瓦版2010.11.30第32号

週刊スローライフ瓦版 (2010.11.30 第32号)
発行:NPOスローライフ・ジャパン
スローライフ学会
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11月12~14日富山県砺波市・南砺市で開催された“スローライフ・フォーラム
inとなみ野。先ずは分科会報告です。
http://www.slowlife-japan.jp/modules/katudou/details.php?blog_id=103
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このメールは毎週火曜日の発行です。NPOスローライフ
ジャパンとのご縁を頼りにお送りしています。初めて受信
される方も含めて、お気軽にお付き合いください。
コラム<火曜日の鐘> 斉藤睦(地域総合研究所所長)
~~~ 150年住宅
2週間前に開かれた富山県となみ野フォーラムは、いろいろな意味で刺激的
なフォーラムでした。とくに、「住まい」のスローさに驚嘆。
京の“着だおれ、大阪の“喰いだおれは良く聞くけれど、富山は“住み
だおれというそうですね。つまり、住まいにお金をかけるということで、お
話をうかがった典型的な散居村(大きな屋敷とそれを囲う屋敷林の村)タイプ
のお家では、部屋の数は13か14か正確にはわからず、4代前が骨格をつくり、
3代前が天井を葺き、2代前が壁や欄間を工作し、自分がキッチンをリニュー
アルし、息子には外回りをせよと言い伝えているそうです。各代の支出は住居
一軒分をつくるくらいの費用らしく、それを一軒のお屋敷に費やし、これまで
百数十年もたせてきて、これからも受け継いで行く世代がいる地域があるとは。
日本の中のヨーロッパ中世のたたずまいと言ってもいいかもしれない。
でも、その散居村にも跡継ぎのいない家も出てきはじめているという…。
年季の入ったスローな住宅をどう受け継ぐシステムをつくったらいいのだろ
う。1地域だけのテーマというよりも、日本中で考えなくてはいけないのでは
ないだろうか。
■街角から畦道から ————————————————–
自然薯栽培発祥の地 吉田康知(山口県柳井市・やまぐちフラワーランド次長)
いまや全国へ普及した自然薯の人工栽培―。その発祥の地が、山口県柳井市
であることを知る人は存外に少ない。政田自然農園の創業者、政田敏雄さん
(平成17年没)は、今から40年以上も前に自然薯人工栽培への挑戦を決意し、
良質の自然薯の産地として知られる九州の山々を歩き回った。
時代が平成へと移り、調査した山の数が200を超えた頃、表が白で裏が黒の
2色のビニールシートや栽培用塩ビ製パイプを相次いで開発、山と同じ土質
環境・温度・湿度を作り出し、人工栽培に成功し、それが全国へと波及した。
発祥の地としても負けていられない。地元の農事組合法人「やまぐち自然薯
生産組合」は4年前から自然薯オーナーを募集している。年間5000円で、
うまく育てば6本の自然薯がわがものとなる。
今月21日に開かれた収穫祭には、県内外から170人のオーナーが集まり、自
然薯で作った団子の入った鍋に舌鼓を打ったばかりだ。
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学会コラム<緑と絆の木陰>
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坪井ゆづる(朝日新聞編集委員・論説委員) 「名古屋」の民意の行方
名古屋市議会のリコール問題が、ぐじゃぐじゃになってきた。反議会の世論
の爆発は、どこへ向かうのか。
実は私は、5年半前から今回のような世論の爆発を待っていた。きっかけは
05年4月28日付の朝日新聞「私の視点」の「議員への手当が過剰だ」という投
稿記事だ。名古屋市議会の則竹勅仁議員が書いた。
議会や委員会に出ると1日に1万円の費用弁償が支給される。月額101万円
の議員報酬とは別枠だ。市議は地下鉄や市バスの無料パスも持っているだけに、
どう考えてもムダであり、自分は返上しているという内容だった。
この「私の視点」は、則竹さんの「返上」を聞いた私が執筆をお願いした経
緯があった。当時、すでに先進自治体では議員特権への批判が広がっていた。
名古屋市の実態が載れば、市民の怒りを買い、議会も手当をやめざるを得ない
だろうと思っていた。だが、議会はまったく態度を改めなかった。その厚顔さ、
鈍感さに驚くとともに、怒ろうとしない住民にもがっかりした。
そんな住民がやっと怒った。その怒りはリコールが不成立でも、来春の統一
地方選で明確な民意となって現れることになる。
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「たかおか屋」から・・・
「スローライフ・フォーラムinとなみ野」ご参加のみなさま、富山県でのお米
の味はいかがでしたか? 高岡から味に自慢の〝こしひかり〟のご紹介です。
http://www.takaokaya.jp/news/2010/11/26-151248.php
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■まち・むらニュース ————————————————
・新潟県上越市 「新幹線の駅名募集中!」
平成26年に北陸新幹線が開業するにあたり、上越市に建設される駅名を考え
ようと有志が集まって「新幹線駅名を考える会」を発足。地元の声だけでは
なく、全国各地にお住まいで上越・妙高にゆかりのある方々にもご意見を、
とネットアンケートを実施中です。関心のある方はぜひ1票を。
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コラム<象さんの散歩> 東京・地下鉄マナー⑥
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前々号に「携帯電話の優先席での禁止令が無視されたままでは“顧客政策“
が問われる・・」と書いた。もっと恐いのが、地下鉄駅構内の長い長いエスカ
レーターでの駆け降り族の横行であろう。「駆け降りは危険です」という掲示
もどこ吹く風。疾風が飛びぬける。あの、かたかたかたの「ミュール」の音こ
そ、やや減ったものの、靴の高響きは絶えない。氷の風が吹く心地である。
こんなファーストな危険行為を掲示と放送に任せっぱなし。もし事故が起き
たときには「警告していたのに・・」と、免罪符に使うのだろうか。
このエスカレーターで、マナーが完全に励行されている不思議な現象がある。
「右側通行」。愉快にも大阪では「左側通行」。だれかのお願いでも命令でも
ない。危険への防衛本能だろうか。疑問符つきマナーである。∧ 川島正英 ∧
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「日光『食』の研究所」から・・・
知り合いの人から、有害駆除で取った地元の鹿を頂きました。鹿刺しとかが美
味しいのでしょうが、今回は何と、カツ丼にしてみました。
http://nikkokekko.blog121.fc2.com/blog-entry-67.html
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コラム やまさかのぼる <暦と季節と暮らしと> その29
~~~ ホンモノ麦酒新銘柄でカンパイ!
来週官暦12月6日から「しもつき」。寒さがいやが上にも身に沁みる時節に
なります。やっぱり、いいお酒で心身を温めることを心がけたいものです。
今秋は、麦酒党の小生にとって嬉しい動向が見られています。大手会社は、
毎年秋になると、新しい製品を市場に送り出します。それが、ややもすると、
単に酒精度を上げて酔いやすくしただけだったりしていました。
それが、今年は、各社それぞれに原材料に麦芽(モルト)以外のデンプン
(米など)は使わない新銘柄を打ち出しています。酒精度を1割方上げていた
りはしますが、まずは原材料面でのホンモノ尊重の取り組みを歓迎しましょう。
というわけで、今回は、我々の人生と生活の質を高めるホンモノ麦酒の新銘
柄でカンパイ!

コラム 野口智子<スローライフ曼荼羅> 「あしかが逸品堂」オープン
~~~
栃木県足利市の「一店逸品運動」のお世話をして、もう4年になります。先日
空き店舗を借りて、会員みんなで「逸品堂」をつくりました。逸品を売るだけ
でなく、店主が先生となり体験スクールをやる「学び」のスペースとメニュー
を用意したことが特色です。日本最古の「足利学校」を持つ地域での「学び」
がテーマの逸品運動。この店のオープンでかかわる店主たちも学ぶこと大です。
http://noguchi-tomoko.com/modules/yutoriaruki/details.php?blog_id=81
■事務局からのお知らせ
△先週は、スローライフ学会“となみ野フォーラム”の思い出メモの第一回を
お届けした。全体の流れと感謝のことばだった。きょうは、三つの分科会に
ついて。わがホーム・ページにも掲載しているコーディネーター報告を引用
させていただきながらの印象記とでもいえるでしょうか。
<利賀分科会>「地域の魅力と活力が交流をつくりだす>
コーディネーター 丸岡一直(社会福祉法人二ツ井ふくし会理事長)
パネリスト{地元側}中谷信一(財・利賀ふるさと財団理事長)
畠山芳子(武蔵野市からの移住者)
{外から}大和田順子(一般社団法人L・B・A共同代表)
渋谷和久(国交省総合政策局政策課長)
過疎地域での活動例で高い評価を得てきた利賀村。分科会も、ここに移住
して10年の畠山さんが「夢とロマンはむらの中にこそあった」と語ったし、
ロハスの考えを提唱する大和田さんは都会の若い女性たちの目が「農山村の
無口な男性」に向きはじめたことを紹介した。
こういう過疎地と過密都市との「二地域居住」。国交省政策課長の渋谷さ
んの提唱であった。畠山さんの「Iターン」も多様な組み合わせ事例の一つ
で、 あらためて日本の「住まう」の新しい課題として考えてみたい。
だが、利賀村の現実からも眼を背けてはなるまい。丸岡さんも、村の活動
を主導してきた中谷さんに「憂いの表情が見え隠れしていた」「人口減少が
止まらない事態はよそ者が感じるよりはるかに深刻」と、こまやかに見る。

<井波分科会>「美しく楽しく過ごす技と祭りと味と」
コーディネーター 坪井ゆづる(朝日新聞論説委員・編集委員)
パネリスト{地元側}岩倉雅美(井波彫刻協同組合理事長)
杉森桂子(NPO心泉いなみ理事)
{外から}藤田穣(総務省自治行政局過疎対策室長)
田嶋義介(島根県立大名誉教授)
農業に生きて、暮らしに知恵と工夫を積み重ね、楽しく、文化ゆたかに
過ごしてきた「となみ野」。分科会でも、地元勢の元気さが際立った。
「居宅が大きすぎませんか」との問いに「空間が人間を育てる」「天井が
高いほど賢い子が育つ」と。農業を通じた交流の楽しさも報告された。
総務省の藤田さんは「都会では断絶しがちな世代間の絆」の深さを指摘、
田嶋さんは「家屋、車、家電、衣(ころも)」在来型4Kから「観光、環境、
健康、介護」の新需要4Kに移って「田舎の価値が上がっている」と。
もちろん現実の問題点も浮かぶ。坪井さんは「4世代が当たり前だった散
居村でも、少子高齢化がすすむ現状」を課題の一つとしてあげた。
<砺波分科会>「散居村の景観と暮らしを守ろう」
コーディネーター 斉藤 睦(地域総合研究所長)
パネリスト{地元側}尾田武雄(NPO砺波土蔵の会理事長)
砂田龍次(となみ散居村ミュージアム館長)
{外から}長谷川八重(NPO法人スローライフ掛川理事)
早野 透(桜美林大学教授)
日本の農村に「住まう」すばらしい文化遺産である散居村。分科会で、斎
藤さんは、参加者に挙手で意見を聞き、それでも、ここに暮らし続けること
へのためらいが多いと読みとって、論議を進めた。長谷川さんは「通年型の
暮らし再発見活動をしないと・・」、早野さんは「これだけの散居村の個性
的で貴重な姿を知らない人はたくさんいる。もっと情報発信したほうが良い」
と発言。
一方、散居村の暮らしと文化継承活動をしている尾田さんは「散居村で活
性化というが、心の教育が先。当たり前と思っている暮らしの再評価を住民
自身がすることが大事」。散居村ミュージアム館長の砂田さんは「散居村は
先人の知恵、努力の結晶。失ってから大事さがわかるのでは遅いので、価値
の再発見勉強会を年40回やっている」と語る。ここがポイントだろう。
小世帯化する家族が大きな家と屋敷林をどう管理するか、二地域居住や民
宿の活用などの課題を残しつつ議論の継続が大事、と斎藤さんはまとめた。
(川島正英)
△筑紫哲也賞「作文コンクール/神話・民話を読み継ぐ」の入賞作品集をネッ
ト上(e-book)で公開中!
◆「上巻」→ http://www.slowlife-japan.jp/web_vol1/flipviewerxpress.html
◆「下巻」→ http://www.slowlife-japan.jp/web_vol2/flipviewerxpress.html
△スローライフ学会へのお誘い
スローライフ学会はNPOスローライフ・ジャパンが運営する学会(学長・
神野直彦、会長・増田寛也)です。
楽しくスローライフについて多くの分野から学び語り合います。また、全国
でスローライフなまちづくりをすすめる皆さんとのつながりでもあります。
年会費5000円。会員は自動的にNPOのサポート会員となります。会員に
なっていただけれんば、この「瓦版」に記事を出したり、「さんか・さろん」
などで交流したりできます。「学会便り」や、各種ご案内もお届けします。
また、学会申し込みはこちらから↓
http://www.slowlife-japan.jp/modules/liaise/index.php?form_id=5
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■いつも応援していただき、ありがとうございます。
日本テレネット株式会社
http://www.nippon-tele.net/
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http://www.co-daiichi.co.jp/boring.html
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