瓦版2012.2.21第95号

週刊スローライフ瓦版 (2012.2.21 第95号) 発行:NPOスローライフ・ジャパン スローライフ学会 ======= ★★★★★ 3月「さんか・さろん」もスペシャル版です。初の映画会。「幸せの経済学」。 神野直彦・わが学会学長が特別スピーチを申し出てくださって、期待は高まる ばかり。「日光」の熱気が、もう少し冷めてから詳細をお知らせします・・ ★★★★★ コラム<火曜日の鐘> 長谷川八重(NPO法人 スローライフ掛川) ~~~ 土地の味わい スローライフ・フォーラムin日光では、全般を通して運営スタッフとして 司会進行役を務めさせて頂きました。多くの皆さんとの協働は、貴重な経験に なりました。 しかし、土産物を買う間がなかったのは残念で、中でも心残りはえごまで作 った栗山郷の餡「じゅうね」。伝統の「ばんだい餅」や栃餅に絡めた味は土地 のお母さんがお姑さんから習う味で、商品化されていないそうです。 また、話題だった山椒魚の燻製は、リアルな形のわりには食べると意外にも 美味で、囲炉裏で度胸試しが繰り広げられました。そして偶然飛び入りできた 鹿猟の後の祭り。地区の小屋で山の神に感謝を唱え、老若男女が集い気どりも なくアルミの急須で燗酒を注ぎ、猟を振り返っての宴でした。 栗山郷には河原で石を2時間以上焼き、それに土地の食材を直接のせて調理 する「石焼き」という伝統料理があるそうですが、これも大人数が集い食する もの。栗山郷ではそこでしか味わえない野趣な食材と人の集いが味あいを豊か にしていると感じました。 学会コラム<緑と絆の木陰> ~~~~~ 中村桂子(JT生命誌研究館館長)150年は長いか短いか 地球に暮らす驚くほど多様な生き物たちは祖先を一つにする仲間とされてい ることやそれを支える「進化」についてはどなたも御存知でしょう。ただ、こ れが実験研究の対象になったのは最近のことということに気づいていらっしゃ るでしょうか。学生の頃、自分で進化を研究できる時が来るとは思ってもいま せんでした。 ダーウィンが「種の起源」を出版したのは150年も前。その考え方は認める としても(認めない人も少なからずいました)、進化がどのようにして起きた かを実証する方法はなかったのです。やっとDNAを手がかりに、現存のさま ざまな生きものを比べることで進化が見えてくるようになりました。 長々と生物学の話を書いたのは、ここにある時間の流れを考えたかったから です。150年間、大勢の人が生きものの研究を続けてきてやっと新しい学問の 世界が拓けた。そのくらいの時間がかかるものなのです。今、進化について考 えながらダーウィンを読み直すと、自然をとてもよく見て、よく考えているこ とがわかり、すごい!の一言です。先見としか言いようがありません。先見性 と地道な努力。学問の世界はまさにスローライフです。眼の前の成果だけを求 める傾向は本物の知を育てないと気になっています。 日光でのお話、とても楽しそうで新しい芽が感じられ、参加できなかったの が残念です。次はスケジュールが合いますようにと願っています。 ■街角から畦道から 村井良江(新潟市) カマキリの卵 我が家のちいさな庭の面倒をみてくだる庭師さんは、82歳です。会うたびに 「まだ生きてたよ」と笑わせてくれます。ときどき自分で作った野菜を、玄関 にそっと置いてってくださいます。 段ボールの切れ端に書かれた文字は「TEL不要」。 かっこいい。 去年の11月、テッポウ虫にやられた松の木を切ってもらったとき、ショベル カーを操っていました。休憩のお茶を飲みながら「カマキリの卵が2メートル 以上のところにあるから、この冬は大雪になるよ」と話していました。 今、窓の外の降り積もる雪を見ながら、今年もまた優しい笑顔に会えるのを 楽しみにしています。 ■「日光フォーラム」におもう …日光フォーラムの参加者から感想が続々と・・。 スペースの都合で少し短くさせていただいた方も。ご了承ください。 フォーラムに参加して・上 <平家落人とゲニウス・ロキ> 川井徳子(奈良市) 栃木県日光市とはいうけれど、人より猿や鹿が多い山深い地域に伺うことに なった。凍り付いたダム湖の景色は、とても幻想的で美しく、バスの車窓から 見るだけではもったいない、もっと居続けたいと思った。さて、この地域には 平家落人伝説が、代々語られている。幻想的空間には、幽玄な物語がひそむも のだ。まさしくゲニウス・ロキ(genius loci)だ。 東京に近いこの地域が発起人となって、平家落人サミットを開催してほしい、 とお願いした。平家落人伝説は、栗山・川俣・湯西川に限らず、日本各地に点 在する。徳島県祖谷、奈良県十津川等々、いずれも山深い地域ばかりである。 お互いの祖先の物 語を語り合うこと、ゲニウス(守護霊)とロキ(場所)に ついて我々が知ることは、見えない何かを見せてくれるおもしろい時間となる に違いない。 明治政府の定住化奨励策のために消えてしまったのが「旅を日常とする人々」 である。その存在の大切さを改めて認識できるかもしれない。マタギ、サンガ と呼ばれた 漂泊する人々が、この国にいたことを我々はもうすっかり忘れて いる。が、それは日 本文化の最古層・縄文文化に連なる日本人の原点かもし れない。 都市では効率でものごとがはかられ、その土地の風土や固有の歴史などを尊 重するということが完全に忘れ去られてきた。本来、その土地の神、守護神と 語り合うことによって、美しい景観や地域の良さが醸成されてきたのだ。そう いうことをないがしろにしてきた「近代」という時代を、そろそろ終わりにし ようではないか。スローラ イフとは、そういう事かな?と感じている。 鈴木益民(東京都日野市) 意味のある一日を持てて良かったと感謝します。せっかくのフォーラムなのに 少しだけしか参加出来ず申し訳ありませんでした。百聞は一見に如かず、とは 月並みの言葉ですが、足尾の過去と現在と未来の一部を垣間見られて、まさに 眼からうろこの思いです。 吉田俊美(東京工科大学教授 東京都八王子市) 三日間の旅、充実したフォーラム(最後の全体会議は失礼いたしましたが)に 参加させていただき、心よりお礼を申し上げます。 足尾銅山は以前から気になっていましたが、実際にフォーラムや夜なべ談義で 地元や行政のみなさまと親しくお話する機会をいただき、日本近代化の黎明期 の一端が立体的かつ具体的に浮かび上がり、公害問題と同様にその清算はおろ か産業化・近代化の夢想の中に、今もいることを思い知ったような気がいたし ます。(3.11以降となってもいまだに富国強兵を求めている人たちが多くい るようです) 栗山分科会では、幸いなことに近代化の舞台にならずに済んだ人里離れた山村 が過疎という問題を抱え、さらに山奥に深く刻まれたはずの記憶や文化を忘れ 始めた哀しみと焦りがどのパネリストのお話からもうかがえ、思わずため息を ついてしまいました。 それぞれの分化会がそれぞれの問題をあの短い時間のなかで提示できるのも、 周到な準備のたまものと思います。フォーラムの質の高さには驚くことの連続 でした。また、ぜひ参加させていただきたく、どうかよろしくお願い致します。 石川義憲(東京都世田谷区) 地域づくりのケーススタディというだけでなく、地域の人々とのふれあい、ま た全国からの参加者の皆さんとのふれあいなど、私にとっても、味わいのある ものでした。今後も、さんかサロンなど、参加させていただきたいと存じます。 染谷ゆみ(TOKYO油田・KKユーズ代表) 色々な意味で有意義な2泊3日の旅に参加させて頂き、ありがとうございまし た。わたらせ渓谷鉄道、足尾銅山から始まる日光の旅は奥行きが深く、多くの ことを考えさせられました。それに加えて、濃厚な分科会、夜鍋談義の充実。 旅の行程や運営にも感嘆しました。あれだけの参加者をまとめ上げ、それぞれ がいい場になりました。 また、参加された皆様のキャリアや経験の豊富なこと。すごい人たちばかりで、 いい出会いを頂きました。 「修学旅行みたいね」と、団子のように重ねた布団を並べながら、お部屋での 3次会で皆さんとの関係が深まり「大野屋213号室女子会」メーリングリスト はすでに出来、今後もいろんな形で交流が出来そうです。また、参加させてい ただきたく思います。 舟越隆裕(日光観光協会) ご成功おめでとうございます! そして、いろいろとご迷惑おかけしました。 ほんとうに返す返すも残念でした。あまりにもタイミング悪くインフルにとり つかれ、外出禁止令が解かれるぎりぎりの日付けだったので、せっかく日光に おいでの参加者のみなさんに染してもいけないと、心を鬼にして自宅待機しま した。 家にいても、車で数時間の距離にみなさんがいらっしゃると思うと、くやしさ はつのるばかりでした。日光でのフォーラムが夢だったので、この身で感じ取 りたかったです。 と言っても仕方ないですね。ぜひそのうち、「日光オフ」でも企画させてくだ さい。これに懲りず、今後ともいろいろとかかわりを持たせてください。 ■まち・むらニュース ———————————————— ・佐賀県 唐津を知る、楽しむ「からつ農陶祭」 やきものの里・唐津を舞台に、3月4日(日)、農業と窯業をつないで、より 唐津らしい文化を発信するイベント「第2回からつ農陶祭」。企画は佐賀大学 「ひと・もの作り唐津」プロジェクトの研修生で、唐津若手陶芸家や自営業者、 行政マンなど、多彩なメンバーが実行委員会を運営。「唐津を知る、唐津で暮 らす ?料理・食材・陶器?」がテーマ。唐津市内の特徴的郷土料理を、唐津 の器で食べ比べる大試食会が行われる。 会場は、相知町にある佐賀大学唐津サテライト工房「天徳」。無料ゾーンでは、 相知高菜や納所ごぼう、馬渡(まだら)島のゲンコウなど、伝統野菜を中 心にした販売や、若手陶芸家による特色ある作品の展示販売などが予定され、 登り窯には火が入れられ、迫力ある窯焚きを間近で見ることもできる。 有料ゾーンは郷土料理の試食会に加え、ロクロ体験のワークショップ、陶芸家 のロクロパフォーマンスなど◆佐賀大学「ひと・もの作り唐津」プロジェクト http://karatsup.pd.saga-u.ac.jp/ 事務局 0952-28-8345(平日のみ) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━PR━━ 「たかおか屋」から・・・ 全国の男性の皆様。耶蘇教の聖人が持て囃される日に沢山の「しよくらあと」 をもらった方はお返しを。高岡から素敵な和「しよくらあと」のご紹介です。 http://www.takaokaya.jp/news/2011/11/20-122855.php ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━PR━━ 「日光『食』の研究所」から・・・ 「女性のためのハッピーライフ講座?エアロビ&ヘルシーカフェごはん?」の 講座、最終回。なんと、この写真で、578kcalです。 http://nikkokekko.blog121.fc2.com/blog-entry-156.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━PR━━ クオリティライフから・・・ 身体が温まる「古代れんこんのひろうす きのことゆりねの葛あんかけ」はい かがですか。熊本の古代れんこんをすりおろし、木綿豆腐と混ぜ、大和芋だけ をつなぎにした、がんもどきです。http://nfs.tamana-shokudo.jp/?p=24 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ コラム<象さんの散歩> 「交流」のアンペアをはかれば・・ ~~~ 「日光フォーラム」のテーマは、交流だった。全国各地からの同学・同好の 人たちと文字どおり交流を広め、深め得た。東京だけでなく、遠くは山口県、 また奈良、福井、新潟市、さらに静岡県掛川市、富山県高岡市、群馬県南牧村 などから、栃木県内も宇都宮、那須から、とにぎやかに・・。 分科会、全体会での論議はもちろん、夜なべ談義も楽しく意義ある流れに。 「平家の落人サミット」とか「大野屋女子会」とか、思いがけない話も飛び出 したというおみやげつき。ほんとうにありがたかった。 心残り二つ。せっかくの機会にアクシデントで参加できない人が出た。瓦版 ライターについては、今号の「編集室たより」をご覧いただくとして、元掛川 市長・榛村純一氏の二度の電話など、残念無念の電話やメールも多い。 もう一つは、「遠くの絆」がすばらしく結ばれたのに、「近くの絆」が弱く、 足尾、栗山以外のまちから手が伸びなかったのは淋しい。 ∧ 川島正英 ∧ コラム やまさかのぼる <暦と季節と暮らしと>その90 ~~~ やっと、「雨水」か? 先日の日曜日は「雨水」(ウスイ)だった。フランス革命暦では、「雨月」 (プリュヴィオーズ)の終わりだが、我々の24節気では、今頃になって、よう やく「雨」になる。ここから先は、古くからの暦で、潤い、霞、草木などの表 現が用いられる時節になっていく。「雨」あればこその自然界の移り行きが、 そこに反映されているから、その意味を読み解き、気候の変化を想うだけで心 が弾んでくる。 明日は旧暦「如月」のついたち。もうかい?と言いたいが、昔の人が定めた ことゆえ止むを得ない。嫌なら、自分たちの地域暦づくりに取り組めばよい! 官暦今年の4月下旬には旧暦・閏3月が置かれる。来年の旧暦歳首は、官暦 2月10日、如月は3月12日からとなる。それなら、かなり「春」らしいお正月 になるし、「如月の望月」の頃にはサクラも咲くかもしれない。待ち遠し?い。 コラム 野口智子<スローライフ曼荼羅> わたらせ渓谷鉄道 ~~~ 日光でフォーラムをやってまいりました。その報告は徐々にスローライフのホ ームページで・・として私はサイドメニューを。初日に乗った「わたらせ渓谷 鉄道」が良かったのです。たった一両の電車でコトコトと進むうちに、気持は すっかりスローダウン、乗った大人15人はまるで1クラスの修学旅行の子供た ちのようになってしまったのでした。970円の“わ鉄”時間、いいですよ。 http://noguchi-tomoko.com/modules/yutoriaruki/details.php?blog_id=145 ■編集室だより この瓦版のライターで、「日光フォーラム」に思わぬアクシデントで参加が かなわなかった残念無念組・・・という奇妙な一覧です。 山下 茂さん 「火曜日の鐘」ライターでわが学会理事。そもそも栗山分科会 にパネラーとして登壇いただく予定だったが、インフル攻勢に。 明治大学公共政策系大学院教授、また元栃木県総務部長で、ご 期待申しあげていたのだが‥。残念の長いメールをいただいた。 舟越隆裕さん 「街角から畦道から」にたびたび登場いただくライターさん。 日光観光協会におつとめで、今回のフォーラムでは休暇を利用 して、ボランティアで地元めぐりのバス・ガイドを勤めてくれ るはずだったが、やはりインフル攻勢に。メールは、この号の 「日光フォーラムにおもう」でお読みいただきたい。 白倉徳一さん 新潟県妙高市の危機管理室長さん。「街角から畦道から」にも 登板してもらっている。今回のフォーラムにも「ぜひ参加した い」と連絡があったが、妙高は大雪攻勢・・。災害担当として は「やむを得ず」と断念。ぜひ場をあらためてご一緒したい。 ◆申込み・問合せNPOスローライフ・ジャパン TEL 03-5312-4141 FAX 03-5312-4554 ======= ■私たちはいつもスローライフの動きを応援しています。 鹿児島県 http://www.pref.kagoshima.jp/pr/koryu/index.html 岩手県遠野市 http://www.city.tono.iwate.jp/ 鳥取市 http://www.city.tottori.lg.jp/www/contents/1196922905996/index.html 佐賀県小城市 http://www.city.ogi.lg.jp/ 日本テレネット株式会社 http://www.nippon-tele.net/ クオリティ株式会社 http://www.quality.co.jp/ アース・デザイン・インターナショナル(edi)株式会社 http://www.edi.ne.jp/ 株式会社サンクス・ツー http://www.thanks2.jp/ ======= 最後までお読みくださって、ありがとうございました。 このメールマガジン、あるいは当団体へのご意見、ご質問はこちらへ このメールは毎週火曜日の発行です。NPOスローライフ・ジャパンとの ご縁を頼りにお送りしています。初めて受信される方も含めて、 お気軽にお付き合いください。 今後、このメールマガジンの送信が不要という場合、あるいはメール アドレスの変更をご希望される場合もこちらへご連絡ください。 この「週刊スローライフ瓦版」、バックナンバーをアップしています。 まだご覧になっていない方、こちらからご覧ください。 http://www.slowlife-japan.jp/modules/mailmagazine/details.php?blog_id=2 ======= Copyright(C) NPO法人スローライフ・ジャパン スローライフ学会 〒160-0002 東京都新宿区坂町21 リカビル301 TEL 03-5312-4141 FAX 03-5312-4554 http://www.slowlife-japan.jp/