首やカルタになったといわれます。

文・室礼:丸山薫(「心葉」主宰)