瓦版 2026.6.9 第760号 室﨑千重さんら、コラム多数。

 

 どこにでもありそうな街並みや商業ビルが瓦礫(がれき)になっている。ミサイル攻撃や空爆による凄惨で痛ましい映像や写真が、日々のメディアにあふれている。まるで、これが日常ですよ、と言わんばかりに。いつから、こんな世界になってしまったのだろう。慣れてはいけない。戦争反対の声を上げ続けなければいけない。さもなくば、あすは我が身になるやもしれぬ。「何を大げさな」と言うなかれ。いまや民主主義の危機は、決して他人事ではない。

*写真は東京都新宿区のアジサイ。

======================================

●感想を下記までお寄せください。

slowlifej@nifty.com

●会員の方からの投稿をお待ちしています。次回は6月18日(木)が締め切りで、6月23 日(火)に配信します。

『緑と絆の木陰』

名前と私

  室﨑千重 (奈良女子大学准教授)

 仕事では旧姓を使用している。圧倒的に旧姓を使う機会の方が多いけれど、もちろん現在の戸籍名を使う(使わなければならない)場面もある。私の日常生活は、この苗字を巡る小さな混乱と共にある。

 例えば、予約したホテルのフロント。「予約したムロサキです。(ホテルの人のアレ?という様子をみて)あ、イナチという名前かもしれません」と、どちらの苗字を使ったかわからなくなり怪しい発言になる。クレジットカードと紐付けた予約とか、会員登録などで戸籍名でないと困るものが存在するためだ。場当たり的に対応をするから自分でもどちらの苗字か全くわからなくなる。

 時には、この2つの苗字が同一人物であることの証明が必要になる。以前はこれがなかなか面倒だった。運転免許証など写真の入った証明書で本人を確認しつつ、戸籍名と旧姓が確認されてゆく。私という人間は何も変わっていないのに、名前という記号の照合作業の様子に、ふと自分の存在が不確かなものに感じられる。

 選択的夫婦別姓は長らく議題になるものの、進む気配は感じられない。小さな自己否定感とか不便さ、それによるストレスを感じている人が少ないからだろうか?

 以前は、仕事関係の手続きの書類を書く際に、事前に相手先に事情を説明し、どちらの苗字の署名が必要か問い合わせて対応していた。今は旧姓を黙って書いてそのまま提出して、旧姓じゃダメな時は、相手先も一緒に小さな混乱を体験している。自分ごとになる人が増えたら、ぼちぼち社会は変わるのでしょうか?

<あっちこっちで多事争論>

ホルムズ海峡を思う

  太田民夫 (神奈川県 スローライフの会会員)

 快晴の午後、静岡・伊豆高原の高台から伊豆大島を望む。東京湾を出る船舶は浦賀沖を通り、その多くは下の写真にある大島西側の海域を航行する。この高台から大島・岡田港までの距離は約28㎞。よほどの濃霧や荒天でないかぎり、大島ははっきりと見える。

 この海景を見ながら、いま世界が注目するチョークポイント(交通のあい路)のホルムズ海峡を思う。

 報道によれば、ホルムズ海峡の一番狭いところの幅は約33㎞。大島と伊豆半島東海岸との距離感だ。ホルムズ海峡に突き出ているオマーン北端のカムザールから約56㎞のララク島の南側を4月末、日本の出光丸が通過した。大島・岡田港から房総半島の南端の野島崎灯台までが約53㎞。ホルムズ海峡は大島北端と伊豆半島東側、房総半島南端や相模湾の海域の規模感で、一触即発の危機を迎えている。

 ホルムズ海峡は遠く離れているが、実は日本の空海域でも射撃や潜水訓練が日常的に行われている。野島崎南東方での自衛艦や自衛隊機による射撃・フレア発射(5月下旬~6月1日)について、第3管区海上保安本部は緯度・経度で示した訓練海域を公表し、船舶に安全確保を呼び掛けた。沖縄県全域及びその周辺海域を管轄する第11管区海上保安本部は4月23日付の発表で、台湾東方における射撃訓練(射撃の主体は詳らかにされず)の断続的な日程を明示した。

 陸(おか)の上では「平和な」日本だが、緊張する日本周辺の海域にもっと関心を持つべきだ。写真は 伊豆大島と伊豆高原(手前)。左方向が東京湾

 

山のような幸がありますように

  栗林ゆか (仙台市 フラワースタイリスト) 

 「十勝ワイン」の製造で知られる北海道池田町から、バラ園で有名な福島市「四季の里」へ、開園30周年をお祝いするワイン用ブドウの苗木「山幸」30本が寄贈されました。5月24日に、その記念植樹式が催され、参加してきました。

 「開園30年」は昨年でしたが、移植に最適なこの時期に、地域の未来を担う福島の子どもたちによって植樹されました。

 北海道池田町と福島市。

 私のお花をテーマとした仕事がきっかけとなって、両自治体の交流がスタートしました。

 「ブドウ畑の横にバラを植えると、バラがブドウの病気を察知するセンサーの役割をするんですよ」と、かつてワイン城のブドウ畑を安井美裕町長にご案内していただいた際のお言葉をヒントとして進めた企画です。

 苗木の近くにはQRコードがついた看板が設置され、読み取ると両市町のバラやブドウの生育状況が確認できます。

 ブドウの収穫を迎えるのは3年後。「ジャムやジュースなどを作りたい!」と子どもたちから歓声が上がっていました。

 池田町の安井町長からはビデオメッセージが寄せられ、皆で熱心に拝聴しました。苗に込められた「山のような幸がありますように」という祈りとともに、この山幸の苗が、福島の子どもたちの豊かな未来と共に健やかに育っていきますように。

 

 

作品を募集します~全国水源の里フォトコンテスト~

  全国水源の里連絡協議会 (京都府綾部市)

 6月1日より、第18回全国水源の里フォトコンテストの作品を募集しています。

 全国水源の里連絡協議会は、過疎高齢化が進み、集落の維持が困難な地域を「水源の里」と位置づけ、「上流は下流を思い、下流は上流に感謝する」との理念のもと、集落再生に向けた取り組みを続けています。

 このフォトコンテストでは、日本各地に存在する水源の里の魅力を表現した写真作品を広く募ります。四季折々、さまざまな表情で魅せる自然の姿、息をのむ刹那の瞬間、命の営み、景色・祭事・人・こと……などなど。望郷の念を抱くような「水源の里」の写真作品を、ぜひ、ご応募ください。

 作品募集の詳細は、当協議会公式ホームページよりご確認ください。ホームページでは過去の入賞作品もご覧になれます。この機会に日本各地にある水源の里の魅力に触れてみてはいかがでしょうか?

 たくさんのご応募をお待ちしております。

※募集期間は6月1日~8月31日(最終日消印有効)

・全国水源の里連絡協議会HP https://suigennosato.jp/

・全国水源の里 フォトコンテストInstagram

https://www.instagram.com/suigennosato.photocontest/

・全国水源の里連絡協議会 フォトコンテスト事務局

TEL:0773-49-1161 E-mail:teijyukouryu@city.ayabe.lg.jp

 

口に出して言わなければ

  辻亜月子 (京都市 スローライフの会会員)

 ゴールデンウィーク初日にぎっくり腰になった。月1で通う整体師に処置はしてもらったものの痛みが消えないまま、甥の結婚式のため、新幹線で小田原まで出かけた。

 翌日、連休とあって、新幹線は夕方まで席が取れない。待つ間、息子と箱根まで足を延ばしたことで、さらに悪化したに違いない。登山鉄道では立っているのも難しいほどだが、誰も席を譲ってくれない。きっとそんな歳には見えないのだろうと、ちょっと自惚れてみたものの、痛みは増すばかり。周りは冷たい人ばかりなのか。いや、「すみません。腰が痛いので席を譲っていただけませんか」と一言、言えばよかったのかもしれない。本当に困っているなら、他人に頼ることもあっていいんじゃないの、とプライドが先に立った自分を少し反省した。

 戻り着いた京都駅で、いつもなら地下鉄に乗るところ、迷わずタクシー乗り場へ、カタツムリのような歩みで直行。乗車するのも一苦労だったが、長蛇の列の観光客を気にしてか、運転手さんに早く乗るように言われたときに、「すみません、腰が痛くてゆっくりしか動けないんです」と応じると、「そうでしたか。大丈夫ですか、乗れましたか」と言ってもらえた。さっきの反省が少し活かされたかも。

 口に出さずとも、察して欲しいと思うのは身勝手な考えかもしれない。困ったことや伝えたいことは口に出さなくてはわかってもらえないのだと痛感した。他人ならなおさら、身近な家族でも同じことだ。

 当たり前のことを思い知った連休となりました。

火伏せの祭事「大文字」

  遠北剛 (広島市可部 スローライフの会会員)

 高松山に「大文字」が点灯されると、可部の町に夏が来る。今年も、5月末に開催されました。

 大文字点火は江戸時代から続く長い伝統行事です。1700年代、可部の町は鋳物産業で栄えました。その半面、鋳物工場から噴き上げる火は空を真っ赤に染め、火事騒動は日常の災害、大火で町の八割方を焼き尽くしたこともありました。コレは堪らんと鋳物屋は京都の愛宕神社に参拝し、火伏せの神を分霊、高松山に神社を建立し魂を祀ったのです。

 以降、鋳物工場からの火災も収まり、京都の送り火大文字祭事を真似て、年に一度、高松山に大文字を点火する祭事が続いています。長い歴史の中では、土砂流災害、コロナ禍で伝統が絶えた時期もありましたが、志ある人たちによって大文字が護られてきました。見上げるお山の天辺から輝く大文字は可部の町の文化の宝です。

 

子どものための名画「挿絵画家・梁川剛一」

  小笠原洋子 (東京都 エッセイスト)

 皆さまこんにちは! 2024年5月の「さんか・さろん」で、節約生活についてスピーチをした小笠原です。今夏、市立函館博物館で開催される「さぁ、お話しの世界へ! 梁川剛一没後40年展」の関連イベントで、私が7月20日に講演をします。かつて東京の美術館で学芸員として梁川剛一(やながわ・ごういち)の展覧会を催したことがご縁です。

 明治35(1902)年、函館生まれの剛一は、今の東京藝大塑像科を首席で卒業した秀才で、「蝶々夫人像」などを制作した彫刻家ですが、当時の花形職業であった挿絵画家として名を馳せました。本格的なデッサンに基づく理想的な人物像を得意とし、明るい色調に満ちた健康的な画風で戦前の『少年倶楽部』に「少年探偵団」の挿絵や、『講談社の絵本』に「リンカーン」などを描き、戦後も各名作全集の「三銃士」などに名画を遺しています。

 子どものころに親しんだ『巌窟王』『家なき子』『小公子』など、もう一度読んでみたいと思わせる懐かしいお話は、たくさんあります。図書館に行かれたら、児童図書コーナーの棚にも目を向け、ためらいなく手に取ってみてください。そして物語だけでなく絵にも注目してください。もし剛一の絵に出会えれば幸いです。

『スローライフ曼荼羅』

栃の実物語 

  野口智子(ゆとり研究所 スローライフの会共同代表)

 栃の木、栃の実をご存知でしょうか。あくぬきが大変ですが食べられます。私が通っている京都府綾部市はその「栃餅」が名物。水源の里・老富(おいとみ)集落では餅と栃大福をおばあちゃんたち作っています。同じく古屋(こや)という集落でも、かつては作られましたが、今や住民は1人。集落に伝わる「栃神伝説」の絵本、紙芝居が残ります。わずかにほろ苦く、独特の風味のある栃餅。支えるにはどうすれば良いか、考えどころです。

https://noguchi-tomoko.com/post-11220/

■■つべ小部屋■■

カルフォルニア雑感

  つぼいゆづる (スローライフ瓦版編集長)

 いつものうんざりするような政治話ではなく、5月に長旅をしてきた米国カリフォルニア州で見聞きした、ちょっとしたエピソードをご披露します。

 ●その1。サンノゼ市内の交差点の真ん中。前を行く車が青信号なのに急に停まり、運転席から青年が飛び出してきた。すると、目の前の赤信号の横断歩道を渡る老婆に駆け寄り、対向車線の車を手で制止しながら、彼女を渡らせた。年寄りには青信号の時間が短すぎたのだ。素晴らしい好青年。(彼が下り瞬間、老人を怒鳴りつけるのではないかと思ったしまった、自分を深く反省しつつ)

 ●その2。クパチーノ市内。片道4車線の広い車道を雁(グース)のカップルが堂々と道を渡ってゆく(写真)。よくある光景らしく、すべての車が停まって、見送っていた。アップル本社近くでのこと。

 ●その3。サンタクララ大学。正門に守衛の姿はなく、自由に構内を散策でき、食堂(寿司も食べられる)でくつろげた。芝生の庭で球技に興じる男子学生の傍では、日光浴をする多くの女子学生たちが横たわる。みんな肌もあらわなビキニ姿ばかり。横を通り過ぎるとき、目のやり場に困った。(だから写真は撮っていません)

 ●その4。サンタクルーズ市内。日本に進出して話題の「VERVE COFFEE本店」。電動車いすの老人がひとり、ゆったりとコーヒーを飲み、スナック菓子をつまんでいた。周りの若者の喧騒とは隔絶された世界が、さりげなく広がっていた。

 ●その5。サンフランシスコ(SF)市内。空港と繁華街を結ぶ列車に、ガイドブック片手に飛び乗ると、若者がさっと席を譲ってくれた。当方が老人に見られただけなのだろうが、観光客を歓迎してくれているようにも思えて嬉しかった。

 ●その6。ゲイの街として知られるカストロ地区(SF市内)。偶然、たどり着くと、子どもたちが街頭デモをしていた(写真)。その地で生まれ、ゲイを公言して初めて市議に当選したハ―ヴェイ・ミルクの誕生日を祝いつつ、「差別反対」「動物愛護」「学校大好き」などと叫んでいた。幼いころから何かを主張する姿がまぶしかった。

 ●その7。無人運転タクシー(WAYMO)。SF市内を普通に走っている。3台連なっているのも見かけた。配車の専用アプリは日本語対応でダウンロードできた。車を呼んだ客同士が、自分の車だと主張し、アプリで確認しあう場面もあった。運転操作の難しさが売りのケーブルカーの後ろを静かに追走する姿は、まるで未来が追いかけてくるようだった。

 ●その8。5月25日(月)の朝6時、SF空港へ行くために幹線列車の駅へ向かう。ところが、駅のシャッターが下りたまま。列車が走っていない。キャリーバッグを抱えて途方に暮れつつ、通りかかった人に聞くと、「メモリアルデー(戦没将兵追悼記念日)だから、8時まで動かないよ」とのこと。その日が祝日だとは知っていたが、まさか公共交通機関が朝8時まで止まっているとは。そういう国なのね、と思った。

 ●その他。気温は10度ほどのサンタクルーズの砂浜を散歩する人々が、みんな裸足だったこと。SFのケーブルカー乗り場で30分以上待たされていた老紳士が倒れ、多くの人々が親身に世話していたこと。SFのバス停で道を教えてくれた女の子がとても親切で素敵な笑顔が素敵だったこと、も忘れがたい。

<編集室便り>

▽6月の「さんか・さろん」は群馬県富岡市「洋品店いりやま」から

 世界遺産「富岡製糸場」がある群馬県富岡市。そこの「洋品店いりやま」は、独特の楽しい店です。製糸場にちなんだ絹製品が揃うほか、高齢の方々向きの洋品類がびっしり、地域の暮らしに欠かせないものもぎっしり、です。

 さらに人がおしゃべりに集まる。近くのお宿のフロント機能もある。毎週、地域づくりに興味ある人たちの飲み会の場になる。店内のテーブルは、街のもよおしもの(フェスタ)開催の打ち合わせ、作業場になる。ひっきりなしに全国から視察が来る。

 その店主、富岡の名物男、入山さんから活動のお話をうかがいます。

日時:6月16日(火)19時から zoomで

タイトル:「公民館みたいな洋品店」

講師:入山寛之さん(群馬県富岡市 洋品店いりやま 店主)

https://iriyama-tomioka.net/

申込:6月13日(土)までにメールで slowlifej@nifty.com

参加費:会員は1000円(年会費3000円を納めていただいた方を除く)

一般は2000円

詳しくは:https://www.slowlife-japan.jp/2026/06/03/%ef%bd%93-388/

スローライフの会のインスタへ写真を

 ようやく始めたインスタグラムです。皆さんからの「スローライフな写真」をお寄せください。事務局がゆっくりあげていきますので。楽しみにご覧ください、どんどん、どしどし拡散してください。

(PR)クオリティソフトから・・・

 【たまな商店】食べ頃は収穫から3日程度のため市場には出回らない超希少な新芳露メロンの受付を開始。京丹後の砂丘地帯でメロン農家40年以上の的場さんが育てた砂丘メロンです。 https://tamana-shop.jp/product/detail/33/

=========

〒160-0022 東京都新宿区新宿2丁目12番13号

新宿アントレサロンビル2階「スローライフの会」

メール slowlifej@nifty.com 電話090-7433-1741(野口)

 

※ご連絡はなるべくメールでお願いします。

※活動詳細はホームページからご覧ください。

http://www.slowlife-japan.jp/