6月のさろんは、綾部フォーラムの報告と感想座談会でした。

第129回 「さんか・さろん」は6月20日。好評だった京都府綾部市での「スローライフ・フォーラムin綾部」(2023年5月20日、21日)を振り返る回になりました。
テーマは、「スローライフ・フォーラムin綾部を語る」。事務局として活躍した丸山 薫さん(心葉主宰)と長谷川八重さん(スローライフ掛川)が、先ずは画像と解説で、2日間の行程と多彩な内容を報告しました。
※同様の報告をホームページにてしています。どうぞご参考に。

速報・綾部でのフォーラム成功!

 

次に、分科会のアドバイザーを務められた3名の方から、要点や印象的だった事柄が報告されました。
第1分科会「食と農を大切に」:野口智子さん(ゆとり研究所)より。

アドバイザーの塩見直樹さんが提唱する『半農半X』は、30年前からの提唱で、今や国内のみならず、外国語でも翻訳され大変な反響がある。”農=大変”の意見はあるが、これからの環境や持続可能な社会を創る上で、どう取り入れていくかの具体的な意見交換ができた。家庭のキッチンでも小さな「農」はできる。そうしたことの重なり合いが農業を支えることになる。芸術系の若者が「叔父さんの作るお米に愛着がある。」との意見に、パッケージのデザインや売り方でも応援できるのではないか…と意見が出た。つまり『半農半X』は農の事を切り離さず、Xは自身の好きな事で良いのだと。
ステージ上での報告でも、塩見さんからは”リスペクト”が大事で、これからの農にはデザイン力が必要だと発表があった。

第2分科会「小さい力を活かす」:斎藤睦さん(地域総合研究所)より。

30数名の内、地元と来訪者のバランスが半々で、スローライフ・フォーラムの特徴である”クロスする”場が作れて良かった。高齢者や若者が小さな力を活かして、大きな”移住立国”をやっている現場を見られて良かった。小さな経済が循環して成立する。それがいくつもある社会は豊かだ。各地から集まった参加者から出るアイデアには、バイオと農業の活かしたエネルギーの提案などもあった。アドバイザーの明治大学教授・小田切徳美さんは、人口は人材が大事で、「当事者意識」がある人が居るか否かで、地域の質が変わってくる。ワイワイガヤガヤやる「プロセスデザイン」が大事。「賑やかな過疎」と仰った。そうした意味から綾部はホットスポットだ。

第3分科会「多様に生きる」:坪井ゆづるさん(朝日新聞論説委員)より。

とにかく集まっている人たちが、ほんとに多様に生きている実践者で驚いた。田園調布から、アメリカから、秋田から、公務員からの転身・・・など、ご自身の経歴を聞いているだけでも面白かった。アドバイザーの筒井一伸さんは鳥取大学で移住のフィールドワークをご専門に研究されたいる。「副業」はサブの仕事という捉え方から、複数の業をもつ「複業」へ、または誰かが事業を継承する「継業」へと、仕事と生き方の関係が多様になってきたと感じた。

 

参加者からもいろいろな意見をいただきました。

「初めて参加だった。スローライフって何?どんな人たちが集まるの?と興味があり申し込んだが、事前の案内資料がきめ細やかで驚いた」
「オンラインで知り合った方々と、やっと会えた思いだった。会って話をして、その人をより深く知ることができた」
「いろんな人に会えて良かった」
「予習の『田舎暮らしのすすめ』(綾部市から配布された本)の、リアルがそこにあって面白かった」
「どっぷり”地域づくり”に浸る2日間で満足」
「夜なべ談義が熱かった」
「夜なべ談義では、世代の違う人たちと交流できた」
「夜なべ談義は素晴らしかった。全国の銘酒が集まった!あれこそ、”ワイガヤ”だ!」

~グンゼ株式会社~(視察先)
「50年後の綾部を描いた大きな図をみて、昔の人も今と同様に将来を考えてまちづくりをしたことを改めて知れて、嬉しかった」
「企業の歴史から、全国の産業エピソードを聞き、逆に地域の多様性を知った」
「他所にある蚕糸産業の歴史は国家指導だったが、グンゼは民間だ。また女性への教育に力を入れていた事に驚いた」
「市民バラ園に書かれていたメッセージボードには、個人の想いがあって見ごたえがあった」
「市民バラ園の事業は、自分たちの地元でもやりたいと思った」

~水源の里・老富「シャガの群生」~(視察先)
「珍しい植物が見られて良かった」
「森林管理が美しかった」
「田舎ならではの味とおもてなしに、地元と重なる思いがした」
「シャガは奥ゆかしい”お姫様”の様だった。カメラを忘れたことが悔やまれる」
「まちの活性化=経済的に潤う・成功の評価・・・、これとは違う価値をバス内で解説していただき、感銘を受けた。1回200円の報酬で自らの悦びを作りだしている。それは地域内の人が喜ぶことを優先にした企画や事業だった。”いきいき活動通信”・”水源の里”事業を改めて素晴らしいと思った」
「地域野菜や旬を重視。メニューありきから、材料ありきの食育を求めたいと感じた」
「小さいから関われる。当事者意識が大事。「とち餅ぜんざい」は当事者意識そのものだった」

~全体を通して~
「ドラマティックだった。綾部の自然や歴史を舞台に、2日間のプログラムや展開がとても良かった」
「基調講演の”人は人との触れ合いで人間になっていく”を引用すれば、私達は昨日より上質な人間になれた」
「今回のフォーラムを誰よりも楽しみにしていた瀧栄治郎理事のご遺族から、会場に足を運んで良かったとのご発言があった」
「ご縁が繋がり、成功したフォーラムだった」
「”あらためてスローライフを!”を考えるのにふさわしい場所を訪問できた。素材がたくさんあった。特に、ここを愛して根を張って暮らしている方々に会い、こうして暮らしていけば良いんだ、ここに未来がある。と感じて、これらの繋がりを作れば、日本は良い国になると再確認した」
「スローライフの20年間の歩みを振り返り、”あらためて!”とした。綾部市を舞台にできて良かった」
「綾部市の品格を感じて、羨ましかった」
「もう一度行きたい」

~参加できなかった方から~
「土地や家並みから、地域の個性を感じる。行ってみたい」
「参加者の一体感を羨ましく感じる」

~綾部市担当から~
「数々のミスをお許しいただけたようで、救われる」
「行程に滞りが出ない様に事務的なことに負われた。報告書で振り返りたい」
「皆さんの感想により、綾部の再認識ができた」

今回の「さろん」参加者は、フォーラム参加の26名、不参加だった7名、綾部市担当者3名、合計36名でした。

※開始前には、兵庫県の永菅裕一さん(棚田LOVER’s)のところから、奈良県十津川村のジョラン・フェレリさん(「空中の村」運営管理者、フェレリ合同会社、2月の「さんか・さろん」でスピーチ)が顔出しされ、「さろん」での繋がりが具体的に動いている実感がありました。