瓦版2018.11.27 第441号

「街角から畦道から」の『カズコさん』、最後の号。二重に悲しい。竹内義昭
さん、ありがとう。読者諸兄姉からの「カズコさん、さようなら」「竹内さん、
お疲れさん」の便りは、“おくり鳩”で今月末までに編集室からお届けします。

 

コラム<火曜日の鐘> 早野 透(桜美林大学名誉教授)

神楽坂をゆっくり歩く

このごろの朝方、近所をよく散歩する。
神楽坂周辺の晩秋の街の風情をゆっくり楽しむ。
ほお、ここは、「弁天坂」というのか。このごろ、地名の由来を書いた石の
案内板があちこちに目につく。そのむかし、「このあたりには弁天堂があって、
甘酒やおでんの屋台がにぎわった」と書いてある。いまは、自動車が、びゅん
びゅん。へえ、このあたりに尾崎紅葉が住んでいたとも書いてある。
このごろお役所も気持ちのゆとりができたからか、こんな地誌歴史を教えて
くれてありがたいな。
明治のころのスローライフの街に、ぼくも住みたかったな。

 

学会コラム<緑と絆の木陰> 神野直彦(日本社会事業大学学長)

 

「生きること」は「学ぶこと」

 

人間は葦のようなか弱い存在ではあるけれども、次の瞬間には違った存在に
なろうとして生きている。だからこそ人間は自分が存在した証として学ぼうと
する。
私は現在、日本社会事業大学の学長を務めている。学長なので講義を担当す
ることはないが、学生から学長の講義を聞きたいという声があがったので、希
望する学生に「学長特別講義」をしている。
単位にもならない講義なので、受講する学生の眼の輝きには感動する。一人
ひとり自己紹介をさせると、秋の日差しを浴びながら、「私はシングル・マザ
ーで子供が二人います」と述べ、陰りのない美しい笑顔を浮かべた学生がいた。
その学生は堤康代さんといい、私の人生の終わりに出会った心から尊敬する人
である。
私が堤さんに、お子さんを誰に預けているのかと尋ねると、「長男は就職を
しているし、次男は大学に入学したので、自分は仕事を辞めて、大学に入学し
た」との予想だにしなかった答えが返ってきたので、私は狼狽した。私は堤さ
んを若く見誤っていたのである。
個人的に話を聞けば、堤さんは仕事をしている時に貯めたわずかばかりの貯
蓄を取り崩して、学費と生活費にあてているという。それでも「貧しくとも、
生きてはいけますよ」と堤さんは、さびしげに微笑した。続いて口を衝いて出
た言葉に、私の胸は張り裂けた。それは「私は長くは生きられないのです」と
いう言葉である。
堤さんは二度も脳梗塞に襲われていた。半身は未だしびれているという。医
者からは大学に入学することを止められたにもかかわらず、堤さんが最悪事態
を覚悟して選択した「生きる」道は、大学で「学ぶ」ということだったのであ
る。
「ミダスの呪い」に取りつかれた大学の財務責任者は、堤さんの学費の一部
を支援する奨学金を、一度は支給すると発表しながら、ただ「金がない」との
理由で支給を取り消した。堤さんは私に、「自分の命はもう長くないので、私
にはお金はいいのです。でも若い人たちにはどうにかしてあげて」と願いを告
げた。私は彼女の天使の心に涙した。
私は奨学金を取り消された堤さんを含む7名の学生すべての奨学金を、大学
に「貧者の一灯」を寄付することで復活させることにした。そうしなければ、
「あなたの命は見捨てない」と叫びつづけ、日本社会事業大学を巣立った卒業
生に申し訳が立たないからである。というよりも、私の尊敬する堤康代さんに
合わせる顔がないからである。

 

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■街角から畦道から

 

竹内 義昭 カズコさん(189)最終回

 

カズコさんの最期は、いわゆる自然死だった。食事や水分を受けつけなくなっ
たのは、文字通り自然に命の終わりを告げる現象なのだ。苦痛を訴えることも
なく、看取りをした施設の職員も驚くほど安らかな表情でこの世を去ったのだ
った。

 

特養に入所してから3年余、体のあちこちにできる内出血やただれにその都度
適切な処置をした看護師や介護担当者。自宅で介護を続けていたら、この歳ま
で生き延びるのは難しかっただろう。

 

息を引きとった直後の午前1時過ぎに電話連絡をくれ、その30分後には担当医
がかけつけていた。死亡診断書には「老衰」と記されている。臨終には立ち会
えなかったが、悔いはない。

 

瓦版の皆様:ちょうど4年前、「老々介護の実態報告を」と、ほんの2、30回
のつもりで始めたコラムでしたが、ここまで長く続いてしまいました。

 

皆様の励ましとご協力に感謝、感謝です。立派なお花までいただいて
ありがとうございました。仏壇の横に飾らせていただいております。

 

<編集室から> カズコさんのご葬儀には、NPOスローライフ・ジャパンと、
瓦版編集室からの供花をお届けしました。
心からご冥福をお祈りいたします。

 

■まち・むらニュース

 

・奈良市 奈良マラソン2018EXPO

 

史跡、名勝を巡る奈良の魅力満載のコースで人気のマラソン大会。今年も参加
エントリーは開始直後に締切に。県内や全国のグルメ、物産の販売、スポーツ
体験、各種ステージイベントなど、ランナーだけでなくだれも楽しめる。
開催日程:12月8日(土)?9日(日)
場所:鴻ノ池運動公園中央広場(奈良市佐保山)
主催・問合せ:奈良マラソン実行委員会事務局 TEL0742-81-8752
http://www.nara-marathon.jp/

 

・東京都新宿区 神宮外苑いちょう祭り

 

四列に連なる146本の樹々を黄葉に染め、約300mの並木が黄金色のトンネル
に。ここは都心随一の黄葉スポット。秋の風物詩となっている。夕方まで周辺
に全国からのグルメ店が40ほど集まる。夜間はライトアップも。
開催日時:?12月2日(日)10:00?17:30
場所:神宮外苑絵画館前いちょう並木(新宿区霞ヶ丘町)
主催・問合せ:神宮外苑いちょう祭り実行委員会 TEL03-5155-5658
http://www.jingugaien-ichomatsuri.jp/

 

コラム<象さんの散歩>

 

どうするのか「ふるさと納税」

 

ふるさと納税。10年前に登場した。いま住む市町村ばかりでなく、故郷など
思い入れをもつ市町村に対しても税を納められる道を開いた。あるべき制度。
だが、この税を納めればお礼を、いやお土産を、という道が開かれて、それが
悪用されていく。残念。批判がつのる。この欄でも、何度か書いた。
改まらず。むしろ、あの手この手。テレビで「ふるさとチョイス」と呼びか
ける広告が目立つ。納税すべき市町村、いや、お土産を届けるまちを紹介する
会社の宣伝だ。そもそも、ふるさと、はチョイスするものなのか。
もう一つ。先週の朝日新聞に「ふるさと納税ガイド」という全面広告が出た。
愛知、岐阜、三重の東海三県の広告特集。飛騨牛、おせち三段重・・三市三町
の特産品を寄付(=納税)に応じて、と書いてある。まさに企業並み。
ふるさと納税は、市町村への納税が国に縛り付けられていた仕組みを変え、
市民の気持ちを反映させ、ふるさとへの思いをつなぐ、すばらしい道である。
だが、悪用は許すまじ。前任総務相・野田聖子氏は優遇の取り消しを考えた。
新任の石田真敏氏も「修正が必要」と語ったが・・ <川島正英>

 

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コラム 野口智子<スローライフ曼荼羅> 「むらフェス」やろう!

 

那須塩原市、金沢・宇都野地区。廃校を利用で何かやろうという動きが起きて
います。「あつまっぺクラブ」という集まり。ワークショップで、まずは地域
の学園祭のような「むらフェス」をやる案がまとまりました。高齢者・高校生・
子どもで田舎カフェをやろう。フリーマーケットや写真展、竹細工も。お金は
ないが知恵をだして、廃校がワクワクする希望の校舎に変わりつつあります。
http://noguchi-tomoko.com/modules/yutoriaruki/details.php?blog_id=493

 

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