「近代のまちづくりは3.11に破綻した」10月“さろんのご報告。


10月18日の「さんか・さろん」は3.11以降、「その後の、まちづくり」をテーマに、自治体まちづくり研究所所長・原昭夫さんにお話いただきました。
原さんは、岩手県陸前高田市広田町長洞(ながほら)地区に「長洞元気村」という名前の仮設住宅を、地元の方々と開設されました。大震災で「都市計画をやってきた俺たちは、いったいなにをやってきたのか!?」と思ったことがきっかけだったそうです。

「まちづくりは近代の中で効率を追いかけてきた。これが大きく破綻した。3.11でそれをよみとることが大切。しかし、あまりシリアスにではなく、柔らかく、ひとりひとりが切り返すチャンスとすればいい」
「近代は距離をどう速く克服するかで進んできた。それが果たして幸せか?人生を隙間なく埋めて密度濃くすることを求めてきた。それが果たして豊かだろうか?スローということは、人生をどんなリズムで刻むのかということなのでは、しかも愉快に楽しく」
「“想定外”ということばは、おごりのことばだ。自然と“共生”というのも。私たちは、限られた地表に住まわしてもらう姿勢であるべきだ」

「たまたま、長洞地区を手伝うことになった。ここは60世帯のうち半数が津波の被害にあった。震災後、自ら土地をやりくりして1200坪の土地をつくり、集落がバラバラにならないようにしようとしていた。」
「あらゆることにコミュニティ主体を貫こうとしている、この地区のやり方に共感し、その計画設計を手伝っている。みんながアイディアや技術を出して自分達で造っている。元気村オープン時には孟宗竹で装置がつくられ、そうめん流しまでやった」

「仮設は2年で解消とされているが、本村をどう造るかこれから長いうごきになる。今後は辺境と呼ばれる地、一次産業の土地をしっかり見ることが大切だ。何でも分業の都市部とは違う、みんなが力を発揮していくトータルな生き方を学ぶことだ。森の力、浜の力、それを支えるコミュニティ。それをしっかり見つめて行きたい」
開催前には、高岡市のスローライフ逸品の店「たかおか屋」唐木店長から、以前、「さんか・さろん」参加者が短冊書きをした七夕祭りについて報告が。

また、参加者からは、都市部の災害について、瓦礫処理についてなどの質問が。終了後も講師を囲んで、一杯飲みながらの濃い交流が行われました。