瓦版2012.10.23第130号

週刊スローライフ瓦版 (2012.10.23 第130号)
発行:NPOスローライフ・ジャパン
スローライフ学会
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暑かった、長かった夏が去って、ようやく秋到来、と思ったのに。さわやかで
ない世相がつぎつぎと。尼崎連続殺人、ネット偽装殺人予告、沖縄米兵暴行事
件など。政治もどよむ。瓦版の「街角から畦道から」に“秋をよろしく・・。
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コラム<火曜日の鐘> 丸岡一直(社会福祉法人二ツ井ふくし会理事長)
~~~ 主食の未来、スローな農業
稲刈りが終わって、農家の表情はいまひとつさえません。「日照りにケガチ
(飢饉)なし」ですからひどい作柄ではありませんが、暑い夏で豊作を期待し
たのにそれほどでもなかった。豊作を取り逃がしたという無力感です。
早く言えば稲も「夏バテ」だったのですが、原因を探ると昔ながらの丁寧な
土づくりを忘れ、手っ取り早い化学肥料に頼りすぎた。そのつけが回ったとい
うことのようです。おまけに、稲刈り機械(コンバイン)の効率を優先し、早
めに水を落としてしまう。熱い日差しに照りつけられ、のどの乾きが絶頂に達
したそのときに、田んぼに水がなかったのです。
それでも平年作を維持できたのは、かつて丹精を込めた土づくりが遺産とし
て残っているからです。遺産を食いつぶしてやっと作柄を保っている。でも、
この先はどうか。手間ひま惜しまず、堆肥中心の土づくりに立ち返る。スロー
な農業を取り戻せるかどうかに、主食の未来がかかっています。
学会コラム<緑と絆の木陰>
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増田寬也(野村総合研究所顧問) 高岡あれこれ
富山県高岡市で開催された「スローライフ・フォーラム」。会場の様子は別
途、報告するとして、高岡での感想をいくつか。
まず、町を案内して下さった女性ボランティアの皆さんの活躍ぶり。初日の
町歩き、二日目の国宝・瑞龍寺の案内や上質な説明は素晴らしかった。二日目
は日曜日。朝のうち家内とともに高岡大仏や瑞龍寺の参道である八丁道など静
かな町並みを楽しみながらぶらぶら散策していると、2人1組で、大きなビニ
ール袋を持ってゴミを丹念に拾っている人達の姿をみかけた。これも地元の皆
さんのボランティア活動。朝の空気が一層清清しく、心地良かった。
夜なべ談義での地元の人達との触れ合いと、心尽くしの料理の数々にも圧倒
された。昆布料理に北前船での北海道との交易の歴史を知った。また全国から
寄せられたスローライフ逸品は、地元の研究会で整理した「地域資源を活かす」
「地球にやさしい」などの6要件を満たした力作揃い。まさに、作者の「技と
こころ」が溢れ出ていた。
今回のフォーラムによって、あらためて高岡の魅力を再認識した。地元の皆
さんの心のこもったおもてなしやご協力に心から感謝と御礼を申し上げたい。

■街角から畦道から
味覚を育てる 村井康人(REBIRTH食育研究所代表)
スローライフ逸品フォーラムへ参加した。交流会では昆布を使った煮物や刺身
の昆布締めなど、高岡の郷土料理が並んだ。昆布のグルタミン酸はイノシン酸
と出会うことで、旨みが7倍に引き立つ。旨みを出すには、手間と時間をかけ
てじっくりと料理をしなければならない。高岡の料理には、昆布や出汁の旨み
が根付いている。高岡の子供たちは、これを食べて育つ。旨みは脳の機能を高
めたり、ストレスへの抵抗力が増すことでキレにくくなる。「おいしい」と感
じることは作ってくれた人への感謝につながり、郷土の味が次世代に受け継が
れていく。翌日の全体会で、神野先生がスローライフ逸品の定義に加え、イタ
リアのチッタスローに加入する都市の条件の一つに「市民・若者への味覚教育」
がある。とのお話に何度もうなずいた。
「高岡」の帰路の駅ソバ報告 山下茂(というか「やまさかのぼる」)
(明治大学公共政策大学院教授)
セミナー翌日の自由行動のご報告です。路面電車を全線往復すると同時に高岡
市内の見残した部分を見学してのち、JRで、平成元年に仕事で訪問したことが
ある小矢部(オヤベ)市(JRの駅は石動・イスルギ駅)を四半世紀ぶりに訪れ
ました。目的の一つは、あの世に赴く前に一度は食べたいものだなーと気にな
っていた石動駅のファストな蕎麦屋さんで、学生たちに人気の「コミ」という
麺を試すこと(写真をご覧ください)。それを見れば「コミ」の意味は一目瞭
然。ただ、今は「ミックス」という呼び名に。これが期待にたがわず、なかな
かの「逸品」!小生、量が多過ぎて食べ残すかと危惧していましたが、さほどの
時間もかけずにスルスルと完食。美味しかった。
スローライフに取り組む皆さんのお蔭で長年の念願を果たしました。感謝です。
駅ソバですから、ファスト・フードの代表ではありますが、ここは筑紫さんの
「緩急自在」の境地でお許しを。小矢部では、おつゆは関西風だということも
一瞬意外と感じましたが、考えてみれば、フォッサマグナ線より西側ですし、
旧加賀藩関係の領域でもあれば、薄味は当たり前なのでしょう。
一方、同じ平成元年当時、JR高岡駅の立ち食いソバ屋さんでその上品さに感心
した「小盛り」は、もう提供されていないようでした。あの小盛りは、容器の
小さなドンブリが駅ソバには珍しい上品な逸品でしたのに・・・残念です。
代わりに、高岡駅ソバ(小生は駅への上がり口下にあるコイン・ロッカー付近
の蕎麦屋さんを拝見)でも、なんと、「ミックス」が提供されているようです。
「コミ」が普及している地域はどのあたりまでなのでしょうか?

■まち・むらニュース
・東京都 日本生産性本部がアジアでのグローバルリーダーのセミナー
将来のグローバルリーダーに「世界での修羅場」体験を、と呼びかけて、来年
5月からアジア現地企業でインターンシップを行うプログラム「The Global
Leadership Practice Program in Asia (GLPPA)」をスタートさせるが、その
説明会を無料で。 対象は将来のグローバルリーダー。1ヶ月、3ヶ月、6ヶ
月の三つのコースを用意。「出発前国内プログラム」を受講後、アジア諸国で、
実際に現地企業でのビジネス体験と現地生活を行う。詳細は、当日の説明会で。
日時:第1回 2012年10月26日(金)10:00~12:00
第2回 2012年11月22日(木)10:00~12:00
第3回 2012年12月19日(水)15:00~17:00(いずれの回も内容は同一)
会場:日本生産性本部ビル セミナー室(東京都渋谷区渋谷)
※プログラムの詳細、お申込は下記ホームページで。
(第1回)http://seminar.jpc-net.jp/detail/lrw/seminar006442.html
(第2回)http://seminar.jpc-net.jp/detail/lrw/seminar006443.html
(第3回)http://seminar.jpc-net.jp/detail/lrw/seminar006444.html
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米粉のまち・胎内市から・・・
先日の米粉すく~るで、安心安全に食べられるのは生産者さん達のおかげとい
う事、一粒でも大事に食べるという事を子供達と話しながら帰りました。
http://tainai-komeko.blogto.jp/archives/18666909.html
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「日光『食』の研究所」から・・・
日光からの情報が、イベントの紹介やらでしばらくレシピ集の紹介をしていま
せんでした。で、今回はヨーグルトムースのご紹介です。
http://nikkokekko.blog121.fc2.com/blog-entry-201.html
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クオリティライフから・・・
10月から始まった、「たまな食堂」ならではの「朝のごちそう」が好評です。
玄米のおむすび、茶がゆ、天然酵母のパンという3つのメニューが中心。
平日の朝8時から10時までです。http://nfs.tamana-shokudo.jp/?p=2003
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コラム<象さんの散歩> ライブリー・ポリティックスクス論議
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「高岡フォーラム」。神野直彦さんの基調講演は「ものは時代を語る 人を
つなぐ」。今回の名言は「スローライフ逸品は詩人の魂でつくられる」だろう。
さらに、縄文時代から始まるものづくりの文化の流れを語って、迫力と魅力の
ある内容だった。ものづくりを動かす政治も、パワー・ポリティックスクス、
続いてマネー・P、次にライブリー・Pへと流れてきた。前世紀末は一進一退
の感じだったスローライフが、3・11によってほんものの方向へと。
この動きを身近なまちづくりの段階で捉えたのが「高岡フォーラム」である。
2日間の論議は“近いうちに”わが会のHPでお読みいただけるだろう。
この動きを地球規模で捉えたのが朝日地球環境フォーラム。高岡フォーラム
の翌日から東京・ホテルオークラで開かれた。基調講演、全体会議のほか10を
超える分科会、特別講演。高岡でコーディネーターをお願いした増田寛也さん
もパネラーに。このフォーラムの記事は朝日新聞でお読みいただけたろうか。
それぞれ「緑と絆」を論じる中で、「高岡」はスローライフ逸品、「朝日」
は新しいエネルギーへの、これからの挑戦をうたいあげるフォーラムとなった。
わが意を得たり。強行軍であったが、居心地いい週間・・。 ∨ 川島正英 ∧
コラム 野口智子<スローライフ曼荼羅> 米粉の力
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「もっちり・おいしい・まちづくり」のキャッチフレーズで、新潟県胎内市の
米粉のまちづくりをお手伝いして3年になります。先日の「第2回米粉フェス
タinたいない」では、“米粉わいわい発表会”“米粉交流会”“米粉れすとら
ん”“私の「べえべえ」グランプリ”など、米粉をテーマに様々な催しがあり
ました。いずれも人が出会う仕組み、これこそが米粉の力だと思います。
http://noguchi-tomoko.com/modules/yutoriaruki/details.php?blog_id=182
■編集室だより
□編集室便り
「高岡フォーラム」では「スローライフ逸品大集合」展も開いた。高岡から
だけでなく、広く全国に呼びかけ、83品が寄せられた。フォーラム会場の前
のホワイエに展示され、貴重な試みに注目が集まった。
スローライフ学会が、この品々の中から6点を選び、スローライフ逸品賞と
して高岡市長、高岡商工会議所会頭、フォーラム実行委員会委員長から表彰
していただいた。学会からは岩波新書の筑紫哲也著『スローライフ』と神野
直彦著『分かち合いの経済学』(サイン入り)が、また高岡から「万葉米」
と「とろろ昆布」が贈られた。
受賞は・・・・。
●高岡市長賞
「おいしい那須暦」 栃木県那須町・なすとらん倶楽部
「ペレットストーブ」 高岡市・平和エネルギー㈱
●高岡商工会議所会頭賞
「ふなずしパイ」 滋賀県守山市・洋菓子のモンレーブ
「ことりん」 高岡市・㈱山口九乗
●「スローライフ逸品フォーラムin高岡」実行委員会委員長賞
「FUGURO」 宮城県亘理町・WATALISU
「螺鈿メタルプチケース」 高岡市・漆器くにもと
□おひさしぶりです・・・「やまさか のぼる」さん
今週の「街角から畦道から」に“やまさかのぼる”さんが登場してくださっ
た。ご存知のはず。ことしの5月まで、この「瓦版」の人気コラムの一つで
あった「暦と季節と暮らしと」の筆者だから。楽しい話をちょうど100回続
けていただいた。ご記憶の方も多いでしょう。でも、その“やまさか”さん
が「火曜日の鐘」の常連執筆者のお一人・山下茂さんであった、としる人は
少ないはず。きょう、明らかにさせてもらった。ごめんなさい・・・。
□今年度の会費をお願いします。新会員も募集中。
スローライフ学会はNPOスローライフ・ジャパンが運営する学会(学長・
神野直彦、会長・増田寛也、副会長・中村桂子)です。
スローライフについて多くの分野から学び、楽しく語り合う。また、全国で
スローライフなまちづくりをすすめる皆さんとのつながりでもあります。

年会費5000円。会員は、この「瓦版」に記事を出したり「さんか・さろん」
などで交流したり。会費は下記の口座へお振り込みください。
【振込先】
ゆうちょ銀行 振替口座 00190-4-595293 スローライフ学会
三井住友銀行麹町支店 普通預金 8811176 スローライフ学会
※4月~3月の年会費のため、昨年度中途のお支払いの方も、新年度は新たに
お振込いただきたく、よろしくお願いいたします。
※個人名以外の口座でお振込の場合、確認できませんのでご一報ください。
新しく入会ご希望の方は、こちらからお申し込みください。
【入会フォーム】
http://www.slowlife-japan.jp/modules/contents/index.php?content_id=6
■私たちはいつもスローライフの動きを応援しています。
鹿児島県
http://www.pref.kagoshima.jp/pr/koryu/index.html
岩手県遠野市
http://www.city.tono.iwate.jp/
日本テレネット株式会社
http://www.nippon-tele.net/
クオリティ株式会社
http://www.quality.co.jp/
アース・デザイン・インターナショナル(edi)株式会社
http://www.edi.ne.jp/
株式会社サンクス・ツー
http://www.thanks2.jp/
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最後までお読みくださって、ありがとうございました。
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