瓦版2015.12.1 第288号

早くも師走です。今月15日の「さんか・さろん」は、毎年と同じ回顧の会とは

しないで、野口智子・事務局長から「フルーツ・ツーリズムに学ぶ市民力の新

しい形」という楽しいテーマで。(詳細は「編集室便り」でどうぞ)

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コラム<火曜日の鐘> 川島英樹(せたがや文化財団)

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        原節子さんの想い出


引退された時に1歳で、ファンとしてはまことに若輩者。初めてスクリーン

で観たのは1993年の東京国際映画祭。公開40周年、小津安二郎監督の生誕90年

を記念して、1日だけ特別上映された『東京物語』だった。

会場は大きなコンサートホール。映画祭恒例のゲストがこの日に限って未定。

同じく小津作品の出演者として名高い笠智衆が、亡くなったばかりでもあり、

「原節子が来る!」という噂で、会場中がザワザワとしていた。

実際に姿を現したのは、ヴィム・ヴェンダース。人気絶頂であったこの大物

監督の登場は、本来なら映画ファンの大歓迎を受けたはずだが、みんなの溜息

のようなものが伝わってきた。彼は静かに語りだした。

どんなにこの映画を愛しているか。辛い時にどんなにこの映画に力づけられ

たか。そして、こうした想いは、ここにいる一人一人、それぞれが持っている

はずで、それをみんなと共有するために自分はここにいると…。

巨大な画面に、ボロボロの画質で、バチバチの音質だったけれど、映画は、

原節子は、美しかった。信じられないくらい。そして、2000人と共にしていて

も、この感動は、この時の自分自身のものと思えた。原節子の想い出は、実物

の原節子を見られなかったことで、むしろ確かなものになった。

今日、12月1日は「映画の日」。さあ、映画館へ行きましょう。



学会コラム<緑と絆の木陰>


中村桂子(JT生命誌研究館館長)

          

21世紀・・人類は一種が証明された世紀です


生物学の研究成果で、人間社会の課題に対して明快な提言をできるものはそ

れほど多くありません。病気の原因、脳のはたらき・・・もちろん研究は進ん

でいますし、重要な成果も出ていますが、自信を持ってこうですと言えること

は少ないのです。

そんな中で、明確にわかってきたことの一つは、私たち人類(ホモ・サピエ

ンス)の歴史でしょう。まず、始まりは17万年ほど前のアフリカです。10万年

ほど前に今の中東地域に移動し、5万年ほど前にはそこからヨーロッパへ向か

う仲間、インドの方へと向かう仲間が出て世界中へと広がりました。つまり、

現存の人類は一種、皆祖先を一つにしています。中東から始まり、ヨーロッパ

へ、一方はアジア、ロシアと広がってアメリカへ。シリアもイランもフランス

もロシアもアメリカも根は一つです。

私にとってグローバルという言葉はこの動きと重なります。どこにも自分と

は違う“野蛮な人”などいないこと、理解し合えない人などいないことは明ら

かです。いつも役に立たない仕事ばかりしていますが、21世紀はDNA研究から

明確にこれがわかった時と位置づけたいのです。

やってよいのはせいぜい兄弟げんかだ、というこの成果を大事にして欲しい

と思っています。



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【逸村逸品】ひとこと紹介 ? http://www.facebook.com/slowlifej

和歌山県紀の川市「フルーツカレンダー」。果物産地の市民たちが、366枚の

フルーツの絵を描いた手作り暦。子供たちの素朴なコメントがかわいい。

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■街角から畦道から


竹内 義昭 カズコさん(39)


特養の介護職員は、てんてこ舞いだ。入居者60人に対し、常勤、非常勤合わ

せて52人で24時間体制の勤務だという。

食事の時の仕事ぶりをみていると、20人の入所者に3、4人の職員が担当。

自力で食べられる人はほとんどいないので、職員が次々とスプーンで口に運ん

であげる。今のところ、カズコさんはもたつきながらも箸やスプーンを使えて

いるので、手がかからない方だ。

食事の介助に出来るだけ出かけているが、入所時に、担当の責任者が「そう

していただけると有難い」と言っていた意味がわかってきた。

知り合いの先達は、「あまり頻繁に行くといじめられることがある」と忠告

する。さて、どうしたものか。



■まち・むらニュース


・群馬県藤岡市 桜山寒桜まつり


天然記念物に指定されている珍しい冬桜。4月にも咲く二度咲きの冬桜7000本

が、この時期見頃をむかえて紅葉と一緒に楽しめる。春にはソメイヨシノも合

わせて、約1万本の桜が咲き誇る。

花期間:?12月初旬 場所:桜山公園(藤岡市三汲川・JR本庄駅からバス)

問合せ:藤岡市鬼石総合支所にぎわい観光課 TEL0274-52-3111

http://www.city.fujioka.gunma.jp/kakuka/f_onishi/fuyusakura-toppu.html



・京都市 千本釈迦堂「大根だき」


釈迦が菩提樹の下で悟りをひらいた12月8日の成道会を記念しておこなわれる。

直径1mもある9つの大鍋で前日の早朝から煮込まれる大根は、京都の師走の

風物詩。無病息災を願って、この大根炊きを求め多くの参拝者が集まる。

日時:12月7日(月)・8日(火)10時?16時

場所:千本釈迦堂(大報恩寺:上京区五辻通七本松通・市バス「上七軒」下車)

問合せ:千本釈迦堂 TEL075-461-5973  http://www.daihoonji.com/event/



コラム<象さんの散歩> 師走ですが・・


きょう、師走。この季語を、昭和世代は「先生、僧など、日頃は落ち着いて

論じる人たちも大忙しで駆け回る一ヶ月」と教えられ、何となくユーモラスな

気持ちを抱く。だが、いまや、先生たちは年中いつも忙しい。国の来年度予算

をめぐる折衝が”忙しい先生”をいっそう浮きぼりにしている図である。

全国の公立小中学校の教職員数は、いま、69万5千人。財務省は、人口減少

時代だから9年間で3万7千人減らすべし、と要求。文部科学省は、もちろん

反発した。教職員の予算は、学級数に応じて決まる「基礎定数」と、貧困家庭

の支援、いじめ、不登校など課題ごと配分される「加配定数」がある。国負担

が1兆5千億円に上る。文科省は、20年前と比べて、障害に応じ個別指導を受

ける子が5倍、困窮家庭の子が2倍になった、と必要性を強調するのだ。

そもそも、いま一学級に対する教員数は1.8人という。一つの学級を一人

の先生で教わっていたわれわれ昭和世代の学校では想像もできない。

いじめ、校内暴力、自殺事件、不登校、障害ある子、日本語の弱い子、貧困

家庭などの課題が山積み。小中学校の先生の残業は月42時間ともいう。それら

課題は社会のゆがみに由来している。「まつりごと」の問題ではないのか。小

中学校の教育は、ほかの予算折衝と同じ土俵の上で考えるべきであるまい。

国を地域を、いかに変えるのか。その岩盤の予算から・・ ∨ 川島正英 ∧



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「奈良県十津川村」から・・

十津川村谷瀬では、恒例の「ゆうべし」作りが始まりました。酒米はそろそろ

お酒に変わろうとしています。確かな味を作る、吊り橋村の営みです。

Facebook 谷瀬の吊り橋【official】 からご覧ください。

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コラム 野口智子<スローライフ曼荼羅> 発酵と浄化と

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佐賀県鹿島市に行ってきました。肥前鹿島干潟がラムサール条約に登録された

とのことですが、昔の“おかず獲り”の干潟ほどきれいではないそうです。日

本酒造りが盛ん、酒蔵を巡る催しもあり、発酵文化のまちです。干潟の生物が

水をもっと浄化すれば海が綺麗になる、酒粕などを人が食べれば身体が元気に

なる。発酵と浄化について考えるために、また来たくなりました。

http://noguchi-tomoko.com/modules/yutoriaruki/details.php?blog_id=340



■編集室便り


◇当NPO理事の浦さんが頑張って製作してきた、

映画『海難1890』がついに公開。


かつて、トルコの船「エルトゥ―ルル号」が、紀伊半島沖で遭難し、その乗組

員を今の串本町にあたる漁村の村民が必死に助けた、という話は知られてます。

その後、トルコは日本に恩を感じて、イラン・イラク戦争の渦中、テヘランか

ら日本人を救出してくれました。


二つの史実に基づいて、国と国との友好を描く映画『海難1890』が、12月5日

から、全国で公開されます。


この映画は、当NPO理事で和歌山県出身の浦聖治さん((特定非営利活動法人エ

ルトゥールルが世界を救う 理事長)が早くから企画し、お金を集め推進してき

たものです。


その熱い想いは、昨年7月の「さんか・さろん」で語っていただきました。↓

http://www.slowlife-japan.jp/modules/katsudou/index.php?page=detail&bid=213&req_uid=4


そしていよいよ、映画が完成となったのです。皆さま、ぜひお近くの映画館で

ご覧ください。


『海難1890』配給:東映

http://qwebm.quality.co.jp/mail/u/l?p=bgIUvjv5WDEZ



◇今月の「さんか・さろん」のご案内


12月の「さんか・さろん」は

『?和歌山県紀の川市

「フルーツ・ツーリズム」に学ぶ?

市民力の新しい形』


100人の市民ワークショップから出発した、フルーツをテーマにしたまちおこし。

世界初?の「ふる?つ茶会」、果物を素材にした料理開発「果物和菓子」「桃

パスタ」「いちじくカレー」「フルーツ寿司」、果物の絵を公募し作った「フ

ルーツカレンダー」、さらに「フルーツウォーク」や「フルーツトレイン」も。


アイディア一杯に動き出した果物産地の市民の様子と、そこに至るまでのお話。

皆を笑顔に健康にする果物をテーマにした「フルーツ・ツーリズム」は、楽し

いスローライフのまちおこしの一つの形でもあります。


当NPO事務局長・野口智子の登場です。


●日 時: 12月15日(火)19時?21時

●会 場: クオリティKK・会議室マーキュリールーム

(千代田区麹町3―3 KDX麹町ビル6F・地下鉄麹町駅からすぐ)

http://www.quality.co.jp/company/map/map_tokyo.html


●講 師:野口智子さん(ゆとり研究所所長)

千葉市生まれ。1992年にゆとり研究所を開設。2000年からスローライフ運動を

開始、現在、スローライフ・ジャパン事務局長・副理事長。。スローツーリズ

ムの提案、商品開発、人材育成、都市と田舎の交流、“食”をテーマにしたま

ちおこしに力を入れ、紀の川市に2013年から関わる。市民の力を引き出す、独

自のワークショップが得意。


●テーマ:「紀の川市フルーツ・ツーリズムに学ぶ 市民力の新しい形」

●参加費:会員1000円、一般2000円(学生500円)どなたでも参加できます。

●申込み:12月14日までに下記へ。

メールTEL 03-5312-4141 FAX 03-5312-4554

●詳しくは:こちらから↓

http://www.slowlife-japan.jp/modules/katsudou/index.php?page=detail&bid=292



◇スローライフ・ジャパンへのメールを送るときのお願い。



このスローライフ瓦版は、メールマガジン専用のアドレスからお送りしてい

ますので、このメールに返信していただいても事務局には届きません。

スローライフ・ジャパン、スローライフ学会、この瓦版への投稿などは

こちらまでお願いします。↓



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クオリティライフから・・・

日本・トルコ合作映画『海難1890』の特別鑑賞券を「たまな食堂」南青山店と

麹町店で1000円で販売中!オーナーが和歌山県出身のためこの映画とは当初か

ら深いかかわりがあります。12月5日公開。『海難1890』配給:東映

http://qwebm.quality.co.jp/mail/u/l?p=bgIUvjv5WDEZ

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■私たちはいつもスローライフの動きを応援しています。


鹿児島県

http://www.pref.kagoshima.jp/pr/koryu/index.html

岩手県遠野市

http://www.city.tono.iwate.jp/

和歌山県紀の川市

http://www.city.kinokawa.lg.jp/

奈良県吉野郡十津川村

http://www.vill.totsukawa.lg.jp/www/toppage/0000000000000/APM03000.html

日本テレネット 株式会社

http://www.nippon-tele.net/

クオリティ株式会社

http://www.quality.co.jp/

アース・デザイン・インターナショナル(edi)株式会社

http://www.edi.ne.jp/

株式会社サンクス・ツー

http://www.thanks2.jp/



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