9月のさろんは「栗焼酎づくり奮闘記」を学びました。

第132回 「さんか・さろん」は、9月19日、静岡県掛川市から『栗焼酎づくり奮闘記』を、栗焼酎プロジェクトのリーダー・山崎善久さんにお話しいただきました。


山崎さんは、1963年生まれの60歳。大卒後は、NECプラットフォームズ (事業所は掛川)に就職。工場生産のための技術開発から品質管理を実施されていましたが、この10月に定年退職予定です。市民活動にも多く関り、「NPOスローライフ掛川」の副代表や、「ローカルライフスタイル研究会」の理事、「合同会社互産互生機構」へ勤務し始めました。ご自宅にも栗園や畑があり、家庭菜園をしています。お庭は、栗焼酎プロジェクトの作業場所にしばしは提供されています。

お話は2009年、市民団体「NPOスローライフ掛川」が、地域資源の商品化に取り組んだことから始まりました。

録画のYouTubeはこちらです。

https://www.youtube.com/watch?v=lwCBqaj6Rcg

 

~~~~~~~お話の要約です。~~~~~~~

当時、”掛川=お茶”のブランド力が強く、お茶にまつわる商品は既にいろいろあったが、いまいちヒットしない。「お茶はもういいよ!」の声も。
茶畑の転作で、栗を植える農家が多く、静岡県下でも、農協の栗部会があるのは掛川だけだった。良い栗は実っているが、出荷後は、どこかの銘菓になったりしている様だった。また、里山を荒らす猪が栗を好み、農家の高齢化と後継者不足にも拍車をかけていた。そこで素材は栗に決まった。栗で何をするかだ。交流のネタにもなる焼酎の案が出た。栗焼酎の希少価値や、食との組み合わせの拡がりも作れそうだ。
提供元は、掛川市役所農林課の仲介もあり、園主一人でがんばっている「げんべい農園」との協働の話が進んだ。

酒蔵との契約で、一年目は300kgの栗を剥いて納品することになった。人海戦術で皆で鬼皮を剥いた。売るのも買いたい人には会員になってもらい、”頒布”を2年間続けた。
3年目からは専売所が掛川駅の『これっしか処』に決まり、9月中に栗を拾い、10月初旬までに剥いて、酒蔵に収めると、11月には新酒のお披露目会が出来た。地元のメディアで多く取り上げられ、年末年始の贈答品にもなった。スケジュールは安定したが、3週間かけて行う栗剥き大変で、剥き手がだんだん減り、栗剥き機『ドクターマロン』を導入し、2日間で剥きあがるようになった。機械を使いながら、最後は人間の手で仕上げる。手を動かしながら、おしゃべりを楽しむ。650kgの栗が420kgの剥き栗になる。この作業も好評だ。栗も短時間で剥く方がカビの発生も抑えられ、酒の品質にも影響している。

 

マンネリ化払拭で、新たな試みとして、蒸留した最初の濃い部分を集めて『初たれ』『1st Drop』を作って売った年もあった。

危機があった。2020年に酒蔵からいきなり「NO!」と言われ、新たな酒蔵を探し、打ち合わせを始めた矢先、市内全域が凶作でこの年は作れなかった。2021年は冬に栗園の整備を始めた。不作の原因でもある老木や枝をチェーンソーで切る作業を始めた。酒蔵が変わり、研究肌の社長と相談し、製法を変更した。”減圧”から”常圧”へ、原料の風味が増した。2年ぶりの新酒販売で、期待していた声を確認できたが、コロナ禍の影響で、ピークのような売上には戻っていない。専売所に負担を掛けられないので、今後は自分たちでも売れる、または卸せる為に、酒販免許の取得に取り組んでいる。今年も栗拾いが進んでいるが、収穫量が上がらず、苦戦している。農園の今後も、園主と共に検討課題だ。

お話の後、プロジェクトメンバーの長谷川八重さんが栗剥きの実演を披露しました。

 

~~~~~~質疑応答も活発にされました。~~~~~~~

Q:品物と金銭の流れはどうなっているのか?
A:専売先が酒造会社から買って売っている。原料代金などは、自分たちが専売先に請求し、ロイヤリティーを貰っている。
専売先の状況がコロナ禍などで変わり、今後は自分たちで酒造卸の免許を取るように動き始めた。
Q:差別化はどう考えている?
A:一流の栗焼酎とは比べない。始めた当初は地域を巻き込んで広めようと思っていたが、”限定1000本”、”ワンバッチ(200~300kg)”が安定した可能な単位だと実感している。
Q:気候変動の影響は?
A:毬(いが)のまま落ちれば見つけやすいが、暑さで木に付いてる毬が割れて栗だけ落下しているので見つけにくい時もある。台風は悪影響をもたらす。
Q:作業をする人の確保は大丈夫か?
A:アウトドア好きな人など、興味に引っかかる人は意外といる。
Q:栗焼酎になるまでの手間暇をストーリーにしてブランド化したらどうか?(農的くらし)
『〇〇賞』『富士見栗』『おしゃべり・手のぬくもり』などが、キーワードになるのでは?

その他:栗焼酎は珍しいのか?茨城県笠間市(栗の特産地)で女性は栗好きを感じたと感じた。
廃棄の毬・鬼皮の再利用に、草木染の原料にする方や、土に混ぜて肥料になるかもと試している。
”仲間内で”を大切に、里山の暮らしを大切に行動できる豊かさを感じている。
渋皮のまま素揚げにすると栗焼酎のアテにお勧めだ。おいしい。
売ることは大事。そこから交流が始まる。掛川を発信できる品なので、一度『自ら』の原点に振り返って、何を発信するのかを再構築してみても良いのでは。
など、貴重なご意見をいただきました。

今回は『自ら』を飲みながら‥、以前飲んだ方も、お酒をあまり飲まない方も、参加者はいろいろでしたが、掛川=お茶だけじゃないぞ!栗も人もおおらかでおいしいんだって!と、十分に伝わる回でした。