南三陸町で「スローライフ講座」


宮城県南三陸町で、スローライフの話をしてきました。講演会というよりも座談会、土間で炭を焚いてスローな雰囲気の中でです。「スローライフのまちづくり」「スローツーリズム」について話しながら、皆さんと意見交換です。町の見学にはわずかな時間しかありませんでしたが、ここでスローツーリズムを充分体験しました。

「神割崎」昔、村の境界の浜に鯨が上がった時、二つの村で取り合った。あまり争ったので神が怒り、雷を落として巨岩を割り、そこを村の境界にした、といういわれがある。今も南三陸町戸倉と石巻市北上の境界がありました。ここでは「分かち合うとは?」ということを深く考えさせられます。

この町の海で出会える珍魚「クチバシカジカ」。この黄色いかわいい魚に会うためにわざわざダイバーが来るそうです。体の半分が頭、イノシシのような雰囲気の“クチ坊”をジッと眺めていると、どこにも行かずにこのままズット眺めていたいほど癒されます。


もとは小学校、今は体験宿泊施設「さんさん館」。校庭にたたずむと昔の時間が戻ってくるようです。校舎の裏のスペースでは、地元の方々が藁を素材に巨大な道祖神さま作り。志津川名物のタコもできています。大笑いしながら作ってるおじいさん達に混ざると、心がやわらかくなりました。



夕飯は、地元のお母さん手づくりの500円定食。自分達の作った野菜、調味料が基本。囲炉裏の火も煙りもなつかしいものです。講座の途中でお汁粉が配られました。お餅に小さな萩の枝がはいっていた人は当り、という昔からの風習ほのぼのゲームで皆さん楽しみます。

志津川湾に浮かぶワカメ養殖、カキ養殖のイカダ。朝日がゆっくり海面を赤く染めてあがっていきます。ただただ日の出を見守る、いつでもできそうなのに、普段の暮らしの中ではなかなかできない厳かな時間です。

“お魚通り”の名で知られる小さな商店街。お土産物屋さんでない、こういう本格的な魚屋さんでの買いものが何とも楽しい。質問すれば魚のこと食べ方のこと、話は尽きなく新鮮です。

笹かまぼこ屋さんでは、工場を見せてくださいます。「うちのかまぼこは、2つに折っても絶対割れない。息子も嫁さんもがんばってくれてる」熱く語るご主人の自信作の飾りかまぼこも素晴らしいものでした。
スローライフやスローツーリズムについてお話にうかがいながら、逆に南三陸町でスローライフの真髄を教えていただいたようです。全国各地にこんな素敵なコトや人が・・・。日本はまだまだ棄てたものじゃありません。