フォーラム報告5「パネルディスカッション」

「スローライフ・フォーラムin十津川」パネルディスカッション“「むら」に生きる”のまとめです。

ここでは印象深い言葉をピックアップしております。

詳しくはこちらからゆっくりご覧ください。

↓  ↓  ↓

パネルディスカッション

【登壇者】

・コーディネーター:
増田寛也(東京大学大学院客員教授、日本郵政代表取締役社長、スローライフ学会会長)

・パネリスト:
荒井正吾(奈良県知事)
小山手修造(十津川村村長)
中村桂子(JT生命誌研究館名誉館長、スローライフ学会副会長)
神野直彦(東京大学名誉教授、スローライフ学会学長)
坪井ゆづる(朝日新聞論説委員)
野口智子(ゆとり研究所、NPOスローライフ・ジャパン副理事長)

・2013年に奈良県では川上村でこのフォーラムを開催しました。私は十津川村へは2018年以来です。こちらへきて非常に多くのことを学ばせていただいています。

・合併でなく、基礎自治体をその行政単位を活かしながら県がサポート支援する「奈良モデル」を展開していることで、村が多く残っている。そこまで県が市町村支援に回っているというのはごく少数です。

 

荒井正吾さん(奈良県知事)

・学び合う姿勢、これが「奈良モデル」の原点です。国や県の言うことを聞けというのではなく、知事と市長村長は同じ立場、フラットな関係で対話議論をする。課題の共通認識があればいろいろできます。

・ここには誇るべき「十津川魂」があります。五條に2キロの滑走路のある緊急防災基地ができるので、平時の空港を空港ビジネスに使い、森の恵みを届け、稼ぐということもできるでしょう。

小山手修造さん(十津川村村長)

・十津川村は多様性の宝庫。北と南とで雑煮や言葉も違います。それでいて、十津川郷としてまとまり、皆が「十津川だ」という自負を持っています。太閤検地以来、御斜面所だった影響もあるでしょう。

・村外の皆さんから、村の潜在力に評価や希望の尺度を提供いただきました。村民にもっと自信を持ってもらいたい。今の森はバランスを欠いている、森との付き合い方を見直すタイミングだと思います。

中村桂子さん(JT生命誌研究館名誉館長)

・必要なものだけを作る社会にしたいです。ここの方たちは本当にいるものをご存知なのでしょう。だから吊り橋も散歩道もびっくりするような実行力で作られた。社会のモデルになりそうです。

・人類全体で森林との付き合い方を考えたい。森は一見一様にみえますが、実は多様です。長い間森林と付き合ってきたこの村がなぜ多様なのか突き詰めて考えると、すごい答えが出てくるのではないか。

神野直彦さん(東京大学名誉教授)

・自然に働きかけながら生活している人が、肌を寄せるようにして集まっているのを「むら」と言います。そして、人間が生まれて育って死んでいく包括的な機能がまとまっているところが「むら」です。

・コロナ禍で、都会の赤ちゃんは笑わなくなりました。マスクの顔しか見たことがないのです。私たちは人間が社会を形成し、手を繋ぎ合って生きていくのだという意欲も能力もない。危機意識が強いです。

坪井ゆづるさん(朝日新聞論説委員)

・十津川村に来てやりたかったこと。「谷瀬の吊り橋を渡る」「源泉かけ流し宣言した温泉につかる」「満点の星を眺める」、星は次回にしますが、もう一つお酒が美味しいことを発見しました。

・合併で村が一つもなくなった県が多いなか、奈良県には12の村が残っています。合併しないで頑張っている。それを評価します。多様性のあるところは、今後、生き残る芽があると思います。

野口智子さん(NPOスローライフ・ジャパン副理事長)

・谷瀬集落のむらおこしを手伝ってきました。寄合で決まったことを、必ず実際に実行していく力に驚きました。都会とは違う、自分たちのことは自分たちでやる、という考え方です。

・分科会からの6つの提言をぜひ実現したいです。そのためにもスローライフをテーマにしたプロジェクトを立ち上げませんか?奈良県南部東部12の村で一緒になって取り組むことも大事です。

増田寛也さん(東京大学大学院客員教授)

・最近「稼ぐ力」が話題になっています。しかしそれ以前に「生きる力」がしっかり備わっていることで、稼ぐことの知恵も出てくると思います。十津川村には可能性がいっぱいあります。

・村民の皆さんが、誰もがそれぞれの言葉で、地元の良さを外に向かって語れるようになってほしい。自然と健康を結びつけるような動きはどうか。病院でなく健康な人がもっと健康になる“健康院”など。