瓦版2020.2.4 第501号

★★★★ 500号特集 ★★★★

 

きょうの「瓦版」も、500号特集を続けます。メイン・コラムを支えていただく
常連ライターで神野直彦、吉田俊実さんと、斎藤 睦、丸岡一直、長谷川八重
さん、また学会会員からの「500号に寄せて」、ありがとうございました。500
号の思い出はあまりにも多いのですが、一つだけお伝えすれば、投稿エッセイ
欄の「街角から畦道から」で寄稿してただいた竹内義昭さん(神奈川県平塚市)
の「カズコさん」。特別養護老人ホームに入院しているお母さんを、夫婦で訪
ね、慰め、介護した物語。189回。読者の気持ちに入り、優しい心配りがあり、
新しい発見があり、大変に好評で、すばらしい思い出を残していただきました。
さらに新しい思い出づくりに向かって、あらためて読者諸兄姉のエッセイ、ま
た意見、感想、批判、注文をお願いし、期待しながら・・。

 

★★★★★

 

コラム<火曜日の鐘> 吉田俊実(東京工科大学教授)

 

瓦版500号に寄せて

 

スローライフ学会のHPには「“緩急自在”こそが本当のスローライフ」と
ある。つまり、slowとfast、その組み合わせこそ「スローライフ」というわけ
で、人間も自然の一部であり、おそらくは自然の時間感覚を取り戻そうという
主張が含まれている。日本(アジア)は自然との調和をはかり、欧米は自然の
克服を目指すと言われる。
キリスト教では、上位にGodが君臨するが、その関係は不動ではない。たとえ
ば、イギリスでは18世紀末に「崇高」という概念が出てくる。美学的概念であ
るが、Godと結びつけない点こそ自然に対する人間感覚を優先させているとみる
ことができる。ほぼ同時期に「自然権」として「人権」が登場するが、こうし
た自然観・人間観が承認される前は「異端」として沢山の血が流れたのである。
良くも悪くも「人間も自然の一部」が当たり前の日本では、それを確認する
ための苦難もなかった。人間による破壊も「自然の一部」になってしまうのだ
ろうか。戦後の棚ぼた民主主義ゆえに「守らねば」という気概が希薄なのも同
じかもしれない。とはいえ、9条を変えるべきという民意が示されたことはな
い。新年早々、首相は改憲への意欲を表明。民意は無視してOKと誤解してい
る首相だけに、これだけは「ゆく川の流れ」にしたくない。

 

学会コラム<緑と絆の木陰> 神野直彦(日本社会事業大学学長)

 

500号を回顧して

 

老いていくという生まれて初めての経験に、戸惑いながら生きていると、時
間の感覚が混乱してくる。それでも、『スローライフ瓦版』が500号を数えたと
知れば、その歴史の重みに言い知れぬ感動を覚える。
遠い記憶を辿ると、私は川島正英氏と筑紫哲也氏からスローライフ学会設立
の相談を受け、スローライフ学会の学長を仰せつかることになる。
私は瓦版の「緑と絆の木陰」欄を輪番制で担当している。しかし、この欄が
創刊当初から存在したか否かも忘れてしまっている。とはいえ、「緑と絆の木
陰」という欄は、私が学会で、子供たちは二つの木陰のもとで育てなければな
らない。一つは文字どおりの緑の織り成す木陰であり、もう一つは人間の絆が
織り成す木陰であると講演したことから、川島氏が設けられたと記憶している。
量的変化は質的変化に転化することが真理であるとすれば、500号という量的
蓄積は、質的な充実をもたらすはずである。筑紫哲也氏の『スローライフ―緩
急自在のすすめ』を繙くと、そこで提起されている課題が現在では一層、深刻
化していることに言葉が出ない。それを思うにつけ500号を超えた今、残された
者が担う使命の重さを実感する。

 

コラム<500号に寄せて> ====

 

気候変動対策への共感 斉藤睦(地域総合研究所所長)

 

昨年の私のトピックはニューヨーク市他世界5都市の都市農業関係者が集っ
た「世界都市農業サミット」(練馬区主催)に関わったことでした。
サミット第一日目夜、翌日最終日の段取り確認の時になって、会合最後に発
表する「サミット宣言」文中に“気候変動へのアクションを起こそうの言葉が
ない。それを入れなければ会合の意味はない”とロンドン参加者が言い出しま
した。この文案は、2か月以上各都市のネット空間を行き来し、「これでよい
ですね」と事前に最終確認を取ったものです。なぜ今の今そんなことを…事務
局側の日本にとっては「ちゃぶ台返し」の感すらありました。
躊躇している時間はありません。その場ですぐさま徹底的に議論。気候変動
対策は都市農業の維持だけでなくあらゆる市民活動のベースであり、「地球全
体で共有すべき目標」との共感が生まれ、宣言に「気候変動へのアクション」
の語句を加えようと全員が深く思いを一つにする瞬間が生まれました。
スウェーデンのグレタ・トゥンベリさんは大人たちに「気候変動を放置して、
若者に希望を持てなんて、よくも言えるわね」と突きつけます。
オーストラリアの山火事はいまだに止んだと聞きません。
スローライフは地球丸ごとの環境維持があってこそ成り立つのだと、メルマ
ガ500号記念に当たって、強く思います。

 

大河の「一滴」、現場から
丸岡一直(社会福祉法人二ツ井ふくし会理事長)

 

新聞の仕事で横から。行政に携わるとどうしても上から。そして高齢者介護
では文字通り地べたをはうように下から。それぞれの視点で社会を見つめる立
場を与えられたのはたいへんに幸運なことでした。同じころ、スローライフジ
ャパンにお誘いを受け、「瓦版」に寄稿したり各地のフォーラムに参加する機
会にも恵まれて、井の中の蛙が大海とまではいかなくても、中海ぐらいまでは
泳ぎ出すことができたでしょうか。御礼を申します。
山あいの集落からある日、なじみの一家が山を下りる。商店街の一角で靴屋
が店をたたむ。学校が一つひとつ、統合されていく。農山村にしばらく前から
起こっていることは、やがて大河に注ぎ、日本全土を覆う、そのはじめの「一
滴」だったのですね。そう気づけたのは瓦版500号でみがかれたおかげです。
山間にわき出る「一滴」は、現場にいなければ見つかりません。そう心得て、
日々のできごとをしっかりとこの目に焼き付けていきたいと思っています。

 

積小為大 長谷川八重(NPOスローライフ掛川)

 

スローライフ瓦版が500回を迎え、お祝い申し上げます。
私のファイルには2014年からの原稿が残っていますが、当初から日常の拙い
ことを書き連ねることに不安を抱えつつ、しかしバラエティーに富んだ瓦版と
なるように自分の役割と思い寄稿してきました。読者の皆さま、編集スタッフ
の皆さん、これまでおつきあいいただき感謝申し上げます。
500回と聞いて私の頭に浮かんだのは「積小為大」(せきしょういだい)。
小さなことなれど積み重ねればやがて大きなことを為す。大きなことを為そう
として小さなことを疎かにしては大きなことは為せないという意味だそうです。
これは、明治末期から昭和初期の地方改良運動に取り組んだ二宮尊徳の数あ
る訓えの中の一説。人間として社会生活を行うための行動の基本となる「報徳
思想」は、人が本来もっている欲を認めながら、周囲や社会と巧みに調和して
心もお金も同時に豊かに育もうとする考え。報徳思想の根づく掛川市ではいた
るところに「積小為大」の四文字があります。
これからもこつこつ、スローライフのもつ多様な価値観のお役に立てるよう
に原稿を書かせていただければ、と考えています。

 

節目の年 小牟田弘子(長崎県雲仙市在住・スローライフ学会会員)

 

500号配信、おめでとうございます。瓦版は、2014年の群馬県南牧村のフォーラ
ムに参加して以来いただいていますが、配信日である毎週火曜日が私の楽しみ
の一つになっています。これまでに何度か、「街角から畦道から」のコーナー
で私が書いた文を掲載していただきました。今まで、自身の出来事や感想など
を多くの方々に発信し、読んでいただくという経験がなく、このような機会を
頂けるとは思ってもいなかったので、昔の私が、タイムトラベルで今の時代に
来たらとても驚くと思います。スローライフの皆様に対し、このような素晴ら
しい機会を頂いていることに感謝しています。今回、瓦版は、500号という節目
を迎えられましたが、私も先月、30歳という節目を迎えました。これを機に、
何か新しいことにチャレンジしようと思い、料理教室と外国語の勉強を始めま
した。まだスタートしたばかりですが、楽しみながら続けていこうと思います。
いつか、このことについても瓦版で紹介できればと思っています。

 

ファストとスローを知る
小松崎いずみ(埼玉県越谷市在住・スローライフ学会会員)

 

私がスローライフを知ったのは事務局の野口さんとの出会いからです。新宿区
のイベントで私は“終活”を普及させる活動をしていました。元気なうちに一
度お棺に入り、先祖から受け継がれた命の大切さを身体で感じていただくとい
う体験でした。きっと野口さんは変わった団体だなぁと感じていたと思います。
私は、“終活”をはじめ身の廻りを整理したあとはきっとスローライフが必要
になると思い、スローライフ学会の仲間入りをさせていただきました。スロー
ライフという言葉を知って、自分がファストライフの中で生きているという事
を知りました。あらためて子供の頃に味わって生きていた、時間のゆとりを思
い出します。そしていま、自分の人生の時間配分を操作し、心豊かな時間をつ
くる事が出来るのではないか?と考えています。とてもワクワクする時間です。

 

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【逸村逸品】ひとこと紹介 ? http://www.facebook.com/slowlifej
広島県江田島市「だし道楽」。ペットボトルで、薄口しょうゆベース液に焼き
あごが一匹丸ごと入っています。自動販売機もあります!
△△△△△△△△△△△

 

■まち・むらニュース

 

・兵庫県丹波篠山市 篠山まるごと丼

 

丹波篠山の食材と飲食店の工夫から生まれるご当地グルメ。提供しているのは
市内の十数店舗。こだわりの3カ条は、コシヒカリ、丹波篠山牛、猪、鹿など
の特産肉、山の芋または旬の野菜などどれも地産の食材を使うこと。
場所:市内の食堂、旅館、ホテルなど(店によっては期間限定)
主催:丹波篠山ご当地グルメ推進委員会
問合せ:丹波篠山市役所商工観光課 TEL079-552-6907
http://marugotodon.com/

 

・石川県輪島市 白米千枚田、あぜのきらめき

 

日本の棚田百選に選定されている白米千枚田が幻想的に彩られる。設置された
約25000個のLEDは、ボランティアの手によるペットボトルを利用したもので、
15分ごとに色を変化させる。期間中は路線バスの増便もある。
日時:?3月15日(日)日没から4時間の点灯 場所:白米千枚田
問合せ:輪島市交流政策部観光課 TEL0768-23-1146
http://senmaida.wajima-kankou.jp/calendar/lightup/

 

コラム<象さんの散歩>

 

よくぞ、500号 続

 

「瓦版」500号。「象さんの散歩」も500回。前号で、散歩にはスローライフ
びとの話が多い、と書いた。もちろん、楽しい散歩、うれしい散歩ばかりでは
ない。真逆の話も。政治の世界。もり・かけ、ふるさと納税、などなど。
先週の国会は、象さんの政治散歩に恰好の舞台だった。衆参両院が久しぶり
の予算委員会を開いた。新型コロナ対策についてはともかく、「桜を見る会」
はじめ2大臣の早々の辞任、IR汚職問題・・。いつもながら真っ向勝負に出
ない政権で、せっかくの論戦が白けた形。象さんはいらいら。
新聞・テレビも大きく採り上げた。朝日新聞は、政府と野党の論戦をコラム
に仕立てて「焦点採録」のカットをつけて報道する日が多かった。
新聞の国会記事は、論議全体を一本にまとめる。それが、もちろん常道だが、
論議、とくに攻防の味をなるべく伝えたい、それに応える手だてが一問一答の
形の「焦点採録」ある。実は、この「焦点採録」というコラムの呼び名は、私
が朝日新聞政治部次長(デスク)のときに思いつき、提案、実現させた。
40年も昔の話である。象さん、朝日新聞紙面で、この「焦点採録」のカット
を見るたび、自分の足跡を見た思いに。そして、象さん、この瓦版にはどんな
足跡を残せるのかな、と考えたりしながら・・ <川島正英>

 

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コラム 野口智子<スローライフ曼荼羅> 瓦版に時代を見る

 

今号も500号特集。創刊当時の「瓦版」内容を振り返ってみましょう。10週分
をみるだけでも、10年前の世の中が少しつかめます。菅政権、ワールドカップ、
建設途中のスカイツリー、クールビズ、iPad、電子書籍、冬のソナタ、口蹄疫、
草食系、など。書き手がそれぞれ何を訴え、どんな言葉をすくい上げてきたか?
「瓦版アーカイブ」の中に、この国の動きを見る思いです。
http://noguchi-tomoko.com/modules/yutoriaruki/details.php?blog_id=554

 

■編集室便り

 

▽2月12日(水)は?文化と農のまち・三鷹へ?
お出かけサロンです。

 

東京都三鷹市とは、2005年愛知県瀬戸市で開催された「愛・地球博」の際に
当NPOとご一緒に一カ月間の展示ブースを運営、シンポジウムも行ったご縁が
あります。
都心に近い距離にありながら、緑豊かで文化の香り高く、農業も盛んです。
その様子を見学し、市長さんと懇談のお時間も。

 

水曜、昼間の開催です。お誘いあわせてどうぞ。
↓↓↓
■2月12日(水)お出かけサロン?文化と農のまち・三鷹へ?

 

<予定>
12:50 三鷹駅改札口前集合
13:00 南口にてバスに乗車・出発

 

・「三鷹市星と森と絵本の家」 見学

 

・「三鷹の森ジブリ美術館」 見学

 

・都市農業の見学

 

・河村 孝市長と懇談(三鷹市役所 市長室にて)

 

17:15 三鷹駅南口 解散

 

詳しくはこちらから
http://www.slowlife-japan.jp/modules/katsudou/index.php?page=detail&bid=404

 

<申し込み>
・参加費:会員1000円、一般2000円(学生500円)
・申込み:メール TEL 03-5312-4141 (2月7日までに)

 

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■私たちはいつもスローライフの動きを応援しています。

 

岩手県遠野市
http://www.city.tono.iwate.jp/
奈良県吉野郡十津川村
http://www.vill.totsukawa.lg.jp/www/toppage/0000000000000/APM03000.html
奈良県
http://www.pref.nara.jp/
雲仙市
https://www.city.unzen.nagasaki.jp/
飯山市
http://www.city.iiyama.nagano.jp/
出雲市
http://www.city.izumo.shimane.jp/www/toppage/0000000000000/APM03000.html
丹波篠山市
https://www.city.sasayama.hyogo.jp/
日本テレネット株式会社
http://www.nippon-tele.net/
シン・エナジー株式会社
https://www.symenergy.co.jp/
クオリティ株式会社
http://www.quality.co.jp/
アース・デザイン・インターナショナル(edi)株式会社
http://www.edi.ne.jp/
株式会社サンクス・ツー
http://www.thanks2.jp/

 

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