瓦版2025.4.8第732号室崎千重さんほか、7人のコラム掲載。

 春、4月、街のあちこちで、真新しいスーツや制服の若者たちを見かけます。みんな、ちょっと緊張した面持ちで、いかにもフレッシュです。きっと、さまざまな「出会い」のドラマが幕を開けていることでしょう。そして新年度は「加入」「更新」の節目でもあります。スローライフの会でも、みなさまの会費の納入をお待ちしています。(桜の写真は東京都内で)

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写真がご覧になれない方は、ホームページからどうぞ。

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『緑と絆の木陰』

満開に心躍る

  室﨑千重 (奈良女子大学准教授)

 京都、奈良ではちょうど桜が満開です。桜の側には写真を撮る人、シートをひいてお花見する人がたくさん。SNSにも桜の写真が溢れています。桜が咲くと、天気予報がいつも以上に気になったり、一駅手前で電車を降りて川沿いの桜並木を歩いて通勤してみたり、どうにか時間を捻出して「桜時間」を満喫したい私は浮き足立ちます。季節外れの寒さのおかげで、今年は長く桜が楽しめそうで嬉しいです。

 1年前から英語をオンラインで習いはじめました。先生は、十津川村谷瀬集落に移住したカナダ人です。日本人女性とご夫婦で素敵なカフェをされています。もともと英語の先生をしていた方で教え方も上手くて、習い事って楽しい! と実感中です。

 「きれいな桜を見に行ってきた、お花見もしたよ」と話すと、「どうして日本人は桜が好きなの? 他の花とは違うの」と聞かれました。改めて問われると、こんなにも桜に心躍る理由がすぐに思いつきません。何も疑わずに桜を待ち望み、桜に歓喜しているのはどうしてなのでしょう。

 レッスン中に絞り出した理由は、1)淡いピンク色に世界が包まれる風景がとにかく美しいから、2)日本人にとって春が新しいスタートの時期だから、3)楽しめる期間が1週間くらいと短い儚さが尊いから、です。いまこれを書きながら、もう一つ思ったのは、「桜の下で、みんなが楽しめるから」という理由です。この1週間に多くの知らない人たちが桜の下に集まり、同じ時間を共有して、そして桜の下にいるみんなが笑顔だなんて、こんな場面は1年の中で今だけの気がします。

 みなさんにとっての桜に心躍る理由は何ですか。

<あっちこっちで多事争論>

益軒先生『楽訓』式スローライフを楽しむ (下)

  山下茂 (東京都 スローライフ会員)

 前回お話した益軒先生の『楽訓』ですが、中身は3巻構成になっています。上巻が“惣論”(=総論)、中巻が巡る時節それぞれの楽しみ方、下巻が“読書の楽”です。高齢期の執筆ゆえか同じような文章が続きはしますが、各文ごとに表現が少しずつ違い、その中から自分に馴染む表現を選んで自家薬籠中に入れて楽しめばよい。

 散歩するには、中巻を参照し、今なら旧和暦「きさらぎ」の下旬なので、曙の“けしき”や“かげろふ”など、“春めきていとめづらし”きさま、加えて梅、桃、桜など“ひねもす花をながめくらす”のが、“心を快くするわざなれ”で、古への詩にいう“春宵一刻直千金”を実体験するのが『楽訓』のアドバイス。“老ぬれば、今いくとせか花もあひ見んと思へば、春のをしさは、いやまさりぬ”のだから、「緩急自在」で楽しまなければモッタイナ~イ。

 という具合で、江戸期のスローでエコな生き方に見習い、「後期」老後も「人生の質」を高めうるスローライフを実践中。今後も移り行く時節の折々に『楽訓』の教えに学びながら、「明日は我が身」のはずの皆さんにも状況報告させて頂きましょう。

**『楽訓』からの引用を“・・・”、その他の強調を「・・・」としています。

スローフードの第一歩

  高橋征吾 (東京都 スローライフの会会員)

 3月26日配信の瓦版第731号で、静岡県・八巻史恵さんの「食事療法半年で、お肌つるつるに」を拝読して、やはり健康の基本は「医食同源」なのだなと感じました。食の改善を実践して健康の向上を実現されていることが素晴らしい。

 関連して想起したのは、近年、新聞などでも目にする「超加工食品」に関する議論です。「超加工食品」とは、ポテトチップス、菓子パン、カップ麺、クッキー、ビスケット、冷凍ピザなどの「過度に加工された食品」のことですが、食べやすく美味しいがために過度の摂取を招き、肥満の原因、そして死亡率を高めるリスクや、不眠、抑鬱感、認知症との関連が指摘されています。

 もともとスローライフ自体がイタリアのスローフード運動を源流としていますが、スローフードはそれこそ大量生産・大量消費の超加工食品とは真逆の考え方です。自分の口にするものをゆっくり丁寧に作り、いただくことが健康につながる。都会の一人暮らしでスローフードを実現するのは至難の業ではありますが、第一歩として、まずは間食の超加工食品を減らすことから手をつけたいものだと思いました。

アッチコッチと

  遠北剛 (広島市 スローライフの会会員)

 車の生活からチャリに、車道から路地道に、スローライフ。季節の風、季節の景色を肌で感じる。安佐北区の「品窮寺(ほんぐうじ)」の境内は寺小道、一本の枝垂れ桜(上の写真)が道行く人の目を引く。四月三日は花見の日、路地道は春爛漫と花が咲き誇る。

 体調管理をするスマホから運動量が足りないと警告あり。一日3000歩が目標であと800歩と、さらに散歩に出かける。めっきり少なくなった田畑の畦道を足元を眺めながら歩く、気づけば枯葉の畔が野草の緑の道に。

 わたし誰の子すぎなの子、懐かしい出逢いだ。春の味を楽しみに土筆(下の写真)を摘む。

旅立ちの日に – 卒業式に感じたこと

  関根秀昭 (横浜市 スローライフの会会員)

 地元中学校の卒業式に参加しました。

 式はおごそかに国旗に礼をして全員で国歌斉唱です。日常生活において国歌を歌う機会はほとんど無いため、国歌とは何なのだろうと思いをはせる機会となりました。式が進み在校生による卒業生を送る言葉から、卒業生による合唱になりました。歌われた曲は「旅立ちの日に」という歌です。初めて聞いたので全く歌えません。

 「旅立ちの日に」は1991年に埼玉県秩父市の中学校の校長先生が、当時荒れていた校風を合唱により変えようと作られた曲で、その後各地へ広まったそうです。「旅立ちの日に」の歌詞は、これから幾多の可能性を秘めた子どもたちに向け、「輝く」「飛び立つ」「無限の可能性を求めて」という前向きなメッセージにあふれています。

 私の時代には、卒業式の定番は「仰げば尊し」でした。その歌詞は先生に恩を強要するように感じられるので、今の時代にはそぐわないのかもしれません。子どもたちの力強い歌声を聞きながら、私の世代にも、輝いて次のステージに飛びたつような気持ちになれる歌が欲しいと思いました。

 中学校の卒業式を通じて、国歌とは何か、社会や教育の変化、多くの可能性を持つ子供たちに大人として何ができるか、何を残せるか、といったことを真剣に考えたひと時でした。

 「誰もきみに未来を贈ることはできない。何故ならきみが未来だから」これは、谷川俊太郎さんの合唱曲「未来へ」の言葉です。これを、全ての世代に贈りたい。

想像以上、米国の「持続可能な成長」に対する逆風

  太田民夫 (神奈川県 スローライフの会)

 過日、サステナブル・ブランド国際会議2025東京・丸の内というカンファレンスに参加した。持続可能な成長を実現する、というのが同会議の目的で、20年前に米国で始まり、日本での開催は今回が9回目となる。同会議の創立者であるコーアン・スカンジアさんが会議の冒頭、「いま、米国では(持続可能な成長に対して)困難な状況に向き合っている。これまで気候変動、自然環境、人間の健康と福祉への悪影響を減らす方法を学んできた。より良い未来のために戦い続けることは今とても厳しい状況です」と語った。

 さらに、米国で「持続可能な成長」の活動に対して攻撃が起きていることを述べ、具体的には「(環境の劣化によるリスクの増大の証拠などの)科学的データを破壊することさえしている」とした。米国の新政権下では「持続可能な成長」という考え方が逆境に立たされていることを厳しい表情で訴えた。

 一方、「いいニュースがあります」と続けた。ここ数カ月間、持続可能な成長をめざす多くの多国籍企業と対話を行った結果、気候変動、生物多様性の喪失、土壌の劣化などの問題が悪化しているとの認識を踏まえ、これらの問題に長期的に対応していくことを確認した、とした。

『スローライフ曼荼羅』

あんなかLIVE

  野口智子(ゆとり研究所、スローライフの会共同代表)

 群馬県安中市から「移住・定住アクションプラン」(愛称:あんなかLIVE)の冊子が送られてきました。私が、プラン策定委員会のワークショップをお手伝いしたからです。なかを見て昨年度を思い出しました。委員会というと固い会議を思いますが、公募で集まった市民、移住者、企業人などで常にワイワイ。会場も廃校校舎や植物園など、え? という場所。活気ある人達がおもしろい場所で、まさに行動プランを考え、いま走り出しています。https://noguchi-tomoko.com/post-10764/

■■つべ小部屋■■

必要な避難計画は別にある

  つぼいゆづる(スローライフ瓦版編集長)

 まじめに計画を作らされている現場の自治体職員が気の毒でならない。政府が3月末に公表した計画のことだ。沖縄県の先島諸島5市町村(石垣市、宮古島市、竹富町、与那国町、多良間村)の住民ら約12万人を自衛隊や海上保安庁の船舶、民間のフェリー、航空機などで九州・山口の8県の32市町村に避難させる、という。

 明言はしないが「台湾有事」への備えで、来年度中には訓練もする。「絵に描いた餅」とも言えぬ話に税金が費やされるわけだ。

 だが、沖縄が危ないときに、なぜ九州は「平時」なのか。空路で約11万人を福岡空港と鹿児島空港に運び、そこから各県に陸路で移すというが、バスと運転手はどこから集めるのか。そもそも避難先の宿泊施設は全て空室という前提に現実味がない。1泊3食付きで7000円という設定だが、いまどきそんな安価な宿が都市部にあるのか。

 計画策定は先島諸島に陸上自衛隊の駐屯地を次々に開設してきたことと表裏一体だ。政府が防衛力強化をうたって危うい施設を設けた以上、いざとなったら住民を避難させる必要があるという理屈なのだが、「もし」に「もし」を重ねた上に、こうあってほしいという希望をつなぎ合わせる計画には、ほとほと呆れるしかない。

 いますぐに必要かつ重要な避難計画といえば、原発への対応のはずだ。海岸線に並ぶ原発が狙われたら、どうするつもりか。それなのに原発の避難計画は現場の自治体に任せきりで、国は責任を取らない。こんな現状が世の中でまかり通っていることが信じられないし、恐ろしい。

<編集室便り>

▽4月の「さんか・さろん」は、あの「雲の上の図書館」から。

 素晴らしい図書館として知られる、高知県梼原町の図書館。この「雲の上の図書館」の準備段階からかかわられた司書の木稲(このみ)沙央里さんにお話をうかがいます。

・4月15日(火)19時から。お申込はメールで事務局まで。

slowlifej@nifty.com  詳しくはこちらから。

https://www.slowlife-japan.jp/2025/03/27/%ef%bd%93-341/

 

▽3月農楽里ファームの遠藤夏緒さんのお話に届いた感想です。

「昨晩はありがとうございました。とても実りが多く、皆さまの温かさも合わせて感じておりました。また、遠藤さんのお話しが我が町と重なるものが大変多く、考える機会をいただきました。改めて参加させていただきありがとうございました。最後にネコの姿を見ることができて眼福でした」

「山のスローライフの極みで楽しいひとときでした。惜しむラクは老生がもう30年若ければ、この<山のスローライフ>に対抗して、ヨットマンの<海のスローライフ>にチャレンジしたいものでした」

みなさま、ゆっくりでもご感想をお寄せください。

3月の「さろん」、「農楽里ファーム」遠藤夏緒さんのお話はこちらに報告とYouTubeがあります。ご覧ください。

https://www.slowlife-japan.jp/2025/03/24/%ef%bd%93-339/

 

会費の季節です。

 スローライフの会会員の皆様、新年度の会費をお待ちしております。今まで会員でなかった方も、4月からはぜひお仲間になってください。詳しくはこちらから。

https://www.slowlife-japan.jp/s/

 

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【白浜本社】2Fギャラリースペースにて鉛筆画家・琴塚吉太朗氏の個展を開催中です。鉛筆一本で仕上げた動物たちの表情豊かで独創的な世界観をお楽しみいただけます。入館無料。期日は5月9日まで https://3g1fj.hp.peraichi.com/

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〒160-0022 東京都新宿区新宿2丁目12番13号

新宿アントレサロンビル2階「スローライフの会」

メール slowlifej@nifty.com 電話090-7433-1741(野口)

 

※ご連絡はなるべくメールでお願いします。

※活動詳細はホームページからご覧ください。

http://www.slowlife-japan.jp/