2012年1月「さんか・さろん」報告

1月さろん
◆開催日:2012年1月17日(火)
◆場所:東京都千代田区、平河町Mercury Room
◆テーマ「2012年スローライフの動き」
◆スピーチ:増田寛也(野村総合研究所顧問、スローライフ学会会長)、川島正英(NPOスローライフ・ジャパン理事長)、野口智子(NPOスローライフ・ジャパン事務局長)
新しい年の幕開け。1月のさんか・さろんは、スローライフ学会会長増田寛也さんの新年のメッセージの後、今年のNPOの活動予定について、報告が行われました。

●「新年のメッセージ」 増田寛也さん(スローライフ学会会長)
明けましておめでとうございます。今日は奇しくも阪神淡路大震災から17年目。あの時、私は、万里の長城と呼ばれる堤防がある岩手県田老町にいました。それも去年の津波で跡形もなくなりました。
しかしその中で、東北の人たちの辛抱強い姿勢があった。そしてたとえば女川町で中国人研修生を助けて自らは犠牲になった食品会社の社長さんの逸話に反日的な中国人の考えもを変わるなど、日本人のすばらしさ、社会の健全性に世界が驚嘆し、だからこそ150カ国以上から義捐金が寄せられたのだと思います。
ただ残念なのは、福島の原発事故です。私も岩手の知事をしておりましたので、自分のふるさとに、いつ戻れるかわからない福島の状況には、本当に胸が痛みます。
後で日光のフォーラムの話がありますが、フォーラム分科会の会場である足尾が、負の遺産を抱えつつ環境学習の場になった、また、あれだけの水銀の被害にあった水俣も環境都市の候補になっています。
福島もいつの日かこの被災を乗り越える日を迎えるようにしなければいけない、そのためにさまざまなことに力を尽くさなければならないと思っています。
震災は、地域共同体の必要性、それは時にわずらわしさもあるものですが、当たり前の日常生活を普通に送れる大切さに気づかせてくれました。
筑紫哲也さんは緩急自在といっておられましたが、私たちは非日常は非日常として精力的に力を発揮せねばなりませんが、スローな日常を組み立てている、たとえば「食」や「祭り」の取り戻しといった、被災地の日常に目をこらしながら、私たち自身のスローな生活も組み立てていかねばなりません。
スローライフ・ジャパンとしては、今年は、地域に出て行く活動、仲間を広げる活動、粘り強く続けていく活動、それらを日常の目標にして行きたいと考えています。今後とも、よろしくお願いいたします。

●「“むら”づくり―2012年の活動」 川島正英さん(NPOスローライフ・ジャパン理事長)

NPOの活動は、年に一度のフォーラム、月に一度のさんか・さろん、週に一度のメルマガ発行のペースを守りながら続けて行きたいと考えています。
フォーラムについては、23年度は来月に日光で、24年度は高岡市で開催、その次は青森市も名乗りを上げてくれています。
さらに「むら」の重要性に着目して、鳥取県智頭町で「疎開むら」をテーマに、奈良県南部の村々で「緑」「絆」をキーワードに、NPOの活動を広げて行きたいと考えています。いま現地をお訪ねしてプログラムを組み立てていますので、ぜひとも、皆様の参加、支援をお願いしたいと思います。

●「スローライフ・フォーラムⅰn日光」 野口智子さん(NPOスローライフ・ジャパン事務局長)
日光市は、合併で栃木県の22%もの面積を占める大きな市で、全国でも3番目に大きい。日光東照宮がある旧日光町はもっとも有名ですが、今回のフォーラムは、足尾銅山の歴史で知られる旧足尾町、平家の落人文化が色濃く残る旧栗山村といった、まだ一般にはよく知られていない日光市を舞台に分科会を開き、最後に市役所がある旧今市市で全体会を行います。
つまり従来の観光地と違う地域資源に光を当て育てる。それを地元と外部から来た人との交流で話し合い、つくり上げたい。楽しみに、ご参加ください。
<まとめ 斉藤 睦(地域総合研究所、NPOスローライフ・ジャパン理事)>“