2月の「さろん」、棚田のお話をたっぷり聞きました。

 

2024年2月20日(火)は136回の「さんか・さろん」でした。20人がお申込でした。
タイトル:「美しい棚田を未来の子どもたちへ17年の軌跡」
スピーカー:永菅裕一さん(棚田LOVERS、スローライフの会会員)兵庫県市川町から

まずは棚田君のお話から

棚田愛にあふれた永菅さん、愛称「棚田君」が、まずは、棚田の基本的な知識から、自身がなぜ棚田を守り、環境教育も始めたのか、そしていま、何をやっているかなどについて語りました。

~~~「山の斜面に段々になっている田んぼを棚田という。棚田はお米を作るのと同時に、国土保全、生態系の保全、などに役立っている。また、斜面を好む植物も育んでいる。海外にもある。自分は高校の時に環境についての話を聞いて興味を持ち、大学で子供のころから環境について学ぶことが大事と知った。特に現場が大事だ。大学院の頃、大事に育てた稲を、猪や鹿に全滅させられて、言葉で言うのと実践の違いを学んだ。自分を戒めながら、実践に重きを置いて行動している。

高齢化が進み、棚田の跡継ぎがおらず、耕作放棄地が増え、日本の食料自給率は下がり、身近な棚田の石垣は崩れ、どんどん崩壊していっている。17年前に棚田が好きという仲間と、「棚田ラバーズ」を作った。棚田を軸にありとあらゆる企画をやっている。年間60プログラムほど。都市と農村の交流がテーマだ。棚田を12枚再生し、メディアに165回採り上げられている。

一杯のお茶碗のご飯に、お米が何粒あるのか?3000~4000粒だ。では稲、何株だろう?稲は一株に1000粒のお米を実らせる。なので、ご飯一膳は、稲3株くらいだ。1が1000になる、すごい生命力だ。それを知ると、子供たちはお米を、ご飯を大事にするようになる。残さない。2020年には民宿もオープンした。これからも人生をかけて棚田を守っていきたい」~~~

以上は永菅さんのお話の要約。録画はこちらから。

お話の後で、参加者と永菅さんのやり取りがたっぷりありました。

・印は感想・意見 〇印は棚田君の応え
・淡路島でも子供の頃には身近に50~80枚の田んぼがあったが・・。自分も7~8年前から田んぼはやっていない。永菅さんのところの催しに、2023年5月末に参加し、楽しかった。美味しかった。
・永菅さんのところの手作り納豆が本当に美味しかった。毎朝のYouTube発信も素晴らしい。周囲の40~50歳代の女性の話で、子供たちがお米の体験をすることが大事と分かり、今はそのようなことをしていると聞く。ここ数年のことだ。オール電化の家に住む子供は、火の怖さを知らず、触ってしまうとか。そんなことを聞くと、危機感をもつ。
・永菅さんのところの動画をみて、子供たちの笑顔が良かった。
・佐賀県小城市にも江里山に棚田がある。彼岸花で知られる。3年くらい前から中・高校に「棚田部」ができて、部活動を始めている。期待する。永菅さんのNPOは何人位で活動を?

〇主は4~5人。サポーターが50人位。催しごとに手伝う形で。
・静岡県の茶産地では、霧の出方などで味が変わるが?
〇棚田は高いところにあるので、寒暖差が米の旨味を作る。水も冷たく、これも美味しさのもと。しかも自分たちは手植え手刈り、農薬を使わない。究極の米を求めると棚田米になるともいわれる。
・国土の0.6パーセントと言われる棚田、その歴史は?課題は?
〇400年くらい前からと言われる。隠れ里のような形で造られた。ひと鍬でも面積を増やしたいと、先人が造ってきた。ななめの畔だとその分、田が狭くなる。棚田のように垂直な石垣だと田の面積が広くなる。そうして広げてきた。山の棚田の方が水は取りやすかったろう。高齢化がすすみ、棚田をやる跡継ぎもいない。棚田で食べてけるような仕組みにしていかないと。自分のNPOも助成金に頼っている。
・実践されていることが素晴らしい。自分の住んでいる新潟の近くならば、と思った。
・長野県飯山市で20年ほど田んぼの応援、お世話みたいなことをやっている。いい話だった、頑張ってほしい。
・石垣などの土木作業を子供はしないのか?姫路での物販は?能登の地震での棚田の被害については?
〇危険なので、今は石垣の草とりくらいだが、だんだん石垣造りにも参加をと思う。姫路の商店街での物販は、それだけでは大した収入にはならないが、買い物から、その次には体験に参加してもらうとか、繋がりづくりに役立っている。地震被害にあった棚田は、一度崩れると復興は実に大変だ。なので日頃から棚田をしっかり維持していかなくては。
・温暖化の影響は?海外との付き合いは?鳥獣被害は?
〇種取りをして、栽培しているので強い苗にはなっている。しかし、水が少ないと草が生えてくるので大変。各地に棚田はある、連携していつか世界棚田サミットを行いたい。鳥獣対策としては、電気柵をきちんとすれば何とか。してないと一気にやられてしまう。ただ値段が高い。
・永菅さんの生業は?
〇コロナもあったりで、民宿は厳しい。企業の助成金が大きい。サポーターからの応援金が入ると、さらに気合が入るので皆さんよろしく。
・棚田米はブランド化しているのか?
〇通常は家族親戚にわける。農協に出してほかの米と混ぜてしまうという、もったいないケースもある。一方、少し高くして名前をつけ、棚田米として売っている、そういう上手くやっているところもある。
・姫路には田んぼにアートを展示しているところもある。同じ兵庫県に住むので、一度うかがいたい。
・棚田が国土保全というのはどういうことか?
〇棚田に限らず、田んぼは「一反1ミリ1トン」と言われ、水を溜められる。水を徐々に流すので、洪水、土砂崩れを予防する。3月17日にイベントがあるので皆さんぜひご参加を。

最後に棚田のポーズで記念写真。棚田がとても身近になった夜でした。

・以下は棚田君から送られてきた動画や寄付のURLです。

<動画>

兵庫県市川町【棚田で食育を】土、水、光と風と、なかよく。

https://x.gd/8Akbs

<寄付>

棚田応援団(タナーズ)募集!!

https://congrant.com/project/tanadalove/9314

<単発寄付>

https://giveone.net/supporter/project_display.html?project_id=10569