楽しい、多事争論のサロンでした。

11月21 日(火)の「さんか・さろん」133回は、会員の高橋征吾さんの発案で、「みんなで多事争論~論も愉し」という「さろん」でした。

スローライフ運動を20年前に、共に始めたジャーナリスト・筑紫哲也さんが亡くなって、この11月で15年になりました。毎年11月には筑紫さんに因んだ何か企画をという試み。「みんなで多事争論」は実におもしろい趣向となりました。

まずは、筑紫さんの大ファンと自認する高橋さんから、筑紫哲也という人について、そして彼がこだわったTBSテレビ「ニュース23」のなかでの「多事争論」コーナーについての解説がありました。15年半に及んだ名物コーナ―の中から、高橋さんが選んだ「多事争論10選」のタイトルが紹介されました。そして、参加者3人から内容を知りたいタイトルをセレクト。「人間のくに」を兵庫県の方、「利他心」を長野県のかた、「プラグを抜く」を長崎県の方がそれぞれ選びました。そして高橋さんが筑紫さんに成り代わり、筑紫さんの遺した「論」をそれぞれ読み上げました。

タイトルからは思いもよらないような、深い内容がひもどかれます。時代が変わっても共通のこと、普遍的なことがあります。一方、ほんのこのくらいの年数の経過であるのに、今や世の中が大変化していることを実感、そんな感想も出ました。

続いて、参加者が、今度は自分が最近“気になっていること”をタイトルとして、紙に書き出してそれを示しながら読み上げました。この日のメインです。8人の参加者が読み上げて、論をはり、それに向けてほかの参加者から、感想や意見がさらに積み重なっていきました。
発表されたキイワード、タイトルは
1、和食
2、母100歳
3、たゆたう
4、岸田政権どう思う
5、走即人生
6、亡き父母を宿して生きる
7、笑福来村
8、オリーブ
の8つ。皆の思いやこだわりが、それぞれに面白く、多様な意見の花が開いた印象です。


高橋さんは“多事争論”とは?筑紫哲也の根幹を成した思想と話されました。そして参加者は改めて、それがあの福沢諭吉による言葉であったことを知ります。
「単一の説を守れば、其説は仮令ひ純精善良なるも、之に由て決して自由の気を生ず可らず。自由
の気風は唯多事争論の間に在て存するものと知る可し」 福澤諭吉『文明論之概略』より。

筑紫さんが「多事争論」を好み、「論も愉し」と主張した、その意味が少しわかった様に思いました。この夜の、筑紫さんを出発に参加者がそれぞれの論を披露した時間。こんな試みを何よりも筑紫さんが、よろこばれたことでしょう。